再発性多発軟骨炎と診断基準とMcAdamとMichet

再発性多発軟骨炎 診断基準

再発性多発軟骨炎の診断基準を臨床で使う要点
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「基準」は診断の入口

RPは特異的検査がなく、症状が揃う前に見抜く工夫が必要です。基準の“満たし方”より、危険臓器(気道・心血管)を先に拾う視点が重要です。

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耳介・鼻・喉頭気管が軸

耳介、鼻、喉頭気管軟骨炎を中心に、眼病変・難聴/前庭障害・血清反応陰性関節炎を組み合わせて診断を組み立てます。

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独自視点:VEXASを常に意識

高齢男性、血球減少、皮疹・肺病変を伴う“RP様”ではVEXAS症候群が混在し得ます。治療反応性や合併症評価の観点で見落としを減らせます。

再発性多発軟骨炎の診断基準:McAdamとDamianiとMichetの使い分け

 

再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis:RP)は、耳・鼻・喉頭気管などの軟骨を中心に炎症を反復し、臓器障害へ進むことがある希少疾患です。臨床では特異的な血清マーカーが乏しく、複数臓器の症状を「点」でなく「線」として結び、基準を“診断の道具”として扱う必要があります。慶應義塾大学病院の解説でも、RPに特徴的な検査所見がないため、臨床症状と画像・組織を総合して診断する点が強調されています。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

まず押さえたいのが、歴史的に使われてきた「McAdam」「Damiani and Levine」「Michet」系の考え方です。KOMPASでも、McAdam基準と、それをもとにしたDamiani基準が主に使用される一方、発症早期は症状が揃わず基準を満たさないことがあるとされています。つまり、基準は“診断確定の儀式”ではなく、疑い例で見落としを減らすためのフレームとして使います。

医療者が混乱しやすい点は、「基準が複数ある=どれが正しいのか」という発想です。しかし実務的には、①臨床でまず拾う(McAdam的な臓器所見の列挙)、②組織や治療反応性を加味して確度を上げる(Damiani的拡張)、③軟骨炎の“中核3部位”を軸に組み立て直す(Michet的整理)という順に、患者のステージに合わせて運用すると整理しやすくなります。小児慢性特定疾病情報センターの「診断の手引き」では、Michet基準を改変した形で、耳介・鼻・喉頭気管の炎症所見の組合せ、またはそれに眼病変・難聴/前庭障害・血清反応陰性関節炎を組み合わせる診断方法が具体的に提示されています。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

また、実地では「基準を満たすか」より先に、生命予後に直結する臓器(気道、心血管)を先に拾って介入する発想が重要です。KOMPASでは気道病変が重大で、死因の10〜50%を占め得るため、速やかな診断と不可逆障害前の治療が生命予後改善につながると説明されています。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

再発性多発軟骨炎の診断基準:耳介と鼻と喉頭気管の炎症所見

RPの診断を臨床で組み立てるとき、最初に“軸”になるのが耳介・鼻・喉頭気管の3つの軟骨炎です。小児慢性特定疾病情報センターの「診断の手引き」では、①耳介・鼻・喉頭気管軟骨のうち2つ以上の「証明された炎症所見」があれば診断に至り得る枠組みが示されています。つまり、3部位を意識して系統的に問診・視診・触診・画像へ繋げるだけで、見落としは大きく減ります。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

耳介軟骨炎は、発赤・腫脹・疼痛が典型で、繰り返すことで変形や外耳道閉塞による難聴に至り得ます。手引きにも、耳介の疼痛・発赤・腫脹・変形、進行例で外耳道閉塞と伝音性難聴を合併し得ることが明記されています。診察のコツは「耳介の軟骨部」を中心に評価し、外傷・感染の既往や耳垂の関与(軟骨ではない部位)など“らしさ”の違いを意識することです。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

鼻軟骨炎は、鼻根部痛、発赤、腫脹、変形が鍵で、反復すると鞍鼻に至ることがあります。手引きでも、鼻根部の痛み・発赤・腫脹・変形、鞍鼻を呈することがあると記載されています。鼻症状は慢性副鼻腔炎や外傷後変形として扱われがちなので、他臓器の炎症(眼・関節・気道)と結び付ける視点が重要です。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

喉頭気管軟骨炎は、診断の決め手であると同時に、最も危険な臓器病変です。手引きでは半数の患者に合併し、嗄声、咳嗽、喘鳴、呼吸困難を呈し、狭窄や軟化による気道閉塞が死因になり得るとされています。KOMPASでも、初期は粘膜腫脹による狭窄、進行で線維化・瘢痕化、さらに軟骨破壊による気道虚脱へ進む病態が説明され、感染性気道炎を反復しやすくなる点も実務上重要です。

https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

再発性多発軟骨炎の診断基準:眼病変と難聴・前庭障害と血清反応陰性関節炎

3つの軟骨炎だけで診断が固まらない場面は多く、補助所見の拾い上げが診断精度を左右します。手引きでは、耳介・鼻・喉頭気管のうち1つの炎症所見に加えて、眼病変、難聴・前庭障害、血清反応陰性関節炎のうち2つがあれば診断に至り得る枠組みが提示されています。つまり「軟骨炎1点+補助所見2点」を集める発想で、早期・非典型例に対応できます。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

眼病変は、結膜炎強膜炎など幅が広く、放置で視機能に直結するため“診断のため”だけでなく“治療のため”にも早期介入が必要です。手引きは強膜炎・結膜炎・ぶどう膜炎角膜炎を挙げており、KOMPASでは強膜炎が壊死性炎症性角膜炎へ急速に進行して失明に至ることがある点、さらに眼球周囲炎症が多発血管炎性肉芽腫症(GPA)との鑑別を要する点が述べられています。眼所見を“単独の眼科疾患”として閉じず、他臓器症状と統合して評価することが医療者向けには重要なメッセージです。

https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

難聴・前庭障害は、末梢耳疾患として見逃されやすい一方、RPでは炎症の波及や血管炎が関与し得ます。手引きは、感音性難聴、悪心・嘔吐、めまい、運動失調などを挙げ、前庭への炎症波及や内耳動脈の血管炎が原因になり得るとしています。耳介軟骨炎が明確でない“めまい・難聴”単独の段階でも、鼻症状・関節痛・眼症状が同時期に反復していないかを問診で丁寧に拾うと、診断の糸口が増えます。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

血清反応陰性関節炎は、整形・リウマチ領域で最初に拾われることが多い所見です。手引きでは「一過性、自然軽快、移動性で骨びらんを伴わない非破壊性の関節炎」で、血清反応陰性はリウマトイド因子陰性を指すと定義されています。KOMPASでもRPの経過中に関節炎が高頻度(50〜85%程度)に起こり、胸鎖関節や肋軟骨など胸骨周囲が特徴的で、通常はNSAIDsが効きやすい一方、難治ならステロイドや免疫抑制薬が必要となり得ると説明されています。

https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

再発性多発軟骨炎の診断基準:検査と画像と組織所見の組み立て

RPの検査で重要なのは、「決め手となる単一検査はない」という前提を共有したうえで、疑いの強さに応じて検査を組み立てることです。KOMPASでは、CRP上昇や血沈亢進など炎症所見はあり得るが、RPに特徴的な検査所見は存在しないため、臨床症状に加えてCT/MRI、ガリウムシンチ、FDG-PET、骨シンチなど画像所見や組織所見も含めて総合的に診断すると述べています。つまり、炎症反応は“活動性の指標”にはなっても“確定診断の指紋”にはなりにくい、という整理が安全です。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

気道評価に関しては、不可逆な狭窄・虚脱へ進む前に、客観的情報を揃えるのが医療安全上も重要です。KOMPASは、気道病変の経過評価にCTや呼吸機能検査を用いること、気管支鏡は正確な病態把握に重要だが侵襲があるため慎重に判断することを記載しています。診断基準という枠を超え、呼吸困難や喘鳴がある患者では「気道の緊急度評価」が同時進行で必要になります。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

組織所見は、臨床的にRPが明らかでも“基本的には必要”という立場が提示されている点が重要です。難病情報センターでは、血清学的診断マーカーが存在しない現状で、生検(耳、鼻、気道など)による病理学的診断は、臨床的に診断が明らかであっても基本的には必要であると記載されています。さらに手引きでは、組織所見として「軟骨の変性(好塩基性低下、弾性線維と膠原線維の変性・断裂、線維化、石灰化)および炎症細胞浸潤」など、RPに合致した所見であることが求められています。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/3857
https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/

検査の落とし穴として、画像や病理だけでRPが“自動的に確定する”わけではない点も押さえる必要があります。KOMPASが示す通り、臨床症状・血液検査・画像・組織を統合して診断するという考え方に立つと、「臓器ごとの確からしさ」を積み上げる診断推論になります。医療従事者向けには、臨床像が揃わない段階ほど、反復性(再燃と軽快を繰り返す経過)を丁寧に時系列で確認することが、検査の価値を最大化します。

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再発性多発軟骨炎の診断基準:独自視点でVEXAS症候群と鑑別の実務

検索上位の一般的解説では「GPAなどの鑑別」が中心になりがちですが、近年の実務で見落としが問題になり得るのがVEXAS症候群です。KOMPASは、成人後期に治療抵抗性の全身性炎症を繰り返す男性でUBA1遺伝子の体細胞変異が報告され、発熱・血球減少・軟骨炎・血管炎・皮膚病変・肺病変などを起こし得る疾患としてVEXAS症候群を解説しています。そして、報告例の60%がRPの診断基準を満たしていたため、これまでRPと診断された患者にVEXASが含まれている可能性があると述べています。これは「RPの診断基準を満たした=RP単独とは限らない」という、医療者向けに極めて重要な示唆です。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

VEXASを疑う実務上のヒントは、RP様の軟骨炎に加えて、血球減少や皮膚病変、肺病変を伴う“炎症の質”です。KOMPASは、VEXASでは骨髄前駆細胞に特徴的な空胞像を認めることがあり、確定診断に必要なUBA1変異解析は一般的ではないため、高齢男性で血球減少や肺・皮膚病変を合併する場合に骨髄検査で空胞像を確認することが検討される、と具体的に述べています。RPの診断基準を学ぶ医療従事者ほど、基準に当てはめた瞬間に思考停止せず、「このRP様病態は、別疾患(VEXAS)に統一的に説明されないか?」を一度立ち止まって検討すると、安全な医療に近づきます。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

もちろん、VEXASだけが意外な鑑別ではありません。KOMPASは、眼球周囲炎症でGPAとの鑑別が必要で、ANCAの有無が決め手になり得ること、ベーチェット病との併存がMAGIC症候群と呼ばれること、さらにMDS(骨髄異形成症候群)併存報告が多く高齢男性で皮疹をみる場合は注意が必要なことを挙げています。RPは“単独疾患”として完結しないことがあり、診断基準の運用は「併存疾患・背景疾患を探す」姿勢とセットで初めて強力になります。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

表:臨床での拾い上げチェック(入れ子にしない箇条書きで運用)

・👂耳介:疼痛、発赤、腫脹、変形、外耳道閉塞、難聴(伝音性/感音性の混在に注意)https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
・👃鼻:鼻根部痛、発赤、腫脹、変形、鞍鼻、鼻中隔穿孔の示唆https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
・🫁喉頭気管:嗄声、咳嗽、喘鳴、呼吸困難(気道閉塞リスクを最優先で評価)https://www.shouman.jp/disease/instructions/06_03_012/
・👁️眼:強膜炎、ぶどう膜炎など(視機能リスクと鑑別:GPAなど)https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/
・🧬背景:高齢男性+血球減少+皮疹/肺病変ならVEXASやMDSを意識https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

参考リンク(気道病変・併存疾患・検査の全体像の参考)

慶應義塾大学病院KOMPAS:気道病変の病態、画像検査、併存疾患、VEXASの実務的な注意点がまとまっています。

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000739/

参考リンク(診断の手引き:Michet改変の具体条件)

小児慢性特定疾病情報センター:耳介・鼻・喉頭気管の組合せ、眼/前庭/関節炎の組合せ、組織所見の条件が具体的です。

再発性多発軟骨炎 診断の手引き - 小児慢性特定疾病情報センター
再発性多発軟骨炎の診断の手引きは本ページをご確認ください。小児慢性特定疾病情報センターは、慢性疾患をお持ちのお子さまやそのご家族、またそれらの患者の治療をされる医療従事者、支援をする教育・保健関係の皆さまに向けた情報を提供します。

参考リンク(病理の位置づけ)

難病情報センター:血清マーカーが乏しい前提で、生検による病理学的診断が基本的に必要と明記されています。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/3857

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