リウマチ性疾患と種類
リウマチ性疾患 種類と関節リウマチ
リウマチ性疾患は「筋・骨格系(関節、骨、筋、結合組織)」を主座にしつつ、全身臓器にも波及しうる疾患群の総称で、臨床では“運動器+全身炎症”の文脈で捉えると整理しやすくなります。
「リウマチ」という言葉が日常診療では関節リウマチ(RA)を指して使われがちですが、本来はより広い概念であり、膠原病(結合組織疾患)を含む多彩な疾患が含まれます。
医療従事者向けに最初に押さえたいのは、RAを“中心疾患”として置きつつも、似た症候(朝のこわばり、対称性多関節炎、炎症反応上昇)を示す疾患が多数ある点です。
RAは慢性炎症性の滑膜炎を主体とし、未治療・治療遅延で関節破壊へ進み得るため、早期の鑑別と治療導入が重要です。
日本リウマチ財団の整理でも、RAは「関節リウマチと類縁疾患」の代表に位置づけられ、同じ箱に成人スチル病、若年性特発性関節炎、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、RS3PEなどが並びます。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/72ccc1e544ce9e378abdc6488a4e38faffbc3731
この“同じ箱”に入るという事実が、臨床で「RAっぽい」症例が来たときに、RA以外も同時に頭に置くべき理由になります。
ここで実務的に役立つ視点として、「関節の分布」と「時間軸」を最初に聞き分けます。
例として、RAは小関節(手指など)の対称性滑膜炎が典型ですが、急性発症・高度浮腫・高齢男性優位などが前面に出るならRS3PEを疑う、といった具合に“典型のズレ”に敏感になることが重要です。kompas.hosp.keio+1
リウマチ性疾患 種類と全身性自己免疫疾患
リウマチ性疾患の中核カテゴリーの一つが「全身性自己免疫疾患(膠原病を含む)」で、SLE、シェーグレン症候群、全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合性結合組織病、抗リン脂質抗体症候群などが代表です。
京都大学の解説でも、膠原病は“病名”というより「多数臓器が同時に障害され、結合組織の病変を共通項に持つ疾患群」という“病気のとらえ方”として提唱された経緯が説明されています。
この背景を理解すると、「膠原病=何かの診断名」と安易に括る危険が腑に落ち、疾患名(SLE、強皮症など)で言語化する重要性が明確になります。
全身性自己免疫疾患では、関節症状は頻出でも“主戦場”が関節だけとは限りません。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8716565/
皮膚(皮疹)、腎(蛋白尿・腎炎)、肺(間質性肺炎)、神経、血液など多臓器に波及するため、関節所見だけで診断を急ぐと見逃しが起こり得ます。
一方で、関節炎や筋痛が初発となり、整形外科・一般内科の受診から鑑別が始まることも多いので、初期評価の段階で「全身性自己免疫」の棚を最初から開けておく姿勢が大切です。
臨床で“意外と盲点”になりやすいのは、重複(overlap)症候群の存在です。
日本リウマチ財団の一覧でも「重複(overlap)症候群」が独立して挙げられており、単一疾患の教科書的像に当てはめにくい症例が現実に一定数いることを示唆します。
「診断名が一つに決まらない=診療の失敗」と短絡せず、時系列で所見が立ち上がる可能性を見込みつつ、リスク臓器(腎・肺など)を先に守る戦略が求められます。
リウマチ性疾患 種類と血管炎
リウマチ性疾患の中で、見逃しが臓器障害・生命予後に直結しやすいのが血管炎です。
日本リウマチ財団の分類では、血管炎として高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、川崎病、結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎(GPA/MPA/EGPA)などが整理され、さらに免疫複合体性血管炎や単一臓器血管炎、続発性血管炎まで幅広く列挙されています。
このリストは、血管炎が“珍しい疾患名の集合”というより「血管サイズ・病因(ANCA/免疫複合体/続発性など)で臓器病変が変わる」臨床分類の重要性を示しています。
血管炎の初期は、関節痛・筋痛・発熱など非特異的な全身症状のみで始まることがあります。
参考)血管炎症候群 – 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センタ…
そのため、関節症状が主訴でも、皮膚紫斑、腎所見(血尿・蛋白尿)、肺症状、末梢神経障害など“血管が絡む臓器サイン”がある場合は、リウマチ性疾患の種類の中で血管炎を優先的に再検討します。twmu-rheum-ior+1
東京女子医科大学の解説では、大型・中型・小型血管炎の枠組みで代表疾患が整理されており、症状の出方が血管サイズに依存し得ることを臨床推論に組み込みやすくなります。
“RAの合併症”としても血管炎は重要で、RAに中型・小型血管炎を伴う場合はリウマトイド血管炎(悪性関節リウマチ/リウマチ性血管炎)として説明されます。
参考)悪性関節リウマチ/リウマチ性血管炎|難治性血管炎の医療水準・…
難病情報センター系の解説でも、悪性関節リウマチ/リウマチ性血管炎はRAに血管炎が合併する概念として記載され、全身性血管炎型と末梢動脈炎型に分ける見方が提示されています。
関節症状のコントロールだけで安心せず、「皮膚潰瘍・壊疽」「多発単神経炎」「腎・消化管」などの所見が出たら病態が一段変わった可能性を疑うのが実務上のポイントです。
リウマチ性疾患 種類と検査
「検査で分類する」発想は便利ですが、リウマチ性疾患では単独検査で決め切れないことが多く、検査はあくまで臨床像とセットで解釈するのが安全です。
関節リウマチの診断に関連する血液検査として、日本リウマチ学会系の解説ではRF(リウマトイド因子)と抗CCP抗体が重要とされ、RFはRAの70~80%程度で陽性になり得る一方、他の膠原病や肝疾患などでも陽性になり得る点が明記されています。
同じく抗CCP抗体はRAの70~80%程度で陽性となり、RA以外ではみられることが少ないため、関節症状があって抗CCP抗体陽性ならRAの可能性が高い、という臨床的含意が示されています。
ただし、検査の“落とし穴”として、RFも抗CCPも陰性のRA(いわゆる血清反応陰性例)が存在し得ること、そして発症早期では感度が十分でないことが臨床現場では問題になります。
参考)リウマチ因子、抗CCP抗体の見方|東京のリウマチ専門医|湯川…
つまり「RF陰性、抗CCP陰性=RAではない」と結論してしまうと、診断遅延のリスクが上がるため、超音波・X線など画像、関節腫脹の持続、炎症反応(CRP/赤沈)といった複数の情報を束ねます。yukawa-clinic+1
逆に言えば、検査の数値が整っていても、感染性関節炎や結晶誘発性関節炎(痛風/CPPD)など“今すぐ除外したい関節炎”が紛れていないかを優先確認する姿勢が、医療安全の観点で重要です。
ここで医療従事者向けの“少し意外な”整理として、リウマチ性疾患の一覧には「感染性関節炎」や「結晶誘発性関節症」も含まれています。
この並びは、リウマチ科が扱う世界が「自己免疫」だけではなく、鑑別としての感染・結晶・変性・代謝まで含めた“炎症性運動器疾患の総合診療”であることを示しています。
したがって、検査オーダーを自己抗体に寄せすぎず、「穿刺できるなら穿刺(結晶・培養)」「画像で炎症分布を確認」「薬剤歴・感染リスク・免疫抑制状況を聴取」といった基本動作を徹底します。
リウマチ性疾患 種類とRS3PE
検索上位で頻出になりにくい一方、臨床で知っていると鑑別が一気に楽になるのがRS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)症候群です。
RS3PEは「60歳以上に好発」「手背の圧痕性浮腫」「左右対称性の遠位部滑膜炎」「リウマトイド因子陰性」「X線で関節破壊をきたしにくい」などが特徴として整理されています。
“手背の圧痕性浮腫”という所見が強いフックになるため、RAやPMRの文脈で見ていた症例が、視点を変えるだけで診断候補として浮上することがあります。
また、RS3PEは「低用量ステロイドに反応しやすい」という臨床像がしばしば語られますが、重要なのは“反応が良い=安心”と短絡しないことです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11265790/
近年の症例報告では、RS3PEが悪性腫瘍に関連しうる可能性(パラネオプラスティックな文脈)が議論され、診断時に悪性腫瘍の評価を考慮すべき、という注意喚起がなされています。
高齢者の急性発症の多関節炎+浮腫という状況では、RS3PEを鑑別に入れつつ、感染・結晶・悪性腫瘍・薬剤などの“別ルート”の評価も同時進行で組むのが実務的です。pmc.ncbi.nlm.nih+1
さらに、RS3PEは日本リウマチ財団の一覧で「関節リウマチと類縁疾患」に含まれており、リウマチ外来で実際に遭遇しうる疾患として整理されています。
この位置づけは、RS3PEを“教科書の片隅の珍しい病気”として放置せず、RA疑い初診の鑑別レパートリーに組み込む価値があることを示します。
独自視点としては、電子カルテのテンプレ(関節炎初診)に「手背/足背の圧痕性浮腫」「RF陰性の確認」「X線で破壊が乏しいか」を項目として入れておくと、忙しい外来でもRS3PEを落としにくくなります。
参考)RS3PE症候群(remitting seronegativ…
——参考リンク(分類の全体像・具体的疾患名の確認に有用:一覧表として使える)
——参考リンク(膠原病とリウマチ性疾患の関係、膠原病の概念整理に有用:定義・誤用の注意点が読める)
——参考リンク(RA診断におけるRF・抗CCPの位置づけの確認に有用:陽性の解釈と限界)