ポサコナゾール 添付文書
ポサコナゾール 添付文書の用法及び用量の要点(初日300mg 1日2回など)
ポサコナゾールの代表的なレジメンは、成人で「初日は1回300mgを1日2回、2日目以降は300mgを1日1回」というロード後に維持へ移る設計です(製剤により経口/静注の違いはありますが、骨格は同じ考え方で記載されています)。
静注では「中心静脈ラインから約90分かけて緩徐に点滴静注」とされ、急速静注は行わない点が実務上重要です。
また、錠剤と静注液は医師判断で切り替え可能とされつつ、静注の添加剤(SBECD)により腎機能障害患者で蓄積→腎機能悪化のおそれがあるため、静注は最小限の期間にして経口投与可能なら錠剤を選択する、という「用法及び用量に関連する注意」が核になります。
実務でのチェックリスト(最低限)。
- 目的が「予防」か「治療」か(適応で投与期間の設計が変わる)。
- 投与経路(錠剤/静注)と、切り替えのタイミング。
- 腎機能(特にeGFR<50で静注は慎重、可能なら錠剤へ)。
ポサコナゾール 添付文書の禁忌と併用禁忌(CYP3A4阻害・QT延長)
添付文書でまず目に入るのが「併用禁忌の多さ」です。ポサコナゾールはCYP3A4を強く阻害し、CYP3A4基質薬の血中濃度を上げ、重篤な有害事象につながり得ると整理されています。
代表例として、QT延長や心室頻拍(Torsade de pointesを含む)を起こし得る薬剤(例:ピモジド、キニジン)との併用禁忌が明記され、心電図イベントが薬剤性に増幅される構図が読み取れます。
また、横紋筋融解症リスクの観点からスタチン(シンバスタチン、アトルバスタチン)などが禁忌として挙がり、相互作用が「感染症治療」だけでなく循環器・脂質異常症領域まで波及するのが特徴です。
禁忌確認の実務ポイント。
- 入院時持参薬・臨時処方(睡眠薬や抗精神病薬)に禁忌が紛れやすい(例:スボレキサント、トリアゾラム等の記載)。
- 抗凝固薬の一部(例:リバーロキサバン)は禁忌に該当し得るため、DOAC全体を「要確認薬」として扱う。
- 免疫抑制や化学療法が絡む患者では併用薬が多く、禁忌・注意の棚卸しをルーチン化する。
ポサコナゾール 添付文書の相互作用(タクロリムス・シロリムス・ワルファリン等)
ポサコナゾールは「UGT1A4を介して代謝」「P-gpの基質」であり、さらに「CYP3A4を強く阻害」「腸管でP-gpを阻害する可能性」という、相互作用が起きやすいプロフィールです。
臨床薬物相互作用試験の情報として、タクロリムスのAUCが約4.58倍、シロリムスのAUCが約8.88倍になるなど、免疫抑制剤は“用量調整+血中濃度モニタリング前提”で運用すべき強い影響が具体的に示されています。
ワルファリンについても「作用増強、著しいINR上昇」のおそれがあり、併用するならPT/INR測定回数を増やすなど慎重投与が求められます。
相互作用の「意外な落とし穴」。
- ポサコナゾール“が下がる”方向の相互作用も重要で、リファブチンやフェニトインなど誘導薬でポサコナゾール曝露が約半分程度まで低下し得ることが示され、予防失敗やブレイクスルー感染のリスクになる。
- ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤では神経毒性等の重篤事象を起こし得るため、「他に選択肢がない場合を除き併用回避」と強く注意喚起されている。
- ジゴキシンはP-gp阻害を介して濃度上昇のおそれがあり、開始時/中止時のモニタリングが推奨される。
現場で使える運用例(簡易)。
- 免疫抑制剤:開始時に“先に”減量案を立て、導入後はトラフを短い間隔で追う。
- ワルファリン:PT/INRの検査頻度を増やす、出血兆候の問診・観察を強化する。
- 誘導薬併用:原則回避、やむを得ない場合は真菌症発症の有無をより注意深くモニタリングする。
ポサコナゾール 添付文書の副作用と重要な基本的注意(肝機能検査・電解質・心電図)
添付文書の「重要な基本的注意」では、肝機能障害が起こり得るため定期的な肝機能検査を行うこと、そしてQT延長やTdPがあり得るため投与前/投与中に心電図と電解質(K、Mg、Caなど)を定期的に確認し、必要に応じて補正することが明記されています。
重大な副作用として、肝機能障害(肝不全や肝炎を含む)、QT延長、心室頻拍(TdPを含む)、低カリウム血症、急性腎障害などが挙げられており、検査設計がそのまま安全管理の要になります。
つまり、ポサコナゾールでは「症状が出たら対応」ではなく、検査値(肝機能・電解質)と心電図を“先回りで整える”運用が最初から組み込まれている薬剤、と理解すると現場で迷いにくくなります。
臨床でありがちな見落とし(薬剤師・医師向けメモ)。
- 抗がん剤、免疫抑制剤、抗菌薬など“肝障害を起こし得る薬”が多剤併用され、肝機能悪化の原因切り分けが難しい(ポサコナゾール単独の責任にしにくい)。
- 下痢や食事摂取低下で電解質が崩れ、QTリスクが上がる「患者側の要因」が重なりやすい。
- 低カリウム血症は重大な副作用としても記載され、QT管理とセットで追う必要がある。
ポサコナゾール 添付文書の独自視点:血中濃度と毒性の関係をどう読むか(論文)
添付文書には薬物動態や相互作用の記載がありますが、「血中濃度が高いほど必ず毒性が増えるのか?」は臨床でしばしば議論になります。
がん患者を対象に、遅放性錠(delayed-release tablet)のポサコナゾール血中濃度と肝機能検査値異常、QTc延長の関連を評価した多施設後ろ向き研究では、ポサコナゾール濃度とAST/ALT上昇やQTc延長に有意な関連を同定できなかった一方、併用される肝毒性薬剤の数が一部の肝機能指標(TBILIなど)変化に関係する可能性が示されています。
この結果は「TDMの価値がない」という意味ではなく、むしろ“濃度だけで安全性を単純予測しにくい=併用薬と患者背景(電解質、肝機能、心電図)を同時に見る必要がある”という、添付文書の重要な基本的注意の読み方を補強します。
論文リンク(引用)。
権威性のある日本語の参考リンク(相互作用・禁忌の確認に有用)。
添付文書(禁忌、相互作用、重要な基本的注意、用法及び用量)の一次情報。