内科医の年収と開業医の収入で比較する実態

内科医の年収の実態

内科医の年収について知っておくべきポイント
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平均年収は1247万円

全診療科の中で中位に位置し、安定した収入が期待できます

📈

開業医は平均2582万円

勤務医の約2倍の収入を得られる可能性があります

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施設形態で大きく異なる

民間病院、大学病院、クリニックで収入に差があります


内科医の平均年収と年齢別の推移

内科医の基本給与は、経験年数や勤務先によって大きく変動します。初期研修医(1-2年目)の場合、基本給与は月額30-35万円程度で、当直手当や各種手当を含めると年収は600-700万円程度となります。

後期研修医(3-5年目)になると基本給与は月額40-45万円に上昇し、諸手当を含めると年収は800-900万円程度に達します。

専門医資格取得後は、さらに収入が増加し、30代後半から40代前半で年収1,200-1,500万円程度となるのが一般的です。

医師としてのキャリアが進むにつれて、以下のような収入の変化が見られます:

  • 20代後半(初期研修医):600-700万円
  • 30代前半(後期研修医):800-900万円
  • 30代後半(専門医):1,000-1,300万円
  • 40代:1,200-1,800万円
  • 50代以上:1,500-2,000万円以上

医師の働き方改革に関する検討会資料(厚生労働省)

内科医の開業による収入の変化

開業医の収入構造は勤務医とは大きく異なります。開業医の場合、医業収入から必要経費を差し引いた額が収入となります。

開業医の平均年収は2,582.4万円ですが、これには大きな幅があります:

  • 上位25%:3,500万円以上
  • 中央値:2,582.4万円
  • 下位25%:1,800万円以下

開業医の収入に影響を与える主な要因:

  1. 立地条件
  • 都市部:患者数が多く、収入が安定
  • 郊外:競合が少なく、固定患者を確保しやすい
  • 過疎地:経営が厳しい場合も
  1. 診療科目の組み合わせ
  • 一般内科のみ:安定した収入
  • 専門性追加:収入増加の可能性
  • 在宅医療併設:収入増加が期待できる
  1. 経営手腕
  • 人件費管理
  • 医療機器の投資
  • 広告戦略

開業時の初期投資は平均で1億円前後必要となり、その内訳は以下の通りです:

  • 土地建物:6,000-7,000万円
  • 医療機器:2,000-3,000万円
  • 運転資金:1,000-2,000万円

日本医師会総合政策研究機構による医業経営実態調査

内科医の地域別年収格差

地域による年収格差は、以下のような特徴があります:

関東地方(東京、神奈川、千葉、埼玉)

  • 平均年収:1,920万円
  • 特徴:都市部での高額な基本給与
  • 当直手当も充実

北海道・東北地方

  • 平均年収:1,850万円
  • 特徴:医師不足による好待遇
  • 寒冷地手当などの追加収入

関西地方

  • 平均年収:1,780万円
  • 特徴:都市部と地方で格差大
  • 私立病院が多い

九州地方

  • 平均年収:1,723万円
  • 特徴:比較的安定した収入
  • 地方都市での需要大

地域による収入格差が生じる主な要因:

  1. 医師の需給バランス
  2. 地域の経済状況
  3. 医療機関の経営状態
  4. 患者数と医療ニーズ

内科医のキャリアパスと収入の関係

専門医資格取得後のキャリアパスは、収入に大きな影響を与えます:

  1. 大学病院勤務
  • 教育・研究職としての収入
  • 基本給与:月額45-60万円
  • 研究費や講演料の追加収入
  1. 総合病院勤務
  • 診療科部長クラス:年収1,500-2,000万円
  • 副院長クラス:年収2,000-2,500万円
  • 院長:年収3,000万円以上も
  1. クリニック勤務
  • 一般勤務医:年収1,200-1,500万円
  • 副院長クラス:年収1,500-1,800万円

専門医資格による収入への影響:

  • 総合内科専門医:基本給の10-15%増
  • サブスペシャリティ専門医:さらに10-20%増
  • 複数専門医資格:年収200-300万円増

内科医の副業・アルバイト収入の実態

内科医の副業・アルバイトによる収入は、以下のような機会があります:

  1. 当直業務
  • 平日当直:4-5万円/回
  • 休日当直:5-7万円/回
  • 月間4-5回で20-30万円の追加収入
  1. 診療所アルバイト
  • 半日:3-4万円
  • 1日:6-8万円
  • 休日:8-10万円
  1. 産業医業務
  • 小規模企業:月額5-10万円
  • 大企業:月額15-30万円
  • 複数企業掛け持ち可能
  1. 医学講演・セミナー
  • 1回あたり:10-30万円
  • 年間数回の機会

これらの副業による追加収入は、年間で300-500万円程度になることも珍しくありません。

医師の働き方改革の推進に関する検討会資料(厚生労働省)

特に専門医資格保持者は、より高額な報酬を得られる傾向にあります。ただし、働き方改革関連法の施行により、副業・兼業に関する規制が強化される傾向にあることにも注意が必要です。医療機関の規模や形態によっても、収入構造は大きく異なります:

  1. 大学病院
  • 基本給:比較的低め
  • 研究費・講演料:追加収入あり
  • 教育手当:役職に応じて支給
  • 特徴:安定性と研究機会の確保
  1. 公立病院
  • 基本給:安定的
  • 各種手当:充実
  • 退職金:手厚い
  • 特徴:ワークライフバランスの重視
  1. 私立病院
  • 基本給:変動幅大きい
  • 実績給:充実
  • 福利厚生:病院により差異
  • 特徴:業績連動型の報酬体系
  1. 診療所(クリニック)
  • 基本給:高め
  • 実績給:患者数に応じる
  • 特徴:フレキシブルな勤務形態

内科医の収入に影響を与える資格と専門性:

  1. 総合内科専門医
  • 基本給増額:10-15%
  • キャリアアップの基本資格
  • 転職時の交渉力向上
  1. サブスペシャリティ領域
  • 消化器内科

  • 内視鏡検査による収入増

  • 専門医資格で20-30%増

  • 循環器内科

  • 検査・処置による収入増

  • 専門医資格で25-35%増

  • 呼吸器内科

  • 気管支鏡検査による収入増

  • 専門医資格で15-25%増

  1. その他の専門資格
  • 感染症専門医

  • COVID-19対応で需要増

  • 専門医資格で10-20%増

  • 糖尿病専門医

  • 生活習慣病管理で安定収入

  • 専門医資格で15-25%増

内科医の収入を最大化するためのキャリア戦略:

  1. 早期の専門医取得
  • 30代前半までに取得推奨
  • キャリアの選択肢が広がる
  • 収入アップの基盤となる
  1. 複数の専門性確保
  • 総合内科+サブスペシャリティ
  • 診療の幅が広がる
  • 収入源の多様化
  1. スキルアップ投資
  • 学会参加
  • 新技術の習得
  • 論文執筆
  1. ネットワーク構築
  • 医師会活動
  • 研究会参加
  • 異業種交流

将来的な収入アップのための注意点:

  1. 経営視点の育成
  • 医療経済の理解
  • 経営指標の把握
  • コスト管理意識
  1. 患者対応スキル
  • コミュニケーション能力
  • 信頼関係構築
  • 患者満足度向上
  1. チーム医療の実践
  • 多職種連携
  • リーダーシップ
  • マネジメント能力
  1. 最新医療への対応
  • 新技術の導入
  • 治療法の更新
  • 医療機器の活用

内科医の収入に関する最新トレンド:

  1. オンライン診療の普及
  • 新たな収入源
  • 効率的な診療
  • 地理的制約の解消
  1. 在宅医療の需要増
  • 高齢化社会対応
  • 収入増加機会
  • 地域医療への貢献
  1. 予防医療の重要性
  • 健康診断
  • 人間ドック
  • 生活習慣病対策
  1. 医療のIT化
  • 電子カルテ
  • AI診断支援
  • 業務効率化

医師の働き方改革の推進に関する検討会資料(厚生労働省)

これらの要素を総合的に考慮し、自身のキャリアプランに合わせた収入戦略を立てることが重要です。特に、専門性の確立と継続的な学習、そして経営的視点の育成が、長期的な収入の安定と向上につながります。

また、ワークライフバランスを考慮しながら、自身の価値を最大化できるキャリアパスを選択することが、持続可能な医師人生を送るための鍵となります。