抗ヒスタミン薬一覧と第1世代第2世代
抗ヒスタミン薬一覧の第1世代第2世代の特徴
抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)は、花粉症などのアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎の掻痒などで広く使われる薬剤群です。
臨床では「第1世代」「第2世代」に分けて説明されることが多く、世代で副作用プロファイルが大きく異なる点が実務上の中心テーマになります。
第1世代抗ヒスタミン薬は、一般に即効性に優れる一方で、眠気・鎮静・認知能力低下などの中枢抑制作用、口渇や尿閉などの抗コリン作用が問題になりやすいとされています。
参考)https://omaezaki-hospital.jp/-/wp-content/uploads/2022/09/47fff998b8baa9deb2704ecc4d377b59.pdf
具体例として、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、(d/dl-)クロルフェニラミン、シプロヘプタジンなどが挙げられます。
第2世代抗ヒスタミン薬は、第1世代の欠点(鎮静作用・抗コリン作用)が軽減され、効果が長続きすることも特徴とされ、アレルギー治療の基本となる位置づけです。
一方で「効き目が十分に発揮されるまでに時間がかかる場合がある」ため、予測できる花粉症では症状が出る前からの内服が推奨される、という実務的な説明がしやすい領域でもあります。
抗ヒスタミン薬一覧の眠気と鎮静性分類(脳内H1受容体占拠率)
「眠気が出やすいか」を機序ベースで説明する際に役立つのが、脳内移行性と脳内H1受容体占拠率の考え方です。
抗ヒスタミン薬が脳内に移行して脳内H1受容体をブロックすると鎮静が起こり得る、という整理は、患者にも医療者にも納得感が高い説明になります。
参考資料では、脳内H1受容体占拠率が50%以上を「鎮静性」、50~20%を「軽度鎮静性」、20%以下を「非鎮静性」に分類すると示されています。
さらに「鎮静性分類と添付文書上の自動車運転などの注意の記載は対応しているものが多いが、一部対応していないものもある」とされ、ここが現場での“落とし穴”になりやすい点です。
実務では、同じ「第2世代」でも眠気の訴えやすさがゼロではないこと、そして眠気が軽くても注意力低下(いわゆるインペアード・パフォーマンス)が問題になる可能性があることを前提に、患者の生活背景を確認していくのが安全です。
特に、夜勤・長距離運転・高所作業など「眠気が少しでも事故につながる」職種では、薬の“わずかな違い”が重大になることがあります。
抗ヒスタミン薬一覧の自動車運転と添付文書(疑義照会の観点)
抗ヒスタミン薬は、添付文書に「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう(十分)注意すること」などの記載がある薬剤があり、患者の就労や生活に直結します。
実際に、薬局のヒヤリ・ハット分析では、運転を行う患者が多く、仕事で運転を行うケースも一定数あると整理されています。
同資料では、添付文書に運転注意がある薬剤が処方された場合、患者の生活状況を聴取し、必要に応じて疑義照会や処方医への情報提供を行う重要性が強調されています。
また、代替薬への変更や用法変更(朝に運転があるため夕食後へ、など)が実際に行われたことが示されており、「運転可否」は単なる注意喚起ではなく処方設計そのものに影響する論点だと分かります。
意外に見落とされやすいのは、患者側が「花粉症の薬=軽い薬」と認識していて、運転・危険作業を医師へ伝えていないケースがある点です。
そのため、医療機関側でも薬局側でも、初診アンケートや薬歴に「運転」「高所作業」の項目を設けて拾い上げる運用が現実的な対策として紹介されています。
抗ヒスタミン薬一覧の相互作用(フェキソフェナジンとフルーツジュース等)※独自視点
「眠気」や「効く・効かない」相談で、薬そのものよりも服用条件の影響が大きいケースがあります。
その代表例として、フェキソフェナジンは併用薬剤・食べ物に注意が必要とされ、フルーツジュース同時服用で小腸トランスポーターOATP2B1が阻害され、吸収量が減少することが報告されています。
また、水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤との併用で吸着が起こり、吸収量が減少すると報告され、Al/Mgを含む薬剤との併用では効果が下がる可能性があるとされています。
ここは検索上位の「一覧」記事だと流されがちですが、実務では「薬を変える前に、飲み方(飲料・併用薬・タイミング)を整える」だけで症状が改善することもあるため、患者教育の価値が高いポイントです。
さらに現場目線の“意外な盲点”として、OTCの総合感冒薬や胃腸薬サポート目的の制酸薬が併用に紛れ込みやすい点が挙げられます(患者は薬と認識していないことがある)。
抗ヒスタミン薬一覧を作るときは「一般名の羅列」だけで終わらせず、こうした吸収低下・併用パターンをセットで提示すると、医療従事者向け記事としての実用性が上がります。
参考:第1世代・第2世代の違い、鎮静性分類、運転注意、フェキソフェナジン相互作用(OATP2B1、Al/Mg吸着)
https://omaezaki-hospital.jp/-/wp-content/uploads/2022/09/47fff998b8baa9deb2704ecc4d377b59.pdf
参考:運転・危険作業がある患者での疑義照会や薬剤変更の実例(薬局ヒヤリ・ハット事例分析)
https://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/report_2023_1_T001.pdf
参考:第2世代抗ヒスタミン薬とQT延長・心室性不整脈リスクのレビュー(論文の要旨ページ)
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/10211532

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