クロキサシリン略語の基礎
クロキサシリンはMCIPCが国際的に使用されない略語だと知らないと処方ミスにつながります。
クロキサシリンの化学構造と略語MCIPC
クロキサシリン(Cloxacillin)は半合成のペニシリン系抗菌薬で、ペニシリン分解酵素に対する抵抗性を持つ特徴があります。日本化学療法学会が制定した略語はMCIPCで、これは「Methylchloroisoxazolyl penicillin」の頭文字から構成されています。分子式はC19H18ClN3O5S、分子量は435.8813です。kegg+2
クロキサシリンナトリウム水和物として医療現場で使用される際、化学名は「Monosodium(2S,5R,6R)-6-{3-(2-chlorophenyl)-5-methylisoxazole-…」と長く複雑です。
そのため略語が必須です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00057171.pdf
MCIPCという略語は日本国内の医療機関で標準的に使われていますが、この表記は日本固有のものである点に注意が必要です。他のペニシリン系抗菌薬と同様、細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌的に作用します。jshp+2
クロキサシリン略語の国際的な相違点
日本ではMCIPCという略語が使用されますが、欧米では異なる略語体系が採用されています。この相違は国際共同研究や海外文献を参照する際に混乱を招く原因となります。
参考)https://www.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/06603/066030373.pdf
日本化学療法学会は1977年という早い時期に抗微生物薬の略語を制定し、国内統一を図りました。当時はABPCやDMPPCなど耐性菌研究で繁用される抗菌薬について、誰もが容易に判断できる略号の必要性が指摘されていたためです。
しかし欧米では別の略語が使用されており、例えばセフトリアキソンの場合、日本ではCTRXですが欧米ではCROと表記されます。クロキサシリンについても同様の相違が存在するため、国際学会での発表や論文執筆時には注意が必要です。海外の医療従事者とコミュニケーションを取る際には、略語ではなく一般名を使用する方が安全ですね。
クロキサシリン合剤の略語表記ルール
クロキサシリンは単剤よりもアンピシリンとの合剤として使用されることが多く、その場合の略語表記はABPC/MCIPCとなります。この合剤は1:1の比率で配合され、ビクシリンSという商品名で知られています。nms+2
合剤表記では成分を「/」で区切り、それぞれの略語を並べるのが原則です。アンピシリン(ABPC)とクロキサシリン(MCIPC)の組み合わせにより、広域スペクトルとペニシリン分解酵素抵抗性の両方を持つ抗菌薬となります。pins.japic+1
他のペニシリン系合剤でも同様の表記法が用いられており、例えばアモキシシリン/クラブラン酸はAMPC/CVA、セフォペラゾン/スルバクタムはCPZ/SBTと表記されます。これらの表記ルールを統一することで、処方箋やカルテ記載時の誤認を防ぐことができます。ただし合剤の場合、各成分の投与量も明記する必要がありますね。
参考)https://www.jshp.or.jp/activity/zasshi-toko/ryakugo.pdf
クロキサシリン略語と類似薬剤の識別
CLという略語はコリスチンを指しますが、塩素、クリニック、カルジオリピンなど複数の意味を持つため取り違えリスクが高い事例です。医療現場では略語の多義性が重大な医療事故につながる可能性があります。
参考)https://kansen-ph.com/antibacterial/
ペニシリン系抗菌薬の略語は特に混同しやすく、ABPC(アンピシリン)、AMPC(アモキシシリン)、PIPC(ピペラシリン)など似た文字列が並びます。クロキサシリンのMCIPCも、この中で正確に識別する必要があります。
参考)【抗菌薬】略称一覧
さらにビクシリン(ペニシリン系)とビクリン(アミノグリコシド系)のように、販売名が類似している薬剤も存在します。読み間違いによる調剤ミスを防ぐため、略語だけでなく一般名や商品名も併記することが推奨されます。カルテ記載時には「クロキサシリン(MCIPC)」のように両方を明記すると安全です。
参考)http://www.ndpjapan.org/symposium/20030412_agatuma_01.pdf
クロキサシリン使用時の独自視点|MRSA耐性と処方判断
アンピシリン・クロキサシリン合剤はブドウ球菌感染症の第一選択薬とされていますが、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症には効果がありません。MRSA感染症の頻度は約20%に達しており、処方前の菌検査が極めて重要です。
参考)http://www.nms.co.jp/QQ/AB2.html
クロキサシリンはペニシリン分解酵素に抵抗性を持つものの、MRSAが持つ別の耐性機構には無効なのです。そのためMRSA感染が疑われる場合、最初からバンコマイシンやリネゾリドなどの抗MRSA薬を選択する必要があります。kameda+2
臨床現場では感染症の起炎菌を推定し、感受性試験の結果を待つ間に経験的治療を開始します。この判断を誤ると治療効果が得られないだけでなく、耐性菌の増加にもつながります。患者の背景(院内感染か市中感染か、免疫状態、過去の菌検出歴など)を総合的に評価することが処方の鍵となりますね。
グラム染色で菌の形態を確認し、MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)であればクロキサシリン含有製剤が有効ですが、MRSAならば即座に薬剤変更が必要です。この判断を迅速に行うため、感染症専門医との連携や院内の抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活用が推奨されます。kansensho+1