プラスアミノ点滴と効果の用法用量と副作用

プラスアミノ点滴効果

プラスアミノ点滴の要点(医療従事者向け)
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効果は「アミノ酸補給」

適応は低蛋白血症・低栄養状態・手術前後で、アミノ酸補給を目的に用いる輸液です。

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速度が有効性と安全性を左右

アミノ酸として60分あたり10g前後が体内利用に望ましいとされ、急速投与は負担になります。

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K欠乏・腎/肝・糖代謝に注意

Kを含まず、ブドウ糖含有のため電解質・血糖・禁忌/慎重投与の確認が重要です。

プラスアミノ点滴の効果と効能効果(低蛋白血症・低栄養状態・手術前後)

プラスアミノ輸液は「ブドウ糖加アミノ酸注射液」に分類され、適応は「下記状態時のアミノ酸補給:低蛋白血症、低栄養状態、手術前後」です。

ここでいう「効果」は、いわゆる滋養強壮のイメージではなく、静脈内からアミノ酸を投与して蛋白合成の材料を補うこと(栄養療法の一部)に位置づけられます。

また本剤は、アミノ酸輸液にブドウ糖を配合した製剤で、糖質(ブドウ糖)同時投与により蛋白節約効果(窒素節約)が期待される、というコンセプトで設計されています。

医療現場での「効いた」の解釈は、患者の主訴が軽くなるというより、以下のような“指標が整う方向”で評価されやすい点がポイントです。

参考)医療用医薬品 : プラスアミノ (プラスアミノ輸液 他)

注意したいのは、プラスアミノは「完全静脈栄養(TPN)」のオールインワンではなく、アミノ酸+ブドウ糖(+Na/Cl)を中心にした末梢投与も想定される輸液である点です。

そのため、病態によっては脂肪乳剤やビタミン、微量元素、追加電解質(特にK)を別途設計する必要があり、「効果」を最大化するには“処方全体の整合”が欠かせません。

プラスアミノ点滴の用法用量と投与速度(60分10g・500〜1000mL)

用法・用量は、通常成人で1回500〜1000mLを点滴静注し、投与速度は「アミノ酸の量として60分間に10g前後が体内利用に望ましい」とされています。

実務上は「500mL当たり90〜120分を基準」と明記され、小児・高齢者・重篤患者ではさらに緩徐にするよう示されています。

この“速度指定が具体的”な点は、プラスアミノの効果と副作用の両面に関わるため、投与設計の中心に置くべき情報です。

投与速度が重要な理由は単純で、アミノ酸は「入れれば入れるほど蛋白になる」わけではなく、代謝・利用の上限を超えると悪心・嘔吐などの有害事象につながり得る、という整理がインタビューフォーム内でも示唆されています。

さらに本剤のpHは約4.6、浸透圧比は約3であり、血管痛や静脈炎など末梢投与で問題になりやすい要素をもつため、急速投与を避ける意味がより大きくなります。

「寒冷期には体温程度に温めて使用する」など、血管痛対策としての具体的注意も記載されています。

臨床での“あるある”として、手術室・ICU・病棟で流量が別輸液の都合で前後することがあります。

そうした環境では、オーダー時に「mL/h」まで落とし込む、看護師へ“速度の理由”を共有する、ルート確保(太さ・部位)を事前に見直す、といった運用設計が、結果的に「効果(=継続できる)」へ直結します。

プラスアミノ点滴の副作用と注意(血管痛・アシドーシス・低カリウム)

副作用としては、悪心・嘔吐、血管痛、AST/ALT上昇、発疹、胸部不快感、動悸、悪寒・発熱・頭痛などが報告されています。

また「大量・急速投与」によりアシドーシスが起こり得る旨が記載されており、速度管理は安全性の中核です。

投与部位の血管痛についても、本剤の浸透圧比(約3)やpH(約4.6)が背景として説明され、刺入部位変更・緩徐投与・加温などの対処が示されています。

電解質面で重要なのは「本剤はK(カリウム)を含まない」点で、必要ならカリウム塩を添加して補正するよう明記されています。

さらにブドウ糖投与によりカリウムが細胞内へ移行し、一時的に血清Kが低下し得るため、カリウム欠乏傾向の患者は慎重投与とされています。

ジギタリス投与中も、血清K低下を介してジギタリス中毒リスクを高め得るという注意が書かれており、モニタリングの優先度が上がります。

禁忌としては、肝性昏睡(またはそのおそれ)、重篤な腎障害や高窒素血症、アミノ酸代謝異常症が挙げられています。

慎重投与として、うっ血性心不全、糖尿病、カリウム欠乏傾向などが示され、どれも“輸液の量・糖・電解質”が絡むため、単剤の知識だけでなく患者背景の読み取りが重要になります。

プラスアミノ点滴の配合変化とルート運用(混濁・pH・外観)

「同じルートで一緒に入れられるか」は、効果以前に“そもそも投与が成立するか”を左右します。

インタビューフォームには配合変化試験の記載があり、混合後の外観観察やpH測定を行い、外観変化(混濁)がみられた薬剤が表として提示されています。

例として、チオペンタール系の注射用製剤(ラボナール注射用など)や、一部の副腎ホルモン剤、鉄剤などで混濁が示されており、側管投与やルート分岐の設計が必要になる場面があります。

末梢投与で血管痛が出やすい条件(高浸透圧、酸性、低温)は揃っているため、ルートトラブルが起きると「有効量まで到達せず中止」になり、結果的に“効果が出ない”形になりがちです。

実務対策としては次が現実的です。

  • 可能なら太めの静脈確保、刺入部位の早期変更(痛みが軽いうちに)。
  • 体温程度への加温(寒冷期の標準運用に組み込む)。​
  • 側管投与の整理(混濁リスク薬のラインを分ける)。​

「配合変化」はインシデントになりやすい一方、院内では経験則だけで運用されがちです。

新人指導や当直帯の標準化のために、薬剤部が作る配合変化表と、製剤IFの“混濁が起きた具体例”をセットで共有すると、医師・看護師間の意思決定が速くなります。

プラスアミノ点滴の効果を左右する独自視点(N-アセチル-L-トリプトファンと褐変回避)

検索上位の解説では「栄養」「アミノ酸補給」で終わりやすい一方で、製剤学的に意外性があるのが“なぜブドウ糖入りアミノ酸輸液が成立するのか”という点です。

プラスアミノは、ブドウ糖とアミノ酸を加熱すると褐変(メイラード反応)が起きやすい課題に対し、原因の一つとされるL-トリプトファンをN-アセチル-L-トリプトファンに置換して褐変を回避した、と説明されています。

つまり、臨床効果の前提には「製剤が安定して供給・保管できる」という製剤設計上の工夫があり、ここを理解すると“なぜこの組成なのか”が腹落ちし、他のアミノ酸輸液との比較説明もしやすくなります。

さらにIFには、健常人への投与で血漿遊離アミノ酸の著しいパターンの乱れが観察されなかったこと、N-アセチル-L-トリプトファンは約80%の体内保有率(半減期23.2分)で、他アミノ酸は95%以上と良好に利用されたこと、投与ブドウ糖はほぼ全量が生体内利用されたことが記載されています。

この手の情報は、臨床で患者や家族から「点滴って何が効くの?」と聞かれた際に、単なる“栄養”ではなく「利用される設計」まで説明する材料になります。

また非臨床では窒素出納の改善や体重減少抑制、NEFA上昇抑制などが示されており、エネルギー同時投与が異化抑制の方向に働くというストーリーを組み立てやすい点も、教育・カンファレンス資料として使いやすいポイントです。

有用な意外情報として、N-アセチル-L-トリプトファンは脳への分布が痕跡程度で血液脳関門を通過しない可能性、胎盤への能動的取り込みがなく胎盤を通過し得ない可能性が“参考”として記載されています。

この情報は妊婦投与の可否を直接保証するものではありませんが、「なぜ添付文書が慎重な書き方なのか」「どの情報が不足しているのか」をチームで議論する際の素材になります。

(権威性ある日本語参考:禁忌・用法用量・副作用の確認に有用)

KEGG MEDICUS:プラスアミノ(効能効果・用法用量・副作用)

(権威性ある日本語参考:投与速度、K非含有、配合変化、製剤学的背景の確認に有用)

医薬品インタビューフォーム(プラスアミノ輸液:詳細情報・配合変化・安全性)