外眼筋麻痺 症状 と 鑑別
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外眼筋麻痺 症状 の 複視 と 斜視
外眼筋麻痺の入口で最も多い訴えは、左右眼の視線が一致しないことで生じる「両眼性複視」です。
両眼性複視は、外眼筋そのものの障害、または外眼筋へ指令を出す神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)の障害で起こり得ます。
臨床では「どの方向視で複視が増悪するか」を丁寧に聞くと、麻痺筋(=責任筋)と支配神経の推定精度が上がります。
複視の整理は、まず単眼性か両眼性かの切り分けが重要です。
参考)複視 (ふくし)とは
両眼性複視が疑わしければ、片眼遮閉で症状が消えるかを確認し、眼位の異常(麻痺性斜視)を前提に評価を進めます。
参考)麻痺性斜視
一方で、患者が「二重に見える」と表現しても、実際はブレや歪みの訴えであることがあり、問診では“像が2つ”なのか“ぼやけ”なのかの言語化を支援します。
外眼筋麻痺に伴う斜視は、共同性(どの視方向でもずれが一定)ではなく、非共同性(視方向でずれが変わる)を示しやすい点が鑑別に役立ちます。
滑車神経麻痺では、上斜筋の障害により上下複視や回旋性のずれを自覚しうることが知られています。
参考)https://www.yamamotoclinic.jp/dir37/
この「回旋の訴え」は患者が言葉にしにくく、“水平線が傾く”“階段が怖い”などの生活症状として出ることがあるため、具体的に質問を当てにいくと拾いやすくなります。
外眼筋麻痺 症状 の 眼瞼下垂 と 散瞳
外眼筋麻痺の評価では、複視に加えて眼瞼下垂と瞳孔所見が極めて重要です。
動眼神経麻痺では、眼球運動障害に加えて眼瞼下垂や瞳孔散大がみられ得ます。
そのため「眼瞼下垂+散瞳+眼球運動障害」のセットは、動眼神経領域の病変を強く示唆します。
散瞳が前面に出る動眼神経麻痺は、圧迫性病変(代表例:動脈瘤)を疑い、緊急で脳神経外科的評価につなげることが勧められています。kuwana-sc+1
逆に、糖尿病など微小血管障害による動眼神経麻痺では、散瞳よりも複視や眼瞼下垂など外眼筋麻痺症状が目立ちやすい、という対比が臨床で使われます。itsuki-hp+1
この“瞳孔所見の偏り”は絶対規則ではないものの、初期トリアージでは非常に有用なフレームです。inakuri+1
眼瞼下垂そのものも鑑別が広く、動眼神経麻痺では眼瞼挙筋の麻痺により下垂が起こり得ることが説明されています。gankenkasui.takada-ganka+1
また重症筋無力症の眼筋型では、複視だけでなく眼瞼下垂が典型的な症状として挙げられています。
参考)重症筋無力症(MG)の基礎知識と療養のポイント – 神経難病…
このため、眼瞼下垂を見た時点で「神経原性(動眼神経)」「神経筋接合部(MG)」「眼窩・筋(甲状腺眼症など)」の3系統を常に並走で考えます。agmc+2
外眼筋麻痺 症状 の 原因 と 糖尿病 と 甲状腺眼症
外眼筋麻痺の原因は多岐にわたり、現場では“頻度が高いもの”と“見逃すと危険なもの”を同時に意識する必要があります。
糖尿病に関連する眼筋麻痺は、単一の眼球運動神経障害として現れることがある、と一般向け疾患解説でも整理されています。
さらに糖尿病では、微小血管障害による虚血性神経障害の文脈で、散瞳より複視・眼瞼下垂が出やすいとされ、圧迫性病変との鑑別の糸口になります。
甲状腺眼症では、複視や眼の腫れが症状として挙げられています。
甲状腺眼症の病態は、外眼筋の腫脹・肥大が特徴で、筋の作用方向に牽引され反対方向へ動かなくなる、という説明が医師会の資料にも示されています。
参考)https://www.okayama.med.or.jp/activity/kaiho_lineup/files/mamechishiki/1511_mamechishiki.pdf
加えて、外眼筋が肥大し重症化すると視神経を圧迫して視力低下や視野障害を来しうる、という点は見逃したくないポイントです。
参考)甲状腺眼症外来|瞼の腫れ・眼が出てきた|鹿児島市の眼科、宮田…
同じ「複視」でも、糖尿病性では“突発・単神経・痛みが先行することもある”、甲状腺眼症では“眼瞼腫脹・眼球突出・運動制限が背景にある”など、周辺症状から病型推定が可能です。okayama.med+1
臨床では、複視の経過(急性/亜急性/慢性)と、眼窩所見(突出、腫脹、結膜充血)をセットで捉えると、眼窩病変を鑑別に残しやすくなります。jstage.jst+1
また“片眼の奥が痛い+眼球運動障害”は、炎症性病変(海綿静脈洞周辺など)も鑑別に上がるため、頭痛・眼痛の質と時間経過の聴取が重要です。okuboclinic+1
外眼筋麻痺 症状 の 検査 と MRI と 受診
外眼筋麻痺の評価では、責任神経(III/IV/VI)を推定しつつ、緊急度の高い原因(動脈瘤など)を除外する設計が中心になります。
散瞳が前面にある場合、動脈瘤圧迫による動眼神経麻痺は緊急手術の対象になり得るため、迅速な紹介が推奨されています。
このとき、眼科・神経内科・脳神経外科の連携が必要になりやすく、外来の場で「受診の段取り」を組み立てること自体が診療の質に直結します。
検査の実務としては、眼位・眼球運動の9方向評価に加えて、眼瞼下垂の程度、瞳孔径、対光反射といった神経学的所見が最優先です。maruoka+1
その上で画像は、圧迫性病変や海綿静脈洞・眼窩尖端部の炎症などを見に行く文脈でMRIが重要になることがあります。maruoka+1
実際、海綿静脈洞周辺の炎症で外眼筋麻痺と眼窩痛を呈するトロサ・ハント症候群は、海綿静脈洞近傍の病変として整理されています。
参考)トロサ・ハント症候群 (とろさはんとしょうこうぐん)とは
“検査の落とし穴”として、患者が複視を強く訴えない病型がある点は、医療従事者ほど意識したいところです。
参考)ミトコンドリア病
慢性進行性外眼筋麻痺症候群では、眼瞼下垂が高度で複視の訴えがほとんどない、という記載があり、症状の言語化に依存すると見逃しが起こり得ます。
つまり、訴えが薄くても眼球運動の“可動域そのもの”を観察し、進行性の眼瞼下垂や両側性の運動制限があれば、ミトコンドリア病なども鑑別に残す価値があります。pathologycenter+1
参考:動眼神経麻痺で散瞳が強い場合の緊急性(動脈瘤疑い)

参考:糖尿病性では散瞳より複視・眼瞼下垂が目立つことがある(鑑別の考え方)
参考:甲状腺眼症の外眼筋腫脹・牽引で眼球運動が制限される(病態の要点)
https://www.okayama.med.or.jp/activity/kaiho_lineup/files/mamechishiki/1511_mamechishiki.pdf
外眼筋麻痺 症状 の 独自視点 と 日内変動
外眼筋麻痺の“独自視点”として、問診で拾える「日内変動」は、原因推定の精度を上げる実用的な情報です。
Fisher症候群の解説ページの表では、外眼筋麻痺の特徴として日内変動の存在が示され、患者自覚として夕方の症状悪化が挙げられています。
また重症筋無力症は“疲労で悪化しやすい”という臨床像で知られ、眼筋型では複視や眼瞼下垂が症状として整理されています。
ここでのポイントは、日内変動がある=即MG、ではないことです。maruoka+1
一方で、日内変動の情報は「神経筋接合部の要素が混ざっていないか」を早期に疑うトリガーになり、採血・電気生理・氷嚢試験など次の一手を考える土台になります。
患者説明の場面でも、“夕方に悪化する”“休むと少し戻る”といった生活情報を医療者側が構造化して聞き取ることで、診断推論が再現性を持ちます。
さらに意外な点として、慢性進行性外眼筋麻痺では複視の訴えが目立たないことがあるため、「二重に見えるか?」だけの質問では情報が不足します。
具体的には「昔の写真よりまぶたが下がったか」「目線を動かすと疲れるか」「視線移動で頭を先に回していないか」など、複視以外の代償行動を聞くと拾えることがあります。
この“代償行動”の観察は、検査機器がなくてもできる実地のスクリーニングで、外眼筋麻痺を“症状の有無”ではなく“機能低下の存在”として捉え直せます。