好酸球性胃炎内視鏡所見と生検診断治療

好酸球性胃炎 内視鏡所見

好酸球性胃炎 内視鏡所見の要点
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内視鏡は非特異的

発赤・浮腫・びらん等は「あり得る」が、所見だけで確定できないため生検戦略が核になります。

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複数箇所・複数個の生検

好酸球浸潤は斑状で不均一なことがあり、見た目が正常でも採取する姿勢が重要です。

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鑑別と除外がセット

寄生虫や他の炎症性腸疾患など、好酸球増多を来す疾患の除外を同時に進めます。

好酸球性胃炎 内視鏡所見の基本(発赤・浮腫・びらん)

好酸球性胃腸炎(広義のEGIDの一部)では、内視鏡で粘膜に発赤・浮腫・びらんを認めることがありますが、形態として特異的とは言いにくい点が最大の落とし穴です。

つまり「所見がある=診断」ではなく、「所見がある=疑う材料」程度に位置づけ、次の一手(生検)へつなぐ思考が求められます。

加えて、筋層型・漿膜下型では粘膜面に明らかな異常が出ないこともあり、内視鏡で“異常が乏しい”からといって安心できません。

臨床現場では、次のような状況で“いつもの胃炎”から一段階上げて疑うと、診断に近づきます。

・PPI等で説明できない症状が持続する

末梢血好酸球増多やアレルギー歴が目立つ

・CT等で壁肥厚、あるいは腹水が示唆される(内視鏡像が軽微でも)

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/54/6/54_1797/_pdf

好酸球性胃炎 内視鏡と生検(複数個・数か所)の実務

内視鏡で発赤・浮腫・びらんを見たら、確定診断に必要なのは「複数個の生検」です。

診断指針では、胃・小腸・大腸の生検で粘膜内に好酸球主体の炎症細胞浸潤を証明し、目安として高倍率1視野あたり20個以上(20/HPF以上)を扱っています。

重要なのは、好酸球浸潤が一様ではなく不均一(斑状)になり得るため、“病変っぽい所だけ”では取りこぼす可能性がある点で、見た目が正常に見える部位も含めた採取が推奨されています。

現場向けに、実務上の工夫をまとめます。

  • びらん・浮腫・発赤がある部位:当然採る(活動性が高い可能性)。​
  • 一見正常な部位:同じ臓器内で追加採取し、斑状分布への備えを作る。​
  • 病理依頼時:単に「胃炎疑い」ではなく、好酸球性胃炎(EGID)疑いとして好酸球数のカウントを明示的に依頼する(依頼文の質が結果の質を左右しやすい)。​

好酸球性胃炎 内視鏡所見と鑑別(寄生虫・炎症性腸疾患)

好酸球性胃腸炎の診断指針では、生検での好酸球浸潤(20/HPF以上)を見ても、他の炎症性腸疾患などを除外する必要があるとされています。

また、指定難病の枠組みでも、好酸球性消化管疾患(EGID)は診断・治療が未確立な面を持ち、鑑別や重症度評価を含めた体系的な診療が求められています。

つまり内視鏡所見が非特異的である以上、臨床情報(症状、アレルギー歴、血液所見、画像所見)と病理、そして除外診断を束ねて初めて診断に到達します。

鑑別で特に実務上問題になりやすい論点です。

  • 寄生虫など「好酸球増多を示す他疾患」の除外(渡航歴、摂食歴、便検査の適応判断)。

    参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/000857634.pdf

  • IBDや薬剤性、感染など、粘膜障害を作る原因の棚卸し(病理所見の解釈が揺れる場面ほど重要)。​

好酸球性胃炎 内視鏡所見が軽い症例の見落とし(独自視点:病型で“見え方”が変わる)

検索上位の記事では「発赤・浮腫・びらん」など目に見える話に寄りがちですが、実臨床では“粘膜に変化が乏しい病型”が厄介です。

総説では、筋層に病変が主体の場合は狭窄などを示しても粘膜面は異常が乏しく、内視鏡下の生検でも病的な好酸球浸潤が確認できないことがある、という点が明確に述べられています。

このため、内視鏡所見が軽いのに症状が強い、CTで壁肥厚がある、腹水がある、といった「内視鏡と臨床のズレ」は、むしろ好酸球性胃腸炎を疑うサインになり得ます。

ここでの実務的な提案です。

  • 内視鏡所見が乏しいのに疑いが強い場合:CT/超音波内視鏡など、壁肥厚や層構造に目を向ける。​
  • 腹水がある場合:漿膜下病変群では腹水中好酸球が診断確定に有用とされるため、穿刺の適応を検討する。​
  • “胃だけ”に固執しない:病変は胃・小腸・大腸など複数部位に存在し得るため、症状に応じて観察範囲と生検部位を広げる。

    参考)好酸球性胃腸炎①(胃内視鏡/胃カメラ)

好酸球性胃炎 内視鏡所見と治療(ステロイド・再発・フォロー)

治療はグルココルチコイドが中心で、多くの例で有効とされる一方、減量・中止で再発しやすく、長期フォローが重要とされています。

また、指定難病の資料でも、好酸球性胃腸炎(EGE)は再発を繰り返して慢性化し、ステロイド依存や副作用が問題になり得る点が述べられています。

内視鏡医の立場でも、症状改善だけで“終わり”にせず、再燃時に同じ轍を踏まないよう、生検個数・部位、病理結果(好酸球数)、末梢血好酸球、画像所見を経時的に記録し、チームで共有することが実務上の価値になります。

治療と内視鏡の接点としては、次の視点が使えます。

  • 内視鏡所見は非特異的なので、治療反応性の評価は「症状+検査+病理」の組み合わせで見る。​
  • 再燃時は「前回と同じ場所を同じだけ採ったか」を振り返り、採取戦略を改善する(斑状浸潤対策)。​

生検・診断基準(20/HPF、生検は数か所以上、内視鏡で浮腫・発赤・びらん)を原文レベルで確認。

厚生労働省PDF:好酸球性消化管疾患(指定難病98)の概要・診断基準

発赤・浮腫・びらんなどの内視鏡所見が非特異的で、生検が必須、かつ不均一浸潤のため複数生検が重要である点の総説。

J-STAGE PDF:好酸球性胃腸炎の診断と治療(総説)