吻合部出血 原因 とリスク と対策

吻合部出血 原因

吻合部出血の要点(医療従事者向け)
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原因は「局所×全身×時間」

局所(ステープル/縫合・血流・潰瘍)と全身(抗血栓薬・凝固異常)を、早期/遅発の時間軸で整理すると鑑別が速くなります。

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まずは出血様式を分類

管腔内(吐血・下血・血便)か、腹腔内(ドレーン血性・ショック)かで緊急対応と検査の優先順位が変わります。

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止血は内視鏡が主戦場

露出血管や点状出血はクリップなど機械的止血が有効で、線維化やびまん性出血では別手技が必要になることがあります。

吻合部出血 原因:ステープル と縫合 と間隙

吻合部出血の「早期」の原因としてまず押さえるべきは、吻合そのもの(縫合・器械吻合)に起因する機械的要素です。円形吻合器などのステープル吻合では、組織を挟み込む圧迫が不十分になったり、ステープル形成が均一でないと、ステープル列のわずかな“間隙”が出血点になり得ます。実際に、ステープルの圧迫が十分でないことが出血原因になりうる点は、吻合器の検討文献でも指摘されています。特に「吻合部動脈性出血」では、ステープルの屈曲不全やステープル間隙からの出血が原因候補として挙げられています。

器械側の注意点としては、メーカー文書でも「使用後に吻合部に出血がないこと、吻合が完全でリークがないことを必ず確認」し、必要に応じて速やかに処置するよう強調されています。さらに、組織が厚すぎる・過剰に取り込むと、ステイプル不形成や切離不全、出血などの有害事象につながりうるため、適切なサイズ選択・把持・ファイヤ条件が前提になります。

参考)https://qx-files.yaozh.com/rbsms/340216_30100BZX00156000_A_01_03.pdf

この領域で見落としやすいのは、「術中はにじむ程度でも、術後に血圧が戻ると顕在化する」パターンです。術後出血一般として、手術時の止血操作が不十分だと、術後に血圧上昇などを契機に再出血するリスクがあると整理されています。

参考)術後出血とは|起こる原因や観察項目も紹介│看護師ライフをもっ…

実地では、術中に吻合部を観察できる状況(直腸低位吻合、胃切除の再建など)なら、最終確認のルーチン化(視認・洗浄・必要なら追加縫合/凝固/クリップ)で“起点”を潰すのが最も効率的です。

吻合部出血 原因:潰瘍 と血流障害 と高酸

術後の吻合部では、吻合線そのものだけでなく「吻合部潰瘍」が出血源になることがあります。胃切除後の吻合部潰瘍については、血流障害が背景となり得ること、また残存幽門腺などを介したガストリン分泌により胃酸分泌が亢進し、粘膜障害→潰瘍形成につながりうることが解説されています。

さらに専門的には、狭義の吻合部潰瘍は、胃切除時の迷走神経や幽門洞の処理不十分による高酸状態の持続が原因と考えられている、という整理もあります。

臨床で役立つのは、「出血=吻合線のテクニカルエラー」と決め打ちしないことです。緊急内視鏡で吻合部潰瘍に露出血管を認め、クリッピング止血を行った症例報告のように、吻合部でも“潰瘍性病変”が出血源になり得ます。

参考)上部消化管出血の原因がBraun吻合部の出血性潰瘍であった,…

また、潰瘍の背景は一つではなく、粘膜防御低下(基礎疾患、薬剤)や血流障害などが重なり、時期をずらして出血することもあります。

参考)胃切除後の吻合部潰瘍とは

意外に見落とされる視点として、再建術式の違いにより潰瘍の好発部位や内視鏡到達性が変わり、止血アプローチの難易度が変化します(例:Braun吻合部など)。吻合の“どこ”が潰瘍化しやすいかを術式ごとにチームで共有しておくと、出血時の初動(スコープ選択、ルート、鎮静、緊急度判定)が速くなります。

吻合部出血 原因:術後 早期 と遅発

吻合部出血は「早期」と「遅発」で、想定すべき原因が変わります。大腸肛門領域の文献では、早期出血は手術時の縫合方法により起こることが多いとされる一方、遅発性(晩期)出血は原因が明らかでないことも多く、根部縫合糸の吸収脱落、結紮断端の壊死脱落、縫合部の離開などの仮説が挙げられています。

同文献では、遅発性出血が創傷治癒過程(増殖期〜組織再構築期)と関連する可能性にも言及されています。

外科手術全般での“時間軸”の考え方を、消化管手術の吻合部出血に持ち込むと、現場の判断が整理できます。

直腸がん手術の説明資料でも、腸を吻合した部分から腸の中に出血する(吻合部出血)ことがあり、術後1週間程度は注意が必要とされています。

参考)直腸がんに対する手術:どんな治療?合併症は?術後の生活は? …

つまり、病棟側は「術直後だけ」ではなく、少なくとも術後1週間は、血便・バイタル・Hb低下・ドレーン性状などを“吻合部出血の警戒期間”として扱うのが安全です。

吻合部出血 原因:抗血栓薬 とNSAIDs と凝固

吻合部の局所条件が同じでも、全身側の条件で出血は増えます。公的文書として、胃腸粘膜に障害がある患者ではNSAIDs投与により消化管出血リスクが高くなること、また肝機能障害や血小板減少などの出血素因がある患者では抗凝固薬・抗血小板薬投与に注意が必要なことが示されています。

さらに臨床実感に近いデータとして、抗凝固薬使用者がNSAIDsを併用すると、あらゆる出血のリスクが上昇し、消化管出血リスクも上がる(部位別解析で消化管出血のaHRが上昇)ことが紹介されています。

参考)抗凝固薬とNSAIDsの併用は出血リスクを高める – Med…

吻合部潰瘍の原因や頻度が、ステロイド・NSAIDs・抗血栓薬の服用などの影響も受けて変化しつつある、という専門誌の見立てもあります。

参考)残胃吻合部潰瘍 (消化器内視鏡 34巻13号)

したがって「吻合部出血 原因」を問うとき、術式・器械だけでなく、術前からの薬剤歴(DOAC、ワルファリン、抗血小板薬、NSAIDs、ステロイド)を“必ずセット”で確認する必要があります。

参考)https://www.pmda.go.jp/files/000245256.pdf

実務でのコツは、薬剤を「ある/なし」で終わらせず、次の情報を一枚にまとめて当直・内視鏡・外科で共有することです。

  • 最終内服時刻(休薬が不十分だと早期出血の説明がつきやすい)。​
  • 併用薬(抗凝固薬NSAIDsのような組み合わせは特に危険)。​
  • 肝機能、血小板、凝固系(出血素因があると局所止血が効きにくい)。​

吻合部出血 原因:内視鏡 止血 クリップ(独自視点:失敗パターン)

吻合部出血は「内視鏡で止めればよい」と思われがちですが、止血の“失敗パターン”を先に知っていると、再出血や手技の長期化を減らせます。内視鏡のクリップ止血は有効な一方で、長期潰瘍で底が硬い線維化組織に覆われている場合、クリップが組織に食い込まず滑ってしまい、うまくかからないことがある、と解説されています。

また、広範囲の毛細血管からのじわじわした出血では、出血点を一つ一つクリップで止めるのは非効率で、別の止血法が選択されることがある、とされています。

吻合部に特有の難しさとして、ステープルライン周囲は“硬さ”“段差”“視野の悪さ”が混在し、狙い撃ちが難しい点が挙げられます。実際、露出血管を伴う吻合部潰瘍に対してクリッピング止血が行われた症例報告があり、吻合部でもクリップは主要な選択肢になりますが、再出血し得ることも示唆されます。

ここでの独自視点(検索上位でまとまりにくい実務論点)は、「クリップが効かない吻合部出血は、技術不足ではなく“病変の相”の問題である」ことをチームで共有する点です。

止血の判断を速くするために、内視鏡室・病棟・外科で共通化しやすいチェック項目を挙げます。

  • クリップが効きにくい条件:線維化が強い、底が硬い、びまん性のにじみ出血。​
  • 再出血の前兆:止血後でも再出血が起こりうるため、症状(吐血/下血)、バイタル、Hbの推移を短い間隔で再評価する。​
  • 術式による“危険な出血”の想定:膵頭十二指腸切除後などでは、時期により仮性動脈瘤など別メカニズムもあり得るため、内視鏡で説明できない時は視野を広げる。​

(このセクションの結論)吻合部出血の原因を「吻合線の一点」だけに求めると、止血戦略が単調になり、効かない症例で迷います。線維化・びまん性・薬剤・時期を最初から組み込むことで、クリップ偏重から脱し、適切な追加手段・外科/IVRコンサルトの判断が早くなります。

(参考リンク:内視鏡クリップ止血の適応・限界、再出血の考え方)

日本消化器内視鏡学会系サイト:止血手技とクリップの使い方

(参考リンク:抗凝固薬・抗血小板薬・出血素因の注意点の根拠)

PMDA:重篤副作用疾患別対応マニュアル(消化管出血/出血リスク)