トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の効果と副作用リスク

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の効果と副作用

市販の風邪薬と併用すると肝障害リスクが急増します

この記事の3つのポイント
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配合剤の特性

トラマドール37.5mgとアセトアミノフェン325mgを含む配合剤で、作用機序の異なる2成分により相乗的な鎮痛効果を発揮します

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重大な副作用リスク

1日4錠(1500mg)超の長期投与で肝障害リスクが上昇し、退薬症候や依存性にも注意が必要です

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併用禁忌と注意

MAO阻害薬との併用は絶対禁忌で、市販薬に含まれるアセトアミノフェンとの重複にも十分な注意が必要です

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の基本的な特徴

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤は、代表的な商品名として「トラムセット配合錠」や「トアラセット配合錠」として知られています。本剤は1錠中にトラマドール塩酸塩37.5mgとアセトアミノフェン325mgを含有する配合剤です。

作用機序の異なる2つの鎮痛成分を組み合わせることで、単剤では得られない相乗的な鎮痛効果を実現しています。トラマドールは弱オピオイド鎮痛薬に分類され、μオピオイド受容体への作用とモノアミン再取り込み阻害作用という二重の機序で鎮痛効果を発揮します。一方、アセトアミノフェンは主に中枢神経系で鎮痛作用を示すと考えられており、内因性オピオイドの増加により間接的にμ受容体活性を上げることが知られています。

これら2成分の相乗効果が基本です。

本剤の適応症は「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛」であり、具体的には非がん性慢性疼痛変形性膝関節症腰痛症など)と抜歯後の疼痛が保険適応となっています。WHOの疼痛治療ラダーにおいて、NSAIDsなどの非オピオイド鎮痛薬で効果不十分な場合の二段階の選択肢として位置づけられています。

トラムセットは先発医薬品として2011年に承認され、その後トアラセットをはじめとする多数の後発医薬品が発売されました。いずれも同一の有効成分と含有量を持つため、臨床効果に差はありません。医療従事者として患者指導を行う際には、先発品・後発品のいずれであっても同様の注意事項が適用されることを認識しておく必要があります。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報では、本剤の詳細な適応症や用法用量が確認できます

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の副作用プロファイル

本剤の副作用は、トラマドールとアセトアミノフェン双方の副作用が発現する可能性があることが添付文書で強調されています。頻度の高い副作用として、悪心・嘔吐(10%以上)、傾眠、便秘、めまい(5%以上)が報告されています。

これは使えそうです。

重大な副作用として特に注意が必要なのは、肝機能障害です。警告欄に「本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがある」と明記されており、アセトアミノフェンの1日総量が1500mg(本剤4錠)を超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能検査を実施することが求められています。

アセトアミノフェンは市販の風邪薬や解熱鎮痛薬にも広く含まれているため、患者が自己判断で市販薬を併用した場合、知らず知らずのうちにアセトアミノフェンの過量投与となるリスクがあります。このため、本剤を処方する際には、患者に対して市販薬との併用を避けるよう徹底した指導が必要です。医療従事者は、特にOTC医薬品にもアセトアミノフェンが含まれることを患者に具体的に説明し、購入前に薬剤師に相談するよう促すべきでしょう。

依存性及び退薬症候も重要なリスクです。長期使用時に耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがあり、本剤の中止または減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることが報告されています。

つまり急な中止は避けるということですね。

投与を必要としなくなった場合は、退薬症候を避けるため漸減するなど慎重に投与を中止する必要があります。患者が自己判断で急に服用を中止しないよう、あらかじめ説明しておくことが重要です。

セロトニン症候群のリスクにも注意が必要です。トラマドールはセロトニン再取り込み阻害作用を有するため、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬と併用した場合、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス等)が発現する可能性があります。

厳しいところですね。

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の併用禁忌薬と注意点

本剤には複数の併用禁忌薬が設定されており、医療従事者は処方前に必ず確認する必要があります。最も重要なのはMAO阻害剤との併用禁忌です。

MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩など)を投与中の患者、または投与中止後14日以内の患者には本剤を投与してはいけません。また、本剤投与中止後にMAO阻害剤の投与を開始する場合には、2~3日間の間隔を空けることが必要とされています。MAO阻害剤との併用により、相加的に作用が増強され、セロトニン作用の過剰な増強により重篤な有害事象が発現する危険性があります。

実際に、パーキンソン病治療薬であるエフピー(セレギリン)を服用中の患者に本剤が処方され、疑義照会となった事例が報告されています。併用禁忌を見落とす背景には、患者が他院で処方された薬を申告しないケースや、お薬手帳の確認が不十分なケースがあるため、調剤時には必ず複数の情報源から服薬歴を確認することが求められます。

ナルメフェン塩酸塩水和物との併用も禁忌です。これはオピオイド受容体への競合的阻害により、本剤の鎮痛効果が減弱するためです。

併用注意薬も多岐にわたります。

特に重要なのは以下の薬剤です。

中枢神経抑制剤との併用

バルビツール酸誘導体、ベンゾジアゼピン系薬剤などとの併用により、相互に中枢神経抑制作用が増強され、呼吸抑制や過度の鎮静が起こる可能性があります。併用が避けられない場合は、投与量を慎重に調整し、患者の呼吸状態や意識レベルを綿密にモニタリングする必要があります。

セロトニン作用薬との併用

SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬などとの併用により、セロトニン症候群のリスクが高まります。

結論はリスク管理が必須です。

併用する場合は、患者に対してセロトニン症候群の初期症状(不安、興奮、発熱、発汗など)を説明し、異常を感じたらすぐに医療機関に連絡するよう指導することが重要です。

トラマドールまたはアセトアミノフェン含有製剤との併用

本剤は配合剤であるため、トラマドール単剤(トラマール等)やアセトアミノフェン単剤(カロナール等)、あるいはアセトアミノフェンを含む配合剤との併用により、過量投与となるリスクがあります。

過量投与に注意すれば大丈夫です。

持田製薬の製品Q&Aページでは、トラムセットの併用注意や患者指導に関する詳細な情報が提供されています

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤の適正な用法用量

本剤の用法用量は適応症により異なります。非がん性慢性疼痛の場合、通常成人には1回1錠を1日4回経口投与し、投与間隔は4時間以上空けることとされています。症状に応じて適宜増減しますが、1回2錠、1日8錠を超えて投与してはいけません。

抜歯後の疼痛の場合も基本的な用法は同じですが、疼痛の程度により初回のみ2錠を投与することができます。ただし、2回目以降の投与間隔は4時間以上空ける必要があります。

1日最大量は8錠が上限です。

空腹時の投与は避けることが望ましいとされています。これはアセトアミノフェンの胃腸障害を軽減するためです。患者には食後または食間に服用するよう指導しましょう。

高齢者では、一般に生理機能が低下しているため、患者の状態を観察しながら慎重に投与する必要があります。腎機能障害や肝機能障害のある患者では、薬物の血中濃度が上昇し、作用及び副作用が増強するおそれがあるため、より慎重な投与が求められます。腎機能に応じて投与間隔を延長する、あるいは投与量を減量するなどの配慮が必要な場合もあります。

投与期間についても注意が必要です。慢性疼痛患者においては、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討することが求められています。長期投与が見込まれる場合は、最初から適切な疼痛評価を行い、本剤の投与が本当に必要かどうかを慎重に判断すべきです。痛みが改善した場合は漫然と投与を継続せず、減量や中止を検討することが重要です。

トラマドール・アセトアミノフェン配合剤使用時の患者指導ポイント

本剤を処方する際の患者指導は、副作用の予防と早期発見、そして適正使用の確保において極めて重要です。医療従事者として押さえておくべき具体的な指導ポイントを説明します。

まず、運転や危険を伴う機械操作について厳重に注意する必要があります。本剤により眠気、めまい、意識消失が起こることがあり、実際に意識消失により自動車事故を起こした例も報告されています。患者には服用期間中は自動車の運転や高所作業などを避けるよう、明確に指導しましょう。

意外ですね。

飲酒により薬の作用が強くあらわれ、呼吸抑制が起こることがあるため、使用中の飲酒は厳に慎むよう説明する必要があります。患者の中には「少量なら大丈夫」と考える方もいますが、本剤服用中はアルコール摂取を完全に避けるべきことを強調しましょう。

市販薬との併用リスクについては、特に丁寧な説明が求められます。アセトアミノフェンは総合感冒薬、解熱鎮痛薬、頭痛薬など多くの市販薬に含まれており、患者が無意識のうちに重複服用してしまうケースが少なくありません。具体的な商品名の例を挙げて説明し、市販薬を購入する際は必ず薬剤師に相談するよう指導することが効果的です。過量投与による肝障害のリスクは必須の説明事項です。

副作用の初期症状を患者自身が認識できるようにすることも重要です。以下のような症状が現れた場合は速やかに医療機関に連絡するよう説明します。

📌 すぐに連絡すべき症状

服薬のタイミングと継続性についても指導が必要です。痛みがある時だけ服用するのではなく、処方された用法用量を守って規則的に服用することで、安定した鎮痛効果が得られます。一方で、痛みが改善してきた場合は自己判断で中止せず、医師に相談して徐々に減量していくことの重要性を説明しましょう。

退薬症候が条件です。

妊娠中または妊娠の可能性のある女性に対しては、本剤の使用は推奨されません。トラマドールは胎盤を通過し、新生児に痙攣発作、身体的依存及び退薬症候、並びに胎児死亡及び死産が報告されています。

また、授乳中の使用も避けるべきです。

女性患者には、妊娠の予定がある場合や妊娠が判明した場合は速やかに医師に相談するよう伝えましょう。

保管方法についても説明が必要です。本剤には依存性のリスクがあるため、他人に譲渡したり、乱用されることのないよう厳重に管理する必要があります。小児の手の届かない場所に保管し、余った薬は適切に処分するよう指導しましょう。

くすりのしおりでは、患者向けのわかりやすい服薬指導用資料が提供されており、説明の際に活用できます

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