リウマチ性多発筋痛症 症状
リウマチ性多発筋痛症 症状 朝 こわばりの特徴
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、臨床像として「朝がつらい」ことが非常に重要で、起床後に肩や臀部・大腿を中心としたこわばりが少なくとも30分以上続くことが典型です。慶應義塾大学病院KOMPASでも、こわばりは“すべての患者にみられ”、起床後最低30分持続すると説明されています。
また、こわばりは「動かさずにじっとしていると強くなる」性質があり、夜間〜早朝に悪化し、日中の活動で相対的に軽くなるという日内変動が問診の核になります。ここは変形性関節症やいわゆる筋疲労・過用(動かすほど悪化する)と対比させて聴くと、情報が立体的になります。
医療従事者向けには、「こわばり」の具体化が実践的です。例えば以下のように生活機能を言語化させると、症状の再現性が上がります。
・🧥「朝、服を着るのがつらい(袖に腕が通せない、ブラジャーが留められない)」
・🛏️「寝返りで肩や腰が痛くて目が覚める」
・🪑「椅子から立ち上がる、車から降りるのが痛い」
これらはPMRの“近位部の痛み+こわばり”が生活動作に直結するためで、画像より先に臨床で拾える情報です。
さらにBird基準(1979)では「1時間以上続く朝のこわばり」が項目化されており、古典的ながら診療の入口として今も有用な発想です(ただし分類基準であり、最終的には総合判断が必要)。KOMPASにはBird基準の項目と、感度・特異度の記載もあり、研究・教育目的の裏づけとして引用しやすい資料です。
リウマチ性多発筋痛症 症状 肩 頚 臀部 大腿の痛み
痛みの部位は“肩が最頻”で、次に頚部・臀部(股関節周囲)・大腿が続き、左右対称に出ることが多いとされています。KOMPASでは肩の痛みが70〜95%、頚部・臀部が50〜70%とされ、症状は左右対称で、腕を挙げる・起き上がるなど動作時に強くなる点が特徴と説明されています。
ここで重要なのは「筋痛症」という名前に引っ張られすぎないことです。KOMPASでも“筋肉よりも肩関節の痛みが顕著なことが多い”と明記されており、実際には滑液包炎や腱滑膜炎など関節周囲炎の臨床表現として捉えると、身体診察や超音波所見と整合します。
患者の表現は「肩が上がらない」「立ち上がれない」「力が入らない」になりがちですが、PMRそのものでは筋力低下や筋萎縮が本態ではない点がポイントです。KOMPASは、筋肉に圧痛はある一方で“病気そのものによる筋力低下や筋萎縮はない”と述べています。
このため、診察ではMMT低下があっても「痛みのために出力できない」のか、「真の筋力低下(筋炎、神経筋疾患、ステロイドミオパチー等)」なのかを丁寧に切り分けます。臨床的には、関節可動域(特に肩外転・屈曲)で痛みが先行し、筋力は痛みを除けば保たれる、という所見がヒントになります。
PMRは発症が比較的急速で、数日〜数週間で症状が出現・持続することが多いとされます。KOMPASも“数日から数週間のうちに症状が出現し、持続”と説明しており、単なる慢性肩こり・慢性腰痛とは時間軸が異なることを意識します。
ここは「いつから」「何ができなくなったか」をセットで聴き、患者の日常の破綻(更衣、整容、移動、睡眠)を症状の尺度として把握すると、治療反応や再燃評価にもつながります。
リウマチ性多発筋痛症 症状 発熱 体重減少 倦怠感
PMRは筋骨格系症状だけでなく、発熱・食欲不振・体重減少・全身倦怠感・抑うつ症状などの全身症状を伴うことがあります。リウマチ情報センター(rheuma-net)では全身症状として、38℃台までの発熱(80%)、食欲不振(60%)、体重減少(50%)、全身倦怠感(30%)、抑うつ症状(30%)が挙げられています。
高齢者では、これらが「原因不明の微熱」「フレイルの進行」「うつ・不眠」として別ルートで扱われ、近位痛との関連が見落とされることがあります。発熱や体重減少があるときは、PMRの範囲内の全身症状で説明できるかを考えつつ、感染症や悪性腫瘍などの別病態が隠れていないかも同時に点検する姿勢が重要です。
検査の入口としては、炎症反応(CRP、赤沈)の上昇がよく見られます。KOMPASは“CRPや赤沈といった炎症反応を示す値の上昇”を挙げ、筋炎と異なりCK上昇を来しにくい点も述べています。
ここで注意したいのは、炎症反応が高い=PMRと短絡しないことです。rheuma-netも「類似疾患が多く、特異的検査がないため診断は簡単ではない」と説明しており、全身症状を理由に安易にステロイドを開始すると、感染症のマスクや悪性腫瘍関連症状の遅延につながり得ます。
一方、PMRはステロイドに対する反応が速いことが特徴で、治療開始数日で症状が大きく改善することがあります。KOMPASには“数時間から数日で痛みやこわばりが大幅に改善(3日以内に50〜70%の改善)”という具体的な説明があり、反応性は診断推論を補強する材料になります。
ただし、反応が良いから診断確定という単純な話でもなく、用量・併存疾患・別疾患の混在(例:PMR+変形性肩関節症)で反応が鈍ることもあるため、症状の「どれが」「どれだけ」改善したかを記録し、再評価可能な形に残すのが安全です。
リウマチ性多発筋痛症 症状 鑑別 診断基準 超音波
PMRは症状が非特異的に見える一方で、鑑別診断が広い疾患です。KOMPASは鑑別として関節リウマチ、RS3PE症候群、脊椎関節炎、筋炎、血管炎、感染症、多発性骨髄腫やがん、さらにcrowned dens syndrome(軸椎歯突起症候群)なども挙げており、「PMRに見える症状」の裏に別の病態が隠れていないかが臨床の勝負所になります。
医療従事者向けの実務としては、①年齢(50歳以上)、②両側肩痛、③炎症反応上昇という“前提条件”を満たすかをまず押さえ、次に近位痛のパターン・朝のこわばり・自己抗体の陰性・他関節症状の乏しさを組み合わせて整合性を見る、という流れが安全です。
分類基準としてはEULAR/ACR 2012暫定分類基準が広く用いられ、KOMPASの表では「50歳以上」「両側肩痛」「CRPまたは赤沈上昇」を必要条件に、朝のこわばり(45分超)や臀部痛、RF/抗CCP陰性、他関節症状なし等を点数化し、超音波所見を加えると点数が上がる設計になっています。
ここでの超音波は、PMRが「筋肉の炎症」ではなく、肩・股関節周囲の滑液包炎/腱滑膜炎/滑膜炎などの所見で捉えられることを臨床家に思い出させます。rheuma-netも、肩・股関節部のエコー(超音波)を取り入れた2012年分類予備基準がよく用いられると説明しています。
鑑別で特に外してはいけないのは、関節リウマチ(高齢発症RAを含む)と炎症性筋疾患です。KOMPASは、PMRではリウマトイド因子や抗CCP抗体が陽性となることは少ないと述べ、筋炎と違ってCK上昇がない点も明確にしています。
ただし高齢者では、抗CCP陰性の血清陰性RAや、薬剤性ミオパチー、内分泌異常なども入り込むため、「RF/抗CCP陰性=PMR」で止めず、関節腫脹の有無、分布、画像、経過を総合して判断します。
リウマチ性多発筋痛症 症状 独自視点 生活と薬の観察ポイント
検索上位で多いのは症状・診断・治療の定型説明ですが、現場で効くのは「観察ポイントの設計」です。PMRは再燃が一定割合で起こり得るため、症状の言語化と、患者が自宅で追える指標を決めておくと、電話相談や外来フォローが格段に安全になります。KOMPASではPMR-AS(活動性スコア)が紹介され、朝のこわばり時間(MST)や上肢挙上の程度(EUL)など、症状を“数値で扱う”枠組みが示されています。
独自視点として提案したいのは、忙しい臨床でも回せる「ミニ問診セット」です(カルテ定型文にすると強い)。
・🕒 朝のこわばり:何分続くか(0/15/30/60/120分など)
・🙌 上肢挙上:肩より上に手が上がるか(整髪動作で代用可)
・🪑 立ち上がり:椅子から手すり無しで立てるか(痛みで不可か)
・🌡️ 体温:微熱〜38℃以上の有無(38℃以上なら別病態も疑う)
・👁️ 頭痛・視力:新規のこめかみ頭痛、顎跛行、視力障害の有無
最後の項目は、巨細胞性動脈炎の赤旗に直結します。KOMPASでは“こめかみ周囲の頭痛、噛む時のあごの違和感、視力障害、38℃以上の発熱があれば巨細胞性動脈炎の合併も疑う”とされ、見逃すと不可逆的な視力障害につながり得るため、症状のセット化は臨床安全に有効です。
薬剤面では、PMRはステロイドが著効する一方、減量局面で再燃しやすく、自己判断での中断が事故の入口になります。rheuma-netは「早期の減量は再発しやすく、日本人は再発しやすいので減量は慎重」「必ず医師の指示通り服用」が重要と述べています。
したがって、看護師・薬剤師を含むチームで、服薬継続・副作用(感染、糖代謝、骨粗鬆症など)・症状再燃の早期受診ルールを共有することが、症状のコントロールと合併症予防の両方に効きます。KOMPASもステロイド副作用(感染症、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、緑内障など)への配慮の必要性を挙げています。
診断時に意外と抜けやすい“見落とし対策”として、悪性腫瘍の扱いがあります。rheuma-netは、悪性腫瘍が併存しやすいという報告は近年否定的だが、年齢を考えると診断時にスクリーニングは必要、と述べています。
この一文は、PMRの症状を説明しつつ「年齢相応の一般スクリーニングは同時に整える」という現実的な方針を支持する根拠になるため、医療従事者向け記事では価値が高いポイントです。
有用:症状(朝のこわばり、左右対称の近位痛)とBird基準、EULAR/ACR 2012分類基準、治療反応の目安がまとまっている
慶應義塾大学病院KOMPAS:リウマチ性多発筋痛症(PMR)
有用:全身症状の頻度、超音波を含む診断の考え方、治療(ステロイド減量の注意)と生活上の注意が整理されている
