看護必要度とは わかりやすく 評価基準と方法

看護必要度とは

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看護必要度の概要
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入院患者の状態評価

患者の看護ニーズを客観的に測定

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看護師の適切な配置

効率的な人員配置を実現

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診療報酬への影響

入院基本料算定の重要指標

看護必要度とは 入院患者の状態を評価する指標

看護必要度は、入院患者の状態を客観的に評価し、必要な看護量を把握するための重要な指標です。この指標は、2008年度の診療報酬改定で導入され、以来、医療現場で広く活用されています。

看護必要度の評価は、主に以下の3つの項目で構成されています:

・A項目:モニタリング及び処置等
・B項目:患者の状況等
・C項目:手術等の医学的状況

これらの項目を通じて、患者の医療・看護ニーズを総合的に評価します。例えば、A項目では呼吸ケアや血圧測定の頻度、B項目では患者の移動や食事の自立度、C項目では手術後の状態などを評価します。

看護必要度の詳細な評価項目と基準についての解説

看護必要度の評価は、通常、患者を直接ケアする看護師が行います。これにより、現場の実態に即した正確な評価が可能となります。評価結果は、単に数値として記録されるだけでなく、患者の状態変化を経時的に追跡する重要なツールとしても機能します。

看護必要度とは 看護師の適切な配置を実現する目的

看護必要度の主要な目的の一つは、適切な看護師配置を実現することです。患者の状態に応じた看護師の配置は、質の高い医療サービスを提供する上で不可欠です。

看護必要度のデータを活用することで、以下のような効果が期待できます:

  1. 効率的な人員配置:重症度の高い患者が多い病棟には、より多くの看護師を配置するなど、ニーズに応じた柔軟な人員配置が可能になります。

  2. 看護の質の向上:適切な人員配置により、各患者に十分な時間をかけてケアを提供できるようになり、看護の質が向上します。

  3. 労働環境の改善:看護師の業務負担を適切に分散させることで、過重労働を防ぎ、働きやすい環境を整えることができます。

  4. 経営効率の向上:必要な箇所に適切な人員を配置することで、病院全体の経営効率が向上します。

さらに、看護必要度は診療報酬の算定にも直接関わる重要な指標です。例えば、急性期一般入院基本料を算定するためには、一定以上の看護必要度の患者割合を満たす必要があります。

厚生労働省による診療報酬改定の基本方針についての詳細

看護必要度とは A項目B項目C項目の評価方法

看護必要度の評価は、A項目、B項目、C項目の3つの大きな区分に分かれています。各項目の評価方法と特徴を詳しく見ていきましょう。

  1. A項目(モニタリング及び処置等)

A項目は、患者に対する医療処置やモニタリングの状況を評価します。主な評価項目には以下のようなものがあります:

・呼吸ケア
・血圧測定
・時間尿測定
・シリンジポンプの使用
・輸血や血液製剤の使用

これらの項目は、「なし」「あり」の2段階で評価されます。例えば、呼吸ケアの場合、酸素吸入や人工呼吸器の使用があれば「あり」と評価されます。

  1. B項目(患者の状況等)

B項目は、患者の日常生活動作(ADL)や認知機能の状態を評価します。主な評価項目には以下のようなものがあります:

・寝返り
・移乗
・口腔清潔
・食事摂取
・衣服の着脱
・診療・療養上の指示が通じる
・危険行動

これらの項目は、患者の自立度や介助の必要性に応じて、0点から2点の3段階で評価されます。例えば、「寝返り」の場合、自力でできれば0点、何かにつかまればできる場合は1点、できない場合は2点となります。

  1. C項目(手術等の医学的状況)

C項目は、手術やその他の医学的処置の状況を評価します。主な評価項目には以下のようなものがあります:

・開頭手術
・開胸手術
・開腹手術
・骨の手術
・胸腔鏡・腹腔鏡手術
・全身麻酔・脊椎麻酔の手術
・救命等に係る内科的治療

これらの項目は、該当する手術や処置が行われた場合に1点が付与されます。また、各項目には評価期間が設定されており、例えば開頭手術の場合は術後13日間が評価対象となります。

厚生労働省による看護必要度の評価票と評価の手引きの詳細

これらの項目を総合的に評価することで、患者の医療・看護ニーズを客観的に把握することができます。ただし、評価には一定の専門知識と経験が必要であり、適切な評価を行うためには、定期的な研修や評価者間での擦り合わせが重要です。

看護必要度とは 診療報酬改定での変更点

看護必要度は、医療を取り巻く環境の変化や新たな医療技術の導入に対応するため、診療報酬改定のたびに見直しが行われています。2024年度の診療報酬改定では、看護必要度に関して以下のような重要な変更点が予定されています。

  1. 必要度Ⅱを用いた評価の要件化

測定に係る負担軽減および測定の適正化を推進する観点から、必要度Ⅱ(電子カルテシステムを用いた評価)を用いた評価を要件とする対象病棟が拡大されます。これにより、より効率的かつ正確な評価が可能になると期待されています。

  1. 評価項目の見直し

急性期一般入院料1、特定機能病院入院基本料7対1、専門病院入院基本料7対1におけるB項目(患者の状況等)に係る評価が廃止されます。また、C項目(手術等の医学的状況)の対象手術及び評価日数についても見直しが行われます。

  1. 短期滞在手術等基本料の対象患者の追加

短期滞在手術等基本料の対象手術等を実施した患者が評価対象に追加されます。これにより、より幅広い患者層の評価が可能になります。

  1. A項目(モニタリング及び処置等)の見直し

A項目についても細かな見直しが予定されています。特に救急搬送後の入院日数の評価日数短縮は、多くの医療機関に影響を与える可能性があります。

2024年度診療報酬改定における看護必要度の変更点の詳細解説

これらの変更は、より実態に即した評価を目指すとともに、医療機関の負担軽減も考慮したものとなっています。ただし、変更に伴い一時的に評価基準を満たせなくなる医療機関も出てくる可能性があるため、十分な準備期間が設けられています。

医療機関は、これらの変更点を十分に理解し、適切に対応することが求められます。特に、電子カルテシステムの整備や評価方法の見直しなど、事前の準備が重要になってくるでしょう。

看護必要度とは 医療機関での活用方法

看護必要度は、単に診療報酬の算定のためだけでなく、医療機関の運営や看護の質向上のために幅広く活用されています。以下に、具体的な活用方法をいくつか紹介します。

  1. 適切な人員配置の実現

看護必要度のデータを分析することで、各病棟や時間帯ごとの看護ニーズを把握することができます。これにより、繁忙時間帯には多くの看護師を配置するなど、より効率的な人員配置が可能になります。

  1. 病床管理の最適化

看護必要度の高い患者と低い患者を適切に分散させることで、病棟全体の看護負荷を平準化することができます。また、重症度の高い患者を集中して看護できる環境を整えることも可能です。

  1. 看護の質の評価と向上

看護必要度のデータを経時的に分析することで、看護ケアの効果を客観的に評価することができます。例えば、特定の看護介入後に患者の看護必要度が改善したかどうかを確認することができます。

  1. 経営戦略の立案

看護必要度のデータは、病院全体の機能や役割を検討する上で重要な指標となります。例えば、高度急性期機能を維持するために必要な設備投資や人材育成の計画立案に活用できます。

  1. 多職種連携の促進

看護必要度のデータは、看護師だけでなく、医師や理学療法士、作業療法士など他の医療職種とも共有することで、患者の全体的な状態把握や治療方針の決定に役立てることができます。

多職種連携における看護必要度利用に関する文献レビュー

  1. 教育・研修への活用

看護必要度の評価プロセスは、新人看護師の教育にも活用できます。患者の状態を多角的に観察し、適切に評価する能力は、看護師として成長する上で非常に重要なスキルです。

  1. 患者サービスの向上

看護必要度のデータを分析することで、患者のニーズをより深く理解し、それに応じたサービスの提供や環境整備を行うことができます。例えば、ADLの自立度が低い患者が多い病棟では、バリアフリー化を進めるなどの対応が可能です。

  1. 地域医療連携の強化

看護必要度のデータは、地域の他の医療機関と共有することで、患者の円滑な転院や在宅医療への移行を支援するツールとしても活用できます。

このように、看護必要度は単なる評価ツールではなく、医療機関の運営や看護の質向上、さらには地域医療の発展にも寄与する重要な指標となっています。ただし、これらの活用を効果的に行うためには、データの正確な収集と分析、そして結果の適切な解釈が不可欠です。

医療機関は、看護必要度を単なる義務的な評価として捉えるのではなく、組織の改善や発展のための貴重な情報源として積極的に活用していくことが求められています。そのためには、看護部門だけでなく、経営層や他の診療部門とも連携し、組織全体で看護必要度の重要性を理解し、活用していく姿勢が重要です。