アフリベルセプト バイオシミラーを医療従事者が正しく理解する
糖尿病黄斑浮腫の患者にアフリベルセプトBSを今すぐ処方すると、2026年11月まで適応外になります。
アフリベルセプト バイオシミラーの承認と薬価収載の経緯
アフリベルセプトBS(製品名:アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「NIT」)は、2025年9月に富士製薬工業が製造販売承認を取得しました。 富士製薬はアイスランドのAlvotech社との提携に基づき開発したバイオシミラーパイプラインの一環として、アフリベルセプト・ゴリムマブ・デノスマブの3製品で承認を取得しています。 fujipharma(https://www.fujipharma.jp/__upload/JP_fujipharma_BS_20250919.pdf)
その後、2025年11月12日に薬価基準への収載が官報告示されました。 薬価は注射液(瓶)が79,738円、注射用キット(筒)が69,894円と設定されており、日東メディックが販売パートナーとして流通を担います。 fujipharma(https://www.fujipharma.jp/__upload/JP_fujipharma_20251111.pdf)
ただし、薬価収載の直後にバイエル薬品が大阪地裁に製造・販売差し止めを求める仮処分を申し立てるという異例の事態が発生しました。 この係争は、先行品アイリーア®の特許権侵害を理由とするものでしたが、2026年1月にAlvotech・Regeneron・Bayerとの間でライセンス・和解契約が締結され、解決に至りました。 tokkyoteki(https://www.tokkyoteki.com/2026/01/aflibercept-fujipharma.html)
承認から販売開始まで、特許問題をはじめとする複数のハードルがあったということですね。医療従事者はこの経緯を踏まえたうえで処方に臨む必要があります。
アフリベルセプト バイオシミラーの薬価と患者負担への影響
先行品アイリーア®との薬価比較を表で確認すると、コスト面でのメリットが具体的に見えてきます。 data-index.co(https://www.data-index.co.jp/kusulist/detail.php?trk_toroku_code=1319405G2026)
| 製品名 | 剤形 | 薬価 | 区分 |
|---|---|---|---|
| アイリーア®注射液 40mg/mL | 瓶(2mg/0.05mL) | 117,440円 | 先発品 |
| アイリーア®注射用キット 40mg/mL | 筒(2mg/0.05mL) | 110,484円 | 先発品 |
| アフリベルセプトBS「NIT」注射液 | 瓶(2mg/0.05mL) | 79,738円 | 後発品(加算対象) |
| アフリベルセプトBS「NIT」注射用キット | 筒(2mg/0.05mL) | 69,894円 | 後発品(加算対象) |
キット同士で比較すると、先行品に対してバイオシミラーは約40,590円安い計算になります。 抗VEGF療法は月1回から2か月に1回程度の頻度で長期にわたって継続するため、年間に換算すると患者1人あたり20万円以上の薬剤費削減が見込める場合があります。これは使えそうです。 data-index.co(https://www.data-index.co.jp/kusulist/detail.php?trk_toroku_code=1319405G2026)
加齢黄斑変性は高齢者に多い疾患であり、治療継続のネックになりやすい費用負担を下げることで、治療中断リスクを下げる効果も期待できます。 高額療養費制度の対象ではあるものの、薬価が下がれば保険者・患者双方の実質負担が軽減されます。 tamapla-ganka(http://www.tamapla-ganka.com/blog/2026/02/bs-872941.html)
また、アフリベルセプトBSは「バイオシミラー加算」の対象製品に該当しており、施設が積極的に使用した場合には診療報酬上の加算を得られる仕組みもあります。 薬価の安さと加算の両立が、導入のインセンティブになるということです。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260309S0050.pdf)
アフリベルセプト バイオシミラーの適応症と使用時の注意点
現時点で最も注意が必要なのは、適応症に時限的な制限がある点です。特許和解契約の条件により、2026年1月1日から販売可能な適応症は「糖尿病黄斑浮腫(DME)を除く」範囲に限られています。 kabutan(https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202602020297)
現在(2026年4月時点)で処方可能な適応症は以下の通りです。
- ✅ 中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(wAMD)
- ✅ 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫(RVO)
- ✅ 病的近視における脈絡膜新生血管(mCNV)
- ❌ 糖尿病黄斑浮腫(DME)→ 2026年11月1日から販売可能 tokkyoteki(https://www.tokkyoteki.com/2026/01/aflibercept-fujipharma.html)
糖尿病黄斑浮腫への処方は、2026年11月以降が原則です。DMEの患者にBSを処方する際は必ず適応解禁日を確認してから使用してください。
禁忌については先行品と同様で、眼内や眼周囲に感染がある患者、本剤成分への過敏症の既往歴がある患者、眼内に重度の炎症がある患者には投与禁止です。 妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与も禁忌に該当します。 data-index.co(https://www.data-index.co.jp/kusulist/detail.php?trk_toroku_code=1319405G2026)
用法・用量は先行品と同一で、wAMDでは導入期に月1回×3回投与後、通常2か月ごとの投与となります。 投与間隔は最短でも1か月以上あけることが必須です。 santen(https://www.santen.com/ja/news/2025/2025_1/20251205)
アフリベルセプト バイオシミラーへの切り替えと有効性の根拠
「バイオシミラーは先行品より効果が落ちるのでは」という懸念を持つ医療従事者は少なくありません。それが読者の常識ですが、実際の承認試験データはその懸念を否定しています。
承認申請に用いられた試験では、先行品から本剤に切り替えた群において、切り替え時(投与後32週)から試験終了時までの有効性・安全性が先行品継続群と同等であることが確認されています。 バイオシミラーは構造的な同等性だけでなく、臨床試験での再現性も承認の前提条件となっている点が重要です。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00071526)
さらに、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)が実施した検討会では、アフリベルセプトで活動性が安定しているAMD患者をラニビズマブBSへ切り替えた後、1年後に90%以上の症例で臨床成績が安定した状態で注射継続できたというデータも参照されています。 同効薬間の切り替えでもこの水準であれば、同一成分のBSへの切り替えはさらに安定することが期待できます。 nihs.go(https://www.nihs.go.jp/drug/ecqaged/shiryou35-3-2.pdf)
つまり適切な管理下での切り替えは有効な治療選択肢です。重要なのは、切り替え後の経過観察を丁寧に行うことです。切り替え後の初回受診時に視力・OCT所見を先行品使用時と比較記録する習慣を持てば、万一の変化にも早期対応できます。
なお、リアルワールドデータを用いたバイオシミラーの有効性・安全性評価については、厚生労働科学研究でも体系的な評価手法の整備が進められており、今後さらにエビデンスが蓄積される見込みです。 mhlw-grants.niph.go(https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2024/202406039A.pdf)
アフリベルセプトBSの承認・有効性に関する詳細情報(厚生労働省が公開するバイオシミラーの最新動向を網羅)。
アフリベルセプト バイオシミラーの特許問題と医療現場が知るべきリスク管理
アフリベルセプトBSをめぐる特許問題は、医療従事者にとっても他人事ではありません。薬価収載直後に製造・販売差し止めの仮処分申し立てが起きたという事実は、バイオシミラーが単なる「安価な代替品」ではなく、複雑な知財戦略の産物でもあることを示しています。 note(https://note.com/jpbsa/n/naab1d8e39592)
本件では、特許第7733706号(2025年8月登録)の存在が焦点となり、日本のパテントリンケージ制度の運用との整合性についても実務家の間で議論が生じました。 最終的に2026年1月30日のライセンス・和解契約締結により係争は解決しましたが、この事案は「承認=即安心して使える」とは限らない現実を示しています。 tokkyoteki(https://www.tokkyoteki.com/2026/01/aflibercept-fujipharma.html)
厳しいところですね。医療従事者としては、使用している製品が何らかの法的問題を抱えていないか、MR情報や医療機関向け通知を定期的に確認する習慣が重要になります。特に後発品・BSの場合は、承認後も供給状況や使用可能範囲に変動が起きやすい特性があります。
供給リスクへの備えとして、医療機関ではBSと先行品の在庫を一定量並行管理し、万一の供給停止時にも治療が途切れないよう体制を整えておくことが推奨されます。定期的な在庫確認と代替品確保の計画は、眼科スタッフ全体で共有すべき情報です。
アフリベルセプトBSの知財係争の詳細と経緯(特許問題・パテントリンケージ制度について実務家向けに解説)。
薬価比較・同効薬情報の一覧(医療従事者向けの薬剤比較データベース)。