上眼瞼蜂巣炎 診断 治療 看護 観察ポイント

上眼瞼蜂巣炎 診断 治療

上眼瞼蜂巣炎のポイント早見表
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サインから眼窩蜂巣炎を見逃さない

上眼瞼蜂巣炎と眼窩蜂巣炎の境界サインを整理し、危険徴候を素早くキャッチする視点をまとめます。

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抗菌薬選択と入院適応

成人・小児で異なる起炎菌リスクを踏まえた抗菌薬の考え方と、入院・CTが必要な条件を具体化します。

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看護観察と家族説明の実際

視機能保護を優先しながら、痛み・不安に配慮した観察ポイントと家族への説明の工夫を紹介します。

上眼瞼蜂巣炎 病態と眼窩蜂巣炎との境界

上眼瞼蜂巣炎は、眼瞼皮膚から眼窩隔膜の前方に限局する蜂巣炎で、解剖学的には「前部セルライト」あるいは「前隔膜性蜂巣炎」として位置づけられます。 多くは外傷や虫刺され、表在性皮膚感染(麦粒腫など)から波及し、黄色ブドウ球菌溶連菌など皮膚常在菌が起炎菌となります。

眼窩蜂巣炎は眼窩隔膜の後方、眼窩軟部組織に及ぶ感染であり、副鼻腔炎(特に篩骨洞炎・前頭洞炎)からの波及が主要因で、視機能障害や頭蓋内合併症のリスクが高い点が臨床上の大きな違いです。 上眼瞼蜂巣炎と診断される症例も、鼻副鼻腔炎を背景に持つと眼窩蜂巣炎への進展リスクが上がるため、病歴聴取では「感冒様症状」「副鼻腔炎の既往」「歯性感染」の有無を丁寧に確認する必要があります。

意外に見落とされる点として、上眼瞼蜂巣炎でも眼瞼腫脹のために眼球運動制限や視力低下が「評価できない」ケースがあり、この場合は安全側に倒して眼窩蜂巣炎相当として扱い、早期に画像検査・入院治療を検討すべきとされています。 さらに、小児では副鼻腔の骨隔壁が薄く静脈還流路も豊富なため、成人より短期間で前部蜂巣炎から眼窩蜂巣炎、さらには海綿静脈洞血栓症へと進展しやすいことが報告されており、病勢の時間的推移を重視した評価が求められます。

まぶたや眼窩の蜂巣炎の解説と病態の違いを整理する参考。

眼窩蜂窩織炎について – メディカルノート

上眼瞼蜂巣炎 診断 手順と鑑別のコツ

上眼瞼蜂巣炎の診断では、視診と触診による炎症の局在評価に加え、眼球運動、視力、色覚、瞳孔反応のチェックが、眼窩蜂巣炎や視神経障害を見逃さないための基本セットになります。 典型的な上眼瞼蜂巣炎では、片側優位の眼瞼発赤・腫脹・圧痛を認めますが、眼球突出、眼球運動障害、眼痛の増悪、複視、視力低下を伴わないことが重要な鑑別ポイントです。

鑑別診断としては、麦粒腫・霰粒腫、接触皮膚炎、帯状疱疹、涙嚢炎、蜂窩織炎を伴う眼瞼腫瘍、さらには洞性静脈血栓症・副鼻腔真菌症などが挙げられ、既往歴や発症様式、皮疹の性状、圧痛部位から切り分けていきます。 また、発熱や全身倦怠感を伴う場合は血液検査で炎症反応(白血球数、CRP)を確認し、重症度と全身状態を把握することで入院適応を評価します。

CTやMRIは、眼窩蜂巣炎の疑い、副鼻腔炎や膿瘍形成の評価、頭蓋内合併症の除外に用いられ、特に「痛みの割に所見が軽い」「NSAIDsで一時的に軽快するが再増悪する」といった症例では、画像検査で深部の感染巣を確認することが推奨されています。 近年、救急外来ではベッドサイド超音波で眼球後方の膿瘍や眼窩内の液体貯留をスクリーニングする報告もあり、CTがすぐに撮像できない環境では、USを活用することで早期の転院判断に役立てる動きが広がりつつあります。

眼窩蜂巣炎の診断・治療フローに関する参考。

眼窩蜂窩織炎 – 関西医科大学附属病院

上眼瞼蜂巣炎 治療 抗菌薬選択と入院判断

上眼瞼蜂巣炎の治療は、起炎菌として想定される黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌をカバーする抗菌薬投与が基本であり、軽症例では経口のβ-ラクタム系(第一世代セフェムなど)やペニシリン系が選択されます。 一方で、糖尿病や免疫抑制状態、MRSAリスクのある患者では、初期から広域スペクトルやMRSAカバーの抗菌薬を考慮し、培養結果に応じてデエスカレーションすることが重要です。

入院適応としては、眼窩蜂巣炎が疑われる徴候(眼球突出、視力低下、複視、眼球運動障害、激しい眼痛)に加え、発熱や全身状態不良、5歳未満の小児、経口摂取不良、在宅での観察が難しい社会背景などが挙げられます。 眼科単科ではなく、耳鼻咽喉科や小児科、場合によっては脳神経外科との連携が必要となるため、地域の医療連携体制を踏まえた紹介・転院基準を院内で共有しておくと、安全なトリアージに役立ちます。

また、抗菌薬開始後24〜48時間で自他覚症状の改善が乏しい場合や、炎症が進行する場合には、膿瘍形成や耐性菌感染、真菌感染、血栓性合併症(海綿静脈洞血栓症など)を疑い、画像再検査・抗菌薬の見直し・専門科再評価を躊躇なく行うことが推奨されます。 重症例ではステロイド併用が議論されることもありますが、眼窩蜂巣炎や頭蓋内合併症の存在が否定できない段階での使用はリスクが高く、原則として十分な抗菌薬治療とドレナージの後に慎重に検討すべきとされています。

眼窩蜂巣炎の治療方針(抗菌薬や手術適応)の参考。

眼窩蜂巣炎[私の治療] – 日本医事新報社

上眼瞼蜂巣炎 看護 観察ポイントと記録の工夫

上眼瞼蜂巣炎や眼窩蜂巣炎の患者を看護する際は、視機能保護と全身状態の安定化をゴールに、観察項目を「局所」「視機能」「全身」「治療関連」の4領域に整理すると記録しやすくなります。 局所では、眼瞼の発赤・腫脹・熱感・硬結の範囲や左右差、疼痛の強さを定期的に確認し、写真やスケッチを活用して変化を可視化することで、医師との情報共有がスムーズになります。

視機能の観察として、患者が可能な範囲で「見え方の変化」「二重に見えるか」「暗く感じないか」を聴取し、簡易視力評価や対光反射の有無を確認します。 特に小児や認知症患者では主観的訴えが乏しいため、「テレビを見る距離」「おもちゃへの手の伸ばし方」「歩行時のふらつき」などの行動から視機能の変化を推測する視点が重要です。

全身状態では、発熱、脈拍、血圧、SpO2、頭痛や悪心、意識レベル変化を観察し、海綿静脈洞血栓症や髄膜炎など頭蓋内合併症の早期徴候を見逃さないことが求められます。 治療関連では、抗菌薬点滴のライン確保部位の腫脹・発赤、アレルギー症状(発疹、呼吸困難、血圧低下など)をチェックし、副作用が疑われる場合は投与を中止し速やかに医師へ報告します。

看護記録においては、「〇時:右上眼瞼腫脹範囲が眉毛下縁まで拡大」「〇時:視力自覚的低下なし、二重視訴えず」など、時間軸と具体的な変化をセットで記載することで、病勢の推移が一目で把握でき、後方振り返り時の安全管理にも寄与します。 さらに、家族が不安に感じているポイント(視力予後、入院期間、再発リスクなど)を聴取して記録に残し、医師説明の際に共有することで、チーム全体としてのインフォームド・コンセントを支援できます。

看護学生・看護師向けの観察ポイント解説の参考。

眼窩蜂巣炎―看護学生・実習・ケア・観察・注意点

上眼瞼蜂巣炎 長期フォローと後遺症・倫理的配慮(独自視点)

上眼瞼蜂巣炎や眼窩蜂巣炎は急性期のマネジメントに目が向きがちですが、視力障害や眼瞼変形、眼位異常などの後遺症が残った場合には、長期にわたる生活の質(QOL)低下や就労・就学への影響が問題となります。 特に小児期の重症眼窩蜂巣炎後には弱視、屈折異常、眼瞼運動障害が残ることもあり、退院後も眼科フォローと視機能リハビリテーションの継続が重要です。

長期フォローでは、上眼瞼の瘢痕拘縮や眼瞼下垂、眉毛位置の左右差など微細な形態変化にも注意し、患者が容貌の変化をどの程度ストレスと感じているかを丁寧に聴取する必要があります。 見た目の変化は思春期以降の自己肯定感や社会参加に影響しうるため、形成外科やカウンセリング部門と連携しながら、再建手術のタイミングや学校・職場への情報提供の在り方を検討することが望まれます。

倫理的な観点では、視力に関わる疾患であるがゆえに、患者・家族は「見えなくなるかもしれない」という強い恐怖を抱きやすく、説明の際にはリスクとともに、現時点でできている介入や予後の見通しをバランスよく伝える配慮が必要です。 また、重症心身障害児や高齢認知症患者では意思表出が難しいため、家族の代弁に偏りすぎないよう、身体所見と行動観察に基づく評価を組み合わせ、治療強度や侵襲的処置の妥当性をチームで繰り返し検討することが、実践的な「倫理カンファレンス」として機能します。

こうした長期視点と倫理的配慮をあらかじめチームで共有しておくことで、上眼瞼蜂巣炎を単なる急性感染症としてではなく、「視機能と顔貌に影響しうるライフイベント」として捉えた支援が可能となり、患者・家族が治療過程に主体的に関われる環境づくりにつながります。

視機能障害や眼瞼変形が生活に与える影響評価の参考。

難治性血管腫・血管奇形についての調査研究班 患者実態調査