テルビナフィン内服添付文書で知る禁忌と副作用の全知識

テルビナフィン内服の添付文書を正しく読む

投与開始後2ヵ月間、肝機能を月1回チェックしないと患者が死亡するケースがあります。

📋 この記事の3ポイント要約
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警告:重篤な肝障害リスク

肝不全・肝炎・胆汁うっ滞・黄疸などが0.01%の頻度で発生し、死亡例も報告されている。投与開始後2ヵ月間は月1回の肝機能検査が必須。

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禁忌:重篤な肝障害患者・授乳婦

重篤な肝障害患者への投与は禁忌。授乳中の婦人も原則禁忌で、やむを得ない場合は授乳を中止させること。

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投与期間:疾患ごとに異なる

爪白癬は24週間(6ヵ月)の連続投与が標準。手・足白癬(角質増殖型)は8週間、生毛部白癬(広範囲)は2週間と疾患により大きく異なる。

テルビナフィン内服の作用機序と適応疾患

テルビナフィンはアリルアミン系の経口抗真菌薬であり、真菌細胞のエルゴステロール生合成を阻害することで殺菌的に作用します。 この点がトリアゾール系(イトラコナゾールなど)と大きく異なる部分で、静菌的ではなく殺菌的に働くため、白癬への抗菌作用が特に強いとされています。 sugamo-sengoku-hifu(https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/lamisil.html)

添付文書に記載された適応疾患は主に以下の通りです。 pins.japic.or(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070909.pdf)

  • 白癬:爪白癬、手・足白癬(角質増殖型または趾間型で角化・浸軟の強い患者)、生毛部白癬(外用が適用できない広範囲)、頭部白癬、ケルスス禿瘡、白癬性毛瘡
  • 深在性皮膚真菌症:白癬性肉芽腫、スポロトリコーシス、クロモミコーシス
  • カンジダ

ポイントは「外用抗真菌剤で治療可能な患者には使用しないこと」という制限が添付文書に明記されている点です。 つまり内服が許可されるのは、外用では対応困難なケースに限定されます。これが原則です。 iwakiseiyaku.co(https://www.iwakiseiyaku.co.jp/dcms_media/other/tfttenpu20210601.pdf)

手・足白癬でも趾間型(いわゆる普通の水虫)は、角化・浸軟の強い場合のみ内服適応となるため、軽症であれば外用剤が優先されます。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00051816)

テルビナフィン内服の用法・用量と疾患別投与期間

用法・用量の基本は「成人にはテルビナフィンとして125mgを1日1回食後に経口投与」です。 年齢・症状により適宜増減することも記されています。 pins.japic.or(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061265.pdf)

疾患 標準投与期間
爪白癬 24週間(6ヵ月)連続投与
手・足白癬(角質増殖型) 8週間
生毛部白癬(広範囲) 2週間
深在性皮膚真菌症 症状に応じて判断

爪白癬では6ヵ月という長い期間が必要な理由は、薬剤が爪甲内に蓄積し病爪全体を治癒させる必要があるためです。 添付文書の薬物動態データによれば、テルビナフィン125mgを連日投与すると投与2週後より爪甲中に検出され始め、投与12週で病爪中濃度が0.78μg/gに達します。 投与終了後も爪内に薬剤が9ヵ月以上維持されることが示されており、これが長期投与の根拠となっています。 pins.japic.or(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051788.pdf)

テルビナフィン内服添付文書の警告・禁忌事項

テルビナフィン内服の警告欄には、重篤な肝障害と血液障害について明記されています。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/20201012140338_7399_upd_pdf_tmp_doc_txt.pdf)

⚠️ 警告(抜粋)

重篤な肝障害(肝不全・肝炎・胆汁うっ滞・黄疸等)および汎血球減少無顆粒球症・血小板減少があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されています。 発生頻度は0.01%と低いものの、致死的となりうるため警告レベルで記載されています。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00068739)

🚫 禁忌(絶対禁忌)

  • 重篤な肝障害のある患者(肝障害が増悪するおそれあり) pins.japic.or(https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00070909.pdf)
  • 汎血球減少・無顆粒球症・血小板減少等の血液障害のある患者 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/20201012140338_7399_upd_pdf_tmp_doc_txt.pdf)
  • 授乳中の婦人(やむを得ない場合は授乳を中止) clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00051754.pdf)

禁忌が3項目です。

重篤な肝障害患者への投与は絶対禁忌ですが、「慢性もしくは活動性等の肝疾患を有する患者」は禁忌ではなく慎重投与の対象となる点に注意が必要です。 つまり、軽度の肝機能異常があっても「重篤」でなければ投与可能ですが、投与中は頻回に肝機能検査を行う義務があります。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/20201012140338_7399_upd_pdf_tmp_doc_txt.pdf)

授乳婦については、動物実験(ラット)で乳汁中への移行が確認されているため、授乳中の投与は原則禁忌です。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/DrugInfoPdf/00051754.pdf)

詳細な添付文書情報はJAPICの検索システムで各社の最新版を確認できます。

JAPIC 添付文書検索:テルビナフィン一覧

テルビナフィン内服の重大な副作用と肝機能検査の実施タイミング

重大な副作用として添付文書に記載されているものは以下の通りです。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/EPTER1L01101-1.pdf)

  • 🔴 重篤な肝障害(肝不全・肝炎・胆汁うっ滞・黄疸等):0.01%
  • 🔴 汎血球減少・無顆粒球症・血小板減少
  • 🔴 中毒性表皮壊死融解症(TEN)・Stevens-Johnson症候群
  • 🔴 横紋筋融解症

肝障害の発症は主に投与開始後2ヵ月に集中しているというデータがあります。 だからこそ、添付文書では「投与開始後2ヵ月間は月1回の肝機能検査を行うこと」と明確に期間と頻度が規定されています。 これは努力義務ではなく、添付文書上の「重要な基本的注意」として明記された指示です。 image.packageinsert(https://image.packageinsert.jp/pdf.php?yjcode=6290005F1288)

厳しいところですね。

肝機能検査のタイミングをまとめると。

  1. 投与前:ベースラインの肝機能を確認
  2. 投与開始後2ヵ月間:月1回の肝機能検査(計2回)
  3. 2ヵ月以降:定期的に継続(頻度は医師の判断)

投与中に発疹・皮膚そう痒感・発熱・悪心・嘔吐・食欲不振・倦怠感などの随伴症状が出た場合は、肝障害の前兆の可能性があるため速やかに検査・対応が必要です。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/EPTER1L01101-1.pdf)

肝機能モニタリングを忘れないための実務上の工夫として、電子カルテの処方オーダーにアラートを設定する方法が有効です。多くのシステムで処方日数や期間に基づくリマインダー機能を利用できます。

テルビナフィン内服の薬物相互作用と慎重投与の実務的ポイント

テルビナフィンはCYP2D6を強力に阻害する薬剤です。この点は爪白癬治療において見落とされやすい重要事項です。

CYP2D6が関与する代表的な薬剤との相互作用として、以下が問題になります。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/EPTER1L01101-1.pdf)

これは使えそうです。

また、腎障害のある患者では「高い血中濃度が持続するおそれがある」として慎重投与に指定されています。 重篤な腎障害(CCr<50mL/min相当)では、通常の125mg/日でも過剰曝露になる可能性があるため、用量調節を考慮します。 med.daiichisankyo-ep.co(https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1105/20201012140338_7399_upd_pdf_tmp_doc_txt.pdf)

テルビナフィンの血漿中半減期は、反復投与後には約2.8週まで延長することが薬物動態データで示されています。 単回投与時より大幅に延長するため、投与中止後も薬剤効果・相互作用が数週間持続しうるという点は、特に手術前の薬剤中止スケジュールを考える際に重要です。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480235_6290005F1300_1_06)

PMDAの公式添付文書(最新版)は以下から確認できます。

PMDA:テルビナフィン塩酸塩錠 添付文書(最新版)