後天性色覚異常 原因と網膜視神経緑内障加齢

後天性色覚異常 原因

後天性色覚異常の原因を臓器別に俯瞰
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網膜・視神経・脳

色覚は「錐体→視神経→後頭葉」の経路で成立し、どこが障害されても後天性色覚異常が起こり得ます。

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加齢・白内障・緑内障

水晶体の黄変や眼圧関連の神経障害は、短波長(青)側の弁別低下を起点に症状が出やすい点が重要です。

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薬剤・中毒・全身要因

抗結核薬などの薬剤性視神経障害、代謝・栄養・腎機能などの背景因子も「原因」として同時評価します。


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後天性色覚異常 原因としての網膜と錐体

後天性色覚異常は、網膜の錐体機能が「量的に減る/質的に乱れる」ことで生じ、早期は自覚があいまいなまま見逃されることがあります。参天製薬の解説では、網膜疾患では錐体の数が減ること、特にS(青)錐体は全体の数%と少ないため網膜障害の初期から影響を受けやすく、青黄色覚異常が起こりやすい点が示されています。

この「青から崩れる」パターンは、視力(小数視力や矯正視力)がまだ保たれている段階でも起こり得るため、医療従事者側が“視力が良い=問題なし”と判断しない姿勢が重要です。網膜疾患が疑われる症例では、色覚だけを単独で評価するよりも、変視症・中心暗点・暗所視・羞明など随伴症状を合わせて聞くことで、原因病巣が網膜寄りか視神経寄りかの初期推定に役立ちます。

また、日本眼科学会の一般向けページでも、色覚異常は錐体(L/M/S)の異常で発症し得ること、そして糖尿病網膜症緑内障・視神経疾患・心因性など眼疾患や要因によって後天的に色覚異常を呈することが示されています。

網膜由来の色覚障害は、視野検査で明確な欠損が出る前に“色の区別がつきにくい”として訴えられることがあるため、問診で「信号・薬剤PTPの色・尿や便の色・皮疹の色の見え方」など、医療安全に直結する具体例に落とし込んで確認すると臨床的に有用です。

後天性色覚異常 原因としての視神経と緑内障

後天性色覚異常の原因を考えるとき、視神経は“情報の通り道”であり、ここが障害されると網膜が無事でも色の情報が正しく伝わらず、赤緑・青黄など多様なパターンで異常が出る点が要点です。参天製薬の解説では、視神経疾患があると赤緑色覚異常や青黄色覚異常が現れ得ることが述べられています。

医療従事者の現場では、視力低下の訴えが軽くても「左右差」「疼痛(眼球運動痛)」「中心暗点」「色の褪せ(赤が茶色い・ピンクが灰色に見えるなど)」があれば視神経を強く疑い、早期の眼科評価につなげることが重要です。

緑内障は典型的には視野障害が注目されますが、錐体系にも影響し得るため色覚異常が“先行所見”または“併存所見”になる可能性があります。参天製薬の解説では、眼圧上昇が錐体系にも影響し、従来はS錐体関連の神経細胞が影響を受けやすい(青黄色覚異常を呈しやすい)と考えられてきた一方、中心部ではL/M錐体機能低下も分かってきた点が述べられています。

つまり、緑内障=青黄だけ、という単純化は危険で、病期・障害部位(中心/周辺)・検査条件によって所見が揺れることを前提に、視野・OCT(RNFL/GCC)・眼圧・視神経乳頭所見と一体で評価する必要があります。

後天性色覚異常 原因としての加齢と白内障

加齢による後天性色覚異常は、「水晶体の黄変」「瞳孔が小さくなり入射光が減る」「網膜や視神経の加齢変化」など複合要因で起こるとされます。参天製薬の解説では、水晶体が加齢で黄色~褐色化し、短波長(青)光の透過が減ることで短波長領域の弁別が大きく低下し、黄色・茶色・赤みがかって見えるようになる点が説明されています。

この変化は患者が“病気”として自覚しにくく、生活上の小さなミス(黒と紺の誤認など)として表面化しやすいことも指摘されています。

意外に臨床的なインパクトが大きいのは、安全面の問題です。参天製薬の解説では、加齢による色覚変化でガスコンロの炎の先端の青色が見えにくくなり、着衣着火の一因になり得ること、また暗い場所で段差の境目が認識しづらく転倒につながるおそれがあることが述べられています。

医療従事者としては、色覚異常を“検査の話”に閉じず、生活指導(照明、コントラスト、火器周りの確認)まで含めて介入できると、患者アウトカムに直結します。

参考:加齢・白内障に伴う色覚変化と生活上の注意点(ガス火の見え方、転倒リスクなど)

色覚異常 - 目の病気百科|参天製薬 | 参天製薬日本サイト
色覚異常とは、色の見え方が通常の人とは違って見えてしまう病気です。遺伝などが原因の先天色覚異常と、視神経や脳、網膜などの病気やけがが原因の後天色覚異常があります。色覚異常の症状・原因・検査・治療や日常生活での対処方法をご紹介します。【参天製...

後天性色覚異常 原因としての薬剤と中毒(エタンブトール等)

後天性色覚異常の原因には、薬剤性の視神経障害・網膜障害が含まれ、投与歴の確認が診断の近道になることがあります。厚生労働省の資料では、エタンブトールによる中毒性視神経症について、投与開始直後ではなく「早いものでも2か月前後」から発症し得ること、投与中止後も数か月は経過観察が必要となる旨が記載されています。

医療安全の観点では「薬が原因かもしれない」という可能性を早期に拾うことで、不可逆的障害の回避につながる余地があります。

薬剤性を疑うときは、単に薬剤名を挙げるだけでなく、リスク増悪因子の評価が重要です。厚労省資料には、代謝障害・栄養障害・腎機能障害・糖尿病・貧血・アルコール中毒・高齢などが悪化要因になり得ることが示されており、背景因子のある患者ではより慎重なモニタリングが求められます。

現場での実装としては、処方開始前に「見え方のベースライン(視力・色の褪せ自覚・左右差)」を確認し、服薬中は“視力低下だけでなく色の違和感”を副作用教育に組み込み、受診行動につなげる設計が有効です。

参考:エタンブトールなど薬剤性視神経症の発症時期・悪化要因・症例コメント(医療者向けPDF)

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1o03_r01.pdf

後天性色覚異常 原因の独自視点:概日リズムと医療安全

後天性色覚異常の原因が加齢や白内障に関連する場合、色の見えの変化は“見えにくさ”に留まらず、生活リズムや医療安全の周辺領域に波及し得ます。参天製薬の解説では、短波長光の取り込みが減少すると概日リズムのコントロールがうまくいかず、不眠などの睡眠障害を引き起こすことが「いわれている」と述べられています。

これは眼科領域の話に見えますが、慢性疾患管理(糖尿病、フレイル、転倒)や服薬アドヒアランスにも連鎖しうるため、多職種連携で拾う価値があります。

医療従事者が実務で使える工夫としては、色覚異常を疑う患者に対し「色」そのものよりも“作業の失敗”を具体的に聞くことです。参天製薬の解説にある黒と紺の誤認や、炎の見え方の変化による事故リスクは、患者が語りやすく、同時に介入(環境調整・道具の変更)につながる情報です。

さらに、薬剤PTPの色・点滴ラインの色分け・警告ラベルの識別など、医療現場の色依存は想像以上に多いため、患者側の色覚変化を前提にした説明(文字情報の併用、コントラスト強化)を意識すると、ヒヤリ・ハットの低減に寄与します。


原因カテゴリ 起こりやすい機序の要点 臨床での拾い上げ
網膜 S錐体が少なく初期から影響を受けやすく、青黄色覚異常が出やすい 変視症・中心暗点・暗所視の随伴、視力良好でも色の違和感を重視
視神経 色情報の伝達障害で赤緑/青黄など多様なパターン 左右差、中心暗点、色の褪せの訴え、眼球運動痛の有無
緑内障 眼圧関連の神経障害で錐体系にも影響し得る 視野・OCT・眼圧・乳頭所見と総合評価
加齢/白内障 水晶体黄変で短波長光が届きにくく、色が黄・茶・赤み寄りに 黒/紺の誤認、炎や段差の見え方など安全面の問診
薬剤 代表例としてエタンブトールの中毒性視神経症など 投与開始からの期間、腎機能・栄養・糖尿病など悪化因子も確認
  • ⚠️「後天性色覚異常=体質」ではなく、網膜・視神経・脳・水晶体・薬剤など“原因検索が必要な症候”として扱う。
  • 🔎 色覚検査の結果だけで完結せず、視野・OCT・眼底・薬剤歴・全身背景のセットで鑑別の精度を上げる。
  • 🧯 生活指導は、転倒・火傷などの事故予防まで含めると臨床価値が高い。