反復性口内炎と再発と原因と治療

反復性口内炎と再発

反復性口内炎:現場で迷わない要点
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まず「2週間」を基準にする

自然軽快が多い一方、2週間以上の遷延は鑑別(悪性・感染・全身疾患)を優先して評価します。

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再発には欠乏と全身疾患が隠れる

鉄・ビタミンB12・葉酸などの不足、炎症性腸疾患、ベーチェット病などを「症状のセット」で拾います。

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治療は段階的(局所→全身)

局所ステロイドと疼痛緩和を軸に、重症・難治は内服や専門科連携まで一段上げます。

反復性口内炎の原因:再発を繰り返す背景

反復性口内炎(臨床的には「再発性アフタ性口内炎」を含む概念として扱われることが多い)は、口腔粘膜に浅い潰瘍(アフタ)が反復し、接触痛や摂食時痛でQOLを大きく下げるのが特徴です。済生会の解説では、アフタは灰白色〜黄白色の膜で覆われ、周囲が発赤し、口唇・舌・頬粘膜に好発するとされています。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

原因は「単一で説明できない」ことが多く、機械的刺激、遺伝、疲労・ストレス、喫煙、薬剤、血液成分の欠乏、炎症性消化器疾患、歯磨き剤、感染、アレルギー、ホルモン、免疫学的異常など、複数因子が挙げられています。済生会も「原因が不明で予防が難しい」としつつ、関連因子として上記を列挙しています。臨床では「いつもの口内炎」と決め打ちせず、再発パターン(頻度・誘因・部位固定・治癒までの期間)をカルテに残すだけで、後の鑑別精度が上がります。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

医療従事者向けに強調したいのは、反復の背景に「欠乏」「吸収障害」「自己炎症・自己免疫」が混在しうる点です。RASの総説では、局所外傷、遺伝、栄養欠乏、感染、免疫・内分泌の乱れなどが病因候補として挙げられ、原因不明で診断は除外診断になることが明記されています。つまり、反復性口内炎は“診断名”というより“状態名”であり、原因探索の入口と捉えるのが安全です。

Recurrent Aphthous Stomatitis: A Review - PMC
Aphthous stomatitis is a painful and often recurrent inflammatory process of the oral mucosa that can appear secondary t...

反復性口内炎の症状:再発パターンと重症度

症状は「痛い」「しみる」に集約されがちですが、観察ポイントはもう少し構造化できます。済生会の記載では、アフタは触れるだけで強い痛みが出て、刺激物・熱いもの・塩辛いものがしみ、基本的には1〜2週間で自然治癒するとされています。この“自然治癒までの時間”が、再発例の見分けや、警戒すべき所見の判断軸になります。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

RASの総説では、病型として minor(70%以上)、major、herpetiform の3型が整理され、サイズや数、治癒までの期間が異なることが示されています。minorは10mm未満で4〜14日で治癒し瘢痕を残しにくい一方、majorは10mm超で6週以上持続し瘢痕化リスクが高い、とされています。患者が「いつもより大きい」「治らない」を訴えるとき、実はmajorに近い経過で、鑑別(全身疾患や薬剤性、感染)に舵を切る合図になりえます。

Recurrent Aphthous Stomatitis: A Review - PMC
Aphthous stomatitis is a painful and often recurrent inflammatory process of the oral mucosa that can appear secondary t...

また、反復性口内炎の“見落としやすい臨床像”として、部位固定(いつも同じ場所)を訴えるケースがあります。これは単純な咬傷・補綴物の辺縁・歯の鋭縁といった機械刺激でも起こりますが、薬疹(固定薬疹)など薬剤性の可能性も総説で鑑別に挙げられています。「新規内服」「頓用NSAIDs」「サプリ追加」など、軽く扱われがちな要素が、反復の鍵になっていることがあります。

Recurrent Aphthous Stomatitis: A Review - PMC
Aphthous stomatitis is a painful and often recurrent inflammatory process of the oral mucosa that can appear secondary t...

反復性口内炎の治療:再発と対症療法の実際

反復性口内炎は、原因が特定できないことも多いため、現実的には対症療法が軸になります。済生会の解説でも「根治的治療法はなく対症療法が主体」とされ、局所では副腎皮質ステロイド薬入り軟膏、貼付錠、噴霧薬、うがい薬を用い、場合によって内服(NSAIDs、抗アレルギー薬、ビタミン薬、漢方薬など)を使うとされています。医療従事者としては、疼痛コントロールと摂食維持(脱水・低栄養の予防)を同時に達成する処方設計が重要です。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

総説では治療を段階的に進める考え方が示され、まず局所療法を中心に、必要に応じて全身療法へ進む“治療ラダー”が提案されています。具体的には、局所治療の目的は「感染予防」「潰瘍保護」「鎮痛」「抗炎症」「治癒促進」であり、クロルヘキシジン洗口が二次感染のリスクを下げる目的で述べられています。局所ステロイドは有効例が多い一方、長期使用では口腔カンジダのリスクを考え、必要なら抗真菌薬併用も検討する、という実務的な示唆も含まれています。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5367879/
あまり知られていない“意外枠”として、総説内でビタミンC(アスコルビン酸)投与がアウトブレイク頻度と疼痛を減らした報告が紹介されています(例:minor RASでアウトブレイクが約50%減少したという記載)。もちろん routine で全例に推奨する段階ではなく、腎機能・尿路結石リスク・食事背景などを踏まえた個別判断が必要ですが、「欠乏の探索」と「低リスク補助療法」をセットで考えると、再発の説明が患者に伝わりやすくなります。引用論文(総説に掲載):https://doi.org/10.1111/j.1651-2227.2009.01628.x(minor recurrent aphthous stomatitisに対するアスコルビン酸の報告として総説内で言及)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5367879/

反復性口内炎の原因:再発で必ず考える鑑別と検査

反復性口内炎で最も重要なのは、「口内炎として自然治癒する群」と、「別疾患の一症状として出ている群」を分けることです。済生会は、ヘルペスウイルスが引き起こす口内炎、白血病、ベーチェット病、口腔がんなどが背景に潜むことがあるとし、2週間以上治癒しない場合は専門医受診を推奨しています。これは医療者側のトリアージ基準としても非常に実用的です。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

RAS総説でも、鑑別は広く、自己免疫疾患、血液疾患、栄養欠乏、発熱症候群、感染症などが並び、RASは除外診断であると明記されています。つまり、反復性口内炎という訴えは「系統的レビュー(ROS)のトリガー」であり、問診票を定型化する価値があります。具体的には、外陰部潰瘍・眼症状・皮疹(結節性紅斑様など)・腹痛下痢・体重減少・反復発熱・関節痛の有無を、毎回同じ順で確認するだけで見落としが減ります。

Recurrent Aphthous Stomatitis: A Review - PMC
Aphthous stomatitis is a painful and often recurrent inflammatory process of the oral mucosa that can appear secondary t...

検査に関して、総説は「血液検査で血液学的欠乏や栄養欠乏を除外する」ことを推奨し、欠乏(ビタミンB12、葉酸、鉄など)が再発性アフタと関連する報告を紹介しています。さらに、セリアック病では口腔病変が消化器症状に先行することがあるため、状況により抗体検査を検討すべき、という臨床的に重要な指摘があります。日本の現場ではセリアック病は多くない一方、吸収障害や偏食、胃切除後、PPI長期内服など“欠乏に寄る事情”は珍しくないため、CBC+フェリチン+B12+葉酸あたりを「再発回数が多い/難治」の条件でルーチン化すると説明が通りやすくなります。

Recurrent Aphthous Stomatitis: A Review - PMC
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参考リンク(2週間以上治らない、反復、別疾患の可能性、治療の全体像)。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

参考リンク(鑑別疾患リスト、欠乏・自己免疫・発熱症候群、治療ラダーの考え方)。

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反復性口内炎の再発:検索上位に少ない独自視点(“医療者の説明設計”)

反復性口内炎は、患者側の認知が「疲れてたから」「ビタミン不足だと思う」に寄りやすく、医療者側の説明が「塗り薬で様子見」に寄りやすい領域です。しかし実際は、済生会が述べるように原因が多因子で、しかもベーチェット病など別疾患の初発症状であることもありえます。そこで独自視点として、診療の質を上げつつ炎上(説明不足)を防ぐ“説明設計”を、テンプレとして持つのが有効です。

再発性アフタ性口内炎 (さいはつせいあふたせいこうないえん)とは | 済生会
再発性アフタ性口内炎の原因や症状、治療法について解説。再発性アフタ性口内炎は、アフタと呼ばれる直径数ミリの大きさの円形や楕円形の浅い潰瘍の再発を繰り返す口腔粘膜の炎症です。

おすすめは、初回〜再診で同じフレーズを繰り返すことです。例えば「反復性口内炎は、原因が一つに決まらないことが多いので、①痛みを抑えて食べられる状態を作る、②同時に“危ない口内炎”を否定する、③再発が多い人は血液検査で不足を拾う、の順で整理します」という枠組みです。これは、RASが除外診断であり、鑑別が広いこと、そして血液学的・栄養学的欠乏が関与しうるという総説の考え方と整合します。

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さらに、再発予防の生活指導を“やることリスト”ではなく“避けることリスト”から入ると、実行率が上がります。総説では、歯磨剤成分(SLS)が「発症回数を減らす効果は乏しいが治癒を良くする可能性」というニュアンスで触れられており、患者の体感(しみる、悪化する)とも一致しやすい話題です。つまり「SLSフリーで治りが良くなる人がいる」という“再発そのもの”ではなく“治癒の質”に焦点を当てた説明は、過度な期待を煽らず、かつ満足度を上げやすい実務上のテクニックになります。

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最後に、現場で使えるチェック項目を置いておきます(入れ子にしない簡易版)。

  • 🔴危険サイン:2週間以上治らない、硬結、易出血、強い体重減少、発熱、広範囲水疱・皮疹、眼症状、外陰部潰瘍(あれば専門科へ)。
  • 🧪再発が多い:CBC、鉄(フェリチン)、ビタミンB12、葉酸など欠乏評価を検討(背景に吸収障害や炎症性腸疾患も)。
  • 💊まず困りごと:局所ステロイド+疼痛コントロール+口腔清潔(食べられる状態の確保を優先)。
  • 🧼セルフケア:刺激物の回避、機械刺激の除去(歯の鋭縁・補綴物)、歯磨剤の刺激で悪化する場合は成分変更も検討。

上記のうち、「2週間以上」で鑑別を強める考え方と、原因が多因子で別疾患が潜む可能性は、済生会の解説に沿っています。

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/recurrent_aphthous_stomatitis/