難治性胃潰瘍 ppi 治療 予防 診断

難治性胃潰瘍 ppi 治療

難治性胃潰瘍でPPIが効きにくいときの要点
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まず「原因」を再同定

H. pylori、NSAIDs/LDA、特発性、悪性を切り分けると治療の迷いが減ります。消化性潰瘍ガイドラインのフローチャートも「原因軸」で組まれています。

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PPIは用法で差が出る

服薬タイミングやアドヒアランス不良があると、見かけ上「PPI抵抗性」に見えます。増量や薬剤変更より前に確認する価値があります。

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難治化の盲点を拾う

NSAIDs継続、抗血栓薬併用、無症候性進行、内視鏡所見(多発・不整形)などを手掛かりに、再発予防まで一気通貫で設計します。

難治性胃潰瘍 ppi 抵抗性 診断と原因

 

難治性胃潰瘍で「PPIを出しているのに治らない」と感じたとき、最初にやるべきは“薬の強さ”の議論ではなく、原因の再同定です。消化性潰瘍診療ガイドライン2020の治療フローチャートも、H. pylori陽性/陰性、NSAIDsあり/なし、合併症の有無で分岐しており、治療の前提がここに置かれています。

原因再評価で特に見落としやすいのは、NSAIDs/低用量アスピリン(LDA)の「継続」や「併用」です。厚労省の医療関係者向け資料でも、NSAIDsが中止できない場合はPPIやPG製剤を中心とした治療・予防を行うこと、さらにNSAIDs継続下の胃潰瘍治療ではPPIの治癒率が最も高いことが示されています。

一方で、薬物性だけに寄せすぎると、悪性潰瘍(胃癌、リンパ腫など)や、非H. pylori・非NSAIDsの特発性潰瘍を見逃します。ガイドラインでは“特発性潰瘍を検討”という分岐が明示されており、難治例ほど「本当に良性潰瘍か」を内視鏡と病理で確認する設計が重要です。

参考)その胃の不調、治りにくい潰瘍かも? 難治性胃前庭部潰瘍の原因…

難治性胃潰瘍 ppi 内視鏡 所見とフォロー

難治性胃潰瘍では、内視鏡で「部位・個数・形」を意識して観察すると原因推定が進みます。厚労省資料では、NSAIDs潰瘍は胃角部に少なく幽門部や体部に多い、約半数が多発で不整形が多い、NSAIDs継続で極めて難治の慢性潰瘍が発症し得る、という特徴が整理されています。

また、難治例のフォローでは「症状」だけに頼らないことが実務上のポイントです。NSAIDs潰瘍は疼痛が少ない(鎮痛作用でマスクされる)とされ、臨床的には“治った気がする/痛くない”が治癒の根拠になりにくいので、計画的な内視鏡評価が安全側です。

出血を伴う症例や既往がある場合は、治癒と再発予防が同時に課題になります。消化性潰瘍診療ガイドライン2020では出血性潰瘍の章や予防フローチャートが独立しており、抗血栓薬・NSAIDs・LDAなど背景因子の整理と、再出血リスクを踏まえた薬剤選択が“難治化の再燃”を減らします。

難治性胃潰瘍 ppi 服薬アドヒアランス 用法

PPIが効かないとき、臨床で一番コスパが良い介入は「処方変更」より先に、服薬アドヒアランスと用法の点検です。PPIは投与設計(いつ飲むか、飲み忘れがないか)で酸分泌抑制の質が変わり、見かけ上の抵抗性を作ります(医療面接と薬剤指導で改善する余地が大きい領域です)。

また、PPIの効果の個人差には、代謝酵素CYP2C19が関与する可能性があり、薬剤変更が合理的になる場面があります。m3の解説でも、PPI抵抗性では倍量投与(1日2回)やPPIの種類変更が選択肢として挙げられ、その背景としてCYP2C19が言及されています。

参考)【逆流性食道炎】メカニズムを正しく理解しPPIを使いこなす

ここで重要なのは、難治性胃潰瘍の全例が「酸抑制不足」ではない点です。NSAIDs/LDA継続、喫煙、併用薬(抗凝固薬抗血小板薬など)、そして“そもそも潰瘍の原因が別”という条件が残っていると、PPIを強化しても治癒が頭打ちになります。

難治性胃潰瘍 ppi NSAIDs 低用量アスピリン 予防

難治化の典型パターンは「原因薬剤を止められない」ケースで、治療と予防が一体化します。厚労省資料では、NSAIDs中止が可能なら中止+通常治療で高率に治癒する一方、中止できないときはPPIやPG製剤を中心に治療・予防を行う、と整理されています。

さらに、NSAIDs潰瘍の一次予防・二次予防の考え方も臨床では重要で、リスク因子(高齢、潰瘍既往、抗凝固薬・抗血小板薬併用など)を持つ患者では予防策が治療成績に直結します。厚労省資料は、リスク因子を勘案して消化性潰瘍発症の可能性がある場合にPPI中心の予防投与が有効と報告されている点にも触れており、難治例ほど“今後の再発”まで含めた設計が必要です。

ガイドライン2020ではNSAIDs潰瘍予防、LDA潰瘍予防のフローチャートが提示され、PPIやVPZ(ボノプラザン)などを含めた選択肢が整理されています。難治性胃潰瘍で再燃を繰り返す症例では、治癒後の維持療法・併用薬調整まで含めて、この枠組みに沿って見直すと説明がブレにくくなります。

難治性胃潰瘍 ppi 特発性 潰瘍 独自視点

検索上位では「ピロリとNSAIDs」が中心になりがちですが、臨床でじわじわ増えているのが“非H. pylori・非NSAIDs”の特発性潰瘍です。消化性潰瘍診療ガイドライン2020でも、2000年代初頭に約1~4%だった特発性潰瘍が、2012~2013年には12%に増加したという国内データが紹介されており、難治例の背景として無視できません。

このタイプの難しさは、原因除去(除菌やNSAIDs中止)が効かないため、酸分泌抑制(PPI/P-CAB)を軸にしつつ、再発予防と“見逃してはいけない鑑別”を同時に回す必要がある点です。ガイドラインの治療フローチャートでも、未治癒の場合に特発性潰瘍を検討する分岐が明記され、原因が特定できない症例を想定した設計になっています。

意外な盲点としては、患者側が「鎮痛薬は常用ではない」と認識していても、OTCのNSAIDsや貼付薬、頓用が積み重なって実質的にリスク曝露が続いているケースです。難治性胃潰瘍の問診では、処方薬だけでなくOTC、併用薬(抗血栓薬、ステロイドなど)まで含めた“曝露の棚卸し”を行うと、PPI抵抗性の見え方が変わります。

原因薬剤(NSAIDs等)継続時の治療・予防、リスク因子、内視鏡所見の整理(医療者向けPDF)

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1g03-r03.pdf

消化性潰瘍診療ガイドライン2020(フローチャート、NSAIDs/LDA予防、特発性潰瘍などの全体像)

https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/syoukasei2020_2.pdf

胃潰瘍の説明に適した模型,萎縮性胃炎や出血性胃潰瘍などを再現しています,胃潰瘍モデル – 3B Scientific