ラニビズマブ bs の効果と臨床活用ガイド
バイオシミラーは「効果が弱い」と思っている医師ほど、患者に余計な費用を負担させています。
ラニビズマブ bs の基本的な効果と作用機序
ラニビズマブBSは、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするヒト化モノクローナル抗体Fab断片であり、病的な新生血管の増殖と血管透過性の亢進を抑制します。先行品ルセンティス(ラニビズマブ)と同一の作用点を持ち、眼科領域初のバイオシミラーとして千寿製薬が製造・販売しています 。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070111)
非臨床試験および国内第III相比較試験において、ラニビズマブBSは先行品に対して高い類似性が確認されており、品質・安全性・有効性の同等性/同質性が証明されています 。つまり効果の本質は先行品と変わりません。 biosimilar(https://www.biosimilar.jp/pdf/jbsa-web-kouenkai2212.pdf)
硝子体内に0.5mg(0.05mL)を投与する方法は先行品と全く同じです 。導入期として1ヵ月ごとに連続3回投与し、維持期は症状に応じて投与間隔を調節します。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=70111)
ラニビズマブ bs の対応疾患と適応拡大の効果
2023年9月27日の適応拡大により、ラニビズマブBSは現在4疾患をカバーしています 。具体的には以下の通りです。 medamania(https://medamania.com/ranibizumab-bs/)
特にRVOへの適応追加は臨床現場での処方機会を大きく広げました。これは使えそうですね。
ただし、適応拡大されたRVOについては、ラニビズマブBSを用いた独自の臨床試験が現時点では実施されておらず、先行品の臨床データに基づく外挿で承認されています 。RVOにおける効果を確認する研究が複数進行中であることも押さえておく必要があります。 fmu.bvits(https://fmu.bvits.com/rinri/publish_document.aspx?ID=492)
ラニビズマブ bs と先行品切り替え時の効果への影響
維持期の加齢黄斑変性患者を対象に、先行品からラニビズマブBSへ切り替えを行った試験では、12ヵ月の観察期間を通じて視力や中心窩厚に有意な差は認められませんでした 。切り替えが視力に悪影響を与えないということですね。 pmda.go(https://www.pmda.go.jp/files/000279578.pdf)
糖尿病黄斑浮腫(DME)においても同様の結果が報告されており、先行品ラニビズマブからバイオシミラーへの切り替えは、視力・中心窩厚の両指標において同等の有効性が示されています 。さらに海外の17件のメタ解析では、抗VEGF薬バイオシミラーは先発品やアフリベルセプトベータと比較して有効性・安全性・免疫原性において同等であることが確認されています 。 academia.carenet(https://academia.carenet.com/share/news/8dbb8bae-10cd-4c48-b2e8-2c33db78450a)
切り替え前後のOCT所見の変化を定期的にモニタリングすることが原則です。特に中心網膜厚や漿液性網膜剥離の有無を注意深く観察すると、投与回数の調整判断がしやすくなります 。 journal.nichigan.or(http://journal.nichigan.or.jp/Disp?style=abst&vol=121&year=2017&mag=0&number=8&start=585)
ラニビズマブ bs の薬価と費用対効果:先行品との数字での比較
以下に主な抗VEGF薬の薬価と3割負担額を整理します 。 chigasaki-localtkt(https://chigasaki-localtkt.com/kouVEGFkusuriichiryousentakushishin/)
| 薬剤名 | 薬価(円) | 3割負担(円) |
|---|---|---|
| ラニビズマブBS(センジュ) | 74,282 | 22,284 |
| ルセンティス(キット) | 97,510 | 29,253 |
| ルセンティス(バイアル) | 120,351 | 36,105 |
年間最大12回投与した場合、ラニビズマブBSの薬剤費は約89万1,000円(3割負担で約26万7,000円)です 。ルセンティスキットと比較すると年間約27万7,000円の差が生まれます。これは患者にとって大きな差です。 medamania(https://medamania.com/anti-vegf-matome/)
費用対効果の観点では、QALYsの比較分析においてラニビズマブBSはアフリベルセプトと比較してPCV(ポリープ状脈絡膜血管症)では約99万7,000円、RAPでは約128万6,000円の費用削減が可能であることが示されています 。投与回数が少なくなれば総費用はさらに下がります。ただし、投与間隔を延ばすための条件として、視力と中心窩厚の維持が確認されていることが条件です。 pcubed(https://www.pcubed.jp/medicine/20240813-1222/)
参考:日本における抗VEGF薬の費用対効果分析(ラニビズマブBSとアフリベルセプト比較)
【論文】日本における加齢黄斑変性に対するラニビズマブ・バイオシミラーの費用対効果分析 | pcubed.jp
ラニビズマブ bs 投与管理の実践と効果を最大化するポイント
導入期3ヵ月間の毎月投与を正確に実施することが、その後の維持期の治療成績を左右します。これが基本です。導入期に投与が遅れると、中心窩厚の再増悪リスクが高まるため、患者への通院スケジュール管理が重要です。
維持期の投与間隔調整においては、OCT画像での中心窩厚の変化と最高矯正視力(BCVA)を定期評価します。漿液性網膜剥離(SRD)を合併するDME患者では、SRD消失までの投与回数が術前中心網膜厚(r=0.538)およびSRDの高さ(r=0.742)と正の相関を示したことが報告されています 。SRDが高いほど、消失に必要な投与回数が増えるということです。 journal.nichigan.or(http://journal.nichigan.or.jp/Disp?style=abst&vol=121&year=2017&mag=0&number=8&start=585)
免疫原性(抗薬物抗体の産生)については、先行品との同等性が確認されていますが、切り替え後に眼内炎症の徴候がないか注視することが推奨されます。万が一炎症所見が出現した場合には、他の抗VEGF薬への変更も選択肢に入れ、早急に対応することが求められます。
参考:ラニビズマブBS(センジュ)の効能・効果・副作用情報(医師向け)
参考:眼科領域におけるバイオシミラーの現状と評価(千寿製薬・学術講演会資料)