涙腺炎 画像 所見と鑑別とIgG4関連疾患

涙腺炎 画像 所見と鑑別

涙腺炎画像評価の全体像
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典型的な涙腺炎画像所見

上眼瞼外側腫脹に対応する涙腺腫大像と炎症の広がりを意識しながら、CT・MRI・前眼部写真を読み解く視点を整理します。

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涙腺腫瘍・偽腫瘍との鑑別

涙腺炎と涙腺腫瘍、IgG4関連疾患、眼窩炎症性偽腫瘍の画像パターンの違いを押さえ、不要な手術や見落としを防ぐポイントをまとめます。

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医療従事者の観察・報告のコツ

病棟・外来での視診・触診所見と画像所見をリンクさせた記録・コンサルトの書き方の工夫を具体的に示し、多職種連携に活かします。

涙腺炎 画像 基本的なCT・MRI所見

 

涙腺炎の典型例では、上眼瞼外側の腫脹・発赤に一致して、造影CTやMRIで涙腺のびまん性腫大と境界不鮮明な軟部陰影がみられます。急性細菌性では炎症性浮腫のため涙腺と周囲脂肪織の境界がぼやけ、造影効果も均一でないことが多く、いわゆる炎症性偽腫瘍の一亜型として認識されることもあります。

特にCTでは、眼窩外側上部に涙腺に一致する軟部陰影の増大と、時に眼窩隔壁側への軽度突出や眼球偏位を伴うことがあり、骨破壊が目立たない点が悪性腫瘍との大きな違いです。MRIではT2強調像でやや高信号、造影T1で均一〜まだらな増強を示し、周囲眼窩脂肪や直筋群へ炎症が波及すると、びまん型眼窩炎症性偽腫瘍との鑑別が問題になることがあります。

前眼部写真レベルでは、「S字状変形」と表現されるような上眼瞼外側の持ち上がりと眼瞼下垂、球結膜充血・ chemosis、涙液メニスカスの増大が捉えられ、流涙症の評価に用いられるようなフルオレセイン染色で角膜上皮障害や涙液貯留を同時に確認できることがあります。これらの視診画像と断層画像を頭の中で重ね合わせながら読むことで、病変の広がりと重症度を直感的に把握しやすくなります。

涙腺炎 画像 涙腺腫瘍との鑑別ポイント

涙腺部腫脹をみたとき、画像上で必ず意識したいのが涙腺腫瘍、とくに腺様嚢胞癌などの悪性腫瘍との鑑別です。悪性腫瘍では、CTで涙腺部に比較的境界明瞭な腫瘤を認め、進行例では眼窩骨の圧排・破壊や頭蓋内への進展像が問題となる一方、炎症性涙腺炎では骨変化に乏しく、短期間でのサイズ変動や疼痛の強さが手がかりになります。

MRIでは、良性混合腫瘍は比較的均一な造影と平滑な輪郭、悪性腫瘍は不整形で内部不均一・浸潤性をとる傾向があり、涙腺炎では炎症消退とともに腫大が縮小するダイナミクスが鑑別材料になります。一方、涙腺炎と誤認されやすい涙腺偽腫瘍(反応性リンパ過形成・眼窩炎症性偽腫瘍)では、造影CTで涙腺部に境界やや不明瞭な高吸収域がみられ、症状は比較的疼痛に乏しく、慢性経過をとることが報告されています。

重要なのは、「発症様式」と「左右差」を画像所見と組み合わせて評価することです。急性発症・強い疼痛・発熱を伴い片側性であれば細菌性涙腺炎を強く疑う一方、徐々に増大する腫瘤感や眼球突出、視力・視野障害を伴う場合は悪性腫瘍、数週間〜数か月単位の経過で比較的疼痛に乏しい腫脹なら偽腫瘍・IgG4関連疾患の可能性を考える必要があります。

涙腺炎 画像 IgG4関連眼疾患・全身疾患との関係

IgG4関連眼疾患は、涙腺炎をきっかけに発見されることが多い全身性疾患であり、画像所見のパターンを知っておくことは医療従事者にとって重要です。典型例では、CTやMRIで両側涙腺の対称性腫大を認め、しばしば顎下腺・耳下腺の腫大や眼窩下神経・翼口蓋窩の神経肥厚を伴うことが報告されています。

眼窩レベルの造影CT横断像では、両側涙腺が腫大し均一な造影を示し、上顎洞レベルのMRI T2強調像では両側眼窩下神経や三叉神経第2枝の腫大が同時に描出されることがあり、これは通常の感染性涙腺炎や単発の眼窩偽腫瘍ではみられにくい特徴です。さらに、FDG-PETが高い感度で全身のIgG4関連病変を検出できることが報告されており、涙腺炎様の局所症状の裏に膵炎・後腹膜線維症・リンパ節腫大などが潜んでいないか全身検索がすすめられています。

意外なポイントとして、IgG4関連涙腺・唾液腺炎の一部では、眼症状やドライアイ症状が軽微で、健康診断の画像や他疾患フォローのCT・MRIで偶然涙腺腫大を指摘されるケースもあります。このような場合、画像の「両側性」「他部位病変の有無」「血清IgG4値」といった情報を総合して評価しないと、単なる慢性涙腺炎や涙腺腫瘍と誤診されるリスクがあります。

涙腺炎 画像 特発性眼窩炎症性偽腫瘍・関連疾患との微妙な境界

特発性眼窩炎症(眼窩炎症性偽腫瘍)は、前眼部型・びまん型・筋炎型・涙腺炎型・視神経周囲型など多様なパターンをとり、その中に涙腺炎型が含まれます。涙腺炎型では、造影MRIで涙腺部に限局するT2高信号・造影増強を認め、他の型では外眼筋肥厚や眼窩脂肪びまん性浸潤が目立つため、涙腺炎単独か眼窩偽腫瘍の一部かを見極める必要があります。

興味深いのは、IgG4関連疾患と眼窩炎症性偽腫瘍の画像像がかなり重なるため、画像だけでは両者の区別が困難なケースが少なくない点です。神経肥厚を伴うパターンや、顎下腺・耳下腺・膵など他臓器病変を伴う場合にはIgG4関連が疑われますが、局所の涙腺腫大のみでは生検と病理・免疫染色による確定診断が必要とされています。

また、涙小管炎や急性涙嚢炎など涙道系炎症も上眼瞼や内眼角の腫脹として現れ、視診写真で似た印象を与えることがありますが、画像上では病変の主座が眼窩外側ではなく涙道・涙嚢周囲にあること、通水検査で閉塞部位が同定できることが鑑別のカギになります。このように、「涙腺炎と思っていたら、実は涙道疾患や偽腫瘍だった」というケースを避けるためには、局所解剖と画像を常にリンクさせる姿勢が求められます。

涙腺炎 画像 医療従事者が押さえたい観察・記録のコツ(独自視点)

画像診断は放射線科眼科医の領域と考えられがちですが、病棟・外来で患者と向き合う医療従事者の観察・記録は、画像の読み方にも直結します。例えば、「上眼瞼外側の限局した腫脹か」「眼窩全体のびまん性腫脹か」「内眼角主体か」といった視診所見を、撮影依頼や紹介状の段階で具体的に言語化しておくことで、画像読影医が病変の主座をイメージしやすくなります。

また、「発症から撮影までの時間」「発熱や全身症状の有無」「片側性か両側性か」「涙嚢部軽度圧迫で膿排出があるか」などをカルテと画像ビューアの両方を見ながら確認し、時系列でまとめておくと、涙腺炎・涙嚢炎・涙腺腫瘍・IgG4関連疾患の絞り込みに大きく貢献します。画像だけで診断がつかないグレーゾーンでは、生検や全身検索に進むかどうかの判断材料として、こうした臨床情報が決定的な意味を持ちます。

さらに、教育・振り返りの観点では、典型例・非典型例の前眼部写真とCT/MRI画像をペアで保存し、チームで読影カンファレンスを行うことが「涙腺炎を見逃さない目」を養ううえで有効です。電子カルテ上で画像に簡単な矢印やコメントを付けておくだけでも、将来の症例検討会や新人教育に役立ち、結果として診療の質向上につながります。

涙腺炎の臨床像と診断・治療の整理に役立つ総説的な解説(症状・診断のポイント・画像検査の位置づけの参考)。

涙腺炎 (臨床眼科 70巻11号) | 医書.jp

涙腺腫瘍(特に腺様嚢胞癌)における画像診断と涙腺炎・偽腫瘍との鑑別の考え方の参考になる専門ページ(腫瘍・鑑別パートの参考)。

涙腺がん(るいせんがん) 名古屋大学医学部附属病院

IgG4関連涙腺・唾液腺炎におけるCT・MRI・FDG-PET画像所見と全身評価の流れが整理されたサイト(IgG4関連眼疾患パートの参考)。

涙腺・唾液腺疾患 | オールジャパン体制によるIgG4関連疾患

特発性眼窩炎症(眼窩炎症性偽腫瘍)と涙腺炎型を含む各タイプのMRI画像が掲載されており、炎症性疾患同士の鑑別に役立つページ(偽腫瘍パートの参考)。

特発性眼窩炎症(眼窩炎症性偽腫瘍)のMRI画像診断

涙小管炎や涙道疾患の前眼部写真と臨床所見が掲載されており、涙腺炎との鑑別や局在診断を考えるうえで参考になるページ(涙道疾患パートの参考)。

涙小管炎|眼科の病気と症状 – 真生会富山病院

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