リウマチ熱 症状 ゴロ
リウマチ熱の症状 ゴロで覚えるJonesの大症状
リウマチ熱(急性リウマチ熱)は、のどのA群レンサ球菌(溶連菌)感染の後に、異常な免疫反応として発症し得る疾患です。小児の文脈で語られることが多く、咽頭炎が治った後に「いったん無症状の期間」があり、その後に発熱や関節炎などが出てくる流れが診療上の手掛かりになります。発症のベースに「直近の咽頭炎」情報があるかどうかで、鑑別の優先順位が大きく変わります。
PRINTO: 急性リウマチ熱とレンサ球菌感染後反応性関節炎
医療者がまず押さえる「Jonesの大症状」は、暗記としてはゴロが便利です。ネット上の学習用メモとしては「Jonesは森林で大きなブタにひっかけられた」のような形で、心炎・輪状紅斑・舞踏病・多関節炎・皮下結節を一括して想起させるものが知られています。
ただし、ゴロは「診断」ではなく「想起のトリガー」です。実臨床では、患者が提示するのは「発熱+関節痛」など断片であることが多く、そこから病歴・経過・身体所見・検査で組み立て直す必要があります。特に皮膚症状(輪状紅斑、皮下結節)は頻度が低く、一過性で見逃されやすい点が厄介です。PRINTOの解説でも、輪状紅斑や皮下結節は稀で(5%以下)、軽症・一過性で見逃されている可能性があるとされています。
■ゴロで覚える5大症状(臨床での観察ポイントつき)
- 心炎:雑音、頻脈、胸痛、心不全兆候。軽症では無症状のこともある。
- 多関節炎:膝・足関節・肘・肩など大関節が多く、移動性・一過性がヒント。
- 舞踏病:後期症状で、咽頭炎から1〜6か月後に出ることがある。
- 輪状紅斑:体幹・四肢に輪状の紅斑。痒みが目立たないことが多い。
- 皮下結節:無痛性、可動性の小結節で関節周囲に出ることがある。
「ゴロで覚えたはずなのに現場で出てこない」原因は、症状が同時に揃わないからです。そこで、次のH3で、時間軸(いつ何が出るか)をセットで覚えると、問診の抜けが減ります。
リウマチ熱の症状と発熱:咽頭炎後の時間軸
リウマチ熱の症状は、咽頭炎(レンサ球菌咽頭炎・扁桃炎)の直後ではなく、いったん症状が消える「無症状期間」を挟んで出現しやすいと説明されています。PRINTOでは、急性咽頭炎が治った後に2〜3週間は全く症状がなく、その後に発熱とリウマチ熱の症状が出てくる流れが記載されています。ここを押さえておくと、救急外来や発熱外来で「今の咽頭所見が乏しい」ケースでも、診断の糸口が残ります。
発熱は「感染症の続き」と誤認されやすい一方、リウマチ熱では免疫反応としての炎症が主体で、発症時には咽頭の菌がすでに消えていることもある、とPRINTOは述べています。つまり、咽頭培養や迅速抗原が陰性でも、病歴(2〜3週間前の咽頭痛や発熱)や血清学的所見(ASOなど)が診断を支える場面があります。現場では「のど痛があったか」「周囲で溶連菌が流行していたか」「抗菌薬を飲んだか(飲み切ったか)」をテンプレ化すると、拾い上げ率が上がります。
時間軸で特に重要なのが舞踏病です。PRINTOでは、舞踏病はリウマチ熱の後期症状で、通常は咽頭炎の1〜6か月後に発症し、字が下手になった、身だしなみがうまくできない、情緒不安定など、行動面の変化として見過ごされ得ると説明されています。救急・内科で「精神症状っぽい」「発達・学習の問題っぽい」と見えているケースが、実は舞踏病の入口ということがあり得ます。
■問診で使える「時間軸」チェック(例)
- 2〜3週間前:発熱、咽頭痛、扁桃炎、首のリンパ節腫脹はあったか(家族・学校で流行は?)
- 直近:大関節痛が移動するか、NSAIDsで速やかに軽快したか
- 数週間〜数か月:不随意運動、書字困難、集中力低下、情緒不安定が出ていないか
この時間軸は、次の「検査の読み方」につながります。病態的に、すでに菌がいないなら「菌を探す」より「先行感染の証拠」と「炎症」と「臓器障害(特に心臓)」を取りにいく方が合理的です。
リウマチ熱の症状と検査:ASOと心電図
リウマチ熱の診断に「これがあれば確定」という単一検査はなく、注意深い診察と検査所見の組み合わせが重要だとPRINTOは明記しています。特に、先行したレンサ球菌感染の証拠を示すことが必要で、血清学的にはASO(抗ストレプトリシンO)などが利用されます。PRINTOでは、ASOなどの抗体を測定し、2〜4週の間隔で高値化(上昇)を示すことで先行感染の証拠になり得る一方、抗体価の高さは重症度を示すものではない、と注意点も述べられています。
また、臓器評価として心臓の評価が重要です。PRINTOでは、心雑音は心弁膜の炎症に伴う心炎の一般的な兆候として述べられ、心電図で心疾患の程度を確かめ、胸部X線で心拡大の有無を確認し、ドップラー心エコーが心炎の診断に重要とされています。ここで臨床の落とし穴は、「関節痛は派手だが、心炎は自覚症状が乏しい」ことです。関節炎がNSAIDsで速く軽くなると、患者も医療者も「治った」と思いやすく、心評価が抜けてしまう危険があります。
■医療者向け:検査オーダーの考え方(例)
- 炎症:CRP、赤沈(PRINTOでも炎症反応の存在に言及)
- 先行感染:ASO(必要なら経時的に)、病歴の裏取り
- 心評価:心電図(伝導障害の確認)、心エコー(弁逆流・心膜液など)、胸部X線
- 鑑別:必要に応じてウイルス、他の関節炎(若年性特発性関節炎など)を検討(PRINTOに鑑別の列挙あり)
ここで「あまり知られていない実務的な盲点」を1つ挙げると、ASO高値“だけ”で診断に飛びつくリスクです。PRINTOは、無症状で単にASOが高いだけではリウマチ熱と診断できない、と明確に書いています。現場では「ASOが高い=リウマチ熱」ではなく、「症候+経過+先行感染の証拠」の三点セットで判断する、という教育が重要です。
リウマチ熱の症状と鑑別:感染後反応性関節炎
リウマチ熱に似た臨床像として、同じくレンサ球菌咽頭炎後に起きる「レンサ球菌感染後反応性関節炎(post-streptococcal reactive arthritis)」が挙げられます。PRINTOでは、この病気は関節炎が長く続く一方で心炎が起きる危険性は非常に低いと考えられている、と説明されています。似ているからこそ、ここを外すと「不要な長期フォロー」や逆に「必要な心フォローの不足」に直結します。
鑑別のキモは、関節炎のパターンと持続です。PRINTOでは、リウマチ熱の関節炎は大関節に多く、1つの関節から別の関節に移動する(移動性・一過性)とされ、手首や首は稀とされています。一方でレンサ球菌感染後反応性関節炎では、大関節に加えて小関節や第2頚椎にも炎症がみられ、関節炎の持続が2か月以上と長い、と記載されています。つまり「移動性で短い」か「固定的で長い」かは、かなり実用的な分岐点です。
診断の枠組みとしても差があります。PRINTOでは、感染後反応性関節炎は先行感染の証拠(ASOなど)がありつつ、急性リウマチ熱の症状・徴候がJones基準に適合しないことで診断される、と説明されています。言い換えると、まずリウマチ熱を疑って大症状を拾い、足りなければ感染後反応性関節炎の枠を考える、という順番が安全です。
■鑑別で役立つポイント
- リウマチ熱:大関節中心、移動性・一過性、心炎を合併し得る
- 感染後反応性関節炎:関節炎が長い(2か月以上)、小関節や頚椎もあり得る、心炎は非常に低リスクとされる
ただし「心炎が低リスク」でも“ゼロ”として扱うのは危険です。PRINTOでは、循環器専門医による観察や心電図検査など注意深い観察を勧める旨が書かれており、実務上は「最初の評価で心臓をきちんと見て、一定期間フォローする」設計が妥当です。
リウマチ熱の症状の独自視点:服薬継続のゴロ設計
ここからは検索上位の“教科書的まとめ”より一歩踏み込み、現場で転帰差が出やすい「二次予防の継続」を、患者教育の技術として扱います。PRINTOでは、リウマチ熱はレンサ球菌に再感染するとさらに悪化し、初発から3年以内は再発頻度が高いとされています。さらに、診断確定後は再発予防のために長期間の抗菌薬による予防投与が必要、と明記されています。
問題は、二次予防は「症状が消えた後」からが本番で、患者側の体感メリットが薄いことです。特に青年期は、通院・注射・内服の継続が途切れやすいという、医療安全としての現実があります。PRINTOでも、青年期の患者にプライマリーケアと再発予防の教育が非常に大切、と述べられています。
そこで提案したいのが、「症状のゴロ」だけで終わらせず、「二次予防のゴロ」をチームで統一することです。例えば、外来指導で次の3点をセットで“短いフレーズ”として渡すと、説明のばらつきが減ります(ここでは一般名の暗記より、メッセージの一貫性を優先します)。
また、患者が納得しやすい説明として、PRINTOの記載を踏まえ「心炎があった場合は、弁膜症が残らなくても一定期間は二次予防を続ける」「弁膜症が残る場合はさらに長期になる」といった“期間の理由づけ”が重要です。PRINTOでは、心炎があった場合は弁膜症を遺さなくても10年間あるいは21歳まで、弁膜症を遺していれば10年間あるいは40歳まで、弁置換術後はその後も予防投与が勧告される、と具体的な方針が示されています。患者説明では「年単位」になることを最初に共有し、途中で驚かせないのがコツです。
■現場で使える絵文字つき説明(例)
- 🫀 心臓を守る:再発を繰り返すほど心臓に後遺症が残りやすい
- 💊 予防は長距離:症状がなくても続ける意味がある
- 📅 予定に入れる:投与日を固定し、家族・学校とも共有する
加えて、細菌性心内膜炎の予防という観点も患者教育に組み込むと、歯科受診の行動変容につながります。PRINTOでは、心弁膜症を遺している患者は歯科治療や手術の際に細菌性心内膜炎を予防するため抗菌薬が推奨される、と述べられています。「歯医者に行くときは申告する」を、退院時・外来初回で必ず伝える運用が安全です。
有用:小児〜若年を中心に、症状の出方(関節炎・心炎・舞踏病・皮疹)と検査、二次予防期間まで網羅(家族説明に使える)
有用:Jonesの5大症状をゴロで素早く想起(教育・学生指導の導入に使える)
https://medi.atsuhiro-me.net/entry/2015/02/09/005356

リウマチ熱 (1969年) (新臨床医学文庫)