痛風発作予防薬と治療のポイント
コルヒチン1日1.8mg超の投与で死亡例が8件報告されています。
痛風発作予防薬コルヒチンの適正用量と死亡リスク
2026年1月31日までに、コルヒチン錠0.5mg「タカタ」の1日量1.8mgを超える高用量投与後に死亡に至った症例が国内で8例報告されています。これは医療従事者にとって見逃せない重要な安全性情報です。PMDAは適正使用のお願いとして、1日量1.8mg超の投与は「やむを得ない場合」に限定すべきと注意喚起しています。
コルヒチンは痛風発作の緩解および予防、家族性地中海熱の治療に用いられる古くからある薬剤ですが、その有効域と中毒域が近接しているという特徴があります。つまり治療に必要な量と危険な量の差が小さいということですね。
死亡要因として報告されているのは、高用量投与に加えて、高齢、腎機能障害、肝機能障害、CYP3A4またはP糖タンパク阻害作用を有する薬剤との併用などです。特に腎機能が低下している患者では、コルヒチンの排泄が遅延し、体内に蓄積しやすくなります。腎機能障害がある場合、通常量でも中毒症状が現れる可能性があるため、クレアチニンクリアランスを確認し、腎機能に応じた減量が必須です。
コルヒチン中毒の症状は段階的に進行します。初期段階では悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が出現し、その後24~72時間で血液障害(骨髄抑制、白血球減少、血小板減少)や多臓器不全へと進行します。致死量は体重1kgあたり0.5mg程度とされ、0.8mg/kg以上の服用ではほぼ100%死亡すると報告されています。体重60kgの患者であれば30mg(錠剤60錠)が致死量の目安となりますが、個人差や併存疾患により少量でも重篤化する可能性があります。
痛風発作時の用法・用量は、通常成人に1回0.5mgを3~4時間ごとに投与し、疼痛発作が緩解するまで継続しますが、1日量は1.8mgまでにとどめることが望ましいとされています。
これは1日3~4錠に相当します。
発作予防の場合は1日0.5~1.0mg(1~2錠)を連日投与する方法が一般的で、こちらの方が安全域が広くなります。
PMDAの安全性情報:コルヒチンの高用量投与後死亡例に関する詳細な経過と注意点がまとめられています
医療従事者として患者に処方する際は、必ず腎機能と併用薬を確認し、CYP3A4阻害薬(マクロライド系抗菌薬、アゾール系抗真菌薬、HIVプロテアーゼ阻害薬など)やP糖タンパク阻害薬(ベラパミル、シクロスポリンなど)との併用は避けるか、やむを得ない場合は減量を検討する必要があります。患者には「1日3錠(1.5mg)を超えて服用しない」という明確な指導が重要です。
痛風発作予防に使われる尿酸降下薬の種類と選択基準
尿酸降下薬は作用機序の違いによって大きく2つに分類されます。
尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬です。
それぞれの特徴を理解し、患者の病型や合併症に応じて適切に選択することが痛風発作の再発予防につながります。
尿酸生成抑制薬はキサンチンオキシダーゼ(XO)を阻害し、プリン体から尿酸への代謝を抑制します。代表的な薬剤はアロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)、トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)です。アロプリノールは1969年から使用されている歴史ある薬剤で、優れた効果と安価な薬価から米国ガイドラインでは第一選択薬として強く推奨されています。
ただし腎機能低下例では減量が必要で、まれに重篤な副作用(骨髄抑制、スティーヴンス・ジョンソン症候群など)が起こりえます。フェブキソスタットは1日1回投与で24時間後のXORとの結合率が高く、腎機能低下例でも減量不要という利点があります。トピロキソスタットは1日2回投与ですが、肝臓と腎臓の両方から排泄されるため、中等度の腎障害や肝障害がある患者でも使用しやすいという特徴があります。
尿酸排泄促進薬は腎臓の尿細管で尿酸が再吸収されるのを阻害し、尿中への排泄量を増やします。代表的な薬剤はベンズブロマロン(ユリノーム)、プロベネシド(ベネシット)、ドチヌラド(ユリス)です。ベンズブロマロンは強力な尿酸排泄作用を持ちますが、肝障害の副作用報告があり定期的な肝機能検査が必要です。また尿路結石のリスクが高まるため、尿アルカリ化薬の併用や水分摂取の励行が重要になります。
ドチヌラドは選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)という新しいクラスの薬剤で、ベンズブロマロンと同程度の効果が期待できます。ユリノームでは禁忌だった肝障害、腎結石、妊婦でも使用できる点が異なります。これは薬剤選択の幅を広げる重要なポイントですね。
従来は高尿酸血症の病型分類に応じて、尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬という使い分けが推奨されていました。しかし近年の研究で、尿酸生成抑制薬が尿酸排泄低下型にも有効であるという報告があり、実臨床では尿酸生成抑制薬が第一選択となるケースが多くなっています。日本における高尿酸血症の病型頻度は、尿酸排泄低下型60%、尿酸産生過剰型12%、混合型25%とされています。
日本痛風・尿酸核酸学会の高尿酸血症・痛風治療ガイドライン:病型分類と薬剤選択の詳細な基準が記載されています
尿酸降下薬を開始する際の最も重要な注意点は、急激な尿酸値の低下を避けることです。血清尿酸値を3~6ヶ月かけて徐々に低下させ、6mg/dL以下を目標とします。急激に尿酸値が下がると、関節内に沈着していた尿酸結晶の結合がゆるくなり結晶脱落が起きて、かえって痛風発作を誘発してしまうからです。そのため最少量から開始し、月に0.5~1.0mg/dL程度ずつ段階的に尿酸値を下げていくペースで投与量を調整します。
また痛風発作の急性期には尿酸降下薬を新規開始してはいけません。発作中に尿酸値が変動すると炎症が増悪するためです。すでに服用中の患者が発作を起こした場合は、尿酸降下薬は中止せず継続するのが原則です。中止すると尿酸値が変動し、かえって発作を長引かせる可能性があるためですね。
痛風発作予防のためのコルヒチンカバー法と投与期間
コルヒチンカバーとは、尿酸降下薬開始後に生じる可能性のある痛風発作を予防するため、コルヒチンを予防的に投与する方法です。尿酸降下薬と併用してコルヒチン0.5~1.0mg/日を投与し、血清尿酸値が安定する3~6ヶ月後にコルヒチンを中止するのが標準的な方法とされています。
この予防法が必要な理由は、尿酸値が下がる過程で関節内の尿酸結晶が不安定になり、結晶片が剥がれ落ちて白血球の貪食反応を引き起こすためです。つまり治療を始めることで一時的に発作が起こりやすくなるという矛盾した状況が生まれるわけです。コルヒチンは白血球の活動を抑制することで、この炎症反応が大きくなるのを防ぎます。
投与期間については、ガイドラインでは3~6ヶ月間の継続投与が推奨されていますが、患者の状態に応じて調整が必要です。痛風発作が頻発する患者では、発作の有無に関係なく1日1錠のコルヒチンを継続的に投与する長期コルヒチンカバーも選択肢となります。1~2ヶ月間を目安として実施することが多いですが、発作が完全になくなるまで継続する場合もあります。
コルヒチンカバーの効果は臨床的に確認されています。尿酸降下薬開始時にコルヒチンを併用した群では、併用しなかった群と比較して痛風発作の発生頻度が有意に低下したという複数の研究報告があります。特に尿酸値が9mg/dL以上の高値だった患者や、過去に複数回の発作歴がある患者では、コルヒチンカバーの効果が顕著です。
投与のタイミングは、尿酸降下薬開始前または開始と同時が推奨されます。
つまり予防は先手が重要だということですね。
NSAIDsで痛風発作を抑制しても、次に尿酸降下薬を投与するまでに発作を起こす可能性があるため、尿酸降下薬投与前からコルヒチンを使用することで、尿酸降下薬導入後の発作を効果的に予防できます。
ただしコルヒチンの長期投与には注意点もあります。前述したように腎機能障害患者では蓄積のリスクがあり、併用禁忌薬も多く存在します。また消化器症状(下痢、腹痛)が出現した場合は減量または中止を検討する必要があります。医師の判断で予防目的に継続使用するケースはありますが、自己判断での長期服用はおすすめできません。
両国東口クリニックの痛風発作頻発時の治療解説:コルヒチンカバーの具体的な実施方法とステロイド療法についての詳細が記載されています
コルヒチンカバーを中止するタイミングの判断も重要です。血清尿酸値が6mg/dL以下で安定し、かつ3~6ヶ月間発作が起きていない状態であれば、徐々に中止を検討できます。ただし中止後も患者には発作の前兆(足の違和感、ピリピリした感じ)を自覚したらすぐに受診するよう指導し、頓服用のコルヒチンを処方しておくことが望ましいです。
痛風発作を経験した患者がコルヒチンを常に携帯し、前兆を感じたら1錠(0.5mg)服用するというのが、発作の頓挫に最も効果的な使い方です。発作のごく初期、できれば前兆期に使用することで、痛みが強くなる前に炎症の流れを抑えやすくなります。発症から48時間以内の投与開始が理想的で、初期の72時間が症状改善の鍵を握ります。
痛風発作時のコルヒチンとNSAIDsの使い分けと作用機序の違い
コルヒチンとNSAIDsは両者とも痛風発作の痛み・炎症に対して用いられますが、作用するポイントと立ち位置が大きく異なります。医療従事者として、この違いを正確に理解し、患者の状態に応じて適切に選択することが重要です。
コルヒチンの作用機序は、白血球の動きを抑えることで炎症が大きくなるのを防ぐというものです。痛風発作では尿酸結晶に反応した白血球が集まり、炎症を増幅させますが、コルヒチンは白血球の微小管形成を阻害し、白血球の遊走や貪食機能を抑制します。さらにNLRP3インフラマソームの活性化を抑制し、炎症性サイトカインIL-1βの産生を減少させます。つまり発作の「原因」となる炎症反応の流れを上流で止めるということですね。
一方NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害してプロスタグランジンの産生を抑制します。プロスタグランジンは痛みや炎症を引き起こす物質なので、その生成を抑えることで鎮痛・抗炎症効果を発揮します。こちらは発作の「結果」として生じた炎症と痛みを抑えるという位置づけです。
使用タイミングの違いも重要です。コルヒチンは発作の前兆期や極めて初期に使用すると最も効果的で、発作を頓挫させることができます。発症から24時間以内、理想的には前兆を感じた時点での投与が推奨されます。一方NSAIDsは発作極期の激しい痛みと炎症に対して短期間だけ比較的大量に投与する方法が一般的です。
痛風発作の第一選択薬としては、日本痛風・尿酸核酸学会のガイドラインではNSAIDsが明記されています。具体的にはロキソプロフェン(ロキソニン)、インドメタシン、ナプロキセン(ナイキサン)などが使用されます。NSAIDsは鎮痛効果が強く、発作極期の激痛に対して即効性があるためです。
ただしNSAIDsには使用上の注意があります。高齢者や消化性潰瘍の既往がある患者では胃腸障害のリスクが高く、腎機能障害がある患者では腎機能をさらに悪化させる可能性があります。また心血管疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。BMJのガイドラインでは、高齢者や合併症のある方にはNSAIDsを勧めない点を明確に述べています。
こうした患者ではコルヒチンが代替選択肢となりますが、前述の通り腎機能障害患者では用量調整が必須です。NSAIDsもコルヒチンも使用が難しい場合は、ステロイド薬(プレドニゾロン経口、関節腔内注射など)が選択されます。ステロイド療法は、NSAIDsパルス療法でも改善しない場合や遷延性痛風発作、短期間に痛風発作を繰り返すような患者に対して有効です。
薬剤師向けコルヒチン解説記事:NSAIDsとの効果の違い、使用タイミング、よくある質問への回答が詳しく掲載されています
患者への服薬指導のポイントとしては、コルヒチンは「発作が起きそうな予感がしたらすぐ飲む薬」、NSAIDsは「発作が起きてから痛みを抑える薬」という説明が分かりやすいでしょう。また両者を併用する場合もあり、発作極期にNSAIDsで炎症を抑えながら、同時にコルヒチンで炎症の悪化を防ぐという使い方です。
コルヒチンの消化器症状とNSAIDsの胃腸障害は似ていますが、発現機序が異なります。コルヒチンは細胞分裂の盛んな消化管粘膜の細胞に影響を与えて下痢を起こしやすく、NSAIDsはCOX阻害により胃粘膜保護作用が低下して胃潰瘍を起こしやすいという違いがあります。症状が出現した場合の対処法も異なるため、どちらの薬剤で症状が出ているのかを見極めることが大切です。
痛風発作予防における患者指導と生活習慣改善の実践ポイント
痛風発作の再発予防には薬物療法だけでなく、生活習慣の改善が不可欠です。医療従事者として患者に効果的な指導を行うには、エビデンスに基づいた具体的なアドバイスと、継続可能な実践方法を提示することが重要になります。
食事療法の第一は、肥満傾向にある患者に対する摂取総エネルギーの適正化です。肥満はインスリン抵抗性を高め、尿酸の排泄を低下させる要因となります。BMI25以上の患者では、体重1kg減少につき血清尿酸値が約0.1mg/dL低下するという報告があります。ただし急激な減量は逆に尿酸値を上昇させるため、月に1~2kg程度の緩やかな減量を目標とします。
プリン体の摂取制限については、以前ほど厳格ではなくなってきています。プリン体として400mg/日を超えないことが推奨されますが、食事由来のプリン体が血清尿酸値に与える影響は限定的で、体内で産生される尿酸の方が圧倒的に多いためです。それでも高プリン体食品(レバー、白子、干物、魚卵など)の過剰摂取は避けるべきです。
意外に重要なのが、高炭水化物食、特に蔗糖・果糖の制限です。果糖は代謝される過程でATP消費が亢進し、その結果プリン体が増加して尿酸産生が増えます。清涼飲料水や果物ジュースの過剰摂取は尿酸値を上昇させることが複数の研究で示されています。一方、乳製品は尿酸の排泄を促進する効果があるため積極的に摂取することが推奨されます。牛乳に含まれるカゼインとホエーたんぱく質が尿酸の排出を促すためですね。
アルコールについては節度ある適度な飲酒を心がけることが大切です。アルコールは種類を問わず尿酸値を上昇させます。「ビールはダメだが焼酎ならOK」という俗説がありますが、これは正しくありません。ビールに含まれるプリン体の影響よりも、アルコール自体が尿酸産生を促進し、かつ尿酸排泄を抑制する作用の方が大きいためです。飲酒量の目安は、日本酒なら1合、ビールなら500mL、焼酎なら0.6合程度までとされています。
水分摂取は尿酸の排出を促すために非常に重要です。1日2L以上の水分摂取が推奨され、尿量を1日2L以上に保つことが理想です。特に夏場や運動時は脱水により尿酸値が上昇しやすいため、意識的な水分補給が必要になります。水分は水やお茶でとることが基本で、甘いジュースやアルコール飲料ではカウントしません。
運動療法については、適度な有酸素運動が推奨されますが、激しい無酸素運動は避けるべきです。無酸素運動は筋肉が消耗してATPが分解され、尿酸が産生されるためです。また乳酸が蓄積すると尿酸の排泄が低下します。ウォーキング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動を、週に3~5回、1回30分程度行うのが理想的です。
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患者への服薬指導では、尿酸降下薬は症状がなくても継続する必要があることを強調します。尿酸値が目標値に達して痛風発作が起きなくなっても、薬を中止すると尿酸値はすぐに元に戻ります。高尿酸血症の薬をやめるとすぐに尿酸値が高い状態に戻ってしまい、痛風や尿路結石につながる場合があります。自己判断で減薬したり中止したりせず、処方されたとおりの量をしっかりと飲み続けることが大切です。
また尿酸値の目標は6.0mg/dL以下ですが、これは「6-7-8ルール」として覚えておくと便利です。尿酸値7mg/dL以上で高尿酸血症と診断され、8mg/dL以上で合併症がある場合または9mg/dL以上では薬物療法が推奨され、治療目標は6mg/dL以下というルールです。痛風結節がある患者や腎障害を合併している患者では、5mg/dL以下を目標とすることもあります。
患者には発作の前兆症状を認識してもらい、早期対応の重要性を理解してもらうことも大切です。足の違和感、ピリピリした感じ、ジンジンした感じなどの前兆を感じたら、すぐにコルヒチンを服用するか医療機関を受診するよう指導します。また痛風発作時にやってはいけないこととして、患部をマッサージする、温める、アスピリン含有の鎮痛薬を使用する、といった点を伝えておく必要があります。
定期的な受診とモニタリングの重要性も強調すべきポイントです。血清尿酸値だけでなく、腎機能(クレアチニン、eGFR)、肝機能(AST、ALT)、尿検査(尿pH、尿中尿酸排泄量)の定期的なチェックが必要です。尿酸降下薬による副作用の早期発見と、治療効果の評価のためですね。治療開始後は月1回程度、安定したら2~3ヶ月に1回の受診が目安となります。

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