鎮痛剤一覧表による効果的選択

鎮痛剤NSAIDs系一覧と特徴

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、医療現場で最も頻繁に使用される鎮痛剤群です。血中半減期により短時間型、中間型、長時間型に分類され、それぞれ異なる特徴を持ちます。
短時間型NSAIDs(血中半減期1-3時間)
- ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®):血中半減期1.3時間、1日3回投与
- ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®):血中半減期1.3時間、1日3回投与
- イブプロフェン(ブルフェン®):血中半減期2時間、1日3回投与
- ロルノキシカム(ロルカム®):血中半減期2.5時間、1日3回投与
ボルタレンは炎症を抑える作用が強く、坐薬、テープ剤、ゲル剤など様々な剤型で利用可能です。特に炎症を起こしている関節に直接薬剤が浸透するテープ剤は、局所での効果的な鎮痛・抗炎症作用を発揮します。
中間型NSAIDs(血中半減期7-18時間)
- セレコキシブ(セレコックス®):血中半減期7時間、1日2回投与
- エトドラク(ハイペン®):血中半減期7時間、1日2回投与
- ザルトプロフェン(ソレトン®):血中半減期9時間、1日2回投与
- スリンダク(クリノリル®):血中半減期18時間、1日2回投与
セレコックスはCOX2選択的阻害薬で、他のNSAIDsと比べて胃腸への負担が少ないという特徴があります。胃腸の弱い患者や、他のNSAIDsで胃腸障害を起こしやすい患者に適しています。
長時間型NSAIDs(血中半減期21-28時間)
モービックは消炎、鎮痛、解熱作用が強力で、半減期が28時間と長いため、高齢者や腎・肝機能障害患者の投与には注意が必要です。
鎮痛剤アセトアミノフェン系の効果

アセトアミノフェンは解熱・鎮痛作用を持つ薬剤で、NSAIDsと比較して副作用が少なく、安全性が高いとされています。小児から高齢者まで幅広く使用でき、風邪による発熱や頭痛、生理痛などの痛みによく使われています。
アセトアミノフェンの特徴
- 抗炎症作用はほとんどない
- 胃腸障害のリスクが低い
- 腎機能への影響が少ない
- 血小板機能への影響がない
- 妊娠中・授乳中でも比較的安全
主要なアセトアミノフェン製剤
- カロナール錠(200mg、300mg、500mg)
- タイレノールA(市販薬、アセトアミノフェン300mg)
- アンヒバ坐剤(小児用)
カロナールは医療用医薬品として処方され、市販薬ではタイレノールAとして販売されています。タイレノールAは1回1錠でOKの大人用アセトアミノフェンとして、頭痛や月経痛などの痛みや発熱時に用いられます。
アセトアミノフェンの作用機序は、中枢神経系でのシクロオキシゲナーゼ阻害と考えられており、末梢での抗炎症作用は弱いため、炎症を伴う疼痛にはNSAIDsの方が適しています。
オピオイド系の鎮痛剤

オピオイド系鎮痛薬は、主に中枢のオピオイド受容体(とくにμ受容体)を介して強い鎮痛をもたらす一方、呼吸抑制や便秘、依存など重い副作用リスクもある薬です。
がん疼痛や術後痛などで重要な選択肢ですが、用量・併用薬・患者背景に応じたリスク管理(必要時のナロキソン等)が前提になります。
作用機序
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オピオイドはオピオイド受容体(μ/δ/κ)に作用し、痛みの伝達や痛みの知覚を抑えることで鎮痛作用を示します。
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臨床上もっとも中心になるのはμ(MOR)で、鎮痛に加えて鎮静・多幸感・呼吸抑制・消化管運動低下などもMOR作用として説明されます。
代表薬と分類
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WHOの疼痛ラダーでは、軽度→中等度→強い痛みの順に非オピオイド、(いわゆる)弱オピオイド、強オピオイドを段階的に用いる考え方が示されています。
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例として、中等度でコデイン/トラマドール等、重度でモルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、メサドン、ブプレノルフィン等が挙げられます。
適応
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急性痛(手術後・外傷など)や、がん疼痛などの強い痛みに対して用いられる重要な鎮痛薬群です。
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一方、慢性疼痛ではベネフィットとリスク(依存・過量・機能低下など)を定期的に再評価し、最小有効用量や代替療法の検討が推奨されます。
主な副作用と危険サイン
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最重篤なのは呼吸抑制で、過量投与時の死亡原因として中心的な問題になります。
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便秘は非常に頻度が高い副作用として知られ、オピオイド使用時のQOLを大きく下げうるため予防・対策が重要です。
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ほかに、悪心・嘔吐、眠気/鎮静、掻痒、縮瞳、耐性(効きにくくなる)や身体依存(中止で離脱)などが起こりえます。
安全に使うための要点
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併用薬(例:ベンゾジアゼピン系などの鎮静薬)や高用量は過量・呼吸抑制リスクを上げるため、リスク因子を評価しながら慎重に処方・フォローします。
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目安として50 MME/日以上など一定以上の用量、過量歴、物質使用障害歴、ベンゾ併用などがある場合は、過量時の拮抗薬ナロキソンを「考慮/併用処方」することが推奨されています。
必要なら、「医療者向け(処方・換算MME・離脱症状・便秘対策)」「一般向け(飲み合わせ・危険サイン・ナロキソンの使い方)」のどちらの粒度でまとめ直すか指定してほしいです。
鎮痛剤血中半減期による分類
鎮痛剤の血中半減期は、薬剤選択において重要な指標となります。半減期の長さにより、投与回数や効果持続時間が決まり、患者のライフスタイルや病態に応じた適切な選択が可能になります。
血中半減期による効果的な使い分け
短時間型(1-3時間)は即効性があり、頓服使用に適していますが、効果持続時間が短いため1日3回の投与が必要です。急性期の強い痛みや、必要時のみの使用に適しています。
中間型(7-18時間)は1日2回投与で効果が持続し、慢性疼痛の管理に適しています。コンプライアンスの向上も期待でき、定期的な鎮痛が必要な患者に有用です。
長時間型(21-28時間)は1日1回投与で済み、患者の服薬負担が軽減されます。しかし、高齢者や腎・肝機能障害患者では蓄積のリスクがあるため、慎重な投与が必要です。
症状別の半減期選択基準
- 急性疼痛:短時間型で迅速な効果を重視
- 慢性疼痛:中間型〜長時間型で持続的な鎮痛
- 高齢者:短時間型〜中間型で安全性を重視
- コンプライアンス重視:長時間型で服薬回数減少
鎮痛剤剤型別選択基準
鎮痛剤は経口剤以外にも様々な剤型があり、患者の状態や病変部位に応じて最適な剤型を選択することが重要です。
経口剤の特徴と選択基準
- 徐放剤:効果持続、ボルタレンSR®カプセルなど
- プロドラッグ:胃腸障害軽減、ロキソニン®錠、クリノリル®錠など
- 通常錠:標準的な吸収・効果発現
坐剤の特徴
- 即効性があり、胃腸障害を軽減
- 経口摂取困難時や吐き気がある場合に有効
- ボルタレン®坐剤、インドメタシン®坐剤など
- 直腸から吸収されるため、肝臓の初回通過効果を回避
注射剤の特徴
- 病変部位での作用増強
- 経口摂取不可能な場合
- ロピオン®注など
- 即効性と確実な効果が期待できる
経皮吸収剤の特徴
軟膏剤(クリーム、ゲル剤含む)は全身性の副作用軽減とマッサージ効果があり、ボルタレン®ゲル、インテバン®クリームなどがあります。貼付剤は全身性の副作用軽減が期待できますが、皮膚のかぶれや光線過敏症のリスクがあります。モーラス®テープ、アドフィード®などが代表的です。
外用液剤は全身性の副作用軽減効果があり、インテバン®外用液などがあります。局所投与により、全身への影響を最小限に抑えながら、局所での鎮痛・抗炎症効果を得ることができます。
鎮痛剤併用禁忌と注意点
鎮痛剤の併用には重要な禁忌と注意点があり、医療従事者は十分に理解しておく必要があります。
同系統薬剤の併用禁忌
複数のNSAIDsの併用は副作用のリスクを増大させるため禁忌です。解熱鎮痛薬や風邪薬には同じ効果をもつ成分が含まれているため、併用すると安全な量より多く摂取することになり、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
特定疾患での禁忌
- 胃・十二指腸潰瘍患者:NSAIDsによる消化管障害のリスク増大
- 心臓、肝臓、腎臓、血液疾患患者:臓器機能への悪影響
- 高血圧患者:血圧上昇や心血管系リスクの増加
- 出産予定日12週以内の妊婦:胎児への影響
薬物相互作用の注意点
ジドブジンとの併用では血液毒性が増強される可能性があります。また、抗凝固薬との併用では出血リスクが高まるため、定期的な凝固能検査が必要です。
高齢者での特別な注意点
高齢者では腎機能低下により薬物の蓄積が起こりやすく、長時間型NSAIDsの使用では特に注意が必要です。また、認知機能の評価と痛みの見逃し防止のため、アセトアミノフェンの適切な使用が重要になります。
モニタリングの重要性
継続投与の場合には、定期的な血液検査(肝機能、腎機能、血液像)、血圧測定、消化器症状の確認が必要です。特にCOX2選択的阻害薬では心血管系血栓塞栓性事象のリスク増大の可能性があるため、心血管系の評価も重要です。
緩和ケア領域では、全例に非ステロイド性抗炎症薬が使用され、モルヒネ製剤使用例でも84.7%で併用されており、安全で十分な鎮痛が得られることが報告されています。ただし、約半数の症例で鎮静が必要であったことから、疼痛管理の複雑さが示されています。
厚生労働省による市販の解熱鎮痛薬の選び方に関する詳細な分類表と安全使用の指針
慶應義塾大学病院緩和ケアチームによる非オピオイド鎮痛薬の詳細な分類と使い分けガイド