病院で処方される薬 胃薬一覧 PPI H2ブロッカー

病院で処方される薬 胃薬一覧

この記事でわかること
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胃薬一覧を「薬効群」で整理

PPI、H2ブロッカー、P-CAB、胃粘膜保護薬など、病院処方で遭遇しやすい胃薬を「何に効く薬か」で俯瞰できます。

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使い分けの臨床ロジック

逆流性食道炎、消化性潰瘍、NSAIDs関連、出血リスクなど、処方意図を推測する視点を提示します。

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相互作用・副作用の落とし穴

長期酸分泌抑制のリスク、併用注意、減量・中止時の反跳など、医療従事者が押さえるべき注意点を深掘りします。

病院で処方される薬 胃薬一覧 PPI

 

病院処方の「胃酸を強く抑える中核」がPPI(プロトンポンプ阻害薬)で、食後の胃酸分泌を強力に抑える薬効群です。

代表例としてオメプラゾールランソプラゾールラベプラゾールなどが挙げられ、施設の採用薬一覧でもPPIとして整理されることが多いです。

臨床でのポイントは「適応と投与期間」で、消化性潰瘍では投与期間の目安(胃潰瘍8週、十二指腸潰瘍6週など)が意識されます。

【医療従事者向けメモ】

【意外と見落としやすい話】

酸分泌抑制薬は便利な一方で、漫然投与が長期化しやすい領域です。

参考)胃酸抑制の功罪

上司や他職種に説明するときは「開始理由」「継続理由」「見直し条件(症状消失、NSAIDs終了など)」をカルテ上でセットにすると監査耐性が上がります。

病院で処方される薬 胃薬一覧 H2ブロッカー

H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)は、胃酸分泌を促すH2受容体を阻害して胃酸分泌を抑える薬で、特に夜間の酸分泌抑制が強いと説明されます。

薬効群としてはシメチジン、ファモチジン、ラフチジンなどが知られ、成分ごとの製品一覧も公開されています。

一方で、長期投与で効きが悪くなる(耐性様の現象)が報告される点や、腎排泄型が多い点は「処方継続時の落とし穴」になり得ます。

【現場での使い分けのヒント】

【補足:患者説明で効く一言】

H2ブロッカーは「胃酸を出すスイッチ(H2受容体)をブロックする薬」という説明が理解されやすいとされています。

参考)胃酸の分泌を抑えるお薬(酸分泌抑制薬)の解説

ただし“胃薬は全部同じ”と思われやすいので、「PPIより作用が穏やかな場合がある」「夜間に強い」などのニュアンスを添えると、服薬アドヒアランスの誤解が減ります。

病院で処方される薬 胃薬一覧 P-CAB

P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)は、PPIとは異なる機序で酸分泌を抑える薬効群で、代表例としてボノプラザン(タケキャブ)が挙げられます。

日本のクリニック解説でも、PPI・H2ブロッカーに加えて「最近、最も強力に酸分泌を抑制するP-CAB」が登場したという整理がされています。

ただし、消化性潰瘍領域ではエビデンス蓄積の観点から第一選択の扱いが状況により異なる、という注意喚起もみられます。

【医療従事者向け:処方意図の読み方】

  • GERDではPPIあるいはボノプラザンが第1選択、重症例でボノプラザン推奨という整理が示されています。​
  • 一方で適応の有無(例:NERDへの適応がない点に注意、など)は実臨床のチェックポイントになります。​
  • 「強力=万能」ではないため、病名・重症度・再燃リスクに照らして位置づけると説明が通ります。​

【意外な臨床の使われ方】

除菌治療との関係で、P-CAB(ボノプラザン)を含むレジメンが推奨されるという施設資料もあります。

参考)https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/01/DI_2022_01.pdf

胃薬一覧を作る際は「潰瘍/GERDの治療薬」と「ピロリ関連での位置づけ」を分けて書くと、読み手の混乱が減ります。

病院で処方される薬 胃薬一覧 胃粘膜保護薬

胃粘膜保護薬は、酸を止めるというより「粘膜を守る」方向で病態を支える薬として位置づけられ、製品一覧としてはスクラルファートやアルサルミン等が挙げられます。

消化性潰瘍の薬物治療を「攻撃因子抑制薬(酸分泌抑制など)」と「防御因子増強薬(粘膜を護る)」に二分する整理は、教育的にも有用です。

また、スクラルファートやミソプロストールが「防御因子増強薬」の一部として整理される資料もあり、酸分泌抑制薬だけで完結しない視点を補えます。

【現場の実用ポイント】

  • 「胃薬一覧」を作ると、酸分泌抑制薬ばかりが目立ちますが、粘膜保護薬は併用されやすいカテゴリです。​
  • NSAIDs関連の領域では、PGE1誘導体のミソプロストールに治癒促進作用があること、ただし服用回数が多い点など実装面の課題が論じられています。​
  • つまり“理屈上よい薬”でも、実臨床では服薬負担・下痢などの副作用で継続性が落ちる可能性があり、代替(PPI等)に寄る判断が起こり得ます。​

【患者説明での工夫】

「胃酸を止める薬」と「胃の壁を守る薬」を分けて説明すると、自己中断(症状が軽いから中止)が減りやすい傾向があります。

特に胃粘膜保護薬は“即効感”が乏しい場合もあるため、目的を言語化して渡すことが重要です。

病院で処方される薬 胃薬一覧 独自視点

酸分泌抑制薬は便利ですが、長期にわたり胃酸を抑えることの「功罪」を論じる啓発記事もあり、漫然投与を避ける視点が重要です。

また、ガイドラインや総説では抗血栓薬・NSAIDs使用者におけるPPI治療の位置づけや注意点が整理されており、「胃薬=胃痛の薬」ではなく「消化管出血リスクを下げる戦略の一部」として捉えると判断が安定します。

さらに、H2ブロッカーは夜間に強い一方で長期使用で効きが落ち得るなど、同じ“胃酸を抑える”でも質が違うため、薬剤変更の理由を記録しておくと後日の照会に強くなります。

【意外性のある実務Tips(チェックの観点)】

  • オーダーを見たら、まず「病名(GERD/潰瘍/NSAIDs関連/除菌)」を推測し、薬効群(PPI/H2/P-CAB/粘膜保護薬)と整合するか確認します。​
  • 次に「投与期間(潰瘍なら目安あり)」「併用薬(NSAIDs/抗血栓)」を確認し、継続の必然性を点検します。​
  • 最後に、患者がOTCのH2受容体拮抗剤含有薬などを使っていないかを拾うと、重複や症状評価のブレを減らせます。​

(消化性潰瘍の推奨や薬剤位置づけの根拠)

日本消化器病学会 消化性潰瘍診療ガイドライン 2020(改訂第3版)PDF

参考)https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/syoukasei2020_2.pdf

(NSAIDs・抗血栓薬使用者でのPPI治療の注意点)

抗血栓剤,NSAIDs使用者に対するPPI治療の注意点(J-STAGE)PDF

手術数でわかるいい病院 2024 (週刊朝日ムック)