慢性濾胞性結膜炎と鑑別
慢性濾胞性結膜炎の症状と濾胞
慢性濾胞性結膜炎は、結膜に濾胞(リンパ球主体の反応性組織)が持続し、充血・眼脂・(かゆみ)など一般的な結膜炎症状が続く状態として捉えると整理しやすいです。
濾胞は乳頭と異なり、血管が頂点ではなく周辺部から侵入する形態がポイントで、所見の言語化(濾胞なのか乳頭なのか)だけでも鑑別の精度が上がります。
好発部位として円蓋部が挙げられており、「どこに濾胞が目立つか」を診察記録に残すことが、原因推定(クラミジア、薬剤性、ウイルス性など)と後日の再評価に役立ちます。
慢性濾胞性結膜炎の原因とクラミジア
慢性の濾胞性結膜炎の原因として、トラコーマ、伝染性軟属腫(ポックスウイルス)による結膜炎、点眼薬の長期使用による薬物中毒性結膜炎などが挙げられます。
一方で急性の濾胞性結膜炎の代表としてウイルスとクラミジアがあり、臨床では「急性に見えても遷延して慢性化している」例が紛れ込むため、性状の変化(眼脂、濾胞の増大、片眼性の継続)を追う視点が重要です。
クラミジア結膜炎を疑う導線としては、濾胞の存在そのものに加え、典型例では巨大濾胞が円蓋部にみられる、という“分布とサイズ”の観点が有用です。
慢性濾胞性結膜炎の鑑別診断と眼脂
結膜炎の鑑別は、まずアレルギー性か感染性かを、瘙痒感の有無・眼脂の性状・乳頭増殖の有無で切り分ける、という流れが基本になります。
感染性を疑った後は、眼脂の性状、結膜濾胞の有無、耳前・顎下リンパ節腫脹の有無が観察ポイントで、濾胞がなく黄色膿性眼脂なら細菌性を強く疑う、という整理が実務的です。
さらに、濾胞があり膿性眼脂を認める場合はクラミジア結膜炎が最も疑わしく、濾胞があり眼脂が線維素性ならウイルス性を考える、という「眼脂×濾胞」の組み合わせは初期対応の迷いを減らします。
慢性濾胞性結膜炎の治療と点眼薬
治療は原因に応じた点眼薬を用い、炎症の程度に応じて抗炎症薬を併用する、という方針が基本です。
クラミジアの場合には抗生物質の眼軟膏を使用し、内服薬を併用することもあるため、眼科単独で完結させず、必要に応じて他科連携も視野に入れます。
また、結膜炎領域ではステロイド点眼が症状軽減に寄与する場面がある一方、原因鑑別が不十分な段階での安易な使用はリスクになり得るため、慢性例ほど「原因推定→治療→反応の再評価」という順序を強く意識します。
慢性濾胞性結膜炎の独自視点:薬剤性と診療プロセス
慢性濾胞性結膜炎では、点眼薬の長期使用による薬物中毒性結膜炎が原因になり得るため、「治療しているのに治らない」状況では、追加処方よりもまず被疑薬の棚卸し(回数、併用、保存剤の有無、自己判断の市販薬)を行う価値があります。
鑑別の実務では、初診時点で病因を一発で確定できないケースがあり、そこで役立つのがガイドライン的な“症候での大まかな分類”(アレルギー→感染、細菌→クラミジア/ウイルス)をカルテ上で明示し、次回来院時に所見の移動(濾胞の分布、眼脂性状、リンパ節)を比較する運用です。
意外に効く工夫として、患者教育の文言を「感染対策」だけでなく「点眼の継続・中止の判断軸」まで具体化することが挙げられ、漫然投与が慢性化の温床になり得る点をチームで共有すると再診の質が上がります。
慢性濾胞性結膜炎(原因・症状・治療の整理に有用)
結膜炎の鑑別診断(眼脂・濾胞・リンパ節での鑑別アルゴリズム)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/conjunctivitis-2.pdf