nsaids一覧と各薬剤の特徴効果

nsaids一覧と分類別特徴

NSAIDs分類と主要薬剤
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抗炎症作用強力型

ボルタレン、アスピリン、インダシンなど炎症抑制効果が高い薬剤群

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プロドラッグ型

ロキソニン、クリノリルなど胃腸障害を軽減した薬剤群

長時間作用型

モービック、レリフェンなど1日1回投与可能な薬剤群

nsaids抗炎症作用の強い薬剤一覧

抗炎症作用の強いNSAIDsは、関節リウマチや炎症性疾患において中心的な役割を果たします。この分類に含まれる主要な薬剤は以下の通りです。

ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)

  • 先発品:ボルタレン錠25mg(薬価7.3円/錠)、ボルタレンSRカプセル37.5mg(薬価7.6円/カプセル)
  • 後発品:ジクロフェナクNa錠25mg「トーワ」(薬価5.9円/錠)など多数のジェネリック医薬品が存在
  • 坐剤:ボルタレンサポ12.5mg(薬価20.9円/個)、25mg(薬価22.8円/個)、50mg(薬価25.7円/個)
  • 外用薬:ジクトルテープ75mg(薬価154.5円/枚)

アスピリン・バファリン

  • 解熱鎮痛作用に加え、低用量での抗血小板作用も有する
  • COX-1阻害作用が強く、アスピリン喘息のリスクが高い薬剤として知られる

インダシン(インドメタシン)

  • 強力な抗炎症作用を持つが、中枢神経系への副作用リスクが他のNSAIDsより高い
  • 特に高齢者では頭痛、めまい、精神症状に注意が必要

ナイキサン(ナプロキセン)

  • 半減期が長く、1日2回投与で効果を維持できる
  • 関節リウマチ患者において長期投与実績が豊富

これらの薬剤は関節リウマチの滑膜炎症を強力に抑制しますが、胃腸障害、腎機能障害、アスピリン喘息などの副作用リスクが高いため、適切な監視下での使用が必要です。

nsaidsプロドラッグタイプ薬剤の特徴

プロドラッグタイプのNSAIDsは、胃腸障害を軽減する目的で開発された薬剤群です。服用後に肝臓で代謝されて初めて活性体となるため、胃粘膜への直接的な刺激を避けることができます。

ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)

  • 日本で最も使用頻度が高いNSAIDsの一つ
  • 胃腸障害がボルタレンより少ないとされ、適応疾患も広範囲
  • 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、軽頚腕症候群、術後疼痛など整形外科領域を幅広くカバー
  • OTC薬としても販売されており、患者の認知度が高い

クリノリル(スリンダク)

  • 腎血流への影響が他のNSAIDsより少ないとされる
  • 腎機能障害患者でも比較的安全に使用できる選択肢の一つ

ザルトプロフェン(ソレトン)

  • 動物実験ではロキソプロフェンより強い鎮痛効果を示す
  • ブラジキニン(BK)受容体拮抗作用を有し、BK誘発性疼痛の抑制効果も期待される
  • 発痛物質に対する多角的なアプローチが可能

プロドラッグタイプは長期投与が必要な慢性疾患患者において第一選択となることが多く、副作用プロファイルの良さから外来診療では重要な位置を占めています。

nsaids COX-2選択的阻害薬の効果

COX-2選択的阻害薬は、炎症時に特異的に発現するCOX-2酵素を選択的に阻害することで、胃腸障害を軽減しつつ抗炎症効果を発揮する薬剤群です。

セレコックス(セレコキシブ)

  • 選択的COX-2阻害薬の代表薬
  • 胃潰瘍のリスクが従来のNSAIDsより低い
  • 長期投与が必要な患者や胃腸障害の既往がある患者に適している
  • NSAIDs不耐症患者でも「ほぼ安全」に分類される

ハイペン(エトドラク)

  • COX-2選択性を有する薬剤として位置づけられる
  • 関節軟骨への影響が少ないとされ、変形性関節症患者に適している

モービック(メロキシカム)

  • 長時間作用型でありながらCOX-2選択性も有する
  • 1日1回投与で24時間以上の効果持続が可能
  • 高齢者では体内蓄積に注意が必要

COX-2選択的阻害薬は副作用プロファイルの改善により、高齢者や長期投与患者において重要な治療選択肢となっています。しかし、心血管系リスクについては議論が続いており、患者の背景因子を十分考慮した選択が求められます。

NSAIDs不耐症皮疹型患者においても、COX-2選択的阻害薬は比較的安全な選択肢とされており、アセトアミノフェン300mg以下と同様に「ほぼ安全」に分類されています。

nsaids外用薬・坐剤の使い分け

NSAIDsの外用薬と坐剤は、経口投与が困難な場合や局所的な効果を期待する場合に重要な選択肢となります。

外用薬(テープ・パップ剤)

  • ジクロフェナクNaテープ15mg「ラクール」(薬価11.5円/枚)
  • ジクロフェナクNaテープ30mg「トーワ」(薬価17.6円/枚)
  • ジクロフェナクNaパップ70mg「日本臓器」(薬価11.5円/枚)
  • ジクロフェナクNaパップ140mg「ラクール」(薬価17.6円/枚)

外用薬の利点。

  • 全身への影響を最小限に抑えながら局所効果を発揮
  • 胃腸障害のリスクが低い
  • 関節や筋肉の局所的な炎症・疼痛に適している
  • 高齢者でも比較的安全に使用可能

坐剤

  • ボルタレン坐剤12.5mg(薬価20.9円/個)
  • ボルタレン坐剤25mg(薬価22.8円/個)
  • ボルタレン坐剤50mg(薬価25.7円/個)
  • フェルデン坐剤(ピロキシカム)

坐剤の特徴。

  • 直腸から吸収されるため、胃に直接作用しない
  • 吸収が早く、急速な鎮痛効果を期待できる
  • 経口薬で胃腸障害を起こす患者にも使用可能
  • 嚥下困難患者や意識障害患者でも投与可能

点眼薬

  • ジクロード点眼液0.1%(薬価42.8円/mL)
  • ジクロフェナクNa点眼液0.1%「日新」(薬価23.4円/mL)
  • 眼科手術後の炎症抑制や眼痛の軽減に使用

外用薬選択時の注意点として、NSAIDs不耐症患者では貼付薬・塗布薬・点眼薬・坐薬も禁忌とされています。一方で、MS冷シップ・温シップは「ほぼ安全」とされており、選択的な使用が可能です。

nsaids薬価と処方選択の考慮点

NSAIDsの処方選択において、薬価は重要な経済的要因の一つです。特に長期投与が必要な慢性疾患患者では、治療継続性の観点から薬剤費負担を考慮する必要があります。

薬価による分類と選択指針

低薬価帯(10円以下/単位)

  • ジクロフェナクNa錠25mg後発品:5.9円/錠
  • ボルタレン錠25mg:7.3円/錠
  • ナボールSRカプセル37.5mg:10円/カプセル

中薬価帯(20-30円/単位)

  • ボルタレンサポ各種:20.9-25.7円/個
  • ジクロフェナクNa点眼液後発品:23.4円/mL

高薬価帯(100円以上/単位)

  • スルピリン注250mg「NP」:97円/管
  • ジクトルテープ75mg:154.5円/枚

処方選択における総合的考慮点

  1. 患者背景因子
  • 年齢:高齢者では腎機能低下や薬物蓄積リスクを考慮
  • 既往歴:胃潰瘍、腎疾患、心血管疾患、喘息の有無
  • 併用薬:抗凝固薬、ACE阻害薬、利尿薬との相互作用
  1. 疾患特性
  • 急性期 vs 慢性期:急性期は強力な抗炎症薬、慢性期は副作用の少ない薬剤
  • 局所 vs 全身:局所炎症には外用薬、全身炎症には経口薬
  • 疼痛パターン:持続痛には長時間作用型、間欠痛には短時間作用型
  1. 薬剤経済学的観点
  • 薬価差:先発品と後発品の価格差は約20-30%
  • 投与回数:1日1回投与薬は服薬アドヒアランス向上に寄与
  • 副作用対策費用:胃薬併用の必要性とコスト
  1. NSAIDs不耐症患者への対応

    安全性階層による選択。

  • 安全:葛根湯、ペンタゾシン、トラマドール、モルヒネ
  • ほぼ安全:アセトアミノフェン300mg以下、COX-2選択的阻害薬
  • やや危険:アセトアミノフェン500mg以上
  • 危険:NSAIDs全般(少量アスピリンも含む)

現代の医療現場では、単純な薬価比較だけでなく、患者のQOL向上、治療継続性、副作用発現率を総合的に評価した薬剤選択が求められています。特に多剤併用が必要な高齢者では、薬剤間相互作用と総医療費の両面から最適化を図ることが重要です。

参考:NSAIDsの詳細な副作用情報と対応指針

PMDA重篤副作用疾患別対応マニュアル

参考:リウマチ専門医によるNSAIDs使用指針

東京のリウマチ専門医によるNSAIDs解説