コランチル配合顆粒代替品選択
コランチル配合顆粒販売中止背景
コランチル配合顆粒は2021年4月に共和薬品工業より販売中止が発表され、経過措置期間は2025年3月まででした。販売中止の主な理由として、原薬入手困難等により安定供給の継続が困難になったことが挙げられています。
この販売中止により、多くの医療機関で代替品の選択が急務となりました。特に、長期間コランチル配合顆粒を使用していた患者においては、薬剤変更への抵抗感もあり、薬剤師による丁寧な説明と代替品選択が重要な課題となっています。
- 販売中止時期:2021年4月
- 経過措置期間終了:2025年3月
- 主な原因:原薬入手困難
- 影響範囲:全国の医療機関での処方見直し
同一成分の後発医薬品についても、各社が販売を中止している状況があり、代替品選択の幅が限られているのが現状です。
コランチル配合顆粒代替品一覧比較
コランチル配合顆粒の代替品として、主に以下の製剤が検討されています。
同一成分製剤(ジサイクロミン/水酸化アルミニウム配合剤)
- レスポリックス配合顆粒:薬価9円/g
- 成分:ジサイクロミン塩酸塩、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム
- 効能・効果:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎
異なる成分の代替品
- マーズレン配合錠0.5ES:薬価7.6円、成分:アズレンスルホン酸ナトリウム水和物/L-グルタミン
- マーズレン配合錠0.375ES:薬価5.9円
- マーズレン配合錠1.0ES:薬価11.6円
これらの代替品は、それぞれ作用機序や副作用プロファイルが異なるため、患者の病態や既往歴を十分に考慮した選択が必要です。
消化性潰瘍治療薬としての分類は同じですが、制酸作用の強さや抗コリン作用の程度に違いがあります。レスポリックス配合顆粒は酸化マグネシウムも含有しており、制酸作用がより強化されている特徴があります。
コランチル配合顆粒からマーズレン切替
病院薬事委員会では、コランチル配合顆粒の代替品として先発品のマーズレンS配合顆粒が推奨されるケースが多く報告されています。これは、長期にわたる臨床使用実績と安定した供給体制が評価されているためです。
切替時の考慮点
- 剤形の違い:顆粒から錠剤への変更による服薬性への影響
- 用法・用量の調整:成分の違いによる投与量の見直し
- 患者の受容性:薬剤変更に対する患者の理解と同意
マーズレン製剤への切替では、アズレンスルホン酸ナトリウムの抗炎症作用とL-グルタミンの粘膜保護作用が期待できます。一方で、抗コリン作用については従来のジサイクロミンとは作用機序が異なるため、症状の改善度合いを慎重にモニタリングする必要があります。
切替期間中は、患者の症状変化や副作用の出現について、通常よりも頻回なフォローアップが推奨されます。特に高齢者では、抗コリン作用の変化による認知機能への影響にも注意が必要です。
コランチル配合顆粒代替品薬価情報
代替品選択において薬価は重要な要素の一つです。コランチル配合顆粒の薬価は6.3円/gでしたが、代替品の薬価には幅があります。
薬価比較表
製剤名 | 薬価(円) | 成分 |
---|---|---|
コランチル配合顆粒 | 6.3/g | ジサイクロミン/水酸化アルミニウム |
レスポリックス配合顆粒 | 9.0/g | ジサイクロミン/水酸化アルミニウム/酸化Mg |
マーズレン配合錠0.375ES | 5.9/錠 | アズレンスルホン酸Na/L-グルタミン |
マーズレン配合錠0.5ES | 7.6/錠 | アズレンスルホン酸Na/L-グルタミン |
マーズレン配合錠1.0ES | 11.6/錠 | アズレンスルホン酸Na/L-グルタミン |
レスポリックス配合顆粒は同一成分でありながら、コランチル配合顆粒よりも薬価が高く設定されています。これは酸化マグネシウムの追加配合による製剤の改良が反映されているためと考えられます。
患者負担の観点から、後発医薬品の選択が推奨される場合もありますが、供給安定性や患者の症状改善効果を総合的に判断することが重要です。
コランチル配合顆粒代替品選択基準
代替品選択において、単純な成分比較だけでなく、患者個別の背景を考慮した総合的な判断が求められます。
患者背景による選択基準
- 高齢者:抗コリン作用による認知機能への影響を最小限に抑えるため、マーズレン系が推奨される場合が多い
- 腎機能低下患者:酸化マグネシウム含有製剤では血清マグネシウム値の定期的な監視が必要
- 服薬コンプライアンス:顆粒剤から錠剤への変更で服薬性が向上する患者も存在
医療機関での選択戦略
病院薬事委員会では、限られた採用品目の中で最適な代替品を選択する必要があります。患者本人の強いこだわりがある場合には、個別対応として院外処方での対応も検討されています。
長期的視点での評価
代替品選択後の効果判定には、従来の症状改善度だけでなく、患者満足度や治療継続率も含めた多面的な評価が重要です。特に慢性胃炎患者では、長期間の治療継続が必要なため、患者の受容性を重視した選択が求められます。
供給安定性の観点から、複数の代替品を準備しておくリスク分散の考え方も、今後の医薬品供給問題を踏まえると重要な戦略となります。
医薬品情報データベースを活用した定期的な供給状況の確認と、患者への事前説明による理解促進が、円滑な代替品切替の鍵となります。