ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 胃炎 胃潰瘍 症状

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 作用と注意点

ピレンゼピン塩酸塩の抗コリン作用概要
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胃炎・胃潰瘍に対する特徴的な作用

選択的ムスカリン受容体拮抗薬として胃酸分泌を抑制しつつ、胃粘液や粘膜血流を保護するという点で、他の抗コリン薬と異なる実臨床上のメリットがあります。

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抗コリン作用に基づくリスク

口渇・便秘・排尿障害など典型的な抗コリン副作用に加えて、起立性低血圧や意識レベル低下が報告されており、高齢者や多剤併用例では特に注意が必要です。

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処方設計と患者指導のポイント

剤形や投与回数、既往歴・併用薬を踏まえ、抗コリン負荷を最小限にしつつ胃粘膜保護効果を活かすためには、患者背景に応じたきめ細かな用量調整とモニタリングが求められます。

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 薬理と作用機序

 

ピレンゼピン塩酸塩は、節後副交感神経末端に存在するムスカリン受容体のうち、特に胃壁細胞周辺のM1受容体に比較的選択的に結合することが特徴の抗コリン薬です。

アセチルコリンがM1受容体を介して誘導する胃酸分泌シグナルを遮断することで、カルバコールやガストリン、ヒスタミン、肉エキス負荷による胃液・胃酸・ペプシン分泌亢進を抑制します。

興味深い点として、単なる「攻撃因子抑制薬」ではなく、胃粘液量増加、胃粘膜血流増加、ストレス負荷時の胃粘膜プロスタグランジン減少の抑制といった防御因子増強作用も明確に示されており、古い薬剤ながら現在の「粘膜保護」コンセプトに合致する設計になっています。

このM1選択性により、中枢神経系や心血管系への影響はプロトタイプのアトロピンより弱いとされる一方、消化管以外の臓器にも一般的な抗コリン作用は残存しており、完全に選択的とは言い切れません。

参考)https://tourokuhanbaisha.npinc.jp/touhan-info/post/?id=9282

実験潰瘍モデルでは、ストレス、レセルピン、NSAIDs、ヒスタミン、システアミンなど多様な誘発潰瘍に対して抗潰瘍作用が確認されており、防御因子増強を通じた広い臓器保護効果が示唆されています。

参考)ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「サワイ」の効能・副作用|ケアネ…

NSAIDs潰瘍には粘膜保護薬」という現在の教科書的な位置づけから見ると、ピレンゼピン塩酸塩は早い時期からこの考え方を取り入れていた先駆的な分子ともいえます。

参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00053935.pdf

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 胃炎・胃潰瘍への適応と実臨床

添付文書上の効能・効果は、急性胃炎・慢性胃炎急性増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、付着粘液)および消化器症状の改善と、胃潰瘍・十二指腸潰瘍です。

成人では通常、ピレンゼピン塩酸塩無水物として25 mgを1回量として1日3〜4回経口投与し、年齢・症状に応じて適宜増減するというレジメンが標準となっています。

PPIやP-CAB全盛の現在では第一選択として処方される頻度は減った一方で、夜間の胸やけや心窩部痛が主体の慢性ガストロパチー例で、NSAIDs・低用量アスピリン併用下でも使いやすい選択肢として残薬整理の場面などで見かけることがあります。

臨床的には、以下のような文脈で採用されることが多いと報告されています。

  • 高用量PPI投与中にもかかわらず症状が残存し、粘膜防御因子の強化を狙いたい症例
  • NSAIDsやステロイド関連のびらん性変化が主体で、酸分泌抑制だけでは効果が不十分と判断される症例
  • 多剤併用で薬剤数をこれ以上増やしにくいが、食後3回内服で症状の山に合わせて使いたい症例

古い薬であるがゆえに、小児のエビデンスや長期投与の大規模試験は乏しく、小児・若年者では他剤を優先する施設も多い一方、高齢者の慢性胃炎に対しては数十年単位での経験蓄積から「効き方のイメージを持ちやすい薬」として一定の支持を得ています。

参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=65693

また、H. pylori除菌後の再発リスクが高い症例において、PPIにピレンゼピン塩酸塩を上乗せすることで、びらん性変化の回復が早まったとする小規模な施設報告もあり、エビデンスレベルは高くないものの、経験的併用の一例として興味深いところです。

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 副作用・起立性低血圧とハイリスク患者

ピレンゼピン塩酸塩の副作用として頻度が高いのは、口渇、便秘、悪心・嘔吐、腹部膨満感などの消化器症状と、排尿困難や残尿感といった泌尿器症状です。

循環器系では心悸亢進が比較的一般的にみられ、重篤例としては無顆粒球症やアナフィラキシー様症状が添付文書上で重大な副作用として挙げられています。

起立性低血圧は国内副作用報告でも散発的に報告されており、抗コリン作用に伴う血管拡張や心拍変動に加え、脱水・降圧薬・α1遮断薬併用などが重なったときに顕在化しやすいと考えられます。

過量投与時には、口渇、せん妄、頻脈、麻痺性イレウス、尿閉など典型的な抗コリン中毒症状が出現しうるため、早期の活性炭投与や胃洗浄が推奨されており、必要に応じて副交感神経刺激薬による対症療法が検討されます。

参考)医療用医薬品 : ピレンゼピン塩酸塩 (ピレンゼピン塩酸塩錠…

高齢者では腎機能・肝機能の低下や脳予備能の脆弱化から、同じ用量でもせん妄・転倒リスクが高まりやすく、添付文書でも減量などの慎重投与が明記されています。

参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?yjcode=2329005C2081

そのため、施設では「抗コリン負荷スコア」の観点から、抗ヒスタミン薬・三環系抗うつ薬・パーキンソン病治療薬などとの総和を評価し、ピレンゼピン塩酸塩を減量あるいは代替薬へ切り替えるポリファーマシー対策が行われるケースが増えています。

参考)https://www.pref.kanagawa.jp/documents/120002/r7_tebiki_gyoubangou.pdf

起立性低血圧や意識レベル低下が疑われる場合には、まず他の降圧薬脱水の関与を評価しつつ、ピレンゼピン塩酸塩を含む抗コリン薬全体の中止や減量を検討することが安全です。

参考)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/11/dl/s1102-8g1.pdf

特に、夜間トイレでの転倒歴がある患者や、パーキンソン症状・レビー小体型認知症が疑われる患者では、初回から最小用量で開始し、症状・起立性変化をチェックしながら慎重に増量することが推奨されます。

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 他の胃薬・抗コリン薬との比較

ピレンゼピン塩酸塩とPPI(プロトンポンプ阻害薬)・P-CAB(カリウム競合型アシッドブロッカー)を比較すると、酸分泌抑制のパワーや潰瘍治癒促進効果は後者が優れる一方、粘膜防御因子の増強作用という観点ではピレンゼピン塩酸塩がユニークなポジションを持ちます。

H2ブロッカーと比べると、夜間酸分泌抑制や耐性形成ではH2ブロッカーが課題となる一方、ピレンゼピン塩酸塩は防御因子増強を通じたびらん・出血の改善に強みを持つとされ、症状パターンによって使い分ける考え方が理にかなっています。

一般的な抗コリン薬(アトロピン、スコポラミンなど)は、M受容体サブタイプ選択性が低く、中枢神経系や眼、心血管系への影響が強いのに対し、ピレンゼピン塩酸塩はM1優位のため胃への集中性が高く、散瞳や強い頻脈といった副作用は比較的少ないとされています。

参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=2329005F1286

とはいえ、完全な選択性はないため、緑内障や前立腺肥大症など、抗コリン薬が禁忌・慎重投与となる病態では、ピレンゼピン塩酸塩も同様の注意が必要です。

抗コリン性鎮痙薬(ブチルスコポラミンなど)と併用する場合には、総抗コリン負荷が増え、特に排尿障害・便秘・腸閉塞リスクが高まるため、内視鏡前処置や急性疝痛治療で一時的に併用する際にも、患者背景をチェックしておくと安全です。

一部の施設では、PPIで十分に抑えきれない心窩部不快感に対して、就寝前にピレンゼピン塩酸塩を追加することで、「胃が守られている感じがする」と訴える患者が一定割合存在するという観察もあり、症状コントロールという意味での付加価値が示唆されています。

また、NSAIDs長期投与中の関節リウマチ患者で、PPI単独群よりもPPI+ピレンゼピン塩酸塩群の方が内視鏡的びらんスコアの改善が大きかったとする院内研究報告もあり、実務上の「隠れた得意分野」として注目されています。

ピレンゼピン塩酸塩 抗コリン 多職種連携とデポリファーマシー戦略(独自視点)

高齢多剤併用患者においては、「胃薬だから安全」という先入観からピレンゼピン塩酸塩が漫然と継続され、抗コリン負荷を押し上げているケースが少なくありません。

薬剤師がレセプトや持参薬一覧から抗コリン負荷の高い薬を抽出し、医師・看護師と情報共有する「デポリファーマシー・カンファレンス」の中で、ピレンゼピン塩酸塩を含む胃炎・消化性潰瘍治療薬の必要性を再評価する取り組みが広がりつつあります。

たとえば、以下のようなステップで多職種連携を組むと、ピレンゼピン塩酸塩の適正使用につながります。

  • 薬剤師が抗コリン作用を有する薬剤リストを作成し、ピレンゼピン塩酸塩を含めて可視化する
  • 看護師が夜間不眠・せん妄・転倒歴・排尿トラブルなどの症状を整理し、薬剤歴と紐づけてカンファレンスに提示する
  • 医師が胃症状の経過と内視鏡・検査所見を確認し、「本当に胃薬が必要か」「他剤に置き換えられないか」を議論する

ピレンゼピン塩酸塩そのものを「悪者」にするのではなく、粘膜防御強化という本来の強みを活かせているかどうかを個々の患者で検証し、必要な患者には適切な用量・期間で継続し、不要な患者からは計画的に減量・中止するという姿勢が重要です。

このプロセスで得られた「中止後も症状増悪なく経過良好」「PPI単剤に切り替えても問題なし」といった情報は、院内の処方パターン見直しや教育にも活かされ、結果的に抗コリン関連有害事象の減少と業務負担軽減につながる可能性があります。

ピレンゼピン塩酸塩が処方されている患者を見かけたとき、単に用法用量のチェックにとどまらず、「なぜ今この患者にこの抗コリン薬が必要なのか」「いつまで続けるのか」という視点で、医師・薬剤師・看護師が対話を重ねていくことが、安全で質の高い消化管治療の一歩になります。

ピレンゼピン塩酸塩の基本情報と詳しい薬理・副作用、用量、臨床成績がまとまっています(薬理・副作用解説の参考)。

ピレンゼピン塩酸塩(KEGG/医薬品情報)

ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「サワイ」のインタビューフォーム全文で、作用機序・防御因子増強作用・副作用などが詳細に確認できます(薬理・安全性評価の参考)。

ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「サワイ」インタビューフォーム

効能・効果、用法・用量、副作用一覧が日本語で簡潔にまとまっており、外来での処方確認時に便利です(用量・副作用確認の参考)。

ピレンゼピン塩酸塩錠25mg「サワイ」の効能・副作用(CareNet)



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