網膜神経障害と緑内障とOCTの診断

網膜神経障害と緑内障

網膜神経障害:臨床で迷いやすい論点
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「網膜」=中枢神経の一部という前提

神経変性は不可逆になりやすく、早期に構造変化を拾う戦略が重要です。

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OCTで「構造→機能」のズレを読む

視野より先にRNFLなどの変化が出る場面があり、フォロー間隔の設計に直結します。

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鑑別と紹介の判断軸

急性・亜急性の視力低下や疼痛、左右差、全身背景で“緑内障だけではない”を疑います。


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網膜神経障害の定義と視神経

 

網膜神経障害は、網膜内層を中心とする神経系(網膜神経節細胞とその軸索=網膜神経線維層:RNFL)に障害が生じ、視機能(視野・視力・コントラスト感度など)へ波及する状態を広く指す臨床概念として扱うと整理しやすいです。緑内障性視神経症(GON)を代表に、虚血・炎症・外傷・遺伝などでRGCの障害が進むと、哺乳類では基本的に不可逆な視機能低下につながりやすい点が臨床上の難しさになります。

とくに緑内障は「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることで視神経障害を改善もしくは抑制しうる」疾患として定義され、網膜神経障害の文脈で最も遭遇頻度が高い原因群です。

一方で、視神経炎など炎症性の視神経疾患は、中心暗点や急激な視力低下、眼球運動痛など“症状の立ち上がり”が緑内障と異なりやすく、網膜神経障害を「緑内障で説明してよいか」を毎回点検する必要があります。

網膜神経障害の症状と視野

緑内障性の網膜神経障害は、初期に自覚症状が乏しく、患者が視野欠損を自覚した時点で障害が進行していることが多い、という点が最大の落とし穴です。

そのため、視野検査は診断だけでなく経過観察の中核で、静的視野(自動視野計)は初期変化に鋭敏で、進行判定には複数回の測定が必要とされます。

現場の実務では、視野だけに依存すると「検査の学習効果」「信頼係数」「白内障など中間透光体混濁の影響」で判断が揺れやすく、構造検査(OCTなど)とセットで“整合性”を取る設計が安全です。

網膜神経障害の診断とOCT

OCTは、乳頭周囲RNFL厚や黄斑部の網膜内層厚を定量化でき、眼底所見を量的に記録し、進行判定にも利用できるとされています。

ただしOCTの計測値は、計測位置のずれや画質など撮影条件の影響を受けて変化し得るため、数値の上下だけで結論を出さず、B-scanやセグメンテーションの妥当性確認が不可欠です。

さらに意外に重要なのが“floor effect”で、進行した緑内障眼ではそれ以上の菲薄化を検出しにくくなるため、OCTによる進行評価は比較的早期症例に適し、進行例では視野主体に切り替える発想が求められます。

網膜神経障害の原因と緑内障

緑内障では、視神経乳頭とRNFLに形態的特徴(乳頭陥凹の拡大、辺縁部の菲薄化、RNFL欠損)を示し、視野異常より先に構造変化が検出されることがあるため、健診や他疾患フォローの眼底から拾い上げられるケースも少なくありません。

治療は原則として眼圧下降が唯一確実なエビデンスをもつ柱で、薬物・レーザー・手術を病型と病期、危険因子(角膜厚、眼灌流圧、家族歴など)を勘案して組み立てます。

“意外な論点”として、点眼のアドヒアランス不良は進行リスクに直結し得ますが、緑内障は自覚症状が乏しいため脱落が起きやすいという構造問題があります。

網膜神経障害の独自視点:OCTAとfloor effect

網膜神経障害の進行評価で見落とされがちなのが、「構造指標が頭打ちになったあと、何を追うか」です。ガイドラインでは、OCTAでの網膜表層血流低下は、RNFL厚よりもfloor effectの影響を受けにくい可能性がある一方、実臨床で標準化された活用方法は確立されていない、と整理されています。

つまり、進行例でOCTの厚み変化が乏しくても「安定」とは限らず、視野(中心10°を含む設計の見直し、視標サイズ変更、動的視野で耳側残存を評価など)へ主戦場を移す必要があります。

現場では、OCTAを“決め手”として使うより、(1)視野進行の裏取り、(2)高度進行例の補助情報、(3)他疾患(虚血性変化など)の気づき、という位置づけで慎重に扱うと運用しやすいです。

緑内障の定義・検査(OCT/RNFL/視野)・治療の原則を確認できる(ガイドライン本文の該当箇所)。

日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン(第5版)

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