脊椎圧迫骨折の症状と診断・治療法

脊椎圧迫骨折の症状

脊椎圧迫骨折で現れる主な症状

体動時の激しい痛み

寝返りや起き上がる瞬間に鋭い痛みが走り、立ち上がると痛みが軽減する特徴的な体動時腰痛

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神経症状の出現

椎体の変形が神経を圧迫すると下肢の痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れる

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脊椎の変形

多発性骨折では背中が丸くなる円背や身長低下といった慢性的な変化が生じる

脊椎圧迫骨折の急性期に見られる痛みの特徴

脊椎圧迫骨折の最も典型的な症状は、寝ている姿勢から起き上がる瞬間に感じる激しい背中や腰の痛みです。この痛みは「体動時腰痛」と呼ばれ、骨折直後の急性期には前かがみや寝返りさえできないほどの強い痛みとなって現れます。

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特徴的なのは、立ち上がってしまえば痛みが比較的軽減し、歩行も可能になる点です。安静にしていると痛みが少ないため、従来は「年のせいだから」とあきらめられていましたが、実は骨折が原因である場合が多いのです。

参考)脊椎圧迫骨折とは


痛みの部位は骨折した椎体の位置によって異なりますが、胸腰移行部(胸椎と腰椎の境目あたり)に多く発生し、背中から腰部にかけて広がることがあります。骨折部位を叩くと痛みが増強する「限局的圧痛」も診断の重要な手がかりとなります。

参考)脊椎圧迫骨折:リハビリや日常生活の注意点について − 足立慶…

脊椎圧迫骨折に伴う神経症状とその影響

圧迫骨折によって椎体が変形すると、脊髄や神経根を圧迫して下肢の痛みやしびれといった神経症状が現れることがあります。特に骨折が重度で椎体が後方に突出した場合や、破裂骨折と呼ばれるタイプでは、神経圧迫のリスクが高まります。

参考)圧迫骨折と腰痛 原因、症状、治療、リハビリ方法


神経症状としては、下肢のしびれ感、筋力低下、感覚異常などが挙げられます。重症例では両下肢麻痺や排尿・排便障害といった深刻な脊髄損傷症状を呈することもあり、このような場合には緊急の手術治療が必要となります。

参考)圧迫骨折


腫瘍の転移による病的骨折の場合は、体動時の痛みに加えて安静時にも痛みが続くという特徴があります。このような安静時痛は悪性腫瘍を疑う重要なサインとなります。

参考)href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.htmlamp;#x300C;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.htmlamp;#x810A;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.htmlamp;#x690E;href=”https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html” target=”_blank”>https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.htmlamp;#x690…

脊椎圧迫骨折による慢性的な脊椎変形

複数の椎体に圧迫骨折が発生すると、背中が丸くなる「円背」という脊椎変形が生じます。円背が進行すると身長が低くなり、見た目にも年を取って見えるようになってしまいます。

参考)腰椎圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)


この脊椎変形は一度生じると元に戻らないため、予防が極めて重要です。変形が進行すると内臓が圧迫され、逆流性食道炎や呼吸機能の低下といった二次的な健康問題を引き起こすこともあります。

参考)脊椎圧迫骨折


偽関節という状態も問題となります。これは骨折部が適切に固まらず、体を動かすたびに骨がズレて重い痛みやしびれが生じる状態です。何年も前の骨折であっても、偽関節になっている場合は慢性的な痛みが続きます。

参考)脊椎圧迫骨折とは

脊椎圧迫骨折の無症状例と見逃しリスク

一方で、骨折をしていても痛みを感じない患者さんも一定数存在します。このような無症状例では発見が遅れ、気づかない間に骨折部分が修復されてしまう場合があります。​
しかし問題なのは、適切に固定をしていないため、曲がった状態や潰れた状態で骨折部分が修復され「偽関節」と呼ばれる変形が生じてしまう点です。このため高齢者で腰痛が長く続く場合や、腰の痛みに加え筋力の衰えがみられる場合には、整形外科の受診を検討することが重要です。​
骨粗鬆症が背景にある場合は、圧迫骨折が起こった直後より強い痛みが起こることもあれば、数日から数週間経過して痛みが強くなることもあります。このような遅発性の痛みも見逃されやすいため注意が必要です。​

脊椎圧迫骨折の診断における画像検査の役割

脊椎圧迫骨折の診断には、複数の画像検査が用いられます。まず行われるのはレントゲン検査ですが、骨折が初期の段階や変形が少ないと診断が難しい場合があります。

参考)腰椎圧迫骨折の治療や検査|健診会 滝野川メディカルクリニック


MRI検査は圧迫骨折の診断に非常に有効で、新鮮骨折は骨髄浮腫を反映してT1強調画像で低信号、脂肪抑制T2強調画像やSTIR画像で高信号を示します。MRIでは骨折が新しいものか古いもの(陳旧性)かの判別が可能で、これは治療方針を決める上で重要な情報となります。

参考)脊椎圧迫骨折の画像診断のポイント

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CT検査では骨折の形状変化や内部の様子がわかりやすく、微細な骨折も検出できます。最新のデュアルエナジーCTでは、骨髄浮腫を色で示すことができ、小さな骨折もクリアに判別できるため、MRI撮影が困難な救急例での代替検査として期待されています。

参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12861

​youtube​
日本整形外科学会の公式情報も参考になります:日本整形外科学会「脊椎椎体骨折」

脊椎圧迫骨折の保存的治療と固定術

脊椎圧迫骨折の治療は、保存的療法が基本となります。骨折直後の急性期には、できるだけ身体を起こさないことが重要で、圧迫骨折を起こした部位に負担をかけることで、さらに背骨が潰れていってしまうためです。

参考)圧迫骨折、動いていいの?リハビリはどうする?


保存療法では、コルセットを着用して患部の安静を保ちます。前屈姿勢を抑制し、床のものを取るときには腰から折るのではなく、膝を曲げ重心を落とすなど、ちょっとした工夫で患部の安静を保つことが可能です。

参考)腰椎圧迫骨折とは?看護師の視点で解説


保存療法で痛みが改善しない場合や、骨折部の変形が高度で不安定な場合には手術が検討されます。椎体形成術は骨折した椎体にセメントを充填して安定化させる方法で、BKP(後弯矯正術)ではバルーンで椎体を押し広げてから骨セメントを注入します。

参考)脊椎圧迫骨折の従来からの治療法| せぼねと健康.com


脊椎固定術は、神経麻痺などの重篤な症状がある場合や他の方法では対応できない場合に、スクリューなどの金属を用いて脊椎を固定する手術です。これらの手術は通常入院が必要で、術後のリハビリも必要となります。

参考)腰椎圧迫骨折の場合、主にどのような治療をしますか? |腰椎圧…

脊椎圧迫骨折のリハビリと看護ケア

脊椎圧迫骨折のリハビリでは、急性期を過ぎたら全身のストレッチを行い、筋力が弱くならないように可能な筋トレを行っていきます。疼痛に対するアプローチも必要で、マッサージなども併用します。​
身体を起こせるようになれば、まず動作の指導が重要です。とにかく重要なのは「身体を前に倒さないこと」「座る時にはゆっくり座ること」です。身体を前に倒すと骨折部位に負担がかかり、勢いよく座ることでも骨に負担がかかるため、これらを避ける必要があります。​
看護の介入では、まず痛みの出る動作や体勢を把握し、医師から行動制限が出されている場合にはしっかりと守ることができているかを確認します。コルセットが本人に合っているかの観察も必要で、サイズが合っていないと皮膚障害が生じるリスクがあります。​
痛みを緩和するケアでは、本人の痛みが増強するタイミングに合わせて鎮痛剤の内服時間を検討するとより良いでしょう。特に高齢者の場合、筋力の維持は欠かせないため、過度な安静にならないよう痛み止めが効いている時間を利用して可能な限り早期のリハビリを介入していくことが重要です。​
一般社団法人日本骨折治療学会の情報も参考になります:日本骨折治療学会「骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折」

脊椎圧迫骨折の再発予防と骨粗鬆症対策

一度骨密度検査や採血を行い、骨粗しょう症がないか調べることは診断だけでなく予防の観点からも重要です。骨粗鬆症に起因して生じるものは、中腰や重いものを持つなど胸腰移行部に力が集中して骨折することがあるため、日常生活での動作にも注意が必要です。

参考)椎体圧迫骨折 腰痛 |福井市 なかふじ整形外科


重要な予防項目として、股関節伸展のストレッチと体幹の筋トレが挙げられます。これらは脊椎への負担を軽減し、姿勢を改善する効果があります。硬い座面の椅子を使っている場合はクッションの使用も推奨されます。​
訪問看護の現場では、座る際に勢いよく座らなくて済むように下肢や体幹の筋トレをしたり、姿勢改善のためのアプローチを行うことが重要です。早期発見と適切な治療、そして継続的な予防管理が脊椎圧迫骨折による生活の質の低下を防ぐ鍵となります。​