ご飯を食べると背中が痛い右側の原因は?胆石・膵炎・肝臓の病気も解説

ご飯を食べると背中が痛い右側の原因

食後の右背部痛、考えられる主な原因

胆石症・胆のう炎

脂肪の多い食事の後に痛むのが特徴。最も可能性が高い原因の一つです。

膵炎

アルコールをよく飲む方に多く、背中を突き抜けるような激しい痛みが特徴です。

肝臓・十二指腸の病気

肝炎や肝臓がん、十二指腸潰瘍など、他の消化器系の病気の可能性も考慮します。

ご飯を食べると背中が痛い右側の原因①:最も多い「胆石症・胆のう炎」の症状と特徴

 

ご飯、特に脂っこい食事を食べた後に、右の脇腹から背中にかけて強い痛みを感じる場合、最も可能性が高い原因として「胆石症」や「胆のう炎」が挙げられます。 これは、食事をすると消化を助けるために「胆のう」という臓器が収縮し、胆汁を排出しようとする際に、胆のうの中にできた石(胆石)が胆管に詰まったり、胆のうの出口を塞いだりすることで痛みが発生するメカニズムです。

痛みは「胆石発作」や「疝痛発作」と呼ばれ、脂汗をかくほどの激しい痛みであることが特徴です。 痛みは右の上腹部(みぞおちの右あたり)から始まり、右の背中や右肩にまで放散することがあります。 この痛みは数十分から数時間続くこともあり、吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。

胆石症は、コレステロールの過剰摂取、肥満、ストレス、不規則な食生活などが原因で起こりやすくなります。 中年以降の女性や、多産婦、肥満気味の方に多い傾向があります。胆石が胆のうの出口を完全に塞いでしまうと、胆のう内で細菌が繁殖し、「急性胆のう炎」を引き起こすことがあります。 この場合、激しい痛みに加えて38度以上の高や悪寒、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)が現れることもあり、緊急の治療が必要となります。

以下に胆石症・胆のう炎の主な症状をまとめます。

  • 脂っこい食事の後に始まる、右の上腹部や背中の激しい痛み 😫
  • 右肩への放散痛
  • 吐き気、嘔吐 🤢
  • 発熱、悪寒(胆のう炎の場合) 🥶
  • 黄疸(胆管が詰まった場合) 🟡

胆石症の診断には、腹部超音波(エコー)検査が最も有用です。体に負担がなく、胆石や胆のうの状態を詳細に観察できます。治療は、無症状の場合は経過観察することもありますが、痛みの発作を繰り返す場合や胆のう炎を併発している場合は、手術(腹腔鏡胆嚢摘出術)が標準的な治療法となります。

下記の参考リンクでは、胆石症の症状や原因、治療法について、専門医が詳しく解説しています。

済生会 | 胆石(たんせき)とは

ご飯を食べると背中が痛い右側の原因②:アルコール好きは要注意「膵炎」の可能性

「ご飯を食べると背中が痛い」という症状で、特にアルコールを多量に摂取した後に激しい痛みが現れる場合は、「膵炎」の可能性を考えなければなりません。 膵炎は、消化酵素を分泌する「膵臓」に炎症が起こる病気で、急性膵炎慢性膵炎に分けられます。

急性膵炎の最も特徴的な症状は、みぞおちから背中にかけての突き抜けるような激しい痛みです。 まるで背中に杭を打たれたような痛みと表現されることもあり、前かがみになると少し楽になるという特徴があります。 この痛みは食事、特にアルコールや脂肪分の多い食事を摂った数時間後に起こりやすいです。

急性膵炎の主な原因はアルコールの過剰摂取と胆石です。 アルコールが膵臓を直接刺激し、膵液の分泌を過剰に促すことで、膵臓自体が消化されてしまい、強い炎症を引き起こします。 胆石が原因の場合は、総胆管の出口で胆石が詰まり、膵液の流れが妨げられることで発症します。 痛み以外には、吐き気、嘔吐、発熱、腹部膨満感などの症状を伴います。

一方、慢性膵炎は、長期間にわたるアルコールの常習飲酒などが原因で、膵臓の破壊と線維化がゆっくりと進行する病気です。 初期には急性膵炎のような激しい痛みを繰り返しますが、進行すると痛みが軽くなる代わりに、消化吸収不良による下痢や脂肪便(便が白っぽく、水に浮く)、体重減少、糖尿病の発症といった症状が現れてきます。

膵炎が疑われる場合、血液検査アミラーゼリパーゼなどの膵酵素の値)、腹部超音波検査CT検査などが行われます。急性膵炎は重症化すると命に関わることもあるため、早期の診断と治療が非常に重要です。治療の基本は絶食と輸液で膵臓を休ませることであり、重症の場合は集中治療室での全身管理が必要になります。

膵炎の症状や原因について、専門の医療機関が提供している情報です。

急性膵炎 – すい臓の病気

ご飯を食べると背中が痛い右側の原因③:肝臓疾患や十二指腸潰瘍が隠れているケース

食後の右背部痛は、胆石症や膵炎以外にも、肝臓や十二指腸といった隣接する臓器の病気が原因で起こることがあります。

肝臓の病気(肝炎、肝臓がん
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、病気が進行して肝臓が腫れると、周囲の膜(肝被膜)が引き伸ばされて、右の上腹部や背中に鈍い痛みや圧迫感として感じられることがあります。 原因としては、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害脂肪肝などが挙げられます。進行すると肝硬変や肝臓がんに至る可能性もあり、倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状を伴う場合は特に注意が必要です。

十二指腸潰瘍
十二指腸は胃と小腸をつなぐ部分で、ここで消化性潰瘍ができると、みぞおちの痛みとして現れるのが一般的です。しかし、潰瘍が十二指腸の後壁にでき、膵臓にまで炎症が及ぶ「穿通(せんつう)」という状態になると、背中にまで達する強い痛みを引き起こすことがあります。 十二指腸潰瘍の痛みは、空腹時に強くなり、食事を摂ると一時的に和らぐという特徴がありますが、食後に痛みが出ることもあります。 主な原因はピロリ菌の感染や、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)の副作用です。

これらの病気は、症状だけでは鑑別が難しい場合も多く、正確な診断のためには血液検査、内視鏡検査(胃カメラ)、腹部超音波検査、CT検査などが必要です。特に、体重減少、黒色便(タール便)、貧血などを伴う場合は、早急に消化器内科を受診することが推奨されます。

右側の背中の痛みに関連する様々な内臓疾患について解説されています。

背中の痛み(真ん中・右・左)|横浜市のまずはネットでクリニック

ご飯を食べると背中が痛い右側とストレスの意外な関係|機能性ディスペプシアとは?

「ご飯を食べると背中が痛い」という症状で病院を受診し、血液検査や内視鏡、超音波検査など、様々な検査をしても胆石や膵炎、潰瘍といった器質的な異常が見つからないケースがあります。このような場合、ストレスが原因となる「機能性ディスペプシア(FD)」や、身体表現性障害の一種が背景に隠れている可能性が考えられます。

機能性ディスペプシアは、胃や十二指腸の運動機能異常や知覚過敏が原因で、胃もたれ、早期飽満感、みぞおちの痛みなどの症状が慢性的に続く病気です。 これらの症状は、ストレス、不安、不眠、生活リズムの乱れなどによって自律神経のバランスが崩れることで引き起こされると考えられています。みぞおちの痛みが主症状ですが、人によっては関連痛として背中の痛みを感じることもあります。

特に、以下のような特徴がある場合、ストレスとの関連を考慮する必要があります。

  • 仕事や家庭で強いストレスを感じている時期に症状が悪化する 😥
  • 症状が出たり消えたりを繰り返し、日によって強さが違う ↔️
  • 痛みだけでなく、不安感、抑うつ気分、不眠などの精神的な症状を伴う 😔
  • 特定の食事内容(脂っこいものなど)とは無関係に症状が現れることがある

ストレスが自律神経を介して消化管の動きをコントロールしている脳腸相関(Brain-Gut Axis)に影響を与えることは、近年の研究で明らかになっています。強いストレスは、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃の動きを悪くしたり、痛みを過敏に感じさせたりします。

この場合、消化器系の薬だけでは改善が難しく、抗不安薬抗うつ薬の少量投与が効果的なことがあります。また、治療には薬物療法だけでなく、ストレスマネジメント、十分な休養、規則正しい生活習慣、認知行動療法といった多角的なアプローチが重要となります。原因不明の背部痛が続く場合は、消化器内科だけでなく、心療内科への相談も選択肢の一つとなることを、医療従事者として患者に提示できる視点を持つことが大切です。

ご飯を食べると背中が痛い右側の症状で病院に行くべき危険なサインと対処法

「ご飯を食べると背中が痛い」という症状は、ありふれたものから命に関わる危険な病気のサインまで様々です。様子を見ても良いケースもありますが、中には緊急の対応が必要な場合もあります。医療従事者として、患者に伝えるべき「危険なサイン」を明確に理解しておくことが重要です。

すぐに病院を受診すべき危険なサイン 🚑

  • 我慢できないほどの激しい痛み、冷や汗を伴う痛み 😫
  • 38度以上の高熱や悪寒がある 🥶
  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸) 🟡
  • 意識がもうろうとする、血圧が低下する
  • 吐血や下血(黒色便)がある
  • 急激な体重減少を伴う 📉

これらの症状は、急性胆のう炎、重症急性膵炎、消化管穿孔、がんなどの重篤な疾患を示唆している可能性があります。夜間や休日であっても、救急外来の受診をためらってはいけません。

まずはセルフケアで様子を見る場合の対処法
上記のような危険なサインがなく、痛みが比較的軽い場合は、一時的な消化不良の可能性もあります。その場合は、以下の対処法を試してみましょう。

  1. 食事内容の見直し: 脂肪分の多い食事、アルコール、香辛料などの刺激物を避け、消化の良いおかゆやうどんなどを少量ずつ摂るようにします。
  2. 安静にする: 痛みが強いときは、楽な姿勢で休みましょう。特に膵炎の場合は、前かがみの姿勢が楽になることがあります。
  3. 市販薬の服用: 胃酸を抑える薬(H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬)や消化を助ける薬を試してみるのも一つの方法ですが、痛みが続く場合は自己判断での服用を中止し、必ず医療機関を受診してください。

痛みが改善しない、または繰り返す場合は、たとえ軽度であっても放置せずに消化器内科を受診することが大切です。病気の早期発見・早期治療が、重症化を防ぐための最も重要な鍵となります。患者さんへの適切な受診勧奨と情報提供が、我々医療従事者の重要な役割です。

胃の痛みや背中の痛みについて、緊急性の高い症状がまとめられています。

胃が痛い・みぞおちが痛い・背中が痛い原因 – にしやま消化器内科

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