物が二重三重に見える原因と症状と治療

物が二重三重に見える

物が二重三重に見える:鑑別と初期対応
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単眼性か両眼性か

片目を隠しても残るなら屈折・角膜・水晶体(乱視/白内障など)を優先。片目を閉じると消えるなら眼位ずれ(斜視/神経麻痺/甲状腺眼症など)を疑う。

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急性発症は緊急度高

突然の複視、頭痛、瞳孔異常、神経症状(しびれ・麻痺・構音障害など)があれば当日評価・画像検査を考える。

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治療は原因治療+対症

原因疾患の治療に加え、プリズム、遮蔽、眼鏡調整などで生活障害を減らす。薬剤性や全身疾患も取りこぼさない。


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物が二重三重に見える原因の単眼性複視

 

物が二重三重に見える訴えでは、まず「単眼性複視(片目でも残る)」かどうかを確認すると鑑別が一気に絞れます。単眼性複視は、眼球内で光の通り道(角膜〜水晶体〜網膜まで)に歪みがあるときに起こり、像が3つ以上に見えることもあると整理されています。片眼の像のうち「正常に見える像」と「質が落ちる像が混在する」タイプは単眼性を示唆します。

単眼性複視で頻度が高い原因として、乱視と白内障が挙げられています。乱視では角膜曲率の非対称で像がにじみ、白内障では水晶体混濁による散乱・屈折の乱れで“ゴースト像”が増えるイメージです。医療現場では「患者が“二重”と言うが、実際は輪郭が二重ににじむ・夜間の光が増える・まぶしい」などの表現が多く、問診で“像の分離”と“にじみ”を言語化してもらう工夫が役立ちます。

単眼性複視の初期対応として重要なのは、神経疾患の除外より先に「屈折・前眼部・中間透光体」を丁寧に押さえることです。MSDマニュアルでは単眼複視は眼疾患評価のため眼科紹介が基本で、頭蓋内の画像検査に直行する前に眼科的評価で原因が明確になるケースが多いとされています。臨床的には、ピンホールで改善するか、涙液不安定(ドライアイ傾向)や角膜不正乱視所見がないか、白内障の程度と症状が一致するか、などの評価が組み立ての中心になります。

参考:単眼性/両眼性の定義と、単眼性複視で乱視・白内障が多い点

日本眼科学会:三重に見える(複視)

物が二重三重に見える原因の両眼性複視

片目を閉じると物が二重三重に見える症状が消える場合は、両眼性複視(左右眼の眼位ずれ)が強く疑われます。両眼性複視は「像が2つで、質がほぼ同等」という特徴が典型とされ、眼位ずれ=斜視、脳神経麻痺、眼窩疾患などを鑑別に上げます。日本眼科学会の解説でも、急に起こる両眼性複視では脳や神経の異常(脳梗塞・脳動脈瘤・脳腫瘍・重症筋無力症など)が背景にあることが多く、MRI/CT精査になることがあるとされています。

原因の枠組みとしては、(1)外眼筋を支配する脳神経(III・IV・VI)麻痺、(2)眼窩内の機械的制限(甲状腺眼症、眼窩炎症など)、(3)神経筋接合部・中枢(重症筋無力症、多発性硬化症など)を意識すると、現場での見落としが減ります。MSDマニュアルでも両眼複視の頻度が高い原因として、脳神経麻痺や眼窩浸潤(甲状腺眼症など)を挙げています。特に“視線方向でずれが変わる”“頭位で軽くなる”“眼球運動で痛む/動かない”などは、神経性・機械性の鑑別に直結します。

臨床での「意外な落とし穴」は、患者が“両目で二重”と訴えながら、実際は「左右の屈折差(不同視)」「眼鏡不適合」「軽度斜位の破綻」などで症状が出ていることです。日本眼科学会の説明では、両眼性複視は斜視のほか「左右の屈折値のズレ」も原因になり得るとされており、神経疾患に寄りすぎず光学的な因子もセットで評価する姿勢が重要です。

参考:両眼性複視の原因(斜視、屈折差、急性は脳・神経も)

日本眼科学会:三重に見える(複視)

物が二重三重に見える症状と受診の目安

物が二重三重に見えるとき、医療従事者が最優先で確認したいのは“緊急度を上げる所見(Red flag)”の有無です。MSDマニュアルでは、複数脳神経障害、瞳孔異常、複視以外の神経症状、疼痛、眼球突出などを警戒すべき事項として列挙しています。これらがある場合、原因が圧迫性病変、炎症、血管障害などの可能性も上がり、画像検査を含む迅速な対応が必要になります。

診療の現場では、患者の主訴を「急に」「いつから」「頭痛や眼痛」「しびれ/脱力/言葉のもつれ」「まぶたが下がる」「片目だけの違和感」などの軸で再構成し、問診で緊急度を決めるのが現実的です。MSDマニュアルでも病歴聴取では、単眼性/両眼性、間欠性/持続性、ずれの方向(水平・垂直・斜め)に加え、痛み(眼球運動で増悪するか)や他の脳神経症状の有無を確認するよう推奨しています。患者が訴える“めまい”や“ふらつき”も、脳幹・小脳系の関与を匂わせる場合があり、複視単独と決めつけない姿勢が安全です。

受診の目安を文章化すると、医療従事者向け記事でも患者啓発でも使いやすくなります。例えば、次のような整理が実務にフィットします。

  • 🚑「突然」始まった両眼性複視、または増悪している複視(当日評価)
  • 🚑頭痛、眼痛、瞳孔不同、まぶたが下がる、眼球突出、しびれ・脱力・構音障害などの併発(当日〜救急)
  • 👁️単眼性複視が続く(眼科で屈折・角膜・白内障などを評価)
  • 🧭間欠性複視(疲労で増える、夕方に悪化など)は重症筋無力症や斜位破綻も念頭に置いて評価

参考:複視のRed flagと評価・検査の考え方

MSDマニュアル プロフェッショナル版:複視

物が二重三重に見える治療の眼科

物が二重三重に見えるときの治療は、結局のところ「原因治療」と「症状(生活障害)を減らす対症療法」の二本立てになります。MSDマニュアルでも、治療は基礎疾患の管理であると明記されています。とはいえ現場では、原因が確定するまでの期間や自然回復を待つ期間に、患者の転倒リスクや運転可否、就労の困難が前面に出るため、眼科的な対症の引き出しが重要です。

単眼性複視の代表である白内障は、症状と混濁の程度が一致しやすく、手術により複視様症状が改善することが多い領域です。日本眼科学会の説明でも、単眼性複視は乱視と白内障が多いとされており、ここを外さないことが“最短距離の診断”になります。加えて、角膜不正乱視や涙液の不安定が背景にある場合は、屈折矯正・眼表面の安定化(点眼や生活指導)で患者が「二重が軽くなった」と実感することもあります。

両眼性複視では、原因治療(例:脳神経麻痺の原因検索・血管危険因子管理、甲状腺眼症の治療、外傷なら眼窩評価)に並行して、眼位ずれそのものによる生活障害を減らす工夫が求められます。MSDマニュアルには、単一の脳神経麻痺で瞳孔異常がなく他症状がない場合は自然回復することもあり、経過観察が選択され得る一方、Red flagがあれば画像検査が必要と書かれています。したがって「経過観察=何もしない」ではなく、経過観察中の安全確保として遮蔽(片眼遮蔽)やプリズムなどの提案、転倒・運転・高所作業への注意喚起をセットにするのが臨床的に筋が通ります。

※独自視点(検索上位で埋もれがちだが実務で効くポイント):医療従事者が患者へ説明する際、“眼帯で完全遮蔽”だけを勧めると、深度知覚の低下で転倒リスクが上がることがあります。短時間の遮蔽、作業場面の限定、階段・段差の回避、歩行補助など「安全対策の具体化」を同時に提示すると、患者の納得感と安全性が上がります(原因精査と並行する対症の質が上がる)。このような行動面の介入は、検査結果が出る前でも開始できる“即効性のある医療”です。

参考:複視の治療は原因治療が基本、単眼性/両眼性の区別と検査方針

MSDマニュアル プロフェッショナル版:複視

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