趾症一覧
趾症一覧の分類:槌趾・ハンマー趾・鉤爪趾・カール趾
趾の屈曲変形をまとめて「屈趾症」と捉え、その中を槌趾(mallet toe)、ハンマー趾(hammer toe)、鉤爪趾(claw toe)、カール趾(curly toe)に分ける考え方が整理に役立ちます。
この分類は「どの関節が主に屈曲しているか(DIP/PIP/MTP)」で臨床像が見えやすく、用語の混同(ハンマー趾と鉤爪趾の呼称ゆれ等)を減らせます。
定義の目安として、槌趾はDIP関節のみの屈曲、ハンマー趾はPIP関節の屈曲(DIPは中間位〜伸展位)、鉤爪趾はハンマー趾にMTP関節過伸展が合併する変形、カール趾は巻き趾とも呼ばれ先天性の要素が強いとされています。
ここで、医療従事者向けに「一覧」として最低限の臨床メモをまとめます(外来・病棟・訪問リハでの会話にそのまま使える粒度を意識しています)。
- 槌趾(mallet toe):DIP屈曲が中心、つま先(趾尖)やDIP背側の痛み・胼胝が目立ちやすい。
- ハンマー趾(hammer toe):PIP屈曲が中心、PIP背側の疼痛・胼胝、靴で増悪しやすい。
- 鉤爪趾(claw toe):MTP過伸展+PIP屈曲(しばしばDIPも屈曲/中間位)、神経・筋疾患や糖尿病などの背景を疑う。
- カール趾(curly toe):第3〜5趾に多く、PIP屈曲+DIP回旋で隣趾の底側に潜り込みやすい。
「槌趾=ハンマー趾の軽いもの」と短絡すると、DIP主体かPIP主体かの差が曖昧になり、胼胝位置の予測や装具・パッド選定がズレやすくなります。
参考)足指つま先の変形「マレットトゥ」。指先が自力で伸びない!
また、鉤爪趾は“形”だけでなく“病態背景(上位運動ニューロン障害など)”が絡みやすい点が、単なる靴トラブルと異なる臨床的な重みです。
参考)Botulinum toxin-A injections f…
参考:用語と定義(Lessor toe deformityの定義、槌趾/ハンマー趾/鉤爪趾の関節レベルの整理)
趾症一覧の成因:外的成因と糖尿病・関節リウマチ・神経
屈趾症(趾の屈曲変形)の成因は、大きく「不適切な履物などの外的成因」と「神経・筋疾患、糖尿病、関節リウマチなどの内的成因」に分けて考えるのが実用的です。
特にハンマー趾・鉤爪趾では、外在筋と内在筋のアンバランス(外在筋優位)が発生・進行に関わる、という力学的な説明が古典的かつ再現性があります。
一方でカール趾は、長・短趾屈筋腱の緊張が強いために生じる先天性の変形、と整理されています。
外来問診で「靴が原因か、背景疾患か」を短時間で見分けるコツは、痛みの誘因と発症の時間軸を聞き分けることです。
- 外的成因が濃い:つま先が狭い靴・toe boxがきつい靴で増悪、靴を変えると当たりが変わる、胼胝が“靴擦れの位置”に一致しやすい。
- 内的成因が濃い:糖尿病や神経障害、炎症性関節炎の既往、足趾だけでなく足部全体の筋萎縮・感覚変化、複数趾に同時進行(鉤爪趾で全5趾に生じることがある)。
意外に見落とされるのが、「痛い趾」だけを見て、足部全体のアライメント(例:外反母趾に伴う変形)を評価しないケースです。
屈趾症は“局所の趾変形”というより、“足部全体の負荷配分の破綻”の末端症状として現れることがあり、結果として中足骨頭底側の有痛性胼胝など、足底側にも問題が波及します。
趾症一覧の診断:徒手矯正・胼胝・X線・MRI
屈趾症の診断では、まずどの変形(槌趾/ハンマー趾/鉤爪趾/カール趾)に該当するかを判断し、次に原因(外的/内的)を考察する流れが推奨されます。
疼痛部位、胼胝・潰瘍などの皮膚変化を確認し、さらに「徒手的に矯正できるか(柔軟性)」を必ず評価します。
この徒手矯正の可否は治療選択に直結し、保存療法で改善が狙えるのか、骨手術も含む手術を視野に入れるのかの判断材料になります。
画像評価としてX線は、変形の程度、骨自体の変形、関節症性変化の確認に使われます。
滑膜炎や感染が疑われる場合は、MRIやCTなど追加検査へ進む、という整理が明確です。
現場では「胼胝=皮膚の問題」と片づけられがちですが、趾背側(PIP背側など)の胼胝が“靴の圧迫の結果”なのか、“関節の拘縮で逃げがない結果”なのかで介入が変わります。
また、鉤爪趾で潰瘍を作りやすいのは、趾尖が靴底や床に圧迫され、有痛性胼胝から潰瘍へ進むルートがあるためです。
糖尿病患者では運動神経障害による筋アンバランスで多様な足趾変形が生じうる、という指摘があり、皮膚の評価と同時に神経学的評価が必要になります。
趾症一覧の治療:保存療法(靴・装具・テーピング)
一般的には保存治療を最初に行い、とくに「靴の選択(toe boxにゆとり)」が重要とされています。
加えて、メタタルザルパッド付きの足底挿板や、鶏眼・胼胝部の除圧パッドなどで、局所負荷を落として疼痛を減らしながら進行を抑えます。
徒手矯正やテーピングも保存療法として挙げられますが、変形が固定化している場合は“形を戻す”より“当たりを逃がす”発想が中心になります。
疾患別の保存的アプローチの臨床メモです。
- 槌趾:足趾屈曲が靴で強制される背景が多く、まずtoe boxとサイズの見直し、先端部(趾尖/DIP背側)の除圧が実務的。
- ハンマー趾:PIP背側の胼胝・疼痛を前提に、趾背側の摩擦低減(パッド)+足底挿板で中足骨頭底側の圧上昇もケアする。
- 鉤爪趾:神経・筋疾患や糖尿病が背景なら、装具だけでなく原因疾患の評価・管理(リハの痙縮評価や感覚障害の把握)を同時に行う。
- カール趾:伸展方向への矯正ストレッチとテーピングが保存治療として挙げられ、自然矯正例もあるが、テーピングの長期成績は不明とされています。
ここで“意外な落とし穴”として、趾の変形だけを矯正しようとして、足底板の硬度・支持性が不足しているケースがあります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsfcpm/4/1/4_7/_pdf/-char/ja
屈趾症の背景に足部アライメント異常がある場合、医療用インソール(オーソティックス)などで関節への負担を減らし、痛みの緩和や進行防止を図る、という視点が重要です。
趾症一覧の独自視点:鉤爪趾とボツリヌス毒素
鉤爪趾は、脳卒中後などの痙縮を背景に生じることがあり、保存治療の一選択肢としてボツリヌス毒素注射で症状改善を狙う報告がある点が、一般的な“靴の問題”とは違うところです。
実際、痙縮によるspastic toe clawingに対してボツリヌス毒素A注射を扱った論文があり、上位運動ニューロン障害に関連するtoe clawingという病態概念が示されています。
足趾変形を「整形外科の局所問題」として完結させず、神経リハ・痙縮治療の文脈に接続できると、介入の幅が一気に広がります。
現場での使いどころ(医療者向けメモ)を、誤解が出ない範囲で整理します。
- 対象のイメージ:脳卒中後などで、MTP過伸展+PIP屈曲+DIP屈曲が目立ち、歩行や靴装着で趾尖の荷重痛や皮膚トラブルが増えるケース。
- 考え方:装具・パッドで“当たり”を逃がしつつ、痙縮が主因ならボツリヌス毒素など神経筋への介入も検討する(適応は施設・診療科の運用に依存)。
- 注意:糖尿病合併や皮膚潰瘍リスクがある場合は、足病変の感染・皮膚管理が優先順位の上位に来る。
論文(痙縮によるtoe clawingとボツリヌス毒素A)
Botulinum toxin-A injections f…
権威性のある日本語の参考:屈趾症(槌趾・ハンマー趾・鉤爪趾・カール趾)の定義、診断、保存療法・手術療法の全体像(医療者向けの概説)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsfcpm/4/1/4_7/_article/-char/ja/

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