高齢者の医療の確保に関する法律と訪問看護療養費
高齢者の医療の確保に関する法律 訪問看護療養費の位置づけ
医療従事者向けに最初に整理したいのは、「訪問看護療養費」が“どの制度の、どの給付として”扱われるかです。高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者医療給付の種類として「療養の給付…療養費、訪問看護療養費…」が明示されており、訪問看護療養費は後期高齢者医療制度の給付の一部として位置づけられています。根拠がここにあるため、現場で説明するときは「後期高齢者医療の給付として、広域連合が支給(または現物給付相当として支払)」という言い方にすると誤解が減ります。
また、同法の体系上、訪問看護療養費は「第二目 訪問看護療養費の支給(第七十八条―第八十一条)」として独立しており、入院や外来の診療報酬とは別立てで整理されています。つまり、診療所や病院が提供する訪問診療・往診の報酬体系と、“訪問看護ステーション等が行う指定訪問看護”の費用体系が分かれている、という理解が安全です。医師やMSWから「訪問看護って診療報酬だよね?」と聞かれたときは、この“別立て”を示すだけで会話がスムーズになります。
参考)・高齢者の医療の確保に関する法律(◆昭和57年08月17日法…
意外と盲点になりやすいのが、「法律(根拠)」と「算定方法(告示)」がセットで運用される点です。法律は“支給する”枠組みを示し、具体的な金額・区分・加算要件は厚生労働省告示の算定方法で定まります。したがって、監査・返戻・指導の多くは“告示の要件逸脱”で起きます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf
高齢者の医療の確保に関する法律 訪問看護療養費の算定方法と基本療養費
算定の全体像は、告示で「指定訪問看護の費用の額は、区分番号01(または01-2)で算定される額に、区分番号02から06までを加えた額」とされており、いわゆる“積み上げ構造”です。現場では、まず「基本療養費(01)」を確定し、次に「管理療養費(02)」や「情報提供」「ターミナルケア」「ベースアップ評価料」等の該当をチェックする順番が事故が少ないです。
訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、保健師・助産師・看護師による場合、週3日目まで5,550円、週4日目以降6,550円と明確に分かれています。さらに准看護師、PT/OT/ST、専門研修を受けた看護師(緩和ケア・褥瘡ケア等)で金額が異なり、専門研修の看護師は12,850円という高い所定額が設定されています。ここは「状態に応じた専門性の評価」という制度設計意図が読み取れる部分で、病院側との連携(褥瘡管理、在宅がん疼痛など)を説明する材料になります。
もう一つの落とし穴が「同一建物居住者(同一日に同一建物で複数名)」です。告示では訪問看護基本療養費(Ⅱ)として、同一日に3人以上だと所定額が大きく下がる区分があり、例えば看護師の場合、週3日目まで2,780円(同一日に3人以上)という設定があります。住宅型施設やサ高住での訪問が増えると、この区分の誤りが請求リスクになりやすいので、スケジュール段階で「同日・同一建物・人数」を記録に落とす運用が重要です。
高齢者の医療の確保に関する法律 訪問看護療養費の支給と自己負担
患者・家族説明で最も頻出するのが自己負担です。後期高齢者医療広域連合の案内では、訪問看護を受けた場合、利用者は1割・2割・3割の自己負担分のみを支払い、残りを広域連合が支払う旨が説明されています。ここは「窓口で全額立替ではない」ことを明確に言うと安心感につながります。
加えて、案内ページでは「訪問看護にかかった交通費は対象にならない」と明記されていることが多く、請求トラブルの火種になりがちです。訪問看護ステーションの料金表で交通費を設定している場合、これは“保険給付ではない扱い”として別建てで説明する必要があります(領収書の内訳が混在するとクレームに直結します)。
また、制度上は高額療養費の対象になる可能性がある旨も広域連合側の説明に含まれています。月の医療費全体の中で訪問看護分も合算され得るため、頻回訪問やターミナル期などで自己負担が膨らむケースでは「限度額適用・高額療養費の導線」を示すと、支払い不安によるサービス中断を防ぎやすいです。
高齢者の医療の確保に関する法律 訪問看護療養費と介護保険法の関係
実務で一番混乱しやすいのが「医療保険の訪問看護」と「介護保険の訪問看護」の切替です。算定告示の通則で、要介護被保険者等(介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等)については、原則として医療保険の指定訪問看護として算定しない、と明記されています。つまり“原則は介護保険優先”が制度として埋め込まれており、例外の整理が重要になります。
自治体の広域連合サイトでも「要介護状態などにあり、介護保険からも給付を受けられる場合は、原則として介護保険が優先」と説明されています。患者説明では「75歳以上だから全部後期高齢者医療(医療保険)で訪問看護が出る」という誤解が頻出するため、“年齢ではなく、介護保険の給付可能性で優先が決まる”と伝えると伝達ミスが減ります。
参考)訪問看護療養費|給付について|医療制度|和歌山県後期高齢者医…
一方で、医療保険で算定できる場面(急性増悪などで頻回訪問が必要なとき等)を理解していないと、現場は「介護保険で足りない」→「でも医療保険にできない」→「サービス調整不能」という詰み方をします。告示には特別訪問看護指示書に基づき、指示日から14日を限度として週回数制限を超える算定が可能になる取扱いが示されており、急性期の在宅支援で制度が用意した“逃げ道”になっています。ケアマネ・主治医・訪問看護の三者で、いつ誰が何を出すか(指示書の扱い)を決めておくことが重要です。
高齢者の医療の確保に関する法律 訪問看護療養費の独自視点:同一建物居住者とデータ連携
検索上位の解説では「自己負担」「医療保険と介護保険の違い」が中心になりがちですが、現場運用の質を左右するのは、実は“同一建物居住者”と“情報連携”です。前者は前述のとおり所定額に直結し、施設内で同日に複数名へ訪問が集中すると、算定区分の誤りが起きやすくなります。そこで、スケジューラや電子カルテ側で「同一建物」「同日」「人数」を自動フラグ化し、請求前にアラートを出すだけでも返戻率が下がることがあります(運用の工夫で防げるタイプのミスです)。
後者の“情報連携”は、訪問看護が単独で完結しないという在宅医療の本質に関わります。告示には、訪問看護ステーションが主治医へ計画書・報告書を提出し、計画的な管理を行った場合に訪問看護管理療養費を算定する仕組みが書かれています。つまり、記録と共有(計画・報告)が制度上のコアで、ここが弱い事業所ほど「算定はしているが中身が薄い」と評価されやすくなります。
さらに、あまり知られていない最近の論点として、告示には「電子資格確認により診療情報を取得等した上で計画的な管理を行った場合」に算定できる“訪問看護医療DX情報活用加算(50円)”が記載されています。単価は小さいものの、制度が「情報の取得・活用」を評価対象にしたという点は象徴的で、今後の在宅領域は“連携の質が評価される方向”へ進む可能性を示唆します。現場では、同意取得、端末運用、取得した情報をどう看護計画へ反映するか、という手順を標準化しておくと、加算のためだけでなく安全管理にも効きます。
(参考リンク:訪問看護療養費の算定区分・所定額・各種加算が網羅されています)
訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(厚生労働省)
(参考リンク:高齢者の医療の確保に関する法律の体系(訪問看護療養費の支給が第78条〜第81条で整理)を確認できます)
高齢者の医療の確保に関する法律(厚生労働省)

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