セレギリン 副作用 併用禁忌 について
セレギリン塩酸塩とは:パーキンソン病治療における役割
セレギリン塩酸塩は、パーキンソン病治療に使用される選択的モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害剤です。商品名としては「エフピー」や「セレギリン塩酸塩錠2.5mg」などの名称で処方されています。
この薬剤の主な作用機序は、脳内でドパミンを分解する酵素であるMAO-Bを選択的に阻害することにより、ドパミンの代謝を抑制し、脳内のドパミン濃度を高めることです。これによりパーキンソン病の症状である振戦(ふるえ)、筋強剛(こわばり)、無動(動作の遅さ)などの改善が期待できます。
セレギリン塩酸塩は以下の2つの使用方法があります。
- レボドパ含有製剤との併用療法
- 通常、成人は1日1回朝食後に1錠(2.5mg)から開始
- 2週間ごとに1日量として1錠ずつ増量
- 標準維持量は1日3錠(7.5mg)
- 単独療法
- 通常、成人は1日1回朝食後に1錠(2.5mg)から開始
- 2週間ごとに1日量として1錠ずつ増量
- 1日4錠(10mg)まで
セレギリン塩酸塩は、初期のパーキンソン病患者では単独投与でも軽度の効果が認められますが、進行期のパーキンソン病患者では主にレボドパとの併用で運動症状の変動の改善効果を発揮します。
セレギリン 副作用:重大な副作用と対処法
セレギリン塩酸塩を服用する際には、様々な副作用に注意する必要があります。特に重大な副作用については、早期発見と適切な対処が重要です。
【重大な副作用】
- 精神症状
- 幻覚:実際には存在しないものを存在するように感じる
- 妄想:根拠がないのに、あり得ないことを考え、論理的な説得を受け入れない
- 錯乱:注意力が散漫になる、問いかけに間違った答えをする、行動にまとまりがない
- せん妄:軽度の意識混濁、興奮状態、幻覚、妄想
- 循環器系症状
- 狭心症:しめつけられるような胸の痛み、胸を強く押さえつけられた感じ、冷汗、あごの痛み、左腕の痛み
- 心電図異常、不整脈
- 悪性症候群
- 高熱、汗をかく、ぼーっとする、手足のふるえ、体のこわばり
- 話しづらい、よだれが出る、飲み込みにくい
- 脈が速くなる、呼吸数が増える、血圧が上昇する
- 低血糖
- お腹がすく、冷汗が出る、血の気が引く、疲れやすい
- 手足のふるえ、けいれん、意識の低下
- 胃潰瘍
- 吐き気、嘔吐、吐いた物に血が混じる
- 腹痛、胃がむかむかする、黒い便が出る
【その他の副作用】
- 精神神経系:不随意運動、めまい・ふらつき、頭痛・頭重感、不眠、眠気など
- 消化器:悪心、嘔吐、食欲不振、口渇、胃痛・腹痛、便秘など
- 循環器:起立性低血圧、高血圧、動悸、低血圧など
これらの症状が現れた場合は、自己判断で服用を中止せず、すぐに医師または薬剤師に相談することが重要です。特に重大な副作用の初期症状を見逃さないよう、体調の変化には常に注意を払いましょう。
セレギリン 併用禁忌:絶対に一緒に服用してはいけない薬剤
セレギリン塩酸塩には多くの併用禁忌薬があります。これらの薬剤との併用は、重篤な副作用や相互作用を引き起こす可能性があるため、絶対に避けなければなりません。
【併用禁忌薬一覧】
- 鎮痛剤関連
- ペチジン塩酸塩含有製剤(ペチロルファン等)
- トラマドール塩酸塩(トラマール、ツートラム等)
- タペンタドール塩酸塩(タペンタ)
- MAO阻害剤
- 選択的MAO-B阻害剤(ラサギリンメシル酸塩:アジレクト)
- サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
- 抗うつ剤
- 三環系抗うつ剤(アミトリプチリン塩酸塩、イミプラミン塩酸塩等)
- 四環系抗うつ剤(マプロチリン塩酸塩等)
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
- フルボキサミンマレイン酸塩(ルボックス、デプロメール)
- パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)
- セルトラリン塩酸塩(ジェイゾロフト)
- エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ)
- ボルチオキセチン臭化水素酸塩(トリンテリックス)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
- ミルナシプラン塩酸塩(トレドミン)
- デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)
- ベンラファキシン塩酸塩(イフェクサー)
- その他
- アトモキセチン塩酸塩(ストラテラ)
- マジンドール(サノレックス)
- メタンフェタミン塩酸塩(ヒロポン)
- リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ)
これらの薬剤とセレギリン塩酸塩を併用すると、高度の興奮、精神錯乱、セロトニン症候群などの重篤な副作用が発現する可能性があります。特にSSRIやSNRIとの併用はセロトニン症候群を誘発する危険性が高いため、絶対に避けるべきです。
他の医療機関を受診する際や、新たな薬剤を処方される場合には、必ずセレギリン塩酸塩を服用していることを医師や薬剤師に伝えることが重要です。
セレギリンとレボドパの併用:効果と注意点
セレギリン塩酸塩はレボドパ含有製剤と併用することで、パーキンソン病の症状改善に相乗効果を発揮することがあります。しかし、併用にあたっては特有の注意点があります。
【併用の効果】
- レボドパの服用量を減量できる効果がある
- 進行期パーキンソン病患者の運動症状の変動(wearing off現象)を改善する
- レボドパの効果を増強し、症状コントロールを向上させる
【併用時の注意点】
- レボドパの副作用増強
- セレギリン塩酸塩とレボドパの併用により、レボドパの副作用が強まることがある
- 少量から開始し、慎重に増量して維持量を決定する必要がある
- 不随意運動(ジスキネジア)の増悪
- ジスキネジアがすでに出現している患者では、セレギリン併用は避けるべき
- 長期継続服用では不随意運動出現頻度が有意に高くなるという報告がある
- 精神症状の出現リスク
- 併用により幻覚、妄想等の精神症状が現れることがある
- これらの症状が現れた場合は、各薬剤の減薬など適切な処置が必要
- 心・脳循環器系障害への懸念
- 英国の研究では、レボドパ単独群に対してセレギリン塩酸塩投与後にレボドパを併用投与した群に心・脳循環器系障害による死亡が多かったという報告がある
- ただし、その後の追跡調査や他国での研究では有意差がないとの報告もあり、評価が分かれている
レボドパとセレギリン塩酸塩を併用する際には、医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けることが重要です。副作用が現れた場合は、自己判断で中止せず、医師に相談して適切な対応を取りましょう。
セレギリン 服用時の生活上の注意:患者さんへのアドバイス
セレギリン塩酸塩を服用する患者さんが日常生活で注意すべきポイントについて解説します。安全に薬物治療を継続するためには、以下の点に留意することが重要です。
【服用方法と管理】
- 医師の指示通りに服用し、自己判断で用量を変更しない
- 1日4錠(10mg)を超えて服用しない
- 直射日光および高温・高湿を避けて保存する
- 小さなお子様や他の人が誤って飲まないように注意する
- 不要になった薬は、受け取った病院または薬局に返却する(他人への譲渡は法律で禁止されている)
【日常生活での注意点】
- 運転・危険作業
- めまい、注意力・集中力・反射機能等の低下が起こることがある
- 自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業は避ける
- 他の医療機関受診時
- 他の病気で他の診察科や他の医療機関を受診する際は、セレギリン塩酸塩を服用中であることを必ず伝える
- 新たに薬を処方される場合は、併用禁忌薬がないか確認する
- 食事・飲み物
- チーズ、ワイン、ビール等のチラミンを多く含む食品との相互作用に注意
- アルコールとの併用は、薬の作用や副作用を強める可能性があるため避ける
- 体調管理
- 副作用の初期症状に注意し、異常を感じたらすぐに医師または薬剤師に相談
- 特に精神症状(幻覚、妄想等)や循環器症状(胸痛、動悸等)には警戒する
- 海外渡航時の注意
- セレギリン塩酸塩を海外に持って行く場合や国内に持ち込む場合には、所定の手続きが必要
- 渡航前にかかりつけの病院または薬局に相談する
【特別な状況での注意】
- 妊婦または妊娠している可能性のある人:使用前に医師に相談
- 授乳中の人:使用前に医師に相談
- 腎臓に重篤な障害がある人:代謝物が蓄積される可能性がある
- 肝臓に重篤な障害がある人:代謝に影響する可能性がある
- 心臓や脳に障害のある人、狭心症の人:症状が悪化するおそれがある
セレギリン塩酸塩の服用中は、体調の変化に常に注意を払い、少しでも異常を感じたら医療専門家に相談することが大切です。また、定期的な通院と検査を欠かさず、医師の指示に従って適切な治療を継続しましょう。
日本神経学会のパーキンソン病治療ガイドラインでは、セレギリンの使用方法や注意点について詳しく解説されています
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の患者向医薬品ガイドでは、セレギリン塩酸塩の副作用や注意点について詳しく説明されています