痛風・高尿酸血症治療薬の種類と適応
痛風発作中の尿酸降下薬新規開始は発作を悪化させます
痛風・高尿酸血症治療薬における尿酸生成抑制薬の特徴
尿酸生成抑制薬は、体内で尿酸が作られる過程をブロックする治療薬です。プリン体が尿酸に変換される際に働く酵素「キサンチンオキシダーゼ」を阻害することで、尿酸の産生量そのものを減らします。代表的な薬剤には、アロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)、トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)があります。
アロプリノールは古くから使用されている薬剤で、1日100〜300mgを分割投与します。腎機能低下時には用量調整が必要で、クレアチニンクリアランスが30mL/分未満の場合は慎重投与となります。重篤な副作用として皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)が報告されており、発熱や発疹が出現した際には直ちに投与を中止する必要があります。全日本民医連の副作用報告では、過去5年間で130件の報告のうち73件が皮膚症状だったというデータもあります。
これは深刻なリスクですね。
フェブキソスタットは腎機能低下例でも比較的安全に使用できる薬剤として2011年に登場しました。1日1回10〜60mgを投与し、腎排泄の割合が低いため、軽度から中等度の腎機能障害患者でも用量調整が不要です。肝機能障害のリスクがあるため、定期的な肝機能検査が推奨されます。トピロキソスタットも同様の作用機序を持ち、1日2回投与が基本となります。
尿酸産生過剰型の患者や、腎機能障害を合併している場合には尿酸生成抑制薬が第一選択となります。尿路結石の既往がある患者にも適しており、尿中尿酸排泄量を増やさないため結石形成リスクを上げません。高度な腎機能障害(eGFR 30mL/分/1.73m²未満)のある患者では、尿酸排泄促進薬の効果が期待できないため、尿酸生成抑制薬を選択することが原則です。
痛風・高尿酸血症治療薬における尿酸排泄促進薬の使い方
尿酸排泄促進薬は、腎臓の尿細管で尿酸が再吸収されるのを妨げ、尿中への尿酸排泄を促進する薬剤です。主な薬剤として、ベンズブロマロン(ユリノーム)、プロベネシド、ブコローム、そして新しい薬剤であるドチヌラド(ユリス)があります。
ベンズブロマロンは1日25〜50mgを投与しますが、重篤な肝障害のリスクがあることが知られています。2000年に緊急安全性情報が発出され、投与開始後6ヶ月以内に劇症肝炎が発現するケースが報告されました。このため、投与開始後少なくとも6ヶ月間は定期的な肝機能検査が必須となっています。食欲不振、悪心・嘔吐、全身倦怠感、腹痛などの症状が出現した場合は、直ちに投与を中止し肝機能を評価する必要があります。
これは必須の管理項目です。
高度な腎機能障害のある患者では、尿酸排泄促進薬の効果が期待できないため禁忌となっています。クレアチニンクリアランスが30mL/分未満の場合は、尿細管での尿酸再吸収阻害効果が十分に発揮できません。
2020年に登場したドチヌラド(ユリス)は、尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害する新しいタイプの尿酸排泄促進薬です。1日1回0.5〜2mgを投与し、ベンズブロマロンと比較して肝障害のリスクが低いとされています。URAT1を選択的に阻害するため、他の尿酸分泌経路には影響を与えず、より安全性の高い薬剤として期待されています。副作用として痛風関節炎(5%以上)、関節炎、四肢不快感(各1〜5%未満)が報告されています。
尿酸排泄促進薬を使用する際は、尿路結石予防のために十分な水分摂取(1日2リットル以上)と尿のアルカリ化が重要です。尿pHを6.0〜7.0に保つため、クエン酸製剤(ウラリット)などの尿アルカリ化薬を併用することが推奨されます。尿酸排泄低下型の患者で、腎機能が保たれている場合に適した選択となります。
痛風・高尿酸血症治療薬の発作時投与における注意点
痛風発作が起きているときの尿酸降下薬の取り扱いは、新規開始と継続投与で対応が異なります。発作中に尿酸降下薬を新たに開始すると、血清尿酸値が急激に低下し、関節内に沈着していた尿酸塩結晶が剥離して炎症が増悪する可能性があります。このメカニズムにより、発作が遷延化したり、さらに激しい痛みを引き起こすリスクがあります。
どういうことでしょうか?
関節内の尿酸塩結晶は、血清尿酸値が安定している状態では比較的静止しています。しかし尿酸値が急激に変動すると、結晶の表面が不安定化し、白血球による貪食反応が活性化されます。この反応が炎症カスケードを引き起こし、痛風発作の症状を悪化させるのです。日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインでは、「痛風関節炎が認められた場合は、症状がおさまるまで尿酸降下薬の投与を開始しないこと」と明記されています。
一方、すでに尿酸降下薬を服用している患者が痛風発作を起こした場合、従来は投与を中止するという考え方がありました。しかし最近のエビデンスでは、継続投与のほうが長期的な発作頻度を減らし、循環器疾患のリスクも低減することが示されています。中止することで尿酸値が再上昇し、治療効果が損なわれるためです。発作中は用量を変更せず、そのまま継続するか、必要に応じて減量にとどめることが推奨されています。
つまり継続が原則です。
痛風発作の治療には、尿酸降下薬ではなく抗炎症薬を使用します。第一選択はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で、ナプロキセン、インドメタシン、プラノプロフェンなどが使用されます。ロキソニン(ロキソプロフェン)も効果的ですが、市販のロキソニンS製品には痛風の効能効果がないため、医療機関での処方が必要です。
ただし、アスピリンは低用量では尿酸排泄を抑制し、高用量では排泄を促進するという二相性の作用があります。鎮痛量のアスピリンは尿酸値を上昇させ、発作を増悪させる可能性があるため、痛風発作には使用を避けるべきです。NSAIDsが使用できない場合は、コルヒチン0.5mgを頓用するか、ステロイド薬(プレドニゾロン10〜30mg/日)を短期間使用します。
痛風・高尿酸血症治療薬によるコルヒチンカバーの実際
コルヒチンカバーとは、尿酸降下薬の開始初期に起こりやすい痛風発作を予防するため、コルヒチンを少量併用する方法です。尿酸降下薬を開始すると、血清尿酸値の低下に伴い関節内の尿酸塩結晶が不安定化し、約10〜20%の患者で発作が誘発されます。この発作を「尿酸降下薬誘発性痛風発作」と呼び、治療継続のアドヒアランスを低下させる大きな要因となります。
コルヒチンは白血球の遊走を抑制し、尿酸塩結晶による炎症反応を軽減する作用があります。具体的には、微小管の重合を阻害することで好中球の運動能や貪食能を抑え、インターロイキン-1βなどの炎症性サイトカインの産生を減少させます。発作の前兆期(足の違和感やむずむず感)に0.5mg(1錠)を服用すると、発作の進行を阻止できることがあります。
これは使えそうです。
コルヒチンカバーの用量は、1日0.5〜1.0mg(1〜2錠)を尿酸降下薬開始後3〜6ヶ月間継続投与します。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版では、「尿酸降下薬開始後に生じる急性痛風関節炎に対して予防対策を行う」ことが推奨されており、コルヒチンの長期投与がその具体的な方法として位置づけられています。
主な副作用は消化器症状で、下痢、腹痛、悪心などが約10〜20%の患者に出現します。これらの症状が強い場合は減量または中止を検討します。重篤な副作用として、骨髄抑制、横紋筋融解症、末梢神経障害が報告されていますが、低用量の予防投与では頻度は低いとされています。腎機能低下例や高齢者では血中濃度が上昇しやすいため、慎重な経過観察が必要です。
コルヒチンは多くの薬剤と相互作用があります。特にマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、エリスロマイシン)、アゾール系抗真菌薬、カルシウム拮抗薬などとの併用で血中濃度が上昇し、副作用リスクが高まります。
併用薬の確認は必須の手順です。
痛風発作を繰り返す患者や、尿酸降下薬の用量調整が必要な時期には、コルヒチンカバーが発作予防の有効な手段となります。患者には「尿酸値が下がり始めると一時的に発作が起きやすくなるため、予防の薬を併用する」という説明をすることで、治療への理解と継続が得られやすくなります。
痛風・高尿酸血症における目標尿酸値と治療継続の重要性
高尿酸血症・痛風治療における目標血清尿酸値は6.0mg/dL以下です。
この数値には明確な科学的根拠があります。
尿酸の生体内溶解限界は約6.4〜6.8mg/dLとされており、この値を超えると尿酸が結晶化しやすくなります。逆に6.0mg/dL以下に維持することで、既存の尿酸塩結晶の溶解が促進され、痛風発作の予防だけでなく痛風結節の縮小も期待できます。
尿酸値を6.0mg/dL以下に維持した患者では、痛風発作の頻度が有意に減少し、関節内の尿酸塩結晶も減少することが複数の研究で確認されています。膝関節の超音波検査を用いた研究では、6.0mg/dL以下を1年間維持した群で結晶の明らかな減少が認められました。さらに最近の研究では、尿酸値を6.0mg/dL未満まで低下させることで、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクも減少する可能性が示されています。
結論は6.0mg/dL以下です。
治療開始の目安は「6-7-8のルール」と呼ばれています。血清尿酸値7.0mg/dL以上を高尿酸血症と定義し、8.0mg/dL以上(または7.0mg/dL以上で合併症がある場合)で薬物療法を考慮、そして治療中は6.0mg/dL以下を目標とします。このルールは日本だけでなく国際的にも広く受け入れられている基準です。
尿酸降下薬は急激に尿酸値を下げるのではなく、3〜6ヶ月かけて徐々に増量し、目標値に到達させます。急激な尿酸値の低下は前述のとおり痛風発作を誘発するリスクがあるためです。例えばフェブキソスタットであれば、10mgから開始し、2〜4週間ごとに尿酸値を測定しながら20mg、40mgと段階的に増量し、最終的に維持量を決定します。
目標値に到達した後も、治療の継続が極めて重要です。尿酸降下薬を中止すると、数週間から数ヶ月で尿酸値は元のレベルに戻ってしまいます。「もう痛風発作が起きなくなったから」「尿酸値が正常になったから」という理由で自己判断で中止する患者がいますが、これは治療効果を無にする行為です。高尿酸血症の多くは生活習慣や体質に起因するため、薬物療法は基本的に長期継続が前提となります。
定期的な尿酸値測定も継続管理のポイントです。安定期には2〜3ヶ月に1回の測定で十分ですが、用量調整時や発作後は1ヶ月ごとの測定が推奨されます。腎機能や肝機能のモニタリングも忘れてはなりません。アロプリノールやベンズブロマロンを使用している場合は、3〜6ヶ月ごとの血液検査で副作用の早期発見に努めます。
患者教育では、尿酸値のコントロールが痛風発作予防だけでなく、腎機能保護や心血管疾患リスク低減にもつながることを説明します。CKD(慢性腎臓病)患者における尿酸降下療法が腎機能低下の進行を抑制する可能性も報告されており、多面的な治療意義を伝えることが長期継続のモチベーション維持に有効です。
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