眼瞼結膜出血 症状 原因 検査 治療 観察ポイント

眼瞼結膜出血 症状 原因 検査 治療

眼瞼結膜出血の診療ポイント
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よくある良性病変の見極め

白目のべったりした出血を前に、結膜炎や眼底出血などとの鑑別をどう整理するかを概説。

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繰り返す眼瞼結膜出血への対応

背景に潜む高血圧・血液疾患・結膜弛緩症などを想定し、どこまで精査するかの目安を提示。

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外来で使える説明と生活指導

自然吸収を待つだけのケースでも、患者の不安を軽減する説明のコツとセルフケア指導を整理。

眼瞼結膜出血の症状と結膜下出血との関係

眼瞼結膜出血と表現されることの多くは、白目がべったり赤くなる結膜下出血の一亜型として理解されます。

球結膜に生じる典型例では白目の一部〜全体が鮮紅色となり、視力低下はなく、あっても軽度の異物感程度にとどまることが特徴です。

結膜には豊富な毛細血管が走行しており、その一部が破綻して結膜直下に血液が貯留することで斑状〜板状の赤色域として可視化されます。

患者は「急に真っ赤になった」「鏡を見て驚いた」と訴える一方で、疼痛や充血感を自覚しないケースも多く、眼瞼結膜炎や角膜疾患に比べて体感症状とのギャップが大きい点が診察時の特徴です。

参考)http://www.tdc-eye.com/disease/disease03.html

眼瞼結膜側に限局する小さな出血斑の場合、眼瞼内反症やドライアイに伴う機械的刺激が背景にあることもあり、単純な整容上の問題として片付けない視点が求められます。

参考)結膜下出血

眼瞼縁に近い出血は、涙液不安定・Lid-wiper-epitheliopathy・コンタクトレンズ関連障害と併存しうるため、スリットランプで角膜・輪部結膜まで必ず確認することが推奨されます。

眼瞼結膜出血の主な原因と結膜弛緩症・全身疾患

眼瞼結膜出血の原因は外傷、局所要因、全身性要因、特発性に大別でき、思い当たる誘因がなく突然発症する例も少なくありません。

局所要因としては、目をこする、強い瞬目、コンタクトレンズのつけ外し、くしゃみ・咳・大声といった急激な静脈圧上昇、さらに水中ゴーグルの締め付けや過飲酒・月経などが挙げられ、日常生活の些細な動作がトリガーになることが特徴です。

眼瞼結膜に限局して出血を繰り返す場合、加齢に伴う結膜弛緩症により眼球結膜が弛み、瞬目や眼球運動で過度に動くことで毛細血管が牽引・摩擦され破綻しやすくなっているケースが少なからず存在します。

全身性要因としては、高血圧、糖尿病、動脈硬化、腎炎、紫斑病、貧血、白血病などの出血傾向を来す疾患が知られており、繰り返す結膜下出血では内科受診による血圧・血算・凝固系の評価が推奨されます。

参考)結膜下出血について|結膜下出血|病名と症例|林眼科病院|福岡…

抗血小板薬・抗凝固薬の内服により出血の頻度・範囲が増すこともあり、眼瞼結膜出血の既往は処方医への情報提供事項として留意すべきです。

参考)https://j-eyebank.or.jp/doc/class/class_24-1_02.pdf

一見整容的な問題に見える症例の中に、未診断の血液疾患や高度高血圧が潜んでいた報告もあり、特に高齢者での初発例・大量出血では全身評価を軽視しない姿勢が重要です。

眼瞼結膜出血の鑑別診断と眼底検査・外傷評価

眼瞼結膜出血を診た際は、結膜炎、毛様充血を伴う強膜炎・虹彩毛様体炎、眼内出血(眼底出血)などとの鑑別を意識する必要があります。

結膜下出血では結膜円蓋部に強く、輪部付近でやや弱い表在性の赤色斑としてみられ、血管走行が不明瞭になるのに対し、結膜充血では血管拡張による網目状パターンが主体である点が鑑別の一助となります。

眼底出血は眼球内部の網膜血管からの出血であり、外見上の赤目とは直接連動せず、結膜下出血があっても眼底出血を伴わないことが多い一方、リスク因子があれば眼底検査を推奨する見解が示されています。

眼外傷の既往がある場合、とくに鋭利な物体、金属片、ボール外傷、転倒などでは、穿孔性眼外傷や眼球後部損傷を見落とさないための精査が必要になります。

参考)結膜下出血の治療

眼瞼結膜出血を伴う外傷症例で、痛み・視力低下・前房出血・角膜混濁などがあれば、直ちに専門的な画像検査や手術を要することがあり、安易な整容目的の説明のみで帰宅させないことが重要です。

また、頻回に出血を繰り返す症例では、眼瞼内反・睫毛乱生ドライアイ・コンタクトレンズ不適合などの慢性機械刺激、さらには局所腫瘍性病変の有無まで、スリットランプで丁寧に観察することが求められます。

眼瞼結膜出血の治療・自然経過と患者説明のポイント

多くの眼瞼結膜出血は軽症で、10日前後〜2週間程度で自然吸収されるため、基本的には経過観察のみでよいとされています。

整容的なインパクトは大きいものの、視力に影響せず痛みも乏しいこと、出血が拡大しているように見えても血液の移動による見かけの変化であることを説明すると、患者の不安軽減に有用です。

異物感がある場合には人工涙液や表面保護目的の点眼を用いる程度で、出血そのものを直接消失させる点眼薬は存在しないことを明確に伝えると、不要な点眼希望や薬剤依存を避けられます。

出血範囲が広い、吸収が遷延する、あるいは整容上の希望が強い場合には、血栓溶解剤などを結膜下注射して吸収を促進する選択肢も報告されていますが、標準的な初期対応ではありません。

繰り返す症例で結膜弛緩症が背景にある場合、余剰結膜を切除して張りを持たせる手術により出血を抑制できるとされ、同時に流涙や異物感の改善が得られることがあります。

参考)なぜ?同じ場所で「結膜下出血」を繰り返す原因。早く治す方法は…

生活指導としては、強い揉擦を避ける、コンタクトレンズの衛生とフィッティングを見直す、過度の飲酒や急激な腹圧上昇動作を控えるといった一般的な血管保護の視点を押さえておくと説明が具体的になります。

参考)結膜下出血

眼瞼結膜出血の意外なピットフォールとチームでの観察ポイント

眼瞼結膜出血は「放置してよい良性疾患」と認識されがちですが、頻回例では血液凝固阻害薬の服用歴や出血時間の延長など、投薬・全身管理上の重要情報が隠れている場合があります。

結膜下出血歴の報告は、抗凝固薬の適正量や併用薬の調整に役立つため、眼科だけでなく循環器・脳神経内科・内科などと情報共有すべき clinical marker として位置づけることができます。

また、眼帯による整容的カバーを希望される例がありますが、眼帯は立体視を阻害し、車の運転などでは重大な事故リスクとなるため、短時間の限定使用に留めるか、サングラスなど代替手段を説明する必要があります。

医療従事者側では、受付・看護師が「充血」「ものもらい」と自己診断して受診する患者を適切にトリアージできるかが重要で、眼瞼結膜出血を疑う場合は視力低下や疼痛の有無、外傷歴、全身疾患・内服歴をあらかじめヒアリングしておくと診察がスムーズになります。

参考)疾患から診療科を探す(当院で診療可能な疾患か否かは、事前にお…

電子カルテには、出血の部位(眼瞼側/球結膜側、耳側/鼻側)、範囲、併存所見(結膜弛緩、ドライアイ所見、角膜障害など)を簡潔に記録しておくことで、再発時の比較や他科への情報提供に役立ちます。

こうした「良性に見えるが全身管理の手掛かりにもなりうる病変」として眼瞼結膜出血を位置づける視点は、若手医師や看護師の教育テーマとしても有用です。

自然吸収と全身疾患の可能性、整容上のインパクトと医療的リスクのギャップをどうバランスよく説明するかは、外来チーム全体で共有しておきたい眼瞼結膜出血の実践的なポイントと言えます。

患者向け説明の具体例や経過写真を含む資料として、結膜下出血の概要と治療方針が整理されています(患者説明と自然経過のイメージ共有に有用)。

参天製薬 結膜下出血の治療