滲出型加齢黄斑変性 治療
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滲出型加齢黄斑変性 治療 抗VEGF薬 硝子体内注射
滲出型加齢黄斑変性は、従来「滲出型AMD」と呼ばれてきた領域ですが、近年は「新生血管型(neovascular)AMD」として捉える流れが強く、中心概念は黄斑新生血管(MNV)と滲出性変化です。診断確定にはMNVの存在確認が望ましい一方で、出血や線維性瘢痕などから十分な確度でMNVを疑えれば臨床診断として扱える、と整理されています。
治療の第一選択は抗VEGF薬の硝子体内注射で、国内で新生血管型AMDに使用できる薬剤として、ラニビズマブ、アフリベルセプト、ブロルシズマブ、ファリシマブが挙げられています。 抗VEGF薬の有効性は各薬剤の代表的臨床試験で視力改善として示されており、薬剤選択は「効果」「持続」「安全性」「患者背景(通院可能性・片眼/両眼・僚眼リスク)」を総合して判断するのが現実的です。
臨床で説明しやすい枠組みは「導入期」と「維持期」です。導入期は通常、1か月ごとに連続3回(薬剤によっては4回)投与し視力改善を図る時期、維持期はその後に視力の安定化を図る時期、とガイドラインで定義されています。
なお、ブロルシズマブでは眼内炎症は他薬剤でも起こり得る一方、網膜血管炎や網膜血管閉塞を含む眼内炎症が多いという報告があり、使用時は早期発見・対応を強く意識すべきとされています。 ここは患者説明でも「頻度は高くないが重い副作用の可能性」「異常時の受診の重要性」を、具体的症状(視力低下、飛蚊症、眼痛など)に落として共有しておくと、医療安全の観点でも有効です。
滲出型加齢黄斑変性 治療 導入期 維持期 treat-and-extend PRN
維持期の投与方法は、大きく固定投与法、必要時投与法(PRN)、treat-and-extend(TAE)に整理されます。 固定投与は試験で多用され、PRNは「毎月診察し活動性があれば投与」という運用で広がりましたが、導入期後のPRNは毎月投与と比べ2年で視力低下することがCATT studyやHARBOR studyで示された、とガイドラインで言及されています。 実臨床でも長期PRNで改善視力を維持できず悪化する報告がある点は、治療設計の重要な背景です。
TAEは「活動性に応じて投与間隔を調整する」能動的な維持戦略で、TREX-AMD studyで毎月投与と同程度の視力改善・維持効果が示されたと整理されています。 さらに日本人データとして、アフリベルセプトのTAE(2週または4週刻み調整)を比較したALTAIR studyで、視力・網膜厚改善の効果が96週でも認められたとされています。 メタ解析でも、TAEは固定と比べ2年間同等の視力改善、PRNより良好な視力成績が示される一方、投与回数はPRNより増える傾向がある、とまとめられています。
活動性評価はOCTが中心になっており、IRF(網膜内液)、SRF(網膜下液)、sub-RPE fluid、SHRM(フィブリンや出血を含む網膜下高反射物質)などを、黄斑だけでなく病変全体をスキャンして見落としを減らすことが勧められています。 ここが診療の“差”になりやすく、例えば「中心窩は落ち着いているが、病変端の活動性が残っている」ケースでは、視力が保たれているほど再燃が遅れて気づかれやすいという臨床的な落とし穴があります(検査範囲の設計が重要)。
治療継続期間は、TAEを「いつまで継続するか一定の見解はない」とされ、患者の社会的状況や僚眼の状態も考慮し臨機応変に選ぶことが望ましい、とされています。 つまり、医学的正解を一つに固定するより、①OCT活動性、②再発履歴、③通院負担、④片眼/両眼、⑤ロービジョン化リスク、をセットで説明して合意形成することが、医療従事者に求められる実務です。
滲出型加齢黄斑変性 治療 PCV PDT 併用療法
PDT(光線力学的療法)は、現在の位置づけとして「新生血管型AMDにPDTを行う際は、安全性および視力改善の点から抗VEGF薬併用が推奨」とガイドラインで明確にされています。 特にPCVは治療選択肢の一つとして抗VEGF併用PDTが残っており、臨床では「抗VEGF単独での滲出コントロールが不十分」「ポリープ状病巣のコントロールを狙いたい」などで検討されます。
一方で、PDTは長期的に黄斑萎縮を増悪させる可能性があるため、治療前に脈絡膜が薄い、あるいはすでに黄斑萎縮がある症例は避けるのが望ましい、と注意喚起されています。 また3型MNVに対するPDTは現在推奨されない、と整理されています。 つまり、PDTは「効くから足す」ではなく、「効く病型・局面を選び、長期の萎縮リスクも織り込む」治療です。
ここで意外に見落とされがちなのが、PDTの手技要件です。PDTの施行には眼科PDT認定医の取得が必要、と明記されています。 連携体制(紹介・逆紹介)を含めて治療計画に組み込めるかどうかは、施設要因として実臨床の成否に直結します。
滲出型加齢黄斑変性 治療 不応例 切り替え 合併症
抗VEGF治療中に効果が乏しい(治療抵抗例)・効果が減弱した(耐性獲得)場合、他剤への切り替えが有効なことがあり、治療負担を考慮して切り替えを検討することもある、とガイドラインに記載されています。 さらに治療不応・不十分例では、抗VEGF薬の切り替え、または抗VEGF薬/PDT併用療法を考慮する、というフローチャートの注記も提示されています。
合併症としては、注射に伴う眼内炎症リスクは全薬剤であり得ること、特にブロルシズマブでは網膜血管炎・網膜血管閉塞を含む眼内炎症が多い報告があることが示されており、投与後の症状聴取と迅速対応が重要になります。 一方、病態由来の急性増悪として黄斑下出血(黄斑下血腫)を生じると不可逆的な視力低下に直結し得るため、発症早期の介入(硝子体内気体注入術、硝子体切除術など)で血腫移動により視力改善が得られる可能性がある、とされています。 その際、抗VEGF硝子体内注射やtPA(適応外使用)の併用に言及はあるものの、適応はさらなる議論が必要とも記載されており、実施するなら院内手順(適応外使用の同意、記録、倫理)まで含めて整理が必要です。
末期の扱いも重要で、線維性瘢痕・囊胞様黄斑変性・萎縮性変化を伴い著しく視力が低下した症例、また疾患活動性が乏しい線維性瘢痕や萎縮に伴う囊胞様黄斑変性は積極的治療適応とならず経過観察を考慮する、とされています。 「治療をやめる=見捨てる」ではなく、「活動性の治療」と「生活機能の支援」を分けて提案する姿勢が、医療者側の説明責任を助けます。
滲出型加齢黄斑変性 治療 禁煙指導 食生活 改善 サプリメント(独自視点)
検索上位では薬剤・注射スケジュールが中心になりがちですが、医療従事者向けに差別化するなら「生活指導を治療継続の一部として設計する」視点が効きます。ガイドラインでは、喫煙は修正可能な危険因子であり積極的禁煙指導が勧められる、とされ、日本人疫学研究(Funagata/Hisayama/Nagahama)で喫煙とAMDの関連が報告され、Hisayama studyでは喫煙により後期AMD発症が4倍に増加した、と記載されています。 これは患者教育の“根拠として強い数字”であり、外来で短時間に行動変容を促す材料になります。
食生活については、長鎖オメガ3多価不飽和脂肪酸、亜鉛・銅、ビタミンC/E、ルテイン/ゼアキサンチンなどを多く含み、飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸が少ない食事が、未発症から発症リスク、または中期から後期への進行リスクを減少させる報告がある、とされています。 ただし日本人対象の栄養疫学研究は少なく、欧米結果がそのまま当てはまらない可能性もある、と慎重な書き方もされているため、患者説明では「一般論として推奨」「過剰な断定は避ける」が安全です。
サプリメントはAREDS/AREDS2の枠組みが重要で、AREDS2処方(ビタミンC 500mg、ビタミンE 400IU、ルテイン/ゼアキサンチン 10mg/2mg、亜鉛25mg、銅2mg)が表として示されています。 一方で、早期から中期への進行抑制効果は示されていない、過剰摂取による副作用にも注意、海外データ中心で日本人で十分検証されたわけではない、という注意点も同じガイドライン内で併記されています。
この領域での“意外な実務ポイント”は、サプリや禁煙・食事指導が「視機能を守る」だけでなく、「通院・注射を継続できる状態を作る」支援策になり得る点です。長期治療が前提で完治が不可能、治療と長期管理が不可欠と明記されているため、生活指導は補助ではなく、治療継続のインフラとして位置づけるとチーム医療(看護・視能訓練士・薬剤師)に落とし込みやすくなります。
治療と長期管理を行わないと不可逆的視力低下を容易に引き起こすこと、再発すること、滲出反復で萎縮や線維性瘢痕を合併して視力が低下すること、僚眼にも高率にMNVが生じることを念頭に管理する必要がある、とされています。 高度な視機能低下を来した患者にはロービジョンケアを積極的に行うことも推奨されており、薬物治療の“先”まで含めた設計が医療従事者向け記事の価値になります。
新生血管型加齢黄斑変性の用語・病期分類、抗VEGF・PDT・TAE/PRNなどの標準的整理(本文の根拠)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/nvAMD.pdf