化学性結膜炎 症状と原因と初期対応
化学性結膜炎 症状と重症度評価の基本
化学性結膜炎の症状は、異物感・強い疼痛・流涙・羞明・充血といった表層的な刺激症状から始まり、重症化すると結膜浮腫(ケミーシス)、角膜上皮欠損、角膜混濁、さらには角膜潰瘍や穿孔に至ることがあります。
特にアルカリ性物質による損傷では、組織内への浸透が速く深いため、結膜や角膜の壊死・白色化、輪部虚血の有無を観察し、視力低下の程度も含めた評価が必要です。
臨床では、視力測定・スリットランプでの角膜上皮障害の範囲評価に加え、結膜嚢のpHをリトマス紙で確認し、中性に戻っているかをみることが重要です。
重症度分類の一例として、角膜透明性と輪部虚血の程度を指標としたグレード分類があり、輪部虚血が広範なグレード3以上では、視力予後が洗眼とステロイド治療の質に大きく左右される点が強調されています。
参考)Chemical (Alkali and Acid) Inj…
また、患者訴えだけでなく、眼瞼痙攣で十分に眼を開けられない症例では、点眼麻酔下で眼瞼を開き、結膜嚢内に残存する固形物や結晶の有無を必ず確認する必要があります。
一見軽症に見えても、アルカリ曝露後数時間から数日で角膜潰瘍が進行することがあり、初診時に軽視すると予後不良につながるため、フォローアップの必要性も重症度評価の一部として患者・家族に説明すべきです。
参考)角膜化学腐蝕について
化学性結膜炎 原因物質とリスクシーン
化学性結膜炎の原因物質としては、家庭・医療現場では酸性洗剤、塩素系漂白剤、アルコールや次亜塩素酸系消毒液、手指消毒用エタノール、ヘアカラー剤などが多く、産業現場ではアルカリ性洗浄剤、コンクリートや石灰、工業用溶剤・酸・アルカリなどが典型的です。
日本眼科医会の解説では「化学物質が眼に入ったら、医療機関受診前でも流水で10分以上洗眼する」ことが推奨されており、一般向け啓発でも原因物質のpHや種類を把握し、現物や容器を持参するよう案内することの重要性が示されています。
職場曝露の疫学を見ると、化学物質による職業性眼外傷の多くは清掃・洗浄作業中に発生し、洗浄剤・消毒薬への暴露が全体の約3割を占めるとする報告があります。
参考)https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15459624.2023.2210183
この研究では、PPE(ゴーグル等)の不適切使用、作業手順書の欠如、時間的プレッシャーや疲労といった人的要因が化学暴露の主な背景として挙げられており、単なる個人ミスではなく、組織要因を含めたリスク評価が必要とされています。
医療施設内に限っても、消毒用アルコールの噴霧、次亜塩素酸ナトリウムや高レベル消毒薬(グルタラールなど)の取扱い、検査室・手術室での洗浄作業がリスクとなり得ます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8837299/
医療従事者の急性眼曝露の解析では、全職業性有害眼曝露のうち化学物質飛散が約28%を占め、感染性結膜炎に次いで多い原因であり、PPE教育と作業環境整備の重要性が再確認されています。
化学性結膜炎 初期洗眼と救急対応の実際
化学性結膜炎の治療で最も重要なのは「とにかく早く・大量に洗う」ことであり、眼科専門医受診前であっても、水道水などの流水で最低10〜20分以上、可能なら1〜2L以上の洗眼を行うことが推奨されています。
救急外来到着時にも、患者自身が洗眼したと申告していても不十分なことが多いため、生理食塩水や水道水を用いて再度洗眼を行い、洗眼中は患者に上下左右を向いてもらって結膜嚢の隅々まで洗い流します。
洗眼時には、点眼麻酔薬を使用して眼瞼痙攣を抑え、開瞼器や指で眼瞼を十分に開き、上眼瞼を翻転して結膜嚢内の固形物・結晶を綿棒などで除去することが重要です。
洗眼のゴールは「痛みが軽くなること」ではなく「結膜嚢pHが中性に戻ること」であり、洗眼前後でpH試験紙を用いて評価し、中性化が確認できるまで洗浄を継続します。
初期対応のプロトコルとして、一般向けには「原因を問わず、まずは流水で洗いながら受診」「薬品名・製品ラベルを持参」と説明し、救急外来スタッフ向けには「トリアージ時点で洗眼を開始し、詳細な問診や書類作成は後回し」といった運用が推奨されます。
参考)https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=23
特にアルカリ曝露の場合は、早期の徹底した洗眼が角膜混濁や瘢痕、視力障害の発生率を大きく左右するため、医療従事者全体で「pHが戻るまで洗う」という共通認識を持つことが重要です。
化学性結膜炎 洗眼後の薬物治療とフォロー
十分な洗眼後は、角膜・結膜の炎症と疼痛を抑え、感染を予防しつつ上皮治癒を促進する目的で薬物治療を行います。
実臨床の例として、ベタメタゾン点眼0.1%を1日4回、レボフロキサシン点眼1.5%を1日3回、就寝前に抗菌眼軟膏(オフロキサシンなど)を併用するレジメンが紹介されており、角膜上皮障害がある場合は特に感染予防が重視されます。
中等度以上の化学眼外傷では、全身ステロイド(例:プレドニゾロン10mg/日またはベタメタゾン1mg/日)を1〜2週間程度内服し、炎症を抑えて瘢痕形成や角膜血管新生を減らすことが視力予後の改善につながるとされています。
一方で、ステロイドは角膜上皮治癒遅延や感染増悪のリスクもあるため、角膜上皮の状態や感染徴候をこまめに評価しながら、使用期間と減量タイミングを調整する必要があります。
疼痛管理としては、角膜上皮障害による強い眼痛に対し経口鎮痛薬(NSAIDsなど)を併用し、場合によっては瞳孔散大薬で毛様体痙攣痛を軽減することもあります。
フォローアップでは、初期の数日は1日〜数日に一度の頻回受診で角膜上皮の再生状況、二次感染、眼圧変動(ステロイド使用時)をチェックし、輪部虚血や瘢痕の進行がないかを確認することが推奨されます。
化学性結膜炎 職場曝露と予防・教育の独自視点
職業性の化学性結膜炎では、「原因物質そのもの」よりも「作業手順・組織文化」がリスク因子となっていることが、毒物情報センターのデータ解析から示唆されています。
具体的には、作業手順書が存在しない、時間的な追い込みや残業による疲労、PPE(ゴーグル・フェイスシールド)の未装着、洗眼設備の位置が分かりにくいといった組織・環境要因が、化学物質眼曝露の背後に高頻度で認められました。
医療施設内でも、清掃・消毒・検査機器洗浄などの「非医療行為」に従事するスタッフや委託業者が、化学性結膜炎の高リスク群となります。
ところが、多くの院内教育では、針刺しや感染性曝露に比べ、化学性眼外傷への具体的な初期対応(瞬時の洗眼・pH確認・眼科連携)が十分にカバーされていないことが、実務上のギャップとして浮かび上がっています。
独自の視点として、院内の「化学性結膜炎シミュレーション訓練」を提案できます。例えば、次のような要素を含めると、現場力が大きく向上します。
- 洗眼ボトル・洗眼装置まで実際に走行し、開始までの時間を計測するドリル。
- 清掃スタッフや学生も参加し、「誰が最初に洗う指示を出すか」を決めておくロールプレイ。
- 製品ラベルからpHや成分を読み取り、眼科への情報共有フォーマットに転記する演習。
さらに、労働衛生の観点からは「危険物を減らす」「代替品を使う」といった上流対策が法令上も優先されるべきとされています。
たとえば高pHの強アルカリ洗浄剤を、より低pH・低腐食性の製品に置き換える、噴霧式から閉鎖系洗浄システムに変更するなど、「そもそも眼に飛ぶ可能性を減らす設計」を検討することが、PPEや教育と並ぶ重要な予防策になります。
化学眼外傷の一般的な解説と、患者向けにも利用しやすい洗眼の重要性・受診の目安が整理されています(初期対応・患者説明の参考)。
救急外来における角結膜化学外傷の初期対応、洗眼手技、ステロイド・抗菌薬治療の具体例が詳しくまとめられています(医師・看護師の初期対応と治療方針の参考)。
化学物質による職業性眼外傷の原因分析と、組織要因も含めた予防戦略が検討されており、院内安全対策や教育プログラム構築の背景資料として有用です。
Causal factors of work-related chemical eye injuries

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