腎性貧血 食事
腎性貧血 食事 たんぱく質 制限 の基本
腎性貧血は「赤血球の材料不足」だけでなく、腎機能低下に伴う内因性エリスロポエチン産生低下が主因です。
そのため、食事の目的は“貧血だけを改善する献立”ではなく、CKDの進行を抑え、薬物療法(ESAや鉄補充)が効きやすい体内環境を作ることに置きます。
たんぱく質は、摂り過ぎると腎負荷になり得る一方で、少な過ぎると低栄養・サルコペニアを招き、結果として貧血治療(ESA)の反応性を下げる方向に働くことがあります。
CKD病期に応じた目安として、たとえばG3a/G3bでは0.8~1.0 g/kg体重/日、G4以降では0.6~0.8 g/kg体重/日などが提示されています(ただし個別化が前提)。
参考)https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/20170213-guideline-teisei-c.pdf
医療従事者向けの実務では、単純に「肉を減らす」ではなく、①体重当たりgで見積もる、②3食に配分する、③同時にカリウム・リンの条件も満たす、の3点をセットで設計します。muen-genen+1
また、意外と見落とされがちなのが“エネルギー不足”です。たんぱく質制限に熱心な患者ほど主菜を避け、同時に主食量も減って総カロリーが落ち、体蛋白分解が進みやすくなります。ubie+1
その結果、食事で摂ったたんぱく質が「造血の材料」より「エネルギー補填」に回り、貧血の改善が鈍く見えることが臨床上よく起こります。
対策としては、主食(ごはん、パン、麺)の量をまず死守し、必要に応じて油脂やでんぷん食品でエネルギーを補う、という順番が安全です。jsn+1
腎性貧血 食事 鉄 吸収 と リン カリウム の両立
腎性貧血の食事で“鉄”が話題になりやすいのは、赤血球産生に鉄が必須であり、鉄欠乏があるとESAの効きも悪くなるためです。
一方で、鉄の多い食品(レバー、貝類など)はリンやカリウムも多いことがあり、CKDの食事制限と衝突しやすいのが現実です。
したがって、患者に「鉄を増やして」とだけ指示すると、リン過多・カリウム過多・塩分過多(加工食品利用)につながり、総合的には悪化するリスクがあります。
鉄の吸収という観点では、ビタミンCが鉄吸収を促進する、という基本は臨床指導でも使えます。
参考)https://www.chutoen-hp.shizuoka.jp/media/tousekidayori202306.pdf
ただしCKDでは果物・野菜の“量と種類”でカリウム負荷が変わるため、ビタミンC目的での過量摂取は避け、主治医・管理栄養士の枠内で「少量を食事に添える」発想が安全です。chutoen-hp+1
調理面の工夫として、野菜の下茹で・水さらしでカリウムを減らす手技は、鉄吸収を助けたい場面でも役立ちます(ただし食品全体の栄養価は落ちるため過信しない)。
参考)https://www.muen-genen.com/html/page117.html
さらに、リンは“同じ量でも吸収率が違う”点が重要です。加工食品などに含まれる無機リンは吸収されやすいとされ、腎臓病食では加工品・インスタント食品を減らす指導が合理的です。
「貧血対策に良い」として加工肉や惣菜に寄せると、実際にはリン・塩分が上がりやすく、むしろ透析導入リスクを高めかねません。muen-genen+1
腎性貧血 食事 塩分 と ESA の関係
腎性貧血そのものを食事だけで直接改善するのは難しく、CKDの進行抑制が結果的に貧血予防につながる、という整理が現実的です。
その具体策として、減塩(例:6 g/日未満など)はCKD管理の中心で、食事の優先順位としても高い位置に置かれます。
塩分が多いと体液量増加・血圧上昇を介して腎機能悪化リスクが上がり、貧血治療以前に病態そのものが進みやすくなるためです。
ESA(赤血球造血刺激因子製剤)の目標Hbを過度に高く設定すると心血管イベント等のリスクが上がり得る、というエビデンスも踏まえ、食事側は「安全な治療が回る状態」を支える立場で考えます。
言い換えると、食事で“短期のHb上昇”を狙って高たんぱく・高鉄・高塩分に振るのは、長期アウトカムの観点で整合しにくいアプローチです。
減塩の実務ポイントは、患者が実行しやすい順に並べると定着します。CKD食の現場で効果が出やすいのは、①汁物の回数・量を減らす、②麺類のスープを残す、③加工食品・漬物・佃煮の頻度を下げる、④香辛料・酸味・だしで満足度を補う、の順です。
貧血の話題から入る患者ほど「レバー」や「鉄ドリンク」など単品対策に寄りやすいので、塩分・リン・カリウムの全体像に引き戻す説明が必要になります。muen-genen+1
腎性貧血 食事 フェリチン TSAT を読む(医療者の設計図)
腎性貧血の鉄評価では、TSAT(トランスフェリン飽和度)とフェリチンが一般的に用いられ、鉄補充の開始・継続判断の枠組みに組み込まれています。
日本のガイドライン系の整理として、たとえばESA療法時にTSAT 20%以下かつフェリチン100 ng/mL以下を鉄補充開始の目安とする記載があり、実務上の一つの起点になります。
また別資料では、ESA使用中ならフェリチン≧100 ng/mL、鉄飽和度≧20%を意識する、という形でまとめられています。
ここでの“食事の役割”は、検査値が鉄欠乏側に振れているときに、医師の方針(経口鉄/静注鉄)を妨げない範囲で、鉄摂取や吸収を下支えすることです。chutoen-hp+1
ただし、フェリチンは炎症でも上がり得るため、「フェリチンが高い=鉄が十分」と短絡しない点が重要です。
慢性炎症や感染が背景にあるとESA低反応性を呈することがあり、鉄の出し入れだけでなく、炎症源評価・栄養評価(アルブミン等)・透析条件なども含めた総合対応が必要になります。
食事指導に落とすなら、次のように“検査→仮説→献立”の順で組み立てると、医療者間で説明がブレにくいです。
✅ チェックの順番(例)
- Hb低下+TSAT低下:鉄供給不足の可能性→鉄補充方針と同時に、鉄を含む食品の「頻度を上げる」より先に、リン/塩分が増えない選択肢を作る。muen-genen+1
- Hb低下+フェリチン高値:炎症・鉄利用障害も疑う→「鉄を増やす」より、感染・炎症、低栄養(摂取不足)の是正を優先しやすい。
- たんぱく質制限で食事量低下:まず総エネルギーを戻す→結果としてESA反応が改善することがある(単純な鉄不足に見えても背景が違う)。jsn+1
腎性貧血 食事 独自視点:低栄養 を作らない献立運用
検索上位では「鉄の多い食品」リストが前面に出がちですが、医療現場で差がつくのは“献立運用の失敗を防ぐ”視点です。
具体的には、腎性貧血を気にする患者ほど「たんぱく質もリンも怖い」→「食べる量が減る」→「低栄養」→「貧血が改善しない(または悪化)」という逆回転に陥りやすい点が盲点になります。
この逆回転は、検査上は鉄の問題に見えても、実態は総摂取不足・エネルギー不足が主因のことがあり、指導の組み直しが必要です。
運用面の“意外に効く”工夫を、医療者向けに言語化すると次の通りです。
- 🍚 主食は「最後に減らす」:たんぱく質制限の調整は主菜で行い、主食量は先に死守して総エネルギーを確保する。jsn+1
- 🧂 減塩は「味つけの置換」で継続:だし・香味・酸味で満足度を上げ、加工食品を減らしてリン(無機リン)も同時に下げる。muen-genen+1
- 🥬 野菜は「量より手技」:カリウムが課題なら下茹で等で調整し、ビタミンCを“少量で効かせる”設計にする。chutoen-hp+1
- 💊 サプリの安易な追加を避ける:患者が自己判断で鉄サプリや健康食品に走りやすいので、必ず検査値と処方の枠に戻して整理する(相互作用・過剰のリスク説明を含む)。jsn+1
さらに、患者教育としては「腎性貧血=鉄不足」と短絡している認知をほどき、「貧血は薬(ESA/鉄)+食事(腎保護と低栄養予防)+炎症管理」の三位一体で説明すると、過激な食事変更を防げます。
とくに保存期CKDでは、目標Hbを過度に高くする戦略自体がリスクを増やし得るため、“食事で急いで上げる”発想を抑え、長期の安全性に寄せる説明が臨床的に整合します。
(腎性貧血の治療目標Hb、鉄補充の考え方、TSAT/フェリチン基準の背景がまとまっている:ガイドライン本文の該当章)
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013「腎性貧血」
(CKD病期別の生活・食事指導、減塩・たんぱく質制限量、貧血管理の要点が一覧で確認できる:指導のまとめ)
