ストロング チューハイの健康リスク

ストロング チューハイの健康リスク
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定義と特性

正式な定義は存在しませんが、ストロング系チューハイはアルコール度数7〜9%の発泡性アルコール飲料を指します。2010年から2019年の市場調査では、アルコール度数7%以上の缶チューハイの市場規模は約4倍に増加しました。

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純アルコール量

計算式:純アルコール量(g)=お酒の量(ml) × アルコール度数/100 × 0.8(アルコールの比重)。例えば350ml・アルコール度数9%の場合、純アルコール量は約25.2g。一般成人男性の1日適正飲酒量は20g程度のため、1缶で超過します。

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脳への影響

高濃度アルコールは認知機能低下、記憶障害、集中力低下を招きます。急性アルコール中毒のリスクも高まり、長期摂取は神経障害や精神障害を引き起こす可能性があります。

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人工甘味料の影響

ストロング系チューハイには大量の人工甘味料が含まれています。アルコール度数の高さに加えて、人工甘味料が肝機能に悪影響を与える可能性が指摘されていますが、最新研究では否定的な見解も存在し、因果関係については更なる研究が必要です。

ストロング チューハイの健康リスク

ストロング チューハイのアルコール代謝と肝臓への負担

 

ストロング系チューハイの高いアルコール度数は、肝臓の代謝に大きな負荷をかけます。アルコールは主にアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)と アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の2つの酵素系によって分解されます。高アルコール度数の飲料を摂取すると、肝臓のこれらの酵素が過剰に働き、アセトアルデヒドという有害な中間代謝産物が大量に生成されます。

この代謝過程で活性酸素が発生し、肝細胞のDNAや細胞膜に直接ダメージを与えます。350ml・アルコール度数9%のストロング系チューハイ1缶を飲むだけで、肝臓は通常の2倍以上の代謝負荷を強いられます。さらに常習摂取すると、肝脂肪症、肝炎、肝硬変、さらには肝がんへと進展するリスクが高まります。

患者の診察時には、γ-GT(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)やAST、ALT値に注目する必要があります。実例として、毎日ストロング系チューハイを2〜3本摂取していた50代男性が節酒によってAST値270から27へ、ALT値524から24へと劇的に改善した症例が報告されています。

ストロング チューハイのアルコール依存症リスク

ストロング系チューハイが依存症を招きやすい最大の理由は、「手軽に短時間で酔える」という特性にあります。医学的な視点では、ストレス解消や嫌なことから逃げるため、手っ取り早く酔う目的で飲用するパターンが危険です。ウイスキーや日本酒と異なり、ストロング系チューハイは1缶350〜500mlで完結する飲料形態であり、1缶飲むだけで1日の適度な飲酒量を大きく超えてしまいます。

このような消費パターンは、物質依存症としてのアルコール依存症の発症リスクを著しく高めます。医師によっては、ストロング系チューハイを「依存性の高い危険物質並みにやばい飲料」と指摘する者もいます。患者が「最近疲れやすい」「眠れないから毎晩飲んでいる」などの訴えをする場合は、ストロング系の常用について詳しく聴取すべきです。

ストロング チューハイの心血管疾患リスク

過剰なアルコール摂取は、高血圧心筋梗塞心不全などの心血管疾患リスクを増加させます。ストロング系チューハイのような高アルコール度数の飲料は、特にこのリスクを高めます。アルコール代謝時に生じる活性酸素が血管内皮細胞を傷つけ、血管の柔軟性を低下させるためです。

さらに、アルコールの過剰摂取は中性脂肪の上昇や善玉コレステロール(HDL)の低下をもたらします。結果として、動脈硬化が加速し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上昇します。糖尿病患者の場合、ストロング系チューハイはさらに危険です。1缶で女性の1日推奨飲酒量の上限に達してしまうため、特に注意が必要です。

ストロング チューハイの適切な飲酒指導ガイドライン

医療従事者は患者に対して、以下のポイントを含めた具体的な指導を行うべきです。

  • 適量の徹底:ストロング系チューハイを飲む際は、1缶ではなく半分量に限定する、または完全に避けるよう勧める
  • ゆっくり飲酒:一気飲みを避け、30分以上かけてゆっくり飲むことで急性中毒リスクを低減
  • 食事との組み合わせ:空腹時の摂取を避け、タンパク質や脂質を含む食事と共に摂取するよう指導
  • 休肝日の設置:週に最低2日は完全にアルコールを摂取しない日を設ける
  • 代替飲料の提案:アルコール度数5%以下の飲料、または無アルコール飲料への切り替えを検討

医療従事者はまた、患者がストレスや睡眠問題からアルコールに依存していないか、詳細な聴取を行う必要があります。もし心理的な依存傾向が認められた場合は、精神心理学的サポートや他科への紹介も視野に入れるべきです。

ストロング チューハイ摂取と肝臓脂質代謝の関連性

アルコール代謝はエネルギー生成を伴い、過剰摂取時には中性脂肪として肝臓に蓄積されます。ストロング系チューハイの高アルコール度数は、肝臓の脂質蓄積メカニズムをより加速させます。

アルコールはアデノシン一リン酸活性化キナーゼ(AMPK)を阻害し、結果としてペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)の活性低下を招きます。さらに、ステロール制御要素結合タンパク1c(SBRP1c)の活性が失われることで、脂肪酸の合成が加速し、脂肪肝へと進展します。

臨床的には、患者が「ストロング系チューハイを毎日飲んでいる」と報告した場合、AST、ALT、γ-GTに加えてトリグリセリド値や肝臓超音波検査を速やかに実施し、脂肪肝の有無を判定すべきです。定期的な肝機能検査は、患者の飲酒パターン把握と疾患予防における重要なツールとなります。

医療ドック「ストロング系チューハイが体に悪い理由」には、医師による詳細な健康リスク分析が記載されています。
0th CLINIC「アルコールのストロング缶について」では、医療的観点からの臨床症状と対応方法が網羅されています。
岩波書店「ストロング系チューハイについて」には、ストロング系の歴史的背景と代謝機構の詳しい解説が含まれています。

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