鉄剤一覧と経口鉄剤と静注鉄剤
鉄剤一覧:経口鉄剤の種類と特徴(フェロミア・フェルム・インクレミン・リオナ)
医療現場で「鉄剤一覧」として整理する際、まず押さえるべきは“経口鉄剤は基本4種類+選択肢としてリオナがある”という構図です。経口鉄剤は原則として鉄欠乏性貧血の初期治療で用いられ、患者負担・安全性・外来運用のしやすさの面で優位です。
出典として、鉄欠乏性貧血治療は「経口鉄剤で治療開始が基本」であり、経口鉄剤はクエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア)、乾燥硫酸鉄(フェロ・グラデュメット)、フマル酸第一鉄(フェルム)、溶性ピロリン酸第二鉄(インクレミン)の4種類が挙げられます。さらに、クエン酸第二鉄水和物(リオナ)は慢性腎臓病の高リン血症治療薬として知られつつ、鉄欠乏性貧血の効能追加により“消化管副作用が気になる患者の選択肢”として位置付けられています。

ここからは、各薬剤を「剤形」「吸収」「副作用回避の工夫」という臨床で説明しやすい軸で整理します。
【経口鉄剤:代表的な位置づけ】
- フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム):広いpH域で溶解し、胃酸分泌が低い高齢者や胃切除後でも吸収が比較的良好とされ、食事の影響や胃腸粘膜刺激が相対的に少ない可能性が示唆されています。https://credentials.jp/2023-05/special/
- フェロ・グラデュメット(乾燥硫酸鉄):多孔性格子(グラデュメット)から徐々に放出され、胃粘膜刺激を抑えつつ空腹時投与も可能と説明されています。https://credentials.jp/2023-05/special/
- フェルム(フマル酸第一鉄):徐放性顆粒入りカプセルで、鉄特有のにおいを避けられ、消化器系副作用が少ないことが特徴とされています。https://credentials.jp/2023-05/special/
- インクレミン(溶性ピロリン酸第二鉄):鉄剤で唯一のシロップ剤として説明され、小児での運用や少量からの用量調整に利点があります。https://credentials.jp/2023-05/special/
- リオナ(クエン酸第二鉄水和物):食事中リンと結合し、遊離鉄による消化管刺激が少なく、悪心嘔吐が減る可能性がある、という“機序ベースの期待”が述べられています(使用経験の蓄積は必要)。https://credentials.jp/2023-05/special/
「意外と盲点」になりやすいのは、経口鉄剤の“処方の差”よりも“患者の生活に落とし込んだ指導の差”がアウトカムに直結しやすい点です。たとえば黒色便は副作用として必ずしも危険サインではないものの、患者が自己判断で中止する引き金になりやすいため、初回から説明しておくとアドヒアランスが安定しやすいとされています。

鉄剤一覧:静注鉄剤の種類と投与設計(フェジン・フェインジェクト・モノヴァー)
「鉄剤一覧」を作るとき、静注鉄剤は“3剤を並べるだけ”では不十分で、現場で重要なのは「どの患者に、どんな運用で、何をモニタリングするか」をセットで書くことです。静注鉄剤は、経口鉄剤では間に合わない、反応性が不十分、または副作用で内服継続が難しい場合などに選択される、と整理されています。

【静注鉄剤:基本の3種類】
- フェジン(含糖酸化鉄)
- フェインジェクト(カルボキシマルトース第二鉄)
- モノヴァー(デルイソマルトース第二鉄)
上記3剤が注射用鉄剤として挙げられ、フェジンは1日あたり40~120mg程度をゆっくり静注する運用、フェインジェクトやモノヴァーは1回高用量投与が可能で来院回数や患者負担を減らし得る、という考え方が示されています。
ここで実務的に効くポイントは、「同じ静注鉄でも、投与後の評価タイミングが“すぐ”ではない」ことです。たとえばモノヴァーの製品資料(SmPC相当の記載)では、Hbの再評価は“最終投与から4週以降”とされ、造血と鉄利用に時間が必要である点が明示されています。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
【静注鉄の“一覧”に加えると強い運用情報】
- 過敏反応(アナフィラキシー等)リスクがあり、投与環境(蘇生設備・観察時間)が重要。モノヴァーでは投与後少なくとも30分の観察が記載されています。https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
- “静注した鉄は排出されにくい”ため、必要量を計算して過量投与を避ける、という警告が述べられています(体内に鉄を積極的に排出する機能がない)。https://credentials.jp/2023-05/special/
- モノヴァーの用量設計として、Ganzoni式(体重×(目標Hb-実測Hb)×2.4+貯蔵鉄)や簡略表を用いて必要鉄量を決める手順が明記されています。https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
なお、静注鉄剤は投与直後にフェリチンが上がるなど検査値の解釈が難しくなることがあり、臨床側と検査評価のタイミングをすり合わせておくと、過不足ない追加投与につながりやすくなります。特に「貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで治療継続」という原則は、経口でも静注でも共通のメッセージとして提示されています。

鉄剤一覧:副作用と相互作用(低リン血症・ショック・キレート)
鉄剤の副作用は「経口=消化器」「静注=過敏反応+低リン血症」を軸に整理すると、チーム内での共有が速くなります。さらに、相互作用(キレート形成)を添えると、実臨床でのトラブルが減ります。
【経口鉄剤:よくある副作用と説明のコツ】
- 悪心、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が起こり得る(個人差が大きい)。https://credentials.jp/2023-05/special/
- 黒色便は起こり得るため、あらかじめ説明して不安と自己中断を減らす。https://credentials.jp/2023-05/special/
【経口鉄剤:相互作用(一覧に書いておくと役立つ)】
鉄剤は、キレート形成や消化管内pH変化により吸収や薬効へ影響が出ます。具体例として、ニューキノロン系・テトラサイクリン系抗菌薬、甲状腺ホルモン製剤、レボドパ含有製剤、ドルテグラビルなどが挙げられており、服用間隔調整が必要になる場面があります。

【静注鉄剤:重大副作用の見落としポイント】
- 重大な副作用としてショックやアナフィラキシーが報告され得るため、投与時の監視体制が必要です。モノヴァーの資料では過敏反応(重篤・致死的を含む)について警告と観察が記載され、投与環境の条件が示されています。https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
- 低リン血症は静注鉄で意識すべき有害事象で、モノヴァーの副作用欄にも“Hypophosphataemia”が含まれています。https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
「意外と知られていない実務のコツ」は、静注鉄後の倦怠感・筋肉痛・関節痛などが“遅発性反応”として数時間~数日後に出ることがある点です。モノヴァーの資料でも遅発性反応として関節痛・筋肉痛・発熱などが説明され、2~4日で自然軽快することが多い、とされています。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
鉄剤一覧:検査値の見方(ヘモグロビン・血清フェリチン・TIBC)
鉄剤の選択と評価は、薬の知識だけでは完結せず、検査の“読み方のセット”が必要です。鉄欠乏性貧血の診断と治療評価では、ヘモグロビン値に加え、貯蔵鉄を反映する血清フェリチン値や、補助指標として総鉄結合能(TIBC)を確認すると整理されています。

【鉄欠乏の“検査”を一覧化する視点】
- Hb:貧血の重症度と改善の速度を見る。
- 血清フェリチン:貯蔵鉄の回復をみる(Hbが改善してもフェリチンが戻っていないと再発しやすい)。https://credentials.jp/2023-05/special/
- 赤血球恒数(MCVなど):鉄欠乏性貧血は小球性貧血で、炎症性疾患による貧血との鑑別が重要(炎症ではフェリチン低下が見られにくい)。https://credentials.jp/2023-05/special/
ここで臨床的に強いメッセージは、「症状が良くなった=治療終了」ではない点です。血清フェリチンが正常化するまで治療継続が必要で、途中中止で再燃しやすいことが述べられています。

また静注鉄の場合は、投与設計と検査評価がより密接で、モノヴァーでは鉄必要量を簡略表またはGanzoni式で決め、最終投与から4週以降にHbを再評価する、という流れが記載されています。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
鉄剤一覧:独自視点の服薬指導(黒色便・緑茶・ビタミンC)
検索上位の「鉄剤一覧」は“薬の名前の羅列”になりがちですが、医療従事者向け記事では、指導の具体策まで落とし込むと差別化になります。ここでは、現場で“説明が難しいのに、効果に直結する”ポイントを、独自視点としてまとめます。
【独自視点①:黒色便は「副作用」だが「教育ツール」】
黒色便は鉄剤で起こり得るとされ、患者が出血と誤認して中止したり、逆に消化管出血の発見が遅れたりするリスクがあります。そこで、初回説明で「鉄剤で便が黒くなることがある」ことを伝えた上で、「タール便様で強い腹痛やふらつきがあれば別問題として受診」と二段階で説明すると、自己中断と見落としの両方を減らしやすくなります。

【独自視点②:緑茶・コーヒーは“禁止”ではなく“設計”】
タンニン酸を含む飲料(緑茶、紅茶、コーヒー類)は吸収阻害の懸念が記載される一方で、摂取自体を禁止する必要はない、という説明がされています。患者の生活習慣を崩さずに継続率を上げるには、「鉄剤の前後は少し時間をあける」「どうしても難しいなら徐放剤や別剤形に変更相談」など、運用設計として提案すると現実的です。

【独自視点③:ビタミンC併用は“万能”ではない】
鉄吸収を高める目的でビタミンCが処方されることがある一方、消化管症状が強くなる可能性もある、と記載があります。つまり「効かせたいから足す」よりも「続けられる形に整える」方が総合的に改善しやすいケースがあり、腹部症状が強い患者では鉄剤単独へ戻すなど調整余地がある、という提案ができます。

【独自視点④:静注鉄の低リン血症は“症状”で拾えない】
低リン血症は倦怠感・筋力低下・骨痛など非特異的になり得るため、症状聴取だけだと見逃しやすい領域です。モノヴァーの資料では副作用として低リン血症が記載されており、頻回投与が想定される患者では血清リンを含めたモニタリング計画を“あらかじめ”組む、というチーム運用が重要になります。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf
(参考リンク:経口鉄剤・静注鉄剤の種類、選択、相互作用、投与設計の根拠の参照に有用)

(参考リンク:モノヴァーの投与量計算(Ganzoni式)、観察時間、過敏反応、低リン血症など安全性情報の参照に有用)
https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220315001/530263000_30400AMX00183_B100_1.pdf

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