インテバンの効果と作用機序
インテバンのプロスタグランジン合成阻害機序
インテバンの有効成分であるインドメタシンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)として分類され、体内でプロスタグランジンの合成を阻害することで効果を発揮します 。
参考)肩・関節の痛みや腫れの塗り薬|インテバンの使い方と副作用まと…
プロスタグランジンは炎症や痛みの原因となる生理活性物質で、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によって産生されます。インドメタシンはこのCOXを阻害することで、炎症性メディエーターの産生を効果的に抑制します 。
具体的な作用機序として、以下のプロセスが確認されています。
- 抗炎症作用:腫脹、発赤、局所熱感等の除去
- 鎮痛作用:知覚神経線維終末における発痛物質ブラジキニンの拮抗阻害
動物実験においても、化学的刺激による発痛実験(酢酸Writhing法、フェニルキノンWrithing法)や炎症足を用いたRandall-Selitto法で鎮痛効果が認められており、科学的根拠に基づいた効果が実証されています 。
インテバンの外用薬としての経皮吸収特性
インテバンは外用薬として使用された場合、優れた経皮吸収特性を示します 。臨床研究において、健康成人男性の大腿部前面に薬剤2枚を1日2回、28日間連続貼付した結果、インドメタシンの平均血漿中濃度は貼付1日目で6.2ng/mLを示し、28日目まで7ng/mL前後の安定した濃度で維持されることが確認されています 。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00054837.pdf
人工膝関節全置換術予定患者への貼付試験では、各組織内濃度において以下の結果が得られました :
参考)https://teika-products.jp/mdcFiles/doc/mdc30.pdf
- 皮下組織:20.7ng/g
- 関節包滑膜:21.6ng/g
- 滑膜:19.0ng/g
- 血清:1.33ng/mL
この結果から、インテバンは塗布部位の深部組織まで効果的に浸透し、血清中濃度よりも高い濃度で患部に分布することが実証されています 。
インテバンの製剤別効果比較と使い分け
インテバンには軟膏、クリーム、外用液の3つの製剤があり、それぞれ異なる特徴と適応があります 。
製剤タイプ | 特徴 | 適用場面 |
---|---|---|
軟膏 | 保湿力が高く刺激が少ない | 乾燥した患部や敏感肌 |
クリーム | べたつきが少なく伸びが良い | 日常使用で快適性を重視 |
外用液 | さらっとした使用感 | 有毛部や汗をかきやすい部位 |
各製剤の薬理試験結果では、軟膏と外用液でほぼ同等の効果が確認されています :
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00007492.pdf
鎮痛作用(Randall-Selitto法による疼痛閾値上昇率)。
- 軟膏:20.5%
- 外用液:25.0%
抗炎症作用(カラゲニン足浮腫抑制率)。
- 軟膏:32.3%
- 外用液:35.4%
これらの結果から、製剤間で有意な効果差はなく、患者の症状や使用部位に応じて最適な製剤を選択できることが分かります 。
インテバンの臨床効果と有効率データ
インテバンの臨床効果については、7種の二重盲検比較試験を含む複数の臨床試験で検証されており、各疾患に対する有効率が明確に示されています 。
主要疾患別有効率。
- 変形性関節症:44.8%(469/1048症例)
- 肩関節周囲炎:51.5%(169/328症例)
- 腱・腱鞘炎、腱周囲炎:52.8%(206/390症例)
- 上腕骨上顆炎(テニス肘等):53.5%(84/157症例)
- 筋肉痛:50.7%(153/302症例)
- 外傷後の腫脹・疼痛:68.3%(635/930症例)
特に注目すべきは外傷後の腫脹・疼痛に対する68.3%という高い有効率です。これは急性期の炎症反応に対するインドメタシンの強力な抗炎症作用を反映しています 。
副腎エキス含有経皮複合消炎剤を対照薬とした二重盲検比較試験では、変形性関節症、肩関節周囲炎、外傷後の腫脹・疼痛において、インテバンの有用性が統計学的に証明されています 。
インテバンの副作用プロファイルと注意点
インテバンの副作用発現頻度は比較的低く、外用薬としての安全性が確認されています 。
主要副作用の発現頻度。
比較的よくみられる副作用(0.1~5%未満)。
- かゆみ
- 発疹
- 発赤
まれに起こる副作用(0.1%未満)。
- ヒリヒリ感
- 乾燥感
- 熱感
- 腫れ
内服薬のインドメタシンと比較して、外用薬は全身への影響が少なく、消化器系への副作用リスクも大幅に軽減されています 。
禁忌事項として以下が挙げられています :
参考)インテバン坐剤50の基本情報(副作用・効果効能・電子添文など…
外用薬においても皮膚の感染症を不顕性化するおそれがあるため、感染を伴う炎症に対しては適切な抗菌剤や抗真菌剤との併用が推奨されています 。
参考)https://www.mikasaseiyaku.co.jp/wp/wp-content/uploads/mika_c1.pdf
インテバンは1980年に軟膏が初めて発売されて以来、40年以上にわたって臨床現場で使用され続けており、その安全性と有効性が長期間にわたって実証されている信頼性の高い薬剤です 。