非麻薬性鎮痛薬ゴロで覚える
ペンタゾシンやトラマドールは非麻薬性でもモルヒネと併用すると拮抗作用で鎮痛効果が激減します。
非麻薬性鎮痛薬の基本ゴロと覚え方
非麻薬性鎮痛薬を覚えるための代表的なゴロは「暇なトラ、プレーがブレブレだぞ」です。このゴロで覚えられる薬剤は、暇な(非麻薬性鎮痛薬)、トラ(トラマドール)、プレーが(プレガバリン)、ブレブレ(ブプレノルフィン)、だぞ(ペンタゾシン、エプタゾシン)の5種類になります。
薬剤師国家試験では、この5種類の薬剤が頻繁に出題されています。特にトラマドール、ペンタゾシン、ブプレノルフィンは必須問題でも登場する重要度の高い薬剤です。これらの薬は「非麻薬性」という名前がついていますが、実際にはオピオイド受容体に作用する点でモルヒネなどと共通する特徴を持っています。
つまり行政上の分類です。
ゴロを使う際の注意点として、単に語呂合わせだけを暗記するのではなく、各薬剤の受容体への作用の違いも同時に理解しておく必要があります。ペンタゾシンとエプタゾシンは主にκ受容体に作用し、ブプレノルフィンはμ受容体部分作動薬、トラマドールは中等度のμ受容体作動薬という特徴があります。これらの違いが臨床での使い分けや併用禁忌の理由につながっているためです。
別のゴロとして「河童のペン太、ガリバーの兄と」というバージョンもあります。河童の(κ受容体完全刺激薬)、ペン太(ペンタゾシン)、ガリバーの(~ガバリン:プレガバリン、ミロガバリン)、兄と(α₂δリガンド)という構造で、受容体の情報も同時に覚えられる点が優れています。自分の記憶スタイルに合わせて使い分けるとよいでしょう。
非麻薬性鎮痛薬の暗記で失敗しやすいのは、麻薬性鎮痛薬と混同してしまうケースです。フェンタニル、モルヒネ、オキシコドン、ペチジンなどは麻薬性に分類されますが、名前の響きが似ているペンタゾシンやブプレノルフィンと間違えやすいので注意が必要です。
非麻薬性鎮痛薬の手描きイラスト付きゴロ解説(薬学部はゴロでイチコロ!)
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非麻薬性鎮痛薬の作用機序と受容体の違い
非麻薬性鎮痛薬は作用する受容体の種類によって大きく2つのグループに分けられます。ペンタゾシンとエプタゾシンは主にκ(カッパ)オピオイド受容体を刺激し、一方でμ(ミュー)受容体に対しては拮抗薬または部分作動薬として働きます。この特性により、強力なμ受容体作動薬であるモルヒネなどと併用すると、ペンタゾシンがモルヒネの鎮痛効果を打ち消してしまう可能性があります。
併用は避けるべきです。
トラマドールは中等度のμ受容体作動薬として作用し、さらにセロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用も持っています。このため、神経障害性疼痛にも効果を発揮する点が特徴的です。モルヒネの約10分の1程度の鎮痛力とされていますが、依存性が低く、麻薬指定されていないため処方しやすい利点があります。
ブプレノルフィンはμ受容体部分作動薬であり、モルヒネの25~50倍の力価を持つとされています。受容体への結合力が非常に強いため、一度結合すると他のオピオイドが受容体に結合しにくくなる性質があります。このためブプレノルフィンを使用している患者に他のオピオイドを追加しても効果が得られにくく、切り替えの際には十分な休薬期間が必要になります。
注意が必要ですね。
プレガバリンとミロガバリンは厳密にはオピオイドではなく、カルシウムチャネルのα₂δサブユニットに結合して作用します。神経細胞でのカルシウム流入を抑制し、興奮性神経伝達物質の過剰放出を防ぐことで鎮痛効果を発揮します。特に神経障害性疼痛の治療に有効で、帯状疱疹後神経痛や糖尿病性神経障害による痛みに適応があります。
これらの受容体の違いを理解しておくと、国家試験で「κ受容体に作用するのはどれか」「μ受容体部分作動薬はどれか」といった問題に確実に答えられます。ゴロと併せて受容体の種類も整理して覚えましょう。
麻薬性鎮痛薬(オピオイド)の詳細解説(日本ペインクリニック学会)
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非麻薬性鎮痛薬と麻薬性鎮痛薬の混同を防ぐポイント
薬剤師国家試験で最も間違えやすいのが、非麻薬性と麻薬性の分類です。「非麻薬性」という名称から「オピオイド受容体に作用しない」と誤解しがちですが、これは行政上の分類であって薬理作用の分類ではありません。実際にはトラマドール、ペンタゾシン、ブプレノルフィンはすべてオピオイド受容体に作用します。
麻薬指定されている代表的な薬剤は、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデイン、ペチジン、メサドンなどです。これらは「麻薬及び向精神薬取締法」によって厳格に管理され、処方箋の記載方法や保管方法に特別な規制があります。一方、非麻薬性に分類されるトラマドールには全く規制がなく、ブプレノルフィンは向精神薬として管理されています。
混同を防ぐための効果的な方法は、まず麻薬性鎮痛薬のゴロを別に覚えることです。麻薬性鎮痛薬(アヘンアルカロイド)は「もっこりふもっと」(モルヒネ、コデイン、リン酸コデイン、フェノールモルフィン、エチルモルフィンなど)、合成麻薬性鎮痛薬は「フェンペメレ」(フェンタニル、ペチジン、メサドン、レミフェンタニル)といったゴロで整理できます。
もう一つの混同ポイントは、プレガバリンとミロガバリンです。これらはゴロに含まれていますが、厳密にはオピオイドではなく、α₂δリガンドという別のカテゴリーに分類されます。国家試験では「非麻薬性鎮痛薬に含まれるか」という観点で出題されることがあるため、オピオイド系とα₂δリガンド系を区別して覚えておく必要があります。
区別が重要です。
試験問題では「次のうち非麻薬性鎮痛薬はどれか」という形式で、麻薬性と非麻薬性が混在した選択肢が提示されます。このとき、「暇なトラ、プレーがブレブレだぞ」のゴロに含まれているかどうかで瞬時に判断できるようにしておくと、正答率が大幅に上がります。
エプタゾシンは出題頻度がやや低いですが、ペンタゾシンと同じκ受容体作動薬として同じグループに分類されることを覚えておけば、消去法でも正解にたどり着けます。
非麻薬性鎮痛薬の臨床での使い分けと注意点
臨床現場では、非麻薬性鎮痛薬の使い分けが患者の痛みのタイプや既往歴によって決まります。ペンタゾシンは術後疼痛や急性疼痛に頻繁に使用されますが、κ受容体刺激により交感神経が興奮し、血圧上昇や心拍数増加を引き起こす可能性があります。このため、心疾患や脳出血、くも膜下出血の患者には使用を控えるべきとされています。
トラマドールは非がん性慢性疼痛に対して第一選択となることが多く、特に変形性関節症や腰痛症などの整形外科領域で広く処方されています。NSAIDsで効果不十分な場合のステップアップとして位置づけられ、依存性のリスクが低いため長期処方もしやすい特徴があります。ただし、セロトニン再取り込み阻害作用があるため、SSRIやSNRIといった抗うつ薬と併用するとセロトニン症候群のリスクが高まります。
併用注意です。
ブプレノルフィンは貼付剤(ノルスパンテープ)として慢性疼痛に使用されるほか、注射剤(レペタン)として術後疼痛管理にも用いられます。作用時間が6時間程度と長く、血管拡張作用があるため循環動態が不安定な患者にも比較的安全に使用できます。しかし前述の通り、他のオピオイドとの併用や切り替えには細心の注意が必要です。
プレガバリンとミロガバリンは神経障害性疼痛の第一選択薬として位置づけられています。プレガバリンは眠気やめまいの副作用が比較的多く、1日2回投与が基本です。一方、ミロガバリンはプレガバリンよりも選択的にα₂δサブユニットに結合するため、眠気やめまいの発現頻度が低いとされています。1日2回投与で、末梢性神経障害性疼痛に特化した適応を持ちます。
非麻薬性鎮痛薬を使用する際の最大の注意点は、ペンタゾシンやブプレノルフィンをモルヒネなどの強オピオイドと併用しないことです。部分作動薬や拮抗薬としての性質により、既に投与されているモルヒネの効果を減弱させてしまい、かえって痛みが増強する可能性があります。医療用麻薬適正使用ガイダンスでも、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルからペンタゾシンやブプレノルフィンへの変更は通常行わないと明記されています。
天井効果(鎮痛効果の上限)も重要な特徴です。ペンタゾシンは高用量を投与しても一定以上の鎮痛効果が得られない天井効果があり、最大投与量を超えても効果は頭打ちになります。このため、強い痛みには最初から強オピオイドを選択すべきで、ペンタゾシンを増量し続けるのは適切ではありません。
オピオイドの適正使用に関する公式ガイドラインで、併用禁忌や切り替え方法について詳細に記載されています。
非麻薬性鎮痛薬ゴロの実践的な活用法と国試対策
ゴロを効果的に活用するためには、単なる丸暗記ではなく、実際の国家試験問題で繰り返し使ってみることが重要です。過去問を解く際に、選択肢を見た瞬間に「暇なトラ、プレーがブレブレだぞ」のゴロを思い浮かべ、含まれているかどうかを確認する習慣をつけましょう。この反射的な判断ができるようになると、解答速度が大幅に向上します。
国家試験では「次のうち、κ受容体刺激薬はどれか」「μ受容体部分作動薬はどれか」といった受容体レベルでの出題も頻出です。こうした問題に対応するため、ゴロに加えて各薬剤の受容体作用を整理した表を作成しておくと効果的です。たとえば、ペンタゾシン・エプタゾシン(κ受容体刺激)、トラマドール(μ受容体中等度作動)、ブプレノルフィン(μ受容体部分作動)、プレガバリン・ミロガバリン(α₂δリガンド)という分類を視覚的に整理します。
薬理学の勉強では、鎮痛薬全体の体系的な理解も必要です。WHO三段階除痛ラダーでは、第一段階が非オピオイド(NSAIDs、アセトアミノフェン)、第二段階が弱オピオイド(コデイン、トラマドール)、第三段階が強オピオイド(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル)となっています。この枠組みの中で非麻薬性鎮痛薬がどこに位置づけられるかを理解しておくと、臨床問題でも迷わず解答できます。
過去5年間の国家試験を分析すると、非麻薬性鎮痛薬に関する出題は毎年1~2問程度ですが、必須問題や実践問題の症例問題で登場する頻度が高まっています。特に「がん性疼痛患者にペンタゾシンとモルヒネを併用してよいか」といった併用禁忌に関する問題や、「神経障害性疼痛にはどの薬剤が適切か」といった適応に関する問題が増加傾向にあります。
まとめて対策しましょう。
ゴロの定着には視覚的な工夫も有効です。スマートフォンのメモアプリやノートアプリに、ゴロとイラストをセットで保存しておき、通学時間や休憩時間に繰り返し見返す習慣をつけると記憶が強化されます。また、友人同士でゴロをクイズ形式で出し合うことで、楽しみながら定着度を確認できます。
模擬試験や過去問演習で間違えた問題は、必ずゴロに戻って確認する習慣をつけましょう。「トラマドールを麻薬性と勘違いした」「ブプレノルフィンの受容体作用を忘れていた」といった失敗パターンを記録しておくと、本番で同じミスを防げます。間違いノートを作る際には、ゴロと一緒に「なぜ間違えたか」の理由も書き添えると効果的です。
最後に、ゴロだけに頼りすぎず、薬剤の臨床的な意義も理解しておくことが大切です。「なぜこの薬は非麻薬性に分類されているのか」「臨床でどのような場面で使われるのか」といった背景知識があると、応用問題にも対応できる力がつきます。国家試験は暗記だけではなく、理解と応用が求められる試験ですから、ゴロを入り口として深い学習につなげていきましょう。
受容体の種類も含めた詳しいゴロ解説があり、国試対策に役立ちます。