ティーツリーオイルでニキビが悪化する原因
ティーツリーオイルの原液使用による皮膚刺激
ティーツリーオイルを原液のまま肌に直接塗布すると、強い皮膚刺激を引き起こす可能性があります。特に日本人の肌には刺激が強すぎるため、原液での使用は避けるべきです。原液を使用すると、かゆみ、赤み、焼けるような感覚などの症状が現れることがあり、これがニキビの悪化につながります。
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ティーツリーオイルに含まれる1,8-シネオールという成分は皮膚刺激物質として知られており、この成分の含有量が高い製品では接触性皮膚炎やアレルギー反応が起こりやすくなります。また、酸化したティーツリーオイル(空気と接触していた古い精油)は、新鮮なものと比較してアレルギー反応を引き起こす可能性が高いことが報告されています。
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化粧品レベルの緩和な制菌作用を持つティーツリー配合製品であれば、それ自体が悪化させることは考えにくいとされていますが、アレルギーがある場合は副作用的な現象が起こる可能性もあります。
ティーツリーオイルの濃度と希釈方法の誤り
ティーツリーオイルの効果を最大限に引き出しながら安全に使用するには、適切な濃度での希釈が不可欠です。研究によると、ティーツリーオイルは25%以上に希釈すれば100%原液と同等の抗菌力を維持できることが実証されています。西オーストラリアのクイーンエリザベス2世病院の感染症研究室でも、25%濃度が原液と同じ効果を得られる最小の希釈割合であることが根拠をもって示されています。
参考)https://ameblo.jp/aroma-of-australia/entry-11768166928.html
一般的には3〜10%程度の希釈で十分な抗菌効果が期待できるため、広範囲に使用する場合は3%など低めの濃度にすることが推奨されます。15%程度に希釈してもピュアオイルと同等の効果が期待できるとされており、希釈することで刺激成分が薄まり肌に優しい製品になります。
希釈方法にも注意が必要です。ティーツリーオイルは油性のもので希釈すると力が弱くなってしまうため、水性のもので希釈することが推奨されています。これは、ティーツリーオイルに含まれる抗菌成分が水と相性が良いという特性に基づいています。キャリアオイルを使う場合は、マカデミアナッツオイルやアーモンドオイル、ホホバオイルなど粘性が低く酸化に強いものを選ぶと良いでしょう。
ティーツリーオイルのアレルギー反応と接触皮膚炎
ティーツリーオイルに対してアレルギー反応を示す人は一定数存在し、接触皮膚炎の報告も複数あります。実際に、ティーツリーオイルを含むローションをイボに塗布した若い男性が、足や脚に重度の湿疹性発疹を発症し、さらに大腿部、対側下肢、体幹、上肢にまで広がったケースが報告されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9146230/
アレルギー反応は、発疹、腫れ、かゆみ、さらには水ぶくれなどの形で現れることがあります。テルピネン-4-オールやその他のティーツリーオイル成分が接触皮膚炎の要因である可能性が指摘されています。敏感肌やアレルギー体質の人は、使用前に必ずパッチテストを行い、アレルギー反応が出ないことを確認する必要があります。
参考)ティーツリーオイルの陰部への塗り方|副作用やおすすめのオイル…
アレルギー反応が疑われる場合は、直ちに使用を中止し、患部を清潔な水でよく洗い流してください。症状が重い場合や改善しない場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
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ティーツリーオイルの抗菌成分テルピネン-4-オールとニキビへの作用
ティーツリーオイルの主要な抗菌成分はテルピネン-4-オールで、一般的に35〜40%以上含まれています。この成分がアクネ菌やその他の細菌の繁殖を抑える働きを持っており、ニキビケアに効果的とされています。
参考)https://ameblo.jp/retoojapan/entry-12888744147.html
テルピネン-4-オールには、アクネ菌を抑制してニキビの悪化を防ぐ抗菌作用、赤みや腫れを鎮める抗炎症作用、余分な皮脂を抑えて毛穴詰まりを防ぐ皮脂バランス調整作用があります。さらに、麻酔に似た作用を発揮し、痛みとかゆみを和らげる鎮痛効果も持っています。
ニキビは毛穴に皮脂と角質が詰まり、アクネ菌が異常繁殖することで発症します。アクネ菌が産生するキャンプファクターという毒素は、ヒトの免疫反応を巧妙に利用して免疫から逃れる能力を持っています。ティーツリーオイルの強い殺菌力と抗菌力は、この異常繁殖したアクネ菌を退治し、高まった免疫機能を抑えることで炎症を改善させる働きをします。
参考)第98回 徹底解説ニキビ3:発症メカニズム、アクネ菌毒素キャ…
ティーツリーオイルの抗菌・抗炎症・抗酸化特性に関する研究論文(MDPI)
ティーツリーオイル使用時の独自の注意点:酸化と保管方法
ティーツリーオイルは比較的酸化しやすい精油であるため、保管方法に注意が必要です。酸化したティーツリーオイルは新鮮なものと比較してアレルギー反応を引き起こす可能性が高くなることが知られています。そのため、冷暗所で保管し、早めに使い切ることが重要です。
古くなった精油は肌への刺激が強まるため、開封後は密閉して高温・湿度を避けた環境で保管してください。特に直射日光が当たる場所や温度変化の激しい場所での保管は避けるべきです。
キャリアオイルで希釈して保管する場合、食用のオリーブオイルやナッツオイルは酸化の影響を受けやすいため劣化が早く、1〜2ヶ月を目処に使い切る必要があります。一方、コスメ用として販売されているマカデミアナッツオイルやホホバオイルは酸化に強く、約1年程度は問題なく使えます。
また、ティーツリーオイルには微量ながら毒性があり、飲用してはいけません。特に子供では中毒を起こし、眠気、見当識障害、発疹、運動失調の原因となることが報告されており、ティーツリーオイルを1/2カップ飲用した後に昏睡状態に陥った例もあります。
ティーツリーオイルのパッチテストの正しい実施方法
ティーツリーオイルを初めて使用する際は、必ずパッチテストを実施することが推奨されます。パッチテストは、自分の肌に合うかどうかを事前に確認する重要な手順です。
参考)https://hogushi-chouette.com/2023-7-29/
具体的な手順は以下の通りです。まず、ティーツリーオイルをキャリアオイルで1〜2%濃度になるように希釈します。例えば、キャリアオイル5mlに対してティーツリーオイル1滴、または10mlに対して2滴の割合です。
参考)アロマで必須の「パッチテスト」とは?重要な理由と具体的なやり…
次に、希釈したオイルを上腕部(二の腕)の内側など目立たない部分に1円玉くらいの大きさで塗布し、自然乾燥させます。その後、2時間から48時間(理想的には24〜48時間)様子を見ます。
テスト期間中は、検査部位を水でぬらさない、絆創膏やシールを貼らない、こすらないことが大切です。通気性を良くして結果を待ち、かゆみ・赤み・腫れなどが出なければ使用してもOKです。異常が出た場合は使用を控えてください。
自分でパッチテストを行うのが不安な場合は、使いたい精油を皮膚科に持参し、パッチテストを依頼するのも確実な方法です。原液は絶対にそのまま塗らないようにしましょう。