リセドロン酸ナトリウム水和物添付文書の用法用量と副作用

リセドロン酸ナトリウム水和物添付文書の用法用量と副作用

食後に服用すると吸収率が90%以上低下します

この記事の3つのポイント
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用法用量の厳密性

起床時に約180mLの水とともに服用し、30分間は横にならず飲食を避ける必要があります

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重大な副作用

食道潰瘍や顎骨壊死など重篤な副作用のリスクがあり、服用方法の遵守が不可欠です

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長期使用の注意点

4年以上の使用で顎骨壊死リスクが上昇し、非定型骨折にも注意が必要になります

リセドロン酸ナトリウム水和物の効能効果と添付文書の基本情報

リセドロン酸ナトリウム水和物は、骨粗鬆症および骨ページェット病の治療に用いられるビスホスホネート系薬剤です。添付文書には、この薬剤の基本的な特性から使用上の注意まで、医療従事者が把握すべき重要な情報が記載されています。

この薬剤の主な効能は、破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨密度と骨強度を高めることです。骨粗鬆症患者においては、骨折リスクを軽減する効果が臨床試験で実証されており、椎体骨折の発生頻度を約12.3%に抑えることが確認されています。有効成分であるリセドロン酸ナトリウムは、白色の結晶性粉末で水にやや溶けやすい性質を持ちます。

骨ページェット病に対しては、異常に亢進した骨代謝回転を正常化する作用があり、血清アルカリホスファターゼ値を85%以上低下させる効果が報告されています。この効果は投与開始後24週間で確認され、48週後も持続することが臨床データで示されています。

適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準に基づいて骨粗鬆症または骨ページェット病と確定診断された患者を対象とすることが添付文書で明記されています。つまり診断が確定している患者に限定されるということですね。

KEGGの医療用医薬品データベースには、リセドロン酸ナトリウムの詳細な薬剤情報と臨床試験データが掲載されており、添付文書の内容を確認する際の参考資料として活用できます。

リセドロン酸ナトリウム水和物の用法用量と服用タイミング

リセドロン酸ナトリウム水和物の用法用量は、適応症によって異なる設定がされています。骨粗鬆症の場合、通常成人にはリセドロン酸ナトリウムとして17.5mgを週1回、起床時に十分量(約180mL)の水とともに経口投与します。重要なのは、服用後少なくとも30分は横にならず、水以外の飲食および他の薬剤の経口摂取も避けなければならないという点です。

骨ページェット病に対しては、17.5mgを1日1回、起床時に約180mLの水とともに8週間連日経口投与する用法が定められています。服用後の注意事項は骨粗鬆症の場合と同様で、30分間は横にならず水以外の飲食を避ける必要があります。

服用タイミングの厳守が極めて重要なのは、食事や飲料による影響を受けやすい薬剤特性によるものです。健康成人男性を対象とした試験では、リセドロン酸ナトリウム5mgを単回投与した際、食後30分投与では絶食時投与と比較してCmaxが約93%、AUCが約94%も低下することが確認されています。食前30分投与でも約26%から63%の低下が見られることから、起床後最初の飲食前に服用することが不可欠です。

水以外の飲料、特にカルシウムやマグネシウム含量の高いミネラルウォーター、お茶、コーヒー、ジュース、牛乳などで服用すると、薬剤の吸収が著しく妨げられます。In vitro試験では、ジュース、コーヒー、紅茶に溶解した場合、それぞれ38~45%、20%、68%の割合で不溶性錯体を形成することが確認されています。

したがって水道水での服用が原則です。

週1回服用の場合は、同一曜日に服用する習慣を作ることが推奨されています。服用を忘れた場合は翌日に1錠服用し、その後はあらかじめ定めた曜日に服用を再開しますが、1日に2錠服用してはいけません。この点は患者指導において特に強調すべき内容です。

東和薬品の服用方法ガイドでは、患者向けに分かりやすく服用方法が解説されており、服薬指導の際の参考資料として活用できます。

リセドロン酸添付文書に記載された禁忌事項と慎重投与

リセドロン酸ナトリウム水和物の添付文書には、投与してはならない患者条件が明確に記載されています。第一に、食道狭窄またはアカラシア(食道弛緩不能症)など食道通過を遅延させる障害のある患者には投与禁忌です。本剤の食道通過が遅延することで、食道局所における副作用発現の危険性が著しく高くなるためです。

本剤の成分または他のビスホスホネート系薬剤に対して過敏症の既往歴がある患者も投与禁忌に該当します。低カルシウム血症の患者では、血清カルシウム値がさらに低下し症状が悪化するおそれがあるため、こちらも禁忌となっています。

服用時に立位あるいは坐位を30分以上保てない患者も禁忌対象です。これは食道炎や食道潰瘍の発現リスクと直結しており、横になることで薬剤が食道に停滞し粘膜障害を引き起こす可能性があるためです。妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与も禁忌とされており、動物実験で低カルシウム血症による分娩障害や胎児の骨化遅延が報告されています。

高度な腎機能障害を有する患者、具体的にはクレアチニンクリアランス値が約30mL/分未満の患者も投与禁忌です。クレアチニンクリアランスの低下に伴い腎クリアランスが低下し、約30mL/分未満では70%以上も減少すると推定されるため、排泄遅延による蓄積リスクがあります。

慎重投与が必要な患者群として、嚥下困難がある患者や食道、胃、十二指腸の潰瘍または食道炎などの上部消化管障害がある患者が挙げられます。中等度または軽度の腎機能障害患者でも排泄が遅延する可能性があるため、慎重な観察が求められます。

国内の医療情報データベースを用いた疫学調査では、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/分/1.73m²未満)において、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したことが報告されています。このデータが禁忌事項の根拠の一つとなっています。

妊娠する可能性のある女性への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行うべきとされています。ビスホスホネート系薬剤は骨基質に取り込まれた後に全身循環へ徐々に放出されるため、投与中止から妊娠までの期間と危険性との関連を考慮する必要があります。

リセドロン酸ナトリウム水和物の副作用と重大な有害事象

リセドロン酸ナトリウム水和物には、添付文書で詳細に記載された副作用があります。国内臨床試験では、週1回17.5mg投与群で副作用発現頻度が24.9%(62/249例)と報告されており、主な副作用は胃不快感6%(15/249例)、上腹部痛1.6%(4/249例)でした。

重大な副作用として第一に挙げられるのが上部消化管障害です。食道穿孔、食道狭窄、食道潰瘍、胃潰瘍、食道炎、十二指腸潰瘍などが報告されており、発現した場合には投与を中止し適切な処置が必要です。これらは服用方法が不適切な場合に発現リスクが高まるため、立位または坐位で十分量の水とともに服用し、服用後30分は横にならないという指導が極めて重要です。

肝機能障害および黄疸も重大な副作用に分類されています。AST、ALT、γ-GTPの著しい上昇を伴う肝機能障害が出現することがあるため、定期的な肝機能検査が推奨されます。異常が認められた場合には速やかに投与を中止する判断が求められます。

ビスホスホネート系薬剤特有の重大な副作用として、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があります。報告された症例の多くが抜歯などの顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現しており、リスク因子には悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往などが含まれます。4年以上の服用で顎骨壊死のリスクが上昇し始めるという報告もあり、長期投与患者への注意が必要です。

外耳道骨壊死もまれながら報告されている副作用です。耳の感染や外傷に関連して発現した症例も認められるため、耳痛、耳漏、外耳炎などの症状が続く場合には耳鼻咽喉科受診を指導することが重要です。

ビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性または軽微な外力による大腿骨転子下、近位大腿骨骨幹部、近位尺骨骨幹部などの非定型骨折が発現したとの報告があります。完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部、鼠径部、前腕部などにおいて前駆痛が認められることもあるため、このような症状が出現した場合にはX線検査を実施し適切な処置を行う必要があります。両側性骨折の可能性もあることから、片側で非定型骨折が起きた場合には反対側の確認も必須です。

その他の副作用として、5%以上の頻度で胃不快感が、1~5%未満の頻度で便秘や上腹部痛が報告されています。1%未満では悪心、胃炎、下痢、腹部膨満感、消化不良、味覚異常、口内炎、そう痒症、発疹、紅斑、めまい、頭痛などが見られます。筋・骨格痛(関節痛、背部痛、骨痛、筋痛、頸部痛など)や血中カルシウム減少も1%未満で報告されており、これらが出現した場合には症状の程度を評価し継続可否を判断します。

日本リウマチ財団の顎骨壊死に関する情報では、ビスホスホネート系薬剤使用中の顎骨壊死リスクと予防策について詳しく解説されており、患者への説明資料として有用です。

リセドロン酸添付文書における相互作用と併用注意薬

リセドロン酸ナトリウム水和物の添付文書には、併用注意すべき薬剤や飲食物が明記されています。併用禁忌に該当する薬剤はありませんが、併用注意として水以外の飲料、食物、特に牛乳や乳製品などの高カルシウム含有飲食物が挙げられています。

多価陽イオン含有製剤との併用には特に注意が必要です。具体的には、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどを含有する制酸剤やミネラル入りビタミン剤です。これらの物質とリセドロン酸が錯体を形成することで、本剤の吸収が著しく妨げられます。臨床症状としては、期待される治療効果が得られない可能性があります。

添付文書では、起床後最初の飲食前に本剤を服用し、かつ服用後少なくとも30分は左記の飲食物や薬剤を摂取・服用しないよう患者を指導することが明記されています。つまり服用タイミングの調整が相互作用回避の鍵ということですね。

カルシウム補給剤およびカルシウム、アルミニウム、マグネシウム含有製剤については、骨粗鬆症やビタミンD欠乏の患者では必要となることがありますが、本剤の吸収を妨げないよう服用時刻を変えて投与する必要があります。一般的には、リセドロン酸服用の30分以上後、または別の時間帯に服用するよう指導します。

硬度300以上の硬水系ミネラルウォーターは、カルシウム濃度が高いため服用時の水として避けるべきです。水道水と同程度の硬度のミネラルウォーターであれば影響はないと考えられますが、確実性を期すため水道水での服用を推奨するのが安全です。

制酸剤を常用している患者では、服用スケジュールの調整が特に重要です。胃酸を中和する目的で使用される制酸剤の多くは、アルミニウムやマグネシウムを含有しているため、リセドロン酸の吸収を大きく低下させる可能性があります。朝食後や就寝前に制酸剤を服用している場合、リセドロン酸は起床時に服用し、制酸剤は少なくとも30分以上後に服用するよう指導します。

相互作用による吸収低下は、単に効果が減弱するだけでなく、骨折予防という治療目標の達成を妨げることにつながります。服用後30分間は水以外の飲食を避けるという指導は、食物や飲料との相互作用を回避し、薬剤の最大限の効果を引き出すために設定された科学的根拠に基づく方法です。

患者が複数の医療機関を受診している場合や、サプリメントを自己判断で服用している場合には、相互作用のリスクが高まります。服薬指導の際には、他に服用している薬剤やサプリメントについて詳しく聴取し、必要に応じて服用タイミングの調整を行うことが医療従事者の重要な役割です。

福岡県薬剤師会の質疑応答では、リセドロン酸と他剤との相互作用や服用時間の調整について実践的な情報が提供されています。