慢性胃潰瘍 症状
慢性胃潰瘍 症状 みぞおち 痛み 食欲不振
慢性胃潰瘍の症状は「みぞおち(心窩部)の痛み」だけで完結しない。とくに外来では、間欠的な心窩部痛に加えて、胃もたれ、胸やけ、吐き気、食欲不振などの非特異的な訴えとして現れることが多い。これらは機能性ディスペプシア等とも重なりやすく、症状だけで病態を断定しない姿勢が重要になる。
医療従事者向けに押さえるべきは、症状の「時間軸」である。急性の激痛ではなく、数週間〜数か月の経過で徐々に食事量が落ち、体重減少や易疲労感が目立ってから受診するケースがある。慢性化した潰瘍は、患者が痛みに慣れてしまい、受診が遅れることもあるため、問診で“以前より食べられない”“最近疲れやすい”など生活機能の変化を具体化して拾う。
また、痛みの性状は「食後・空腹時で変化する」と教科書的に語られがちだが、実臨床では必ずしも典型的ではない。胃潰瘍の鑑別では胆石症・膵疾患なども念頭に置かれるため、心窩部痛の随伴症状(背部痛、嘔吐、発熱、黄疸の有無)や、服薬歴(NSAIDs、低用量アスピリン、ステロイド等)を丁寧に確認し、消化管以外の危険サインも同時に評価したい。
慢性胃潰瘍 症状 黒色便 吐血 貧血
慢性胃潰瘍で最も見落としてはいけないのは、出血に関連する症状である。黒色便(タール便)、吐血、下血は上部消化管出血を示唆し、緊急度が高い。慢性的な微量出血の場合は、患者は「便が黒い」と自覚しないこともあり、疲労感、ふらつき、動悸などの貧血症状として現れることがある。
問診では「便色」「鉄剤内服の有無」「めまい・失神」「息切れ」をセットで確認し、バイタル(頻脈、起立性変化)も合わせて評価する。吐血がなくても、黒色便がある時点で上部消化管出血の可能性は十分にあり、救急搬送や当日内視鏡の適応判断につながる。メディカルノートでは、内視鏡的処置で止血できるケースが9割超とされ、内視鏡が診断のみならず治療の中心である点が示されている。
参考)慢性胃炎や胃潰瘍などの胃の病気の検査・治療なら、保土ヶ谷あだ…
慢性経過の患者ほど、「一度出血したが、その後落ち着いた」などと自己判断して受診が遅れる。医療者側は、黒色便や吐血といったイベントが“過去形”で語られても、再出血リスク・潰瘍の背景(ピロリ/NSAIDs/抗血栓薬)を想定し、必要なら早期に内視鏡へつなげる導線を作るべきである。
慢性胃潰瘍 症状 胃癌 鑑別 生検
慢性胃潰瘍の診療で常に意識すべきは、潰瘍性病変の背景に胃癌が紛れている可能性である。症状は似通い、体重減少や食欲不振などは胃潰瘍でも胃癌でも起こりうるため、症状のみで鑑別はできない。したがって「潰瘍=良性」と決め打ちせず、内視鏡で形態評価を行い、必要に応じて生検を行うことが実務上の要点になる。
メディカルノートでは、内視鏡検査により胃潰瘍の進行度や傷の深さを最も正確に把握でき、胃がんなど他疾患との鑑別も可能であること、そして内視鏡検査時に潰瘍辺縁部の組織を採取(生検)し、病理検査に出すことが胃がんとの鑑別に重要であることが述べられている。
この「辺縁からの生検」は、患者説明の際にも重要で、侵襲の不安が強い患者には「胃粘膜には知覚神経がないため痛みは基本的にない」といった説明が理解につながりやすい(ただし個別の状態で例外はあるため、施設の説明に合わせる)。
臨床の独自ポイントとしては、慢性胃潰瘍の“治ったように見える時期”こそ油断しないことだ。治療反応が乏しい、再燃を繰り返す、潰瘍の形が非典型といった場合は、病理の再確認やフォロー内視鏡の必要性が上がる。結果として、上部内視鏡を「症状が強いときだけの検査」ではなく、「鑑別と安全確認のための検査」と位置づけて説明すると、医療者・患者双方の認識が揃いやすい。
慢性胃潰瘍 症状 検査 内視鏡 ピロリ菌
慢性胃潰瘍が疑われる場合、検査の軸は上部消化管内視鏡(胃カメラ)である。メディカルノートでは、内視鏡検査が進行度や傷の深さの把握に最も正確で、胃がん等の鑑別にも有用であり、内視鏡の精度向上によりバリウム造影検査は現在ほとんど行われなくなったと説明されている。
さらに内視鏡は、診断だけでなく、出血があれば止血処置、生検、そしてピロリ菌検査につながる検体採取まで同時に行える点が、慢性胃潰瘍診療の“実装”として強い。
原因特定としては「ピロリ菌か、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)か」を最初に分ける発想が重要で、メディカルノートも問診で病歴・薬剤服用歴を丁寧に聞く重要性を強調している。
また、ピロリ菌検査は複数の方法があり、血清抗体(HpIgG)、迅速ウレアーゼ試験、病理組織学的検査、尿検査、便検査、尿素呼気試験などが挙げられている。
あまり知られていない実務上の落とし穴として、「PPI内服がピロリ検査を偽陰性にする」点がある。メディカルノートでは、血液検査以外の多くの検査がPPIの影響で偽陰性となり得るため、PPI服用患者では2週間以上の休薬が必要と記載されている。
慢性胃潰瘍の患者は、すでに市販薬や他院処方で酸分泌抑制薬を内服していることがあるため、初診時に「薬剤名が不明」でも、PPI/PCAB/H2RAらしき薬を飲んでいないかを具体的に確認するだけで、検査計画の精度が上がる。
慢性胃潰瘍 症状 NSAIDs 再発 予防
慢性胃潰瘍の症状が落ち着いても、背景因子が残れば再発する。とくにNSAIDsや低用量アスピリンなど、止めにくい薬剤が関与する症例は“治癒後の運用”が実臨床の勝負所になる。Mindsの「消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)」は、ピロリ除菌、NSAIDs潰瘍、低用量アスピリン(LDA)潰瘍、再発防止などを体系的に扱っており、慢性例の再発予防を考える際の拠り所になる。
現場では、鎮痛薬を複数科からもらっている患者ほどリスクが上がるため、服薬整理(重複NSAIDs、頓用の頻度、OTCの追加)を“症状評価の一部”として扱うとよい。慢性胃潰瘍の患者が訴える「胃の不快感」は、潰瘍そのものの症状だけでなく、薬剤性胃粘膜障害・再燃・出血を含む広いスペクトラムに置くべきである。
独自視点として、慢性胃潰瘍の患者指導は「食事で治す」よりも、「再燃しにくい運用にする」へ寄せると説明が通りやすい。たとえば、再発予防としては(1)ピロリ評価と必要時の除菌、(2)NSAIDs/LDAの必要性再評価、(3)出血サインのセルフチェック(黒色便、めまい、息切れ)をセットで提示する。医療者が“症状が軽いから様子見”に流されず、背景因子の管理に踏み込むことが、慢性化・再燃の連鎖を断つ実装上のポイントとなる。
検査・診断と原因特定(問診、内視鏡、生検、ピロリ検査の考え方)について有用。

診療の全体像(再発防止、NSAIDs/LDA、除菌などの章立て)を確認するのに有用。
消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版) – Min…

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