下直筋麻痺 hess と複視 眼位

下直筋麻痺 hess

下直筋麻痺 hessの要点
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Hess赤緑試験は「融像を外す」

赤緑で左右眼を分離し、9方向眼位を短時間に可視化して麻痺性斜視の評価に使う。

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小さい図形が麻痺側の目安

麻痺側の図形は運動が出せず縮小し、健側は過大反応で拡大しやすい。

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回旋偏位は定量できない

回旋の評価はHess単独では弱く、頭位や他検査との組み合わせが重要。


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下直筋麻痺 hess のHess赤緑試験 基本

Hess赤緑試験(Hess chart/Hessスクリーン)は、赤フィルターと緑フィルターで左右眼を「色」で分離し、融像を除去した状態で各向き眼位における眼位と外眼筋の働きを測定する検査である。

Hessスクリーンでは、碁盤目の1辺が5°に相当し、水平・上下偏位を大まかに定量できるため、経時的変化を記録して追跡しやすい。

また、9方向眼位を短時間で測定でき、麻痺性斜視の状態をビジュアルに把握しやすいことが利点として挙げられている。

一方で、Hess赤緑試験は自覚的検査であり患者応答の影響を受けやすいこと、回旋偏位を定量できないことが限界として明確に述べられている。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/b538d4dbbafc5ae2eff839c0ede9da991650e2ff

そのため検査前には遮閉試験や視診による眼球運動検査を行い、「得られた眼位図が所見を正しく記録しているか」を常に点検することが重要とされる。

医療現場では、検査結果だけで麻痺筋を即断せず、眼球運動の観察・症状(複視の方向)・頭位などを合わせて整合性を見る姿勢が安全である。

下直筋麻痺 hess の図形 大きさ 解釈

Hessチャートの読み方で重要なのは、左右の図形の「大きさ」と「歪み」で、麻痺性要素が強いほど左右差が出やすい点である。

一般的な説明として、眼筋麻痺があると麻痺側は動きが小さくなるため図形が小さくなり、健側は過剰に動いて図形が大きくなるという理解が示されている。

この左右差の背景には、左右眼に同じ指令が伝わるという共同運動(Heringの法則)の考え方を当てはめて説明することが多い。

さらに、障害筋の推定では「動きが小さい方(麻痺側)の図形」で固定点と測定点のずれが最大となる方向を探し、その方向に作用する筋が障害筋候補になる、という実践的手順が紹介されている。

参考)滑車神経麻痺

下直筋麻痺を疑う場面では、下転方向(とくに外転位での下転)でのunder actionが前景に出やすいが、同じ“下転障害”でも上斜筋や機械的制限(眼窩底骨折など)との鑑別が必要になる。

図形の大小だけに頼ると、共同性要素(斜位の混在)や代償・抑制などで読み違えるため、中心のズレ(正面視の眼位)も同時に確認する癖が役立つ。

下直筋麻痺 hess と複視 眼位 病態

下直筋は「眼を下に向ける」主作用を担い、眼球が外転位では下転、眼球が内転位では外方回旋に関与する、という整理が日本語解説として提示されている。

したがって下直筋麻痺では、単純な下転不全だけでなく、眼位や注視方向によって複視の出方・患者が訴える「見え方」が変わり得る点を押さえる必要がある。

また、回旋が関係する症状はHess単独では拾いきれないため、問診(傾き・階段・読書姿勢で増悪するか)と眼球運動の観察を重ねて、説明可能な像ずれかを確認するのが実務的である。

頭位異常(眼性頭位異常)は複視を軽減するための代償として診察上有用で、顎の上げ下げが上下直筋麻痺の補正に関わる、という枠組みが解説されている。

この枠組みを下直筋麻痺に当てると、「患者がどの頭位で楽になるか」を丁寧に拾うことが、Hess所見の整合性確認(臨床推論のエラーチェック)として効いてくる。

特に医療従事者向けには、Hessの図形所見→症状(複視方向)→頭位→眼球運動所見、の順に矛盾がないかを確認するプロセスを共通言語化するとチーム内の伝達ミスが減る。

下直筋麻痺 hess と動眼神経麻痺 鑑別

下直筋は動眼神経支配であるため、下直筋単独麻痺のように見えても、臨床では「動眼神経麻痺の部分症」として理解した方が安全な場面がある。

Hessチャート解釈では、内転・上転・下転など複数方向で制限がまとまって見える場合に動眼神経麻痺を疑う、という読み方の例が示されている。

つまり「下転が弱い=下直筋」と短絡せず、同じ眼で内転や上転にも制限が乗っていないか(=より上位の神経障害の可能性)を確認することが、鑑別の出発点になる。

またHess赤緑試験は微細な偏位も検出しうる一方、斜位が含まれた眼位図になり得るため、得られた偏位の評価は慎重に行う必要があると記載されている。

そのため、動眼神経麻痺の典型所見(眼瞼下垂や瞳孔所見など)を同時に評価し、Hessで得た“見かけの筋麻痺パターン”を過信しない姿勢が推奨される。

現場では、Hess所見が「きれいに教科書通り」にならない症例ほど、眼球運動の視診と症候(複視の訴え方)に立ち返るのが最短ルートになる。

下直筋麻痺 hess の意外な落とし穴(独自視点)

Hess赤緑試験は自覚的検査で患者応答を過信しやすい、という限界が明確に述べられているため、医療従事者側が「回答の質」を一定にする工夫が重要になる。

たとえば、指標の“見え方”が不安定な患者では、疲労・注意の揺れ・理解度の差がそのまま図形の歪みとして記録され、麻痺の増悪と誤認され得る(=経過観察で致命的なミスになりやすい)。

このリスクは「回旋偏位が定量できない」という限界と合わさると、下直筋麻痺のように回旋要素が絡み得る病態で、評価のブレをさらに増やす。

そこで実務上の対策として、検査前の眼球運動の視診・遮閉試験を必須にし、結果が所見を正しく記録しているか常にチェックする、という推奨がそのまま“安全装置”になる。

さらにチーム医療では、Hessを「麻痺筋同定の決め手」ではなく、「症状と眼球運動所見を可視化して共有するコミュニケーションツール」と位置づけると、解釈の独り歩きを防ぎやすい。

下直筋麻痺を疑った時ほど、Hessに“診断”をさせるのではなく、Hessで“矛盾を炙り出す”という使い方に切り替えるのが、再現性の高い運用になりやすい。

下直筋麻痺 hess の検査原理と限界(回旋・自覚的検査)がまとまっている(Hess赤緑試験の利点/問題点の確認に便利)

眼位検査とその評価 Hess赤緑試験(CiNii)

HESSチャートの中心ズレ・左右図形・障害筋推定の手順が日本語で整理されている(手順の再確認に便利)

滑車神経麻痺 | 脳疾患を知る(HESSチャートの解説節)