黒内障性瞳孔強直とAdie瞳孔反射

黒内障性瞳孔強直

黒内障性瞳孔強直:臨床で迷う点を先に整理
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最初に決める:病変部位

「視神経〜網膜(求心路)」か「瞳孔括約筋〜毛様体神経節(遠心路)」かで、瞳孔所見と緊急度が変わります。

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対光反射と輻輳反応の差

対光反射が弱いのに近見でゆっくり縮瞳するなら、Adie瞳孔(瞳孔緊張)をまず疑います。

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黒内障はTIAとして扱う視点

一過性視力障害は頸動脈評価が重要で、脳梗塞予防の介入につながります。


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黒内障性瞳孔強直の瞳孔反射と対光反射

 

医療従事者向けに「黒内障性瞳孔強直」という語を扱うとき、まず注意したいのは“黒内障(amaurosis)”と“瞳孔強直(pupillotonia)”が、病態としては別の概念から出発し得る点です。

臨床では「突然の片眼視力低下(黒内障)」を訴える患者で、瞳孔所見が絡むと“神経眼科の緊急度”が一段上がります。

ここで押さえるべき観点は、瞳孔反射がどの経路の障害で崩れているかです。

  • 求心路(網膜〜視神経):視覚入力が落ち、対光反射の入力が左右で不均等になる
  • 遠心路(動眼神経副交感〜毛様体神経節〜短毛様神経〜瞳孔括約筋):入力はあっても縮瞳が出ない/遅い

「黒内障性」という語感に引っ張られて“視覚が暗い=瞳孔も動かない”と短絡すると危険です。黒内障は「一過性黒内障」であればTIAに相当する症状として扱われ、頸動脈などの評価を優先する流れが一般的です。実際に、一過性黒内障が疑われる際は頸動脈のチェックが重要という臨床的整理がされています(頸部MRAやエコー等)。

参考)黒内障

瞳孔の動きが鈍い/左右差がある場合でも、まず“今この患者は脳血管イベントの窓にいるか”を見誤らないことが、医療安全の観点で重要になります。

また「対光反射が悪い」の一言にも幅があります。

  • 反射が“消失”に近いのか
  • “遅延”なのか
  • “減弱”で残るのか
  • 近見反応(輻輳反応)との差(解離)があるのか

    この差は、後述するAdie瞳孔や動眼神経麻痺、あるいは求心路障害の鑑別に直結します。

黒内障性瞳孔強直とAdie瞳孔の鑑別

瞳孔強直(pupillotonia)の代表的な臨床像としてAdie瞳孔が挙げられ、片眼性が多く、対光反射が減弱〜消失する一方で、近見時にはゆっくり縮瞳する(輻輳反応は保たれる)という所見が典型です。

この「対光反射が弱いのに、近くを見ると縮む」という解離は、診察室で最も価値の高い“見た目で分かる神経学”の一つです。

中安眼科クリニックの院長コラムでは、30歳女性の例で、右瞳孔が散大し対光反射はほぼ反応しない一方、輻輳でゆっくり縮瞳したことからAdie瞳孔と診断した経過が記載されています。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/5d3480f3a797375bb2e5823ee5d48a7476835f91

さらに同コラムでは、Adie瞳孔は原因不明が多いが瞳孔括約筋麻痺で発症し、20~40歳女性に多く、80~90%が片眼性、眩しさやピント不良を訴えることがある、と整理されています。

一方、「黒内障(視力が落ちる)」を主訴にする患者でAdie瞳孔様所見が混じると、現場では“別々の病態の合併”も想定する必要があります。

  • 視力低下は虚血(黒内障)
  • 瞳孔所見は偶発的にAdie瞳孔(良性経過が多い)

    こうした“たまたま同時にいる”ケースを想定しておくと、不要な結論(例えば「瞳孔が変だから黒内障も末梢神経の問題」など)を避けられます。

なお、同コラムでは動眼神経麻痺など脳内病変を除外する目的でMRI/MRAを行った点も触れられています。

医療従事者としては、Adie瞳孔が疑わしくても「頭痛」「複視」「眼瞼下垂」などを伴うなら動眼神経麻痺や圧迫性病変を再評価する、という“行動規範”まで文章化しておくと、チーム医療で共有しやすくなります。

黒内障性瞳孔強直とMarcus Gunn瞳孔

黒内障(特に一過性黒内障)の議論は、血管性イベント(頸動脈狭窄、塞栓など)に引っ張られやすい一方で、診察の瞬間には「求心路障害(RAPD)」の評価が非常に有用です。

求心路障害があると、いわゆるMarcus Gunn瞳孔(相対性求心路障害:RAPD)として、スイングフラッシュライトテストで所見が出ます。

ここでの落とし穴は、患者が「見えない」と言っていても、その“見えなさ”が視神経・網膜レベルなのか、屈折やメディア混濁、心因性なのか、あるいは神経学的に高次なのかが混じり得る点です。

瞳孔の求心路所見は、視力検査が不安定でも比較的客観性が高く、救急外来や当直帯で役立ちます。

「一過性黒内障はTIAに分類される症状で、脳梗塞予防を目的に抗血小板薬抗凝固薬が用いられる」という整理は、患者説明だけでなく院内の紹介ルート(眼科→脳外/神内)を決める根拠になります。

したがって、黒内障を疑ったら“RAPDの有無+頸動脈評価”をセットにして書けると、医療者向け記事として実装力が高い内容になります。

黒内障性瞳孔強直の原因と治療

原因の整理は、「黒内障」と「瞳孔強直」を分けて考えると破綻しにくくなります。

  • 黒内障(特に一過性黒内障):動脈硬化、頸動脈狭窄、血栓・塞栓など“虚血”の文脈が中心
  • 瞳孔強直(Adie瞳孔など):毛様体神経節後線維障害や瞳孔括約筋系の異常(原因不明が多い)

一過性黒内障については、生活習慣病に伴う動脈硬化が背景となり頸動脈狭窄が関与し、血圧低下や血栓が眼動脈を詰まらせて一時的視力消失が起きる、という説明が一般向けにも整理されています。

参考)一過性黒内障(いっかせいこくないしょう)について解説します

同様に、抗血小板薬・抗凝固薬、場合によっては外科的治療が選択肢になり得ること、そして生活習慣改善が予防に有効という方向性も述べられています。

瞳孔強直側(Adie瞳孔)については、時間経過で縮小し自然軽快することもあり、治療不要の場合がある一方、眩しさが強い場合には虹彩付きコンタクトレンズを用いる、という実臨床の対応が紹介されています。

医療者向けに書くなら、ここに「患者の困りごと(羞明、近見障害)をどう拾い、どこまで介入するか」を含めると、単なる教科書的説明から一段深い記事になります。

参考として、黒内障を疑うとき「頸動脈のチェックがまず重要」とする整理もあり、頭部MRI/MRA・頸部MRAやエコーが挙げられています。

“目の症状で来た患者を脳卒中予防につなげる”という意味で、黒内障の章は眼科単科では完結しない設計にすると実務的です。

黒内障性瞳孔強直の独自視点:診察室の失敗学

検索上位の解説では「定義・原因・検査・治療」が並ぶことが多い一方で、現場で本当に起きるのは“解釈ミス”です。ここでは医療従事者向けに、あえて失敗パターンから逆算します。

よくある誤りは次の3つです。

  • 「瞳孔不同=動眼神経麻痺」と即断してしまい、対光反射と輻輳反応の差(解離)を見ない
  • 「黒内障=眼科だけで完結」と思い、TIAとしての導線(頸動脈評価や脳梗塞予防)を遅らせる
  • 「対光反射が弱い=視神経が悪い」と決めつけ、求心路(RAPD)と遠心路(縮瞳そのもの)の切り分けを省略する

Adie瞳孔の例では、対光反射はほぼ反応しないが、輻輳でゆっくり縮瞳する所見が鍵でした。

この所見を“見た瞬間に言語化できる”ようにチーム内で共通語彙化しておくと、救急・内科・眼科の引き継ぎで情報が落ちにくくなります。

また、一過性黒内障はTIAに分類され脳梗塞予防が目的になる、という位置づけを院内で共有できると、眼科受診が「脳血管精査への入口」になります。

つまり独自視点としては、「疾患知識」よりも「院内フローと説明の設計」が患者アウトカムに効く、という点を前面に出すと、医療者向け記事として差別化できます。

黒内障の頸動脈狭窄や塞栓を疑うとき、患者は“症状が消えている”ことも多く、医療者側が「もう大丈夫」と感じやすいのも落とし穴です。

一過性黒内障が疑われる場合に頸動脈チェックがまず重要、という原則を診療録テンプレに入れておくだけでも、忙しい外来での抜けを減らせます。

黒内障(TIA文脈)の参考リンク(頸動脈チェック、治療の考え方)

黒内障

Adie瞳孔(対光反射低下と輻輳反応、頻度、経過)の参考リンク

https://www.nakayasu-eye-clinic.com/column/?cat=%E7%9E%B3%E5%AD%94

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